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2015年7月17日 (金) 01:13時点における版
三重中3少女殺害事件とは、2013年8月に三重県四日市市の市立朝明中学3年・寺輪博美(てらわ ひろみ)さんが、菰野高校の3年生男子に殺害された事件である。
三重県警による正式な呼称は 三重郡朝日町地内における女子中学生強盗殺人・死体遺棄事件。当初は強盗殺人事件として扱われたが、強制わいせつ致死罪・窃盗罪での立件となった。
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目次
事件発生
8月29日の午後2時30分ころ、三重県朝日町埋縄(うずなわ)の空き地で、パトロール中の男性警察官(四日市北警察署)が若い女性の遺体を発見。遺体となって発見されたのは、三重県四日市市に住む、寺輪博美さん(15)と断定された。寺輪博美さんは三重県四日市市山村町の市立朝明(あさけ)中学の3年生。
8月25日から行方不明になっており、27日午後7時ごろに父親から四日市北署に捜索願が出され、三重県警が付近を捜索をしていた。寺輪博美さんは発見された際、下着は着用していたがその他の衣服をつけず、仰向けに倒れており、目立った外傷はなかった。
三重県警は8月30日に会見。寺輪博美さんの死因は口と鼻をふさがれたことによる窒息死と判明し、強盗殺人と死体遺棄事件として捜査本部を設置。90人態勢で捜査を開始。
警察は、面識の無い人物に現場付近で突然襲われた可能性があるとみて、寺輪博美さんの所持品からは指紋を、現場付近からは複数の髪の毛や足跡、タイヤ痕などを採取し、関連を詳しく捜査したが、有力な手がかりは掴めず、迷宮入りに近い状態になった。
遺体発見現場は朝日駅から西に約800m離れた住宅地近くの空き地。寺輪博美さんの自宅はその現場からさらに700mほどの位置にあった。発見された現場周辺には遺体を引きずったような跡がないことから、三重県警は空き地で殺害された可能性が高いとみた。
遺体から数メートルの場所に、寺輪博美さんの着衣やカバン、財布、携帯電話などが壊されずに放置されているのが発見されたが、財布の中の現金だけがなくなっていた。
遺体には抵抗した場合に背中などにつくと想定される擦り傷などはなく、また手の爪にも他人の皮膚片などの付着が無かった。そのため、一部では顔見知りによる犯行の可能性も高いと推測された。
現場の前は県道が通っており、近くのミカン畑などに人が行くことはたまにあるが、ふだんは人通りがほとんどない場所だった。
死亡推定時刻は25日の深夜。寺輪博美さんは25日夜、友人の女子中学生と2人で四日市市の四日市港で開かれた「四日市花火大会」を見に行った。そして午後10時30分ころ、家に帰るため朝日町のJR関西線朝日駅で下車。近くのスーパーで友人と別れたのを最後に、行方不明となった。
寺輪博美さんは25日当日、花柄のタンクトップに紺色の上着、黒色のミニスカートを着用し、ピンク色のサンダルを履いていた。
逮捕
事件から半年近くたった2014年3月2日夜、四日市北署の捜査本部は強盗殺人の容疑で朝日町に住む仙石 直也(当時18歳)を逮捕した。捜査本部は仙石 直也が前日に高校を卒業するタイミングを待って捜査を進めており、同日朝から仙石 直也を任意同行し事情聴取や自宅の家宅捜索をして裏付けを進めていた。
三重県警は捜査員延べ約8000名を投入し、付近の約100か所に設置された防犯カメラの映像を解析し、現場周辺の近隣住民などへの聞き込みや現場で集めた証拠から仙石 直也が事件を実行した疑いがあると判断した。
2014年3月23日、強盗殺人の疑いで仙石 直也は津家庭裁判所に送致された。同日、家裁は2週間の観護措置と少年審判を開始する事を決定した。仙石 直也は「私が犯人です。1人でやった」と容疑を認めている。
