「アンチウイルスソフトウェア」の版間の差分
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2007年6月24日 (日) 10:14時点における版
アンチウイルスソフトウェア (Anti-Virus Software) とは、コンピュータウイルス(以下ウイルス)を検出・除去するためのソフトウェアである。単に「アンチウイルス」、または「ワクチン(ソフトウェア)」、「ウイルス対策ソフトウェア」などとも言う。
なお、ウイルスソフト等と呼ばれることもあるが、この呼び名ではこのソフトウェア自体がウイルスだという意味に取れるので、不適切である。(なお、「~ソフトウェア」の略語として「~ソフト」とも言う。)
概要
基本的には、コンピュータに常駐して作動するソフトウェアで、次のような動作をする。
- コンピュータウイルスの特徴など(パターン)を記録したデータファイル(パターンファイル、定義ファイルなどともいう)とコンピュータ内部で遣り取りされるデータを照合する(パターンマッチング)。照合対象は、ファイルの静的検索型が基本的であり、さらに読み書きされるファイル等のデータを動的検索するもの、Webブラウザやメーラーで送受信されるデータ(添付ファイル、スクリプト等)を動的検索するものがある。
- 内部にウイルスが発見された場合は、除去できれば除去を行い、除去できないものも含めて何らかの警告を出す。
主に、クライアントを対象とするものと、サーバ(メールサーバ、データサーバなど)を対象とするもの(ゲートウェイ型)に分かれる。
データファイル(パターンファイル等)やウイルス検索エンジン(検索プログラム)は、新しく発見されたウイルスに対応するために頻繁に更新されている。また、最近のクライアント向けアンチウイルスソフトウェアでは、インターネットから自動的にダウンロードして更新するものが主流である。しかし、しばしば、それらの更新ソフトウェアのテストが不十分な場合があり、それらが自動更新された多くのユーザのパソコンが動作不良・起動不能になったり誤検出するなど、トラブルが発生することがある。
なお、スパイウェアを発見・駆除するものはアンチスパイウェア等と呼ばれる。またパーソナルファイアーウォール、アンチスパム等の製品とも区別される。これらの総合対策スイートとして提供される製品もある。また、アドウェアやフィッシング(Phishing)対策ソフトウェアも今後展開しようとしている。
これらの有害なプログラム類を総称して不正ソフトウェア、マルウェアと呼び、これへの対策を不正ソフトウェア対策、マルウェア対策と言う。この対策をするソフトウェアを、不正ソフトウェア対策製品ないしアンチマルウェアと言う。経緯上、アンチウイルス ソフトウェア(Anti-Virus Software)はアンチマルウェアとの戦いの始まりに相当する。
このようなアンチウイルス、アンチスパイウェアを装ったマルウェア (WinFixerなど) が登場しているので、この点も注意が必要である。
日本での市場
セキュリティ対策ソフトの日本での市場は、トレンドマイクロ、シマンテック、マカフィーの大手三社による寡占的な状況が続いてきた[1][2]が、個人向けについては低価格路線で新規参入したソースネクストが一時的とはいえメーカー別シェア2位になるなど[3]、新たな潮流ができつつある。同様の低価格路線をとる対策ソフトには、V3ウイルスブロック インターネットセキュリティやキングソフトインターネットセキュリティなど、アジア系のものが多い。
さらに、無料で利用できるAVG Anti-Virusやavast! antivirusの一般への普及や、ウイルスセキュリティZEROなど年次更新料不要の低価格帯ソフトも登場している。
だが、このような低価格路線とは対称的に、検出力を売りとする対策ソフトの新規参入も2005年秋頃から増加している。検出率の高さで知られるカスペルスキーの販売をジャストシステムが開始したことなどはその代表例である。同様の高検出率路線をとる対策ソフトには、NOD32やDr.Web、F-Secure、G DATA アンチウイルスキットなど、ヨーロッパ系のものが多い。
また、クライアントOSで高いシェアを持つマイクロソフトもセキュリティ対策部門に進出し、2007年1月に同社ウイルス対策ソフトWindows Live OneCareを発売しており、動向が注目されている。このようなマイクロソフトの動きに対しては各社とも対抗策をとり始めており、対抗製品としてシマンテックからNorton360、G DATA SoftwareからTOTAL CAREなどが発売され、またトレンドマイクロやF-Secureなどからは1台分のライセンス料で複数台使えるパッケージが登場するなど、セキュリティ対策ソフト市場は競争が激化しつつある。
主なソフトウェア
- Active Virus Shield (AOL)
- Avira AntiVir PersonalEdition (Avira GmbH)
- avast! antivirus (ALWIL Software a.s.)
