「レクサス」の版間の差分

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レクサス独自のデザイン基本理念として「'''L-finesse'''('''エルフィネス''')」というキーワードを持つ。「L」は「Leading edge=先鋭」、「finesse」は「人間の感性や巧みの技の精妙」を意味し、シンプルでありながら先進的かつ深みのあるデザインを目指すというものである。L-Finesseは、以下の三つの要素の統合により日本らしさを体現させるものとされた<ref name="L-finesse1">[http://response.jp/feature/2005/1227/f1227_1.html 【デザイナー対談】 自問自答の「L-finesse」]、Responce</ref>。
 
レクサス独自のデザイン基本理念として「'''L-finesse'''('''エルフィネス''')」というキーワードを持つ。「L」は「Leading edge=先鋭」、「finesse」は「人間の感性や巧みの技の精妙」を意味し、シンプルでありながら先進的かつ深みのあるデザインを目指すというものである。L-Finesseは、以下の三つの要素の統合により日本らしさを体現させるものとされた<ref name="L-finesse1">[http://response.jp/feature/2005/1227/f1227_1.html 【デザイナー対談】 自問自答の「L-finesse」]、Responce</ref>。
 
* 「純」-Incisive Simplicity 本質を究めたシンプルさ。明快な主張。
 
* 「純」-Incisive Simplicity 本質を究めたシンプルさ。明快な主張。
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また、全世界で共通デザインとすることが基本方針とされている。なお、[[レクサス・LS#4代目 XF40型(2006年9月 - 2017年10月)|LS(3代目モデル)]]やRX(3代目モデル)などに装着されるLEDヘッドライトに関しては、各国の法規に適合しない[[シンガポール共和国|シンガポール]]、[[中華人民共和国|中国]]といった一部の国々向けの仕様には装着されていない。
 
また、全世界で共通デザインとすることが基本方針とされている。なお、[[レクサス・LS#4代目 XF40型(2006年9月 - 2017年10月)|LS(3代目モデル)]]やRX(3代目モデル)などに装着されるLEDヘッドライトに関しては、各国の法規に適合しない[[シンガポール共和国|シンガポール]]、[[中華人民共和国|中国]]といった一部の国々向けの仕様には装着されていない。
  
;デザイン方針の転換  「スピンドルグリル」の採用
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====デザイン方針の転換  「スピンドルグリル」の採用====
 
その後、「L-finesse」に対して「いろいろ説明をしなければ理解できないような非常にわかりにくい訴求」との反省があり<ref>[http://gazoo.com/NEWS/NewsDetail.aspx?NewsId=bf58ba89-d5f1-495f-88a4-82d05738559d 【レクサス GS 開発ストーリー】大阪のエルフィネスを目指して]、GAZOO、2012年1月25日</ref>、レクサスのデザインには「高級車らしい押し出し感が弱い」「特徴がなく退屈」「トヨタブランド車との違いが分かりにくい」などの評価がついて回ったことから、BMWの「[[キドニーグリル]]」や[[アウディ]]の「シングルフレームグリル」のように個性的かつ一目でレクサスと分かるような全車種共通のデザインアイコンを導入する方針への転換が図られた。
 
その後、「L-finesse」に対して「いろいろ説明をしなければ理解できないような非常にわかりにくい訴求」との反省があり<ref>[http://gazoo.com/NEWS/NewsDetail.aspx?NewsId=bf58ba89-d5f1-495f-88a4-82d05738559d 【レクサス GS 開発ストーリー】大阪のエルフィネスを目指して]、GAZOO、2012年1月25日</ref>、レクサスのデザインには「高級車らしい押し出し感が弱い」「特徴がなく退屈」「トヨタブランド車との違いが分かりにくい」などの評価がついて回ったことから、BMWの「[[キドニーグリル]]」や[[アウディ]]の「シングルフレームグリル」のように個性的かつ一目でレクサスと分かるような全車種共通のデザインアイコンを導入する方針への転換が図られた。
  

2022年8月11日 (木) 02:26時点における版

レクサス英語LEXUS)は、トヨタ自動車が展開している高級車ブランド(プレミアムブランド)。1989年から北アメリカで展開が開始され[1]、2005年8月から日本でも展開された[2]グローバルブランドスローガンは「EXPERIENCE AMAZING[3]」。

概要

1980年代までのアメリカ合衆国では、リンカーンフォード)やキャデラックGM)に代表される重厚で威厳を持つデザインの高級車こそが、アメリカンドリームを勝ち得た「成功者のシンボル」であり、日本車が普及した当時も高級車の市場は、2大ブランドや類似したデザインのアメリカ車が中心であった。しかしそうした威圧的なデザインの伝統的な車種を好まない富裕層が一定数存在すること、将来顧客の候補となる若年層にとっては「古臭い」と見えていることを、トヨタ自動車は市場調査で把握していた。

