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2012年4月1日 (日) 11:25時点における版
婚活(こんかつ)とは、結婚するために必要な行動。就職活動(就活)に見立てて社会学者、山田昌弘が考案、提唱した造語。
言葉が初めて世に出たのは、『AERA』2007年11月5日号。ちなみに、山田は後に白河桃子と『「婚活」時代』を執筆。動機として「日本の結婚の実態を明らかにし、「結婚できないけれどしたい」という人をサポートすることが必要だと思った」とインタビューで答えている。
背景
山田が結婚活動(以下、婚活)という概念を考えるに至った背景には、日本の結婚を巡る環境の変化(以下を参照)にある。
- 年功序列制度の崩壊で男性の将来収入の見通しが不安定になったこと(低収入の男性は結婚がしづらいため。ちなみに、このことは1980年代にはすでに確認されていたが、マスコミ等が発表を嫌がりなかなか表に出なかったという)
- 男女雇用機会均等法制定、1980年代以降の恋愛の自由化と価値観の多様化に伴いお見合い結婚・職場結婚が減少、男性総合職と女性一般職という職場結婚の仕組みが崩れた等こうして“特に活動を行わなくてもなんとなく結婚できたシステム”が崩れ、モテる人とモテない人が二極化。結婚のためには活動が必要になったという。
- また、テクノロジー、流通の進歩により男性にとって家事と仕事の両立が容易になり結婚するメリットが少なくなった事、司法による男性差別により離婚、慰謝料のリスクを避けるため男性の結婚願望が弱くなった事があげられる。
- DIAMOND online2009年1月9日付において、池内ひろ美は、女性が結婚や出産をしたがらず少子・晩婚・非婚化が起きている原因を、「現代日本人男性の多くが「一流の遺伝子」を持つ男でないからである」とし、「男は意識を変えろ」、「『あなたの子どもを産みたいわ』、女性にそう言わせてこそ一流の遺伝子を持つ男である」などと優生学、遺伝子差別、優等血統主義を肯定し、女性に対しては何の責任追及は行わず、男性に少子化問題の全て責任を押し付け、転嫁する発言を行った。
婚活の概要
山田らによる『「婚活」時代』では以下のとおり。
- 自分を磨いてみる - 男性のコミュニケーション能力や経済力など。女性は磨きすぎると逆に結婚可能性が遠のくという指摘が
- 要求水準を見直してみる - マッチング条件が多くなるほど、条件が適合する異性は少なくなる。また、例えば女性が専業主婦を望んだとしても、それをかなえられる男性は全体のごく一部。そのためパイの取り合い、結婚の遅れにつながる
- 出会いの場を増やしてみる - システムが崩れた今、ただ待っていても異性は現れない
なお、婚活のブーム化や、少子化対策などを背景として、結婚活動の支援に取り組む地方自治体や企業も出てきている。
評論家の三浦展、エコノミストの門倉貴史らは、結婚相手の収入に対する女性側の要求水準が高まり、少子化が進む一方、収入の不安定な者同士のできちゃった結婚が増えることで、社会階層(ないし階級)の固定化及び世襲化が進むと論じている。
批判
橋爪大三郎東工大教授(社会学)は、「就職活動の連想で『婚活』が出てきたことに、奇妙なものを感じる」「本来、恋愛から結婚への過程は千差万別。それを他人に用意されたパッケージで、リスクを取らず最小限の労力で済まそうなんて、信じられません。クロゼットの洋服を選ぶ感覚で結婚相手を決める発想は、勘違いだよと言いたい」「あの世に旅立ったキヨシローじゃないが、婚活に血道を上げる連中に聞いてみたい。「愛し合ってるかい?」と。彼らに「恋愛」の2文字はみじんも感じない。あるのは「計算」だけ。「草食系」などとチヤホヤするな。もっとガツガツ「肉」を食え、もっと恋をしようではないか。」「『恋愛結婚』が定着したのは、1960年前後。まだ、社会全体が恋愛に慣れていないのです。結婚制度の変化に多くの人が戸惑っているのが現状で、独身でいることは、そんな自分に正直に生きた結果でもある。結婚する、しないは個人の自由。その意思は尊重されるべき」等々と批判する(「婚カツ!」参考URL参照)。
結婚活動がテーマの作品
テレビドラマ
- 書籍『「婚活」時代』を原案としたドラマ作品。アラフォー女性の結婚活動を描いている。
- こちらは草食系と呼ばれる男性の結婚活動を描いたドラマ作品。
関連文献
- 『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書) 山田昌弘 白河桃子 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008年 ISBN 4887596235
- 『結婚氷河期をのりきる本!』白河桃子(メディアファクトリー)
- 『セックス格差社会 恋愛貧者 結婚難民はなぜ増えるのか?』 門倉貴史(宝島社)