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* 韓国食品開発研究院: [http://kimchi.kfri.re.kr/ Kimchi](ハングル・英語){{リンク切れ|date=2012年11月}}
 
  
 
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2012年12月23日 (日) 14:59時点における版

キムチ김치)は、白菜などの野菜と、唐辛子を主に使用した漬物。朝鮮半島で生まれ、現在は世界各地で食されるようになった。日本でも漬物ジャンルでは最も消費が多いもののひとつとされている。

以前は朝鮮漬けと呼ぶこともあったが、現在はキムチと呼ぶことがほとんどである。単独で、あるいはつけ合せ(特に焼肉店)として食べられるほか、豚肉と一緒に炒めた「豚キムチ」などの材料や、チゲの具(キムチチゲ)としても用いられる。また、キムチそのものやキムチのタレ(ヤンニョムジャン)を鍋物の味付けに使用した「キムチ鍋」は、鍋物メニューの中でも特に人気が高いものである。

概要

キムチは越冬用の保存食であり、初めの方のキムチは青唐辛子を使用した「白キムチ」・もしくは唐辛子ではなくニンニク山椒を使用した漬物であったが、日本から赤唐辛子が伝わってからは真い色の「赤キムチ」が主となった。

唐辛子の強い刺激(痛み)、野菜の甘味、乳酸発酵による酸味・旨味と塩辛さが複雑に混じり合った風味が特徴である。例外はあるが、多くの場合は魚介類(もしくは魚醤塩辛や塩あみなどの漬物)やニンニクなどを使用するため、その強い刺激やにおいからキムチを敬遠する人もいる。

朝鮮半島だけではなく、朝鮮民族が多く暮らす国・地域では、市場などでキムチを売っている事が多い。ソビエト連邦時代に沿海州から朝鮮系住民(高麗人)が移住したウズベキスタンでは、市場やレストランでもキムチ(シムシャとも呼ばれる)が見られる。

言葉

朝鮮語で「野菜を漬けたもの」の意である沈菜が語源とする説や、沈漬(チムチ)、鹹菜(ハムチェ)を語源とする説など各種あり、定かではない。

英語表記

キムチの英語表記について、Kimuchi(日本語の読み)と表記したものと kimchiと表記したものが同時に使われていたが、東京で開かれた国際食品規格委員会(CODEX)で日本が浅漬けを含むkimuchiをキムチの標準としようとしたことに対し、韓国はKimchi(朝鮮語音からマッキューン=ライシャワー式にて転写)であると主張し、1996年3月に国際食品規格委員会(CODEX)のアジア部会にて当記述が認められた。一方、文化観光部2000年式ではGimchiであり、英語圏においては例えばアメリカの韓国料理店では、kim chee又はkimcheeとメニューに書かれていることが多く、他にもKorean picklesFermented vegetable foodsという表記もされる。

文化財

中華人民共和国の国務院は、アリラン伽椰琴、回婚礼、シルムを第3次国家無形文化遺産に登録したことを2011年6月21日に発表した。これは、韓国の大きな反発を招いた。これに対抗する形で、2011年7月1日、『韓国のキムチとキムジャン文化』を2012年国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産(俗称:世界無形文化遺産)キムチへの登録を目指し申請すると、韓国の文化財庁が発表した。

歴史

韓国では一般に、キムチの文献初出を13世紀初頭としている。李奎報(1168年 - 1241年)の詩集『東國李相國集』に収録されている「家圃六詠」という詩に「菁(かぶら)」という部分があるが、その中の「得醬尤宜三夏食 漬鹽堪備九冬支」をもってキムチの初出としている。「(かぶらは)醤漬けして夏に食べるのがよく、また塩キムチ漬けして冬支度に備える」という意味である。なおこの記述の中に「キムチ」という名称は登場しない。また該当の食べ物は日本中国漬物と特に変わりがなく、唐辛子や白菜を使用するといったキムチの大きな特徴はまだ見受けられない。

16世紀、朝鮮半島に日本から唐辛子が伝来してしばらくしてから、唐辛子を用いて作られるようになった。

持ち込まれた当初、朝鮮では唐辛子のことを倭芥子、若しくは倭椒と呼び、毒があるとして忌避していたが、後にキムチをはじめとした料理に用いるようになった。1670年のハングル料理書『飲食知味方』に出てくるキムチは、唐辛子を使用したものは一つも見られず、 19世紀の文献『閨閤叢書』(1809)に出てくるキムチを見ると、粉の唐辛子ではなく千切りの唐辛子が少し入れる製造方法が記録が残っており(日本で「朝鮮漬け」として知られている漬物に似たもの)、19世紀前後に唐辛子が使用され始めたことが推測される。