そこでトヨタは、伝統や威厳を前提とした旧来の高級車のあり方を否定し、機能性や高品質によるプレミアムを模索した。すなわち、メルセデス・ベンツBMWなどの西ドイツ(現ドイツ)製高級車に匹敵する品質や安全性と、日本車ならではの信頼性や経済性とを両立させ、なおかつリーズナブルな価格設定、そして充実したアフターフォローを構築しようとした。

当時はまだ「壊れないが、あくまで安物の大衆車」とのイメージが強かった日本車に、日本国外の高級車市場への参入余地はないというのが自動車業界の定説であったが、トヨタは新たなテストコースの建設を始めとした開発体制・品質基準を策定し約5年間にも及ぶ長い開発期間を経た後、1989年に初代LSを発売した。

トヨタの目論見通り、レクサスが掲げるコンセプトは好評をもって迎えられ、LSは発売初年度だけで約11,600台、ESの約4,700台と合わせると、レクサス全体で約16,300台を売り上げ、大衆車メーカーによる高級車市場参入の成功例となった。特に、LSの持つ静粛性と内外装の組上げ精度は、他のメーカーにも大きな衝撃を与えた。またレクサス開発の中で培われたノウハウは、トヨタにとっても大きな収穫となった。

機能性とシンプルさを重視したレクサスのデザインは、落ち着きや品の良さを希求した反面、トヨタブランドと共に「退屈で地味」という印象を抱かれることもあった。そのため21世紀以降はモータースポーツに参戦したり、スポーツモデルの「F」を発表するなど方針を転換してきている。

当初はユーザー趣向の違い等の理由から日本国内でのレクサスブランド展開予定はなく、日本国外でレクサスブランドで販売される車種は日本向けに仕様変更やグレードの見直しをした上で、トヨタブランドから別名称で販売されていたが(LSは日本名「セルシオ」、同様にGS:「アリスト」、ES:「ウィンダム」、IS:「アルテッツァ」、SC:「ソアラ」、LX:「ランドクルーザーシグナス」、GX:「ランドクルーザープラド」、RX:「ハリアー」)、2005年の日本でのレクサスブランド展開開始以後は、順次レクサスブランドの全世界統一名称・品質基準へ変更の上、レクサス販売店での取扱いに変更されている。なお、後述の通りRXは2009年に3代目モデルがレクサスブランドで発売された後も、グレード整理のうえ旧モデル(2代目RX)が「ハリアー」としてトヨタブランドで継続販売されている。LXは「ランドクルーザー」、GXは「ランドクルーザープラド」、およびHSは「SAI」と、それぞれプラットフォームほか車体の基本構造こそほぼ同一であるが、品質基準を筆頭にサイズ・デザイン・装備品などが大きく異なる姉妹車である(GXは2019年現在日本国外のみでの販売となっている)。

ブランドの再構築と日本での展開

1989年のブランド設立以来、レクサスは主に北米の高級車マーケットにおいて一定の地位を築いた一方、ヨーロッパなどではメルセデス・ベンツやBMWといった強豪相手に苦戦を強いられたほか、日本でも根強い輸入車人気の影響もあり、高級車マーケットの中心は依然としてそれら欧州車の独擅場にあった。

また上記の通り日本国内ではトヨタブランドの別名称で販売されていたため、実態は同一車種でありながらユーザーが求める要素に国内外で徐々に乖離が生じた。日本では、同ブランドの代表的な高級車クラウンを筆頭とする、日本の一般ユーザーの趣向に基づく車種階層に組み込まれたため、例えばLS(日本名セルシオ)ではショーファードリブン(運転手付き)用途での使用も多かった一方、海外ではあくまでオーナー自ら運転することが前提のドライバーズカーが基本コンセプトであり、双方のニーズに対応させることが困難となってきていた[4]

一方、日本では長く続いた平成不況を一旦脱し、後に「いざなみ景気」と呼ばれる景気回復期に差しかかりつつあった経済情勢も受け、日本国内でもレクサスブランドを展開することが2003年2月にトヨタ自動車から正式発表された。それを契機に、後述するデザイン基本理念「L-finesse(エルフィネス)」といったブランド再構築が行われ、全世界で通用する日本発の高級車ブランドとして新生「レクサス」を展開し、今後の経済成長が見込まれるアジア圏ほかを含めた展開を目指すこととなった。

