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2010年8月19日 (木) 18:41時点における最新版
安倍 晴明(あべの せいめい/はるあきら/はれあき、延喜21年(921年)? - 寛弘2年9月26日(1005年10月31日))は、平安時代の最も有名な陰陽師であり、鎌倉時代から明治時代初めまで陰陽寮を統括した安倍氏(土御門家)の祖である。
当時最先端の呪術・科学であった「天文道」や占いなどの陰陽道の技術に関して卓越した知識を持ったエキスパートであり、平安貴族たちの信頼を受けた大陰陽師で、その事跡は神秘化されて数多くの伝説的逸話を生んでいった。道摩法師(蘆屋道満)とはライバル関係にあった。また、平将門の子の平将国が安倍晴明ではないかという説もある。
後世に陰陽道の経典となる秘伝書『簠簋内伝』(ほきないでん、別名『金烏玉兎集』)の著者に仮託されている。
特に近年では夢枕獏の小説(のち漫画・映画化)のヒットにより、京都にある晴明神社が人であふれかえるほどの大ブームとなった。
目次
史実上の晴明[編集]
安倍晴明は、安倍氏の伝える系図によると、大膳大夫の官にある下級貴族安倍益材(あべのますき)(安倍保名)の子として摂津国阿倍野(現・大阪市阿倍野区)に生まれた。阿倍仲麻呂の子孫を称するが、系図では竹取物語にもその名が登場する右大臣阿倍御主人の直系の子孫であるという説が有力である。また、一部の古文書では安倍朝臣清明ではなく安倍宿禰清明と記載されるものが散見されるため、「朝臣」を「宿禰」の上位に厳格に位置づける当時の慣習から考えて、安倍御主人からの安倍朝臣姓の家系ではなく、渡来人系の難波吉士族の難波忌寸(のち宿禰)の末裔ではないかとする説もある。いずれにしても古代から続く名門の家柄に生まれている。生年は定かではないが、寛弘二年九月(1005年)に85歳で亡くなったと記録されていることから逆算して延喜二十一年(921年)生まれと推定される。幼少の頃については確かな記録がないが、陰陽師賀茂忠行・保憲父子に陰陽道を学び、天文道を伝授されたということになっている。
確かな記録に現れるのは960年で、当時天文得業生(陰陽寮に所属し天文博士から天文道を学ぶ学生の職)であった晴明は村上天皇に占いを命ぜられた。出世は遅れていたが占いの才能は既に貴族社会で認められていたことが伺われる。その後、天文博士の官に任ぜられる。
979年、59歳の晴明は皇太子(のちの花山天皇)の命で那智山の天狗を封ずる儀式を行う。このころから花山天皇の信頼を受けるようになったようで、記録にしばしば晴明が占いや陰陽道の儀式を行った様子が見られるようになる。花山天皇の退位後は、一条天皇や藤原道長の信頼を集めるようになったことが、道長の日記『御堂関白記』などの当時の貴族の日記から分かる。
陰陽師として名声を極めた晴明は、左京権大夫、穀倉院別当、播磨守などの官を歴任し、位は従四位下にのぼった。さらに天文博士や陰陽助(陰陽寮の次官)に晴明の二人の息子安倍吉昌と安倍吉平が任ぜられ、安倍氏は晴明一代の間に師忠行の賀茂氏と並ぶ陰陽道の家となっていった。
墓所・霊廟・神社・末裔[編集]
墓所は京都嵯峨にあり、渡月橋の近くにひっそりと眠っている。安倍晴明を祀る神社は、屋敷跡に建てられたという一条戻橋近くの晴明神社や、生誕地の大阪市阿倍野区に建てられたとされる安倍晴明神社など全国各地に存在する。
また子孫では平安時代末期の安倍泰親と室町時代初期の安倍有世が優れた陰陽師であったと言われている。有世は足利義満から信頼され、その推挙で陰陽師では初めて公卿となった。有世の子孫は室町時代後期頃から土御門家を名乗り陰陽道のみならず神道や暦などの分野にも大きな影響力を持つ事になる。土御門家は以後江戸時代まで幕府の天文職と朝廷の陰陽寮の要職を累代に継承して家門の格を高めた。土御門家最後の陰陽寮関連人物は幕末に活動した土御門晴雄の息子で、明治初期に陰陽寮の最後を見守った土御門晴栄である。
安倍晴明が登場する作品[編集]
平安・中世文学[編集]
晴明が死んだ11世紀のうちに、早くも晴明は神秘化されていった。歴史物語の『大鏡』や説話集の『今昔物語』『宇治拾遺物語』『十訓抄』はいくつかの晴明に関する神秘的な逸話を載せる。
『大鏡』[編集]
『今昔物語』[編集]
- 「安部晴明随忠行習道語」
- 「播磨国陰陽師智徳法師語」
『宇治拾遺物語』[編集]
- 「晴明蔵人少将封ずる事」
- 「御堂関白の御犬晴明等奇特の事」
- 藤原道長が可愛がっていた犬が、あるとき主人の外出を止めようとした。驚いた道長が晴明に占わせると、晴明は式神の呪いがかけられそうになっていたのを犬が察知したのだと告げ、式神を使って呪いをかけた陰陽師を見つけ出して捕らえた。十訓抄にも同様の記述あり。
近世[編集]
『蘆屋道満大内鑑』をはじめとして、葛の葉伝承を題材とする作品には、多くの場合安倍晴明が登場する。葛の葉を題材とする作品を参照。
近現代[編集]
- 小説「花山院」(三島由紀夫)
- 小説「三つの髑髏」(澁澤龍彦)
- 小説「帝都物語」(荒俣宏)
- 小説「陰陽師」(夢枕獏)
- 以後のサブカルチャーで多用されることになる「晴明=神秘的な美形」のイメージを定着させた作品。
- 小説「安倍晴明-陰陽宮」(谷恒生 小学館)
- 小説(ライトノベル)「晴明。」「鬼哭。」(加門七海)
- 小説(ライトノベル)「暗夜鬼譚」(瀬川貴次)
- 小説(ライトノベル)「陰陽ノ京」(渡瀬草一郎)
- 晴明を「狸のような小太りの中年」として書いており、近年のサブカルチャー内の清明像の中ではやや異彩を放つ。
- 小説(ライトノベル)「少年陰陽師」
- アニメ「少年陰陽師」
- 漫画「華夜叉」(田辺真由美 秋田書店)
- 漫画「安倍晴明」(真崎春望)
- 漫画「王都妖奇譚」(岩崎陽子 秋田書店)
- テレビドラマ「陰陽師☆安倍晴明~王都妖奇譚~」(フジテレビ系 主演:三上博史 原作:岩崎陽子)
- 漫画「遙かなる時空の中で」(水野十子 原案:ルビー・パーティー)
- 漫画「天上天下」(大暮維人 集英社)
- その他の書籍「安倍晴明アンソロジー」(学習研究社)
- アニメ「アベノ橋魔法☆商店街」(制作:GAINAX)
- アニメ「新ゲッターロボ」(制作:バンダイビジュアル)
- この作品では、鬼を影で操る黒幕とされている。
- ゲーム「久遠の絆」(制作:株式会社フォグ)
- ゲーム「SAKURA ~雪月華~」
- ゲーム「信長の野望・革新」(スペシャル武将として。制作:KOEI)
関連項目[編集]
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