また現在食べられている白菜は、中国人が品種改良によって生み出した野菜であり、今の結球型の白菜が完成したのは18世紀以降とされる。よって唐辛子と白菜を使ったキムチの登場は、どんなに早くても18世紀以降と考えられる。

唐辛子の伝来

キムチに使われる唐辛子は、豊臣秀吉朝鮮出兵の際に日本が朝鮮半島に持ち込んだものとする諸説、江戸時代の貿易活性化によるものだとする諸説がある。元々アジアには存在しなかった唐辛子が国交があったポルトガルとの貿易により日本に渡り、漬物の添加物として使用された事に始まり、腐りにくく味覚に合っていた事もあり朝鮮半島で広く親しまれる事になった、この頃キムチという名称が定着、江戸時代に朝鮮通信使が持ち帰ったという説もある。

製造法

韓国のキムチ

一般的な白菜キムチは以下のように漬ける。

  1. 白菜を1日ほど塩に漬ける。
  2. 水で洗って塩抜きし、葉に薬念をまぶして壺に本漬けする。
  3. 本漬けで4、5日ほど発酵させると出来上がりである。乳酸発酵を伴うため、ガスが発生する。そのため、完全な密閉容器にキムチを詰めて室温で保管していると、数日で破裂する恐れがある。

北朝鮮のキムチ

朝鮮民主主義人民共和国のキムチは、韓国とほぼ同様であるが、酸味が抑えられ、比較的に甘みがある。

日本とキムチ

昭和後期に入る頃までは、その辛さやニンニクの臭みが日本人の味覚に合わなかったことから、存在は知られていてもあまりなじみのないものであり、キムチという名称も一般的ではなく「朝鮮漬」と呼ばれることが多かった。

しかし1975年に桃屋から発売された「桃屋 キムチの素」が人気を呼び、また1980年代後半に激辛ブームが起こると消費量が増加、ブームが沈静化した後も一定の販売数を保ち、一般のスーパーマーケットコンビニエンスストア等で手に入るようになった。一般のスーパーでは日本国産のキムチが売られていたが、1990年代から急速に消費量が増え、韓国から輸入されたキムチも流通しはじめた。社団法人・食品需給研究センターによると、キムチは2004年に日本国内で浅漬けに次いで2番目に多く消費された漬物とされている。

だが、日本の韓国からのキムチ輸入量は2005年をピークに減少を始め、現在ではキムチ漬けは日本国内で流通するキムチの主流は日本産になっている。これには韓国産のキムチから寄生虫が発見された事件が大きく起因しており、2005年から2006年の間に日本のキムチ輸入量は46.4%減少している。

日本では浅漬けの製法(白菜の塩漬けに調味料を加える方法)でもキムチが作られており、浅漬けキムチ、和風キムチなどと呼ばれ、韓国式のキムチとは区別される。

韓国式のキムチと和風キムチの違いは、主に乳酸発酵の有無にある。韓国本来の製法では魚介の塩辛が発酵し、濃厚なうまみとともに、酸味が生まれる。この発酵臭とニンニクや魚介の香りが混ざった強い臭気が伴うので日本では好みが分かれる。 一方、多くの日本のスーパー等で販売されている国産のキムチは、浅漬けに調味液によるキムチ風辛み味付けをした物で、味覚的にはあっさりした物が多い。2000年代現在では「キムチの素」などの名称の調味料が販売されており、一般家庭でも容易に浅漬けキムチを作ることが可能である。韓国のキムチと比べると酸味が抑えられ甘みが強い。 また、日本製のキムチは、化学調味料(グルタミン酸ソーダ等)で味を補うものがほとんどであり、本来使うべき魚介類(アミやイワシ等)の塩辛類を全く使わないものが多い。キムチの乳酸菌は、魚介塩辛に由来するものがほとんどなので、発酵による酸味では無く、人工的に酸味料などで酸味を演出するような国産キムチも多いが、乳酸菌の効果はあまり期待できない。 その一方で、一部のメーカーではこういった添加物を使わない無添加のキムチを製造し、インターネット通販や生協の共同購入などで販売している例もある。 また、全国各地に点在する、在日韓国人による小規模なキムチ店では、店主が作ったキムチを小売りしている。もともとは同胞向けに販売していたのだが、最近は日本人も購入するようになった。こうした小規模製法の場合は、製法は韓国式だが、多少の添加物(アミノ酸)を入れている例は多い。