2014年4月25日、津地検は強制わいせつ致死・窃盗罪で仙石 直也を起訴した。強盗殺人の疑いで逮捕された仙石 直也を強制わいせつ致死罪などで起訴したことに関して、地検の柴田真次席検事は「殺意を証明する証拠を集めることができなかった。遺族には引き続き、処分の理由を誠実、丁寧に説明したい」としている。
6月26日、三重県警は犯人逮捕に繋がる情報を提供した2人に報奨金を計200万円支払うと発表した。捜査特別報奨金の対象事件の内、容疑者不明の事件で報奨金が支給されるのは本事件が初。
逮捕の高3「私が犯人です」「面識なく、金目当て」
三重の中3女子生徒強盗殺人事件で、逮捕された県立高校3年の仙石 直也(18)は2014年3月2日、四日市北署捜査本部の調べに対して「私が犯人です」と容疑を認め、「女子生徒とは面識がなかった。金目当てで、1人でやった」と供述している。
捜査本部は、仙石 直也が1日に高校を卒業するのを待って、2日午前中に任意同行し事情聴取、自宅を家宅捜索した。女子生徒の口の周りが内出血し、腕にもうっ血した痕があったことから、口や鼻を強く押さえつけ、殺害した可能性がある。
「解明始まったばかり」県警幹部、表情硬く
「事件の全容解明は始まったばかりだ」。
2013年8月に三重県朝日町で中学3年の女子生徒が殺害された事件で、2日深夜から記者会見した県警捜査幹部は硬い表情でそう話し、気を引き締めた。
捜査本部が置かれた四日市北署で午後11時45分から始まった会見には報道陣約70人が詰め掛けた。吉水幸宏刑事部長が県立高校3年の男子生徒・仙石 直也逮捕の広報文を読み上げると、一斉にカメラのフラッシュが浴びせられた。
容疑者に結びつく手掛かりが少なく、捜査本部は情報提供を求め続けた。藤原佳明署長は「近隣の皆さまに情報提供にご協力いただいた。捜査本部一丸となって全容解明に取り組む」と述べた。
女子中学生を殺した後の仙石 直也のツイート
ごくせん @FALOS7 8月29日
- ちょ、え、めっちゃやばいやん地元の朝日町で女子中学生の死体が見つかったって…
- 四日市の女子中学生らしい… 手の震え止まらん。
ごくせん @FALOS7 8月29日
- 家に警察来とった( ;∀;) 事件の近くの家の人に聞いて回るらしいで(○_○)!!
ごくせん @FALOS7 8月29日
- @mochi09112 THE・平和の町やったのに(T-T) 気持ちの整理つかんわ…
「レイプ目的だと家族に知られるのが嫌だった」(2014年4月)
少年、わいせつ目的と説明 三重・中3殺害の審判
三重県朝日町で2013年8月に同県四日市市の中学3年の女子生徒=当時15歳=が殺害された事件で、強盗殺人などで津家裁に送致された事件。当時県立高校3年だった仙石直也(18)が、少年審判で、動機をわいせつ目的だったとする趣旨の陳述をした。
仙石直也は逮捕後、三重県警の調べに「金目的だった。1人でやった」と供述していたが、15日から始まった津家裁での少年審判で動機を尋ねられると「家族にわいせつ目的だったことを知られるのが嫌だったから、金目的と言ってしまった」などと説明した。
仙石直也は18日にも検察官送致(逆送)される見通し。津地検は、少年の説明が逮捕段階での供述と食い違うことから慎重に裏付け捜査を進めるとみられる。
女子生徒は2013年8月25日深夜に行方不明となり、同29日に朝日町の空き地で遺体が発見され、所持金約6000円が奪われていた。
仙石 直也はこうして捜査線上に浮上した
「いきなり浮上したわけではない」
