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2014年2月18日 (火) 13:44時点における最新版
慶應義塾ニューヨーク学院(けいおうぎじゅくにゅーよーくがくいん,英語名:Keio Academy of New York)は、1990年に設立された米国ニューヨーク州パーチェスにある学校法人慶應義塾の一貫教育校のひとつ。第9学年から第12学年までの男女共学の4年制高等学校。慶應義塾関係者からは大抵単に「ニューヨーク校」、または「慶應NY」と略称される。
目次
概要[編集]
当学院は、グローバリゼーションが加速度を増そうとしていた1990年に、来たるべき21世