地方によっては、唐辛子を多めに使った漬物や、にんにくをやや多めに使った白菜漬などを「朝鮮漬」と称する例もある。

種類

様々な具材を使ったキムチがあり、その数は200種類以上あると言われている。

ペチュギムチ(배추김치
白菜のキムチ。単に「キムチ」と称した際はこの白菜キムチを指すことが多い。19世紀に中国で新品種の白菜が輸入され一般的になった、比較的新しいキムチ。
オイギムチ(오이김치
胡瓜のキムチ。オイソバキ、オイキムチとも。
カクトゥギ(깍두기
大根のキムチ。カクテキとも。大根をさいの目に切って作る。
チョンガクキムチ(총각김치
チョンガク大根(小型の大根)のキムチ。
ポサムキムチ(보쌈김치
開城地方の名物。生のイカやカキなどを白菜の葉で包んで漬ける。保存がきかないため二、三日で食べきらなくてはいけない。ポッサムキムチとも。
ヤンベチュキムチ(양배추김치
キャベツ양(洋)배추、洋白菜の意)のキムチ。白菜が手に入りにくいヨーロッパなどへ移住した朝鮮系住民によってよく作られていた。
ムルギムチ(물김치、水キムチ)
唐辛子とニンニクを使わない、汁気の多い白いキムチ。汁ごと食べる。ムルギムチの汁は冷麺の汁には欠かせない。

地域によりキムチの種類も異なり、北に行くほど薄味に、辛さも控えめになる傾向にある。朝鮮半島北部のキムチは汁気が多く、野菜の素材の味を生かしたものであるのに対し、南部のキムチは唐辛子が多くなり汁気は少ない。この理由として気温が高い南部では亜熱帯性の作物である唐辛子の生産に適していたこと、また同時に豊富に獲れた魚介類を積極的に用いたため臭み消しや保存性を高める目的から唐辛子や塩を多く用いる必要があったことが挙げられる[1]

また離乳食用に薄味のペースト状になった「赤ちゃんキムチ」や辛さを抑えた「子どもキムチ」も韓国では販売されている。

健康

本来の製法で作られたキムチは発酵食品であり、乳酸菌やビタミンが豊富である。ただし、塩分も多く含む。韓国保健産業振興院の調査により、キムチを平均の3倍程度食べる高齢女性は肥満、高血圧、高脂血症にかかりやすいということが分かっている。

健康に対する害

韓国政府(保健福祉部)が2005年に行なった調査によると、韓国成人の塩分摂取量が世界保健機構(WHO)推奨値の2.7倍と極端に多いことが判明した。[1]WHOの塩分摂取推奨値(成人)は一日あたり5グラムだが、韓国成人は13.5グラム(男性14.9グラム・女性12.2グラム)摂取している。又松大学校のチョン・ヘジョン教授が2009年6月30日に発表した説によると、韓国人は1日の塩分摂取量の31.2%をキムチ類から取っているという。 唐辛子を多く摂る韓国のような国では胃癌の発癌率が高く、唐辛子の中に含まれる「カプサイシン」が発がんを促進させる物質となっていることが韓国内の大学で解明されたほか、それらに対する報告も指摘されている。

キムジャン

朝鮮半島では毎年秋に越冬用として大量のキムチを漬ける。これを「キムジャン」という。大企業などではそのためのボーナスも出る。韓国では儒教の影響で女性が飲酒や娯楽に興じることは以前は許されていなかったが、キムジャンの際は公然とそれらを行うことができ、女性たちの祭りに相当するものであった[2]

韓国では日本でいう味噌汁のように家庭の味を象徴する料理であり「良いキムチを作れる女性は良い妻となれる」という言葉まであるが、2000年代現在ではスーパーなどで既製品のキムチを買う主婦も多い。特に若い世代では、65%がキムチの作り方を知らないと回答しているとコリア・タイムズが伝えた。