三重県警の捜査幹部は静かに語った。2013年夏、三重県朝日町で、花火大会帰りの中学3年の女子生徒・寺輪博美さん=当時15歳=が殺害された事件は、目撃情報に乏しく捜査の難航も予想されていただけに、発生から約半年で仙石 直也(18)が逮捕される事態は一見、急展開したかのようにみえた。だが、水面下では少しずつ、着実に、捜査の手が仙石 直也に及んでいたのだ。帰宅時間の矛盾などから「アリバイ」にほころびが見え始め、遺留品に残された指紋などから容疑は決定的に。任意同行された当初こそ関与を否定していた仙石 直也だったが、証拠の数々を突きつけられると、観念したのか「私が犯人です」と容疑を認めたという。
「ご同行願います」
3月2日午前、三重県鈴鹿市内の路上。三重県警の捜査員が声をかけたのは、父親と買い物に出かけていた長身の少年だった。前日に県立高校の卒業式を終えたばかり。捜査員の接触に驚いた表情を浮かべた仙石 直也だったが、任意同行に応じた。午前8時50分ごろ、事件の捜査本部が置かれている四日市北署とは別の、四日市南署に入った。
事情聴取で仙石 直也が持ち出したのはアリバイだった。まず、事件の概要はこうだ。
《寺輪博美さんは2013年8月25日、四日市市内の花火大会の見物に出かけ、同日午後10時半ごろ、自宅最寄りのJR朝日駅で下車。友人と別れ、県道を歩いて自宅に向かった後、行方不明になった》
これに対し仙石 直也は8月25日夜の行動について、こう説明した。
《午後8時半ごろまで、四日市市内の友人宅の高層マンションから花火大会を見物した。終了後、自転車で帰宅し、午後10時ごろには朝日町の自宅に着いていた》
寺輪 博美さんが事件に巻き込まれたとみられる時間帯にはアリバイがあり、事件とは無関係であると主張していたという。しかし、これまでの丹念な捜査の積み重ねから、捜査本部には矛盾点が見えた。
例えば、現場近くのスーパーに少年が立ち寄った形跡があったこと。店の防犯カメラを精査すると、午後10時以降も同店に滞在する姿が記録されていた。これに、一緒に花火を見た友人の話なども総合すると、「午後10時ごろには帰宅していた」との少年の説明が虚偽である可能性は高かった。
客観証拠も見つかっていた。寺輪 博美さんの所持品から、仙石 直也の指紋が検出されていたのだ。仙石 直也と寺輪博美さんに面識はなく、犯行時以外に所持品に触れる機会はなかったとみられる。追い込まれた仙石 直也はこう話したという。
「私が犯人です」
任意同行から半日以上が経過した午後9時半ごろ、捜査本部は仙石 直也を強盗殺人などの疑いで逮捕した。
仙石 直也は、寺輪博美さんの遺体が見つかった空き地から徒歩で10分程度の民家に住んでいた。中学では野球部に所属し、自宅前で父親とよくキャッチボールする姿が目撃されていた。祖父母と両親、妹2人の7人暮らしで、家族仲も良好だったという。逮捕に驚きを隠せないのが中学・高校時代の同級生ら。
「そんなん嘘やろ」
「信じられない」
仙石 直也の事情聴取が報じられた後から、無料通信アプリ「LINE(ライン)」では、同級生らのこんな言葉が飛び交った。逮捕前日の卒業式では、率先して写真撮影や寄せ書きを書くなどし、最後まで仲間との別れを惜しんでいたという仙石 直也。気の強い仲間からしばしば体をこづかれるなど「いじられキャラ」としての一面もあったが、卒業の記念冊子に「いじってくれてありがとう!」と自ら書き込んだ。
いつも仲間の輪の中ではしゃいでいた姿と、社会を揺るがせた凶悪事件の容疑者という別の顔。同級生らは、この2つを重ねることができなかったようだ。
「卒業しても、また遊ぼう」。高校で同じクラスだった男性(18)は、卒業式で少年に声をかけられていたという。「一緒に何度もカラオケに行った。本当にいいやつ」とした上で、「事件があった夏以降も、普段と何も変わらなかったのに…」とこぼした。