- 個人使用に限り無料。日本語版もある。
- AVG Anti-Virus (Grisoft)
- 無料版がある。英語のみ(日本語にするファイルも個人レベルで配布されている)。メールなどの末端に広告が入る。
- BitDefender (SOFTWIN)
- 毎日更新される迅速なウイルス検知・対応や他アンチウイルスソフトと競合しにくいという特徴が支持されている。体験版は1年間の試用が可能(但し常駐ウイルススキャンは非対応)。Windows以外にLinux・FreeBSDに対応。Linux版のみ、日本でSoftAgencyから購入可能。
- Clam AntiVirus (Summit Open Source Development Group)
- Dr.Web (Doctor Web Ltd. / 株式会社ネットフォレスト)
- Windows 95 ~ XP、Linux, FreeBSD, OpenBSD, Solaris(x86) に対応。企業、製品共にロシア国防省の certified を受けており、事実上『政府機関ご用達』製品となっている。
- ウイルスチェイサー (株式会社インテリジェント ウェイブ)
- ロシア政府も採用するウイルス検索エンジンDr.Webを使用したWindows用のアンチウイルスソフト。高いウイルス検出能力と動作の軽さが評価されている。体験版は1ヶ月の試用が可能。
- eTrust アンチウイルス (日本CA株式会社)
- 2種類のスキャンエンジンを搭載し(例外あり)、企業向け製品では大きなシェアをもつ。
- 個人,SOHO向け製品名はCA アンチウイルス
- Windows Vistaオフィシャルパートナー、欧米向けの同OSの宣伝においては、Vistaのベストパートナーウイルス対策ソフトとして同社の名前があがる。MicrosoftがWindows Live OneCareの次に推すセキュリティーパートナー(過去にMcAfee → TrendMicro → CA)
- F-Secureインターネットセキュリティ(日本エフ・セキュア)
- Sophos Endpoint Security (ソフォス株式会社)
- 英国に本拠を持つ。WindowsやMacOS、UNIX等のセキュリティ製品を提供する。個人ユーザー市場へは展開を行わず、企業向けに特化することで高品質なサポートを提供することをポリシーとしている。
- G DATA アンチウイルスキット (G DATA Software)
- インテゴ・ウイルスバリア(Intego)
- カスペルスキー・インターネットセキュリティ(ZAO Kaspersky Lab)
- キングソフトインターネットセキュリティ (金山軟件有限公司 / キングソフト株式会社)
- 6ヶ月の期限付きで無料ダウンロード、利用が可能。1年間ならびに無期限サポートへの更新時は有料。日本語・日本サイト。元々は中国のソフト。開始当初、一部の対応機種で障害は見られたものの、現時点では全て解消している。
- 価格はウイルスセキュリティゼロ、ウイルスキラーゼロとほぼ同じで無期限サポートの利用が可能だが、Checkmarkによるテストで、アンチウィルスでLevel2(駆除)、トロイの木馬検出能力を認証されている。
- マカフィー・ウイルススキャン (マカフィー株式会社)
- NOD32アンチウイルス(ESET, s.r.o. / キヤノンシステムソリューションズ株式会社)
- ノートン・アンチウイルス (株式会社シマンテック)
- Panda Titanium Antivirus (Panda Software, S.L. / ITX イー・グローバレッジ株式会社)
- V3ウイルスブロック インターネットセキュリティ(株式会社アンラボ / 株式会社インターチャネル・ホロン)
- 元NECインターチャネル。名前のとおり、元NECの子会社。低価格と親しみやすいインターフェイスが魅力。
- ウイルスキラー(イーフロンティア)
- 価格の安さは魅力。北斗の拳版やハローキティー版といった派生版もあり、色物ソフトに見られる場合があるが、基本的性能は良い。
- 2007年2月よりドラえもん版も発売予定
- 2007年5月より、MicrosoftによるWindows Vistaのサポート終了まで更新料が不要な版が発売された。
- ウイルスセキュリティ (K7Computing / ソースネクスト株式会社)
- 価格の安さが魅力。MicrosoftによるWindows Vistaのサポート終了まで更新料が不要な版も発売。
- 検知率は、評価が分かれる。
- ウイルスバスター (トレンドマイクロ株式会社)
- ウイルスドクター (北京江民新科技術有限公司)
- 中国では金山、瑞星(Rising AntiVirus)と並ぶアンチウイルスソフトのひとつ。
- Windows Live OneCare
- マイクロソフトが2007年1月から販売するアンチウイルスソフト
- スパイスウィーパー
- ウェブルート・ソフトウェア株式会社が2007年1月から販売するSpy Sweeper with Antivirus アンチウイルスソフト
関連項目
脚注
- ↑ 中堅・中小企業の業務アプリ利用実態(3)ウイルスバスターのトップは当分安泰:ITpro
- ↑ ウイルス対策ソフト乗り換え案内(1):日経パソコンオンライン
- ↑ BCNランキング :: PICKUP NO.1 :: セキュリティソフト、更新料不要の「ウイルスセキュリティZERO」がトップに
外部リンク
- ウイルス対策ソフトの検出力調査結果
- ウイルス対策ソフト比較
- Microsoftウイルス対策ソフトウェア ベンダの一覧
- 勝手にウィルステスト
- 各製品共通テストウイルス(無害ですが絶対に悪用をしないで下さい)
- 道具解
このページは Wikipedia日本語版由来のコンテンツを利用しています。もとの記事はアンチウイルスソフトウェアにあります。執筆者のリストは履歴をご覧ください。 Yourpediaと同じく、WikipediaはGFDLのライセンスで提供されています。 コンテンツを再利用する際には同じくGFDLのライセンスを採用してください。