2012年6月にはトヨタ自動車の社内組織改編が行われ、従前の「レクサス本部」が社内カンパニーに近い「レクサスインターナショナル」へ改組された。デザインや開発、マーケティングなどの機能が統合強化され人員も倍増されるなど、レクサスブランドにおけるヘッドクオーターとなる[5]

また、翌2013年4月には「レクサスインターナショナル」のほか、トヨタブランドの「第1トヨタ」(日本・北米・欧州を所管)・「第2トヨタ」(新興国を所管)および「ユニットセンター」(部品の企画開発や生産技術・生産機能を集約)の計4つのビジネスユニットが設置され、第1トヨタ・第2トヨタ・ユニットセンターはそれぞれを所管する副社長を事業責任者とする大幅な組織改編が行われたが、レクサスインターナショナルについては「日本発のグローバルプレミアムブランドとしてのイメージ確立に向けた変革が急務」との認識から、トヨタ自動車社長豊田章男自らが事業責任者となる別格の位置付けがなされた[6]

更に、2018年9月には「クルマに留まらない驚きと感動の提供」と言う新たな提案として、ラグジュアリーヨット「LY650」を発表。2019年後半に初披露予定[7]。従来から付きまとう「レクサスは退屈」のネガティブイメージ払拭に努めている[8]

上述のようにアメリカで始まったブランドではあるが、日本で正規販売される車はすべて日本国内で製造されている[9](元町工場、田原工場、トヨタ自動車九州)こともあり、左ハンドル車の正規販売は存在せず、国内の日本車同様にハンドルの右側のレバーはウインカー、左側はワイパーとなっている(一部に個人で並行輸入された個体も存在する)。

国産車ブランドとしては珍しくV8エンジンを国内向けにも多数ラインナップしており、2017年時点でその数6車種にも上る[10]

ブランド名・エンブレム

ブランド名称である「レクサス(LEXUS)」の由来は、「ラグジュアリー」と「最先端テクノロジー」を表す造語である[11]。ブランド名を決定する際に「アレクシス」や「レクシス」が候補に挙がったが「レクサス」に決定した[11]。ブランドの立ち上げに関わったニューヨークの広告会社は、「レクサス」の名称には特定の意味はないとしている[12]。 一方では「"Luxury Exports to the U.S." (アメリカ合衆国への高級輸出品)の略」という説や[13]ドイツ語の「Luxus(贅沢)」からの造語という説もある[14]

エンブレムは横楕円に「LEXUS」の「L」の字であり、これも決定までには真円にLの字を三日月風に模したものや真円にLの字に模したものが候補に挙がっていた。

なお、販売店や広告などで使用されるブランドロゴは、従前はゴールド基調の色合いであったが、先進性や洗練性を強調する狙いから、2013年末までに順次プラチナ基調の色合いへ変更された[15]

日本国内で正規販売された車種では、車検証での車名はすべて「レクサス」となっているが、それ以前に日本へ並行輸入された車では「トヨタ」「レクサス」「LEXUS」が混在している。

またスポーツモデルの「F」では「LFA」、「F」、「F SPORT」でそれぞれ異なった、3つの「F」のロゴを使用する。

デザイン

L-finesse

レクサス独自のデザイン基本理念として「L-finesseエルフィネス)」というキーワードを持つ。「L」は「Leading edge=先鋭」、「finesse」は「人間の感性や巧みの技の精妙」を意味し、シンプルでありながら先進的かつ深みのあるデザインを目指すというものである。L-Finesseは、以下の三つの要素の統合により日本らしさを体現させるものとされた[16]

  • 「純」-Incisive Simplicity 本質を究めたシンプルさ。明快な主張。
  • 「妙」-Intriguing Elegance 面や線の変化で生まれる、感性に響く深み。
  • 「予」-Seamless Anticipation もてなしの心につながる時間をデザインする

このように「L-finesse」は抽象的な理念であり、特に全車種共通のデザインアイコンなどは設定されない。しかし日本の伝統的な美の特徴は、華美な装飾要素を取り除きシンプルにすることとの解釈に立ち、知的かつ先進的という視点は明確にされており、各車種ごとの個性の中でこの考えに基づいたデザインがされている[16]

具体的には、エクステリアにおいては「レゾリュートルック(毅然とした見た目)」と称される、フロントグリルヘッドライトより低い位置に配したシャープな表情のフロントマスクや、フロントからリアにかけてサイドウインドウ上部を一本に貫くシルバー色のモール、白色LEDを用いたリアナンバー灯(CTを除く)などに各車種の共通点を見出すことができるほか、G-Link(テレマティクスサービス)対応のカーナビゲーションシステムを搭載した車両には、ルーフ後端にフィン形状の通信アンテナが装着される。インテリアでは、ダッシュボードなどに使われるソフトパッドがトヨタブランド車とは異なるレクサス専用のシボ加工を施した手触りの良いものとなっているほか、カーナビゲーションシステムをパソコンマウスのように手元で操作できる「リモートタッチ」がRX(3代目モデル)から採用されている。