仙石 直也の逮捕は、寺輪 博美さんの遺体が発見されてから約半年後だ。事件は急転直下、大きく展開したかに見える。だが、捜査幹部は「(仙石 直也の存在は)いきなり浮上したわけではなく、証拠を着実に積み重ねた結果だ。相手に気付かれぬよう、慎重に捜査を進めた」と明かす。
捜査本部が任意同行前に仙石 直也と接触したのは、遺体が見つかった2013年8月29日の一回のみ。周辺の聞き込み捜査を担当していた捜査員が自宅を訪ねると、応対したのが仙石 直也だった。
「不審な人、車などを見ませんでしたか」。尋ねた捜査員に対し、顔色一つ変えず「知りません」と答えたという仙石 直也。重ねて、前述の自らのアリバイを説明したという。
この日、仙石 直也は自身の短文投稿サイト「ツイッター」上で、自宅に捜査員が来たことを明かし、「近くの家の人に聞いて回るらしい」「気持ちの整理がつかない」などと投稿。終始、事件とは無関係を装っていた。
また仙石 直也は、夏休みが明けても、普段通りに登校を続けていた。遺体の発見現場と自宅が近いことから、ある友人が冗談半分で「お前が犯人だろ」と言うと、笑って聞き流していた。逮捕後、仙石 直也は調べに対し「事件直前に偶然見かけた。その後、空き地で1人で殺害した」と供述した。
仙石 直也は、さしたる怨恨もなく殺害に及び、同級生たちにも事件への関与を悟らせないよう、残り半年の高校生活を過ごしていたのだろうか。自身の中で事件がなかったものとして処理されていたとしたら、背筋が寒くなる。
寺輪 博美さんと仙石 直也
- 寺輪 博美さん
- 明るい性格で父親想いであり、多くの人に親しまれていた。事件がなければ、2014年3月7日に卒業式を迎える予定であった。
- 遺族は、自宅ポストに「遺族・親族一同」として、「犯人の行為は決して許すことができず、厳罰を望んでいます」と記した紙を張り出した。
- 寺輪博美さんの両親(共に45歳)はBが強盗殺人ではなく、強制わいせつ致死等で起訴されると、事件後初となる記者会見を開いて「納得できない部分があるが、裁判所は重い判決を下してほしい」と述べた。
- 仙石 直也
- 県立高校の3年生(男子)で、皆に慕われる明るい性格。前日の卒業式には出席し、友人と談笑していた。同級生らは「信じられない」と動揺していた。友人によると、成績も良く、友人も多かった。
- 逮捕されるまで、仙石 直也に変わったところは無かったという。
「犯人の行為は決して許すことができず、厳罰望む」…寺輪さん自宅に「遺族」が報道陣あての張り紙掲示
県警四日市北署捜査本部は3月2日、事件当時高校生だった少年(18)が関与した疑いが強まったとして、事情聴取を始めたが、寺輪さん宅はこの日、ひっそりと静まりかえったまま。報道陣がインターホンを押しても応答はなかった。
2日午後には関係者が「遺族、親族一同」とする報道陣あての張り紙を自宅の壁などに掲示。「犯人の行為は決して許すことができず、厳罰を望んでいますが、今は捜査の状況を静かに見守りたいと思います」との心情をつづった。
近くの70代の無職男性は「事件後は周辺の人も自宅にセンサーライトを付けるなど、不安に暮らしていた」と話していた。別の男性は「(寺輪さんの)ご両親のことを思うと言葉にならない」と話した。
裁判
1審津地裁(2015年3月)
三重県朝日町で2013年8月に中学3年の女子生徒・寺輪博美さん=当時15歳=をわいせつ目的で襲い、窒息死させたとして強制わいせつ致死と窃盗の罪に問われた仙石 直也(19)の裁判員裁判の判決で、津地裁(増田啓祐裁判長)は2015年3月24日、懲役5年以上9年以下の不定期刑を言い渡した。検察側は5年以上10年以下の不定期刑を求刑していた。
検察側は論告で「強いわいせつ目的による事件で、再犯の可能性もある。刑務所への服役で人格を矯正すべきだ」と主張。弁護側は「規範意識の低さなど、教育の場で性格を改善する必要がある」として保護処分を求めていた。