韓国は自国産のキムチを日本などに輸出する一方、安価な中国産キムチを輸入しており、輸入量が輸出量を上回るほどである。安価な中国産キムチの用途は主として飲食店で出される「突き出し」である。日本の喫茶店で出される水や寿司屋のガリが基本的に無料であるのと同様に、韓国の飲食店ではキムチを含む副菜は無料で、無くなるつど補充される(韓国料理の特徴を参照)。中国文化圏においても「ソルト・ピーナッツ」や「白菜漬け」等の「突き出し」は供されるが、あくまで前菜の一部である。

韓国とキムチとの関係

2008年9月には、キムチ体験テーマパーク、キムチ博物館、多目的体験場、低音貯蔵庫などの施設を備えた「キムチ村」が大韓民国京畿道漣川郡にオープンした[2]

近年では、韓国の若者の中にはキムチの辛さに嫌悪感を持つ者も多く、そのような若者はキムチを水で洗ってから食べるという奇妙な習慣ができてきている。

韓国ではポピュラーな家電製品として、発酵や保存に適切な温度を保つことが出来るキムチ専用の冷蔵庫、「キムチ冷蔵庫」も販売されており、LG電子では日本でも「食品貯蔵庫」として発売している。

また韓国には日本でいう「ショーグン債」に該当する債券で外国企業が外貨建てで韓国において募集する外貨建外債「キムチ債」を発行したり、写真を撮る際、「チーズ」と言うより「キムチ」と言う場合が多いなど、韓国文化とキムチの関係は深い。

しかし、韓国ではキムチ離れが顕著となっている。韓国農林水産食品省「農村経済研究院」による2011年の分析によると、10年間で一人当たりのキムチ消費量は23%減少しており、その理由としてキムチ以外のおかずを食べるようになった事が挙げられている。それを裏付けるように、2001年と2010年の比較では、家庭でキムチを漬ける習慣は68.5%が54.5%と減少している。

事件

2005年10月、韓国で中国産の輸入キムチから寄生虫の卵が検出され問題となった。韓国政府が調査した結果、韓国産のキムチにも寄生虫卵が発見された。寄生虫卵は未熟性のものであり、主に白菜から検出された。これらは、土中の人糞、犬猫などの動物の糞尿が感染源と見られ、製造過程に於ける白菜の洗浄が適切でなかったためと見られている。食べても問題はないとしたが、韓国政府は該当する製造メーカーに対し洗浄の徹底と寄生虫卵の残留可否を検査するように義務付けた。

2005年11月、「日本国内で市販されていた韓国産キムチから回虫の卵が見つかった」という事件があった。

2005年の健康性労働省検査結果では、大韓民国のキムチの寄生虫検査では、139件の内、63件に寄生虫が発見された。さらにこの事について、東京新聞は2005年11月26日「キムチは最近、寄生虫卵騒ぎで不評だが、なあに、かえって免疫力がつく。 」と報じ、主にネットで大きな反響を呼んでいる。

2005年11月 中国が韓国へのキムチ輸出を中断した。これは、韓国が中国産キムチを問題としたことに対して、全面輸出中断という超強行手段に出たものと見られている。中国内のキムチ輸出企業は、韓国人が独自または合弁で投資した会社がほとんどで、山東省と青島と北京などのキムチ生産業者によると、中国輸出入検疫局は2005年11月1日から韓国へ輸出されるキムチに商品検査証の発給を全面中断している。

2006年、アジア大会2006選手村(ドーハ)において「飲食物持ち込み規制」をされているのにも関わらずこのルールに従わずに韓国選手団がキムチを持ち込み、没収されたことに選手や韓国オリンピック委員会職員(KOC)が執拗な抗議をしたため、警察が出動してKOC職員が勾留される騒ぎがあった。

2012年11月、中国から韓国に輸出されているキムチの白菜に、防腐剤としてホルマリンが使われていることが報道され、中国産食品の安全性が話題となった。

2012年12月、韓国国内で集団食中毒が発生。政府は、特定の工場で生産・流通している約750トンのキムチや調味料がノロウイルスに汚染されている可能性があるとして回収命令を出した。

脚注

  1. 朝倉、蔡『キムチへの旅』 55ページ
  2. 朝倉、蔡『キムチへの旅』 83ページ

参考文献

関連項目