また、全世界で共通デザインとすることが基本方針とされている。なお、LS(3代目モデル)やRX(3代目モデル)などに装着されるLEDヘッドライトに関しては、各国の法規に適合しないシンガポール中国といった一部の国々向けの仕様には装着されていない。

デザイン方針の転換 「スピンドルグリル」の採用

その後、「L-finesse」に対して「いろいろ説明をしなければ理解できないような非常にわかりにくい訴求」との反省があり[17]、レクサスのデザインには「高級車らしい押し出し感が弱い」「特徴がなく退屈」「トヨタブランド車との違いが分かりにくい」などの評価がついて回ったことから、BMWの「キドニーグリル」やアウディの「シングルフレームグリル」のように個性的かつ一目でレクサスと分かるような全車種共通のデザインアイコンを導入する方針への転換が図られた。

先にIS FやHS、CTで採用されていた、逆台形のアッパーグリルと台形のロアグリルを繋げた「スピンドル形状」(スピンドルとは紡績機の糸を巻き取る軸(紡錘)の意)のフロントマスクをベースとし、さらに存在感を強めたデザインにリファインされた「スピンドルグリル」が2012年発売のGS(4代目モデル)から採用され、以後に発売される他車種にも順次展開されている。

なおトヨタ自動車は豊田自動織機が源流であるため、ブランドのルーツである紡績をイメージしたとも言われているが、メーカー側はこの説を否定している[18]

また、その他の共通デザインアイコンとして、エクステリアでは「L」の文字をあしらったデザインのLEDフロントポジショニングランプやリアランプなど、インテリアでは前述の「リモートタッチ」のほか、LED自発光指針を用いたアナログ時計なども順次展開されている。

関連項目


脚注

  1. レクサスから紐解く過去・現在・未来
  2. 【ヒットの法則80】レクサスISはブランドのスポーツイメージを牽引する期待の星だった
  3. LEXUS > BRAND - lexus.jp
  4. 三栄書房「LEXUSのすべて」 2005年
  5. レクサス伊勢プレジデント「遠慮せず思い通りにやろう」、Response、2012年7月6日
  6. 新体制を公表 | ニュース - トヨタ自動車 2013年3月6日
  7. LEXUS、ラグジュアリーヨット「LY650」を発表-LEXUSが提供する、新しい海のモビリティ- - トヨタグローバルニュースルーム(トヨタ自動車) 2018年9月8日(2018年11月27日閲覧)
  8. 井元康一郎 (2016-04-15) 井元康一郎 豊田章男社長「レクサスを熱いブランドにする。もう退屈とは言わせない」 プレジデント プレジデント社 [ arch. ] 2021-02-08
  9. トヨタ、高級車「レクサス」の国内生産3カ所に (写真=共同) :日本経済新聞
  10. 国産は全滅寸前! V8エンジンはもはや不要なのかベストカーweb 2017年4月26日
  11. 11.0 11.1 BEYOND BY LEXUS 2015年5号より
  12. Mahler, Jonathan (2004). "The Lexus Story: The Behind the Scenes Story of the #1 Automotive Luxury Brand in America", pp. 56-57. DK Melcher Media, NY
  13. Watanabe's Toyota Rolls Out Lexus In Japan" Forbes. http://www.forbes.com/facesinthenews/2005/07/26/toyota-lexus-autos-cx_cn_0726autofacescan02.html. Retrieved 2008-06-05
  14. 日本経済新聞社「レクサス トヨタの挑戦」(長谷川洋三著)
  15. レクサスのロゴ、金からプラチナに 「先進性」アピール朝日新聞デジタル(2013年4月25日のウェブアーカイブ / 2016年1月1日閲覧)
  16. 16.0 16.1 【デザイナー対談】 自問自答の「L-finesse」、Responce
  17. 【レクサス GS 開発ストーリー】大阪のエルフィネスを目指して、GAZOO、2012年1月25日
  18. 【レクサス GS 開発ストーリー】スピンドル=糸巻きグリルは紡績のルーツを示したデザインなのか!? -
  19. エアレース・パイロット室屋義秀選手とLEXUSが共に挑む、新たな歴史への挑戦を発表 - パスファインダー・レクサスインターナショナル 2021年10月21日(2021年10月21日閲覧)

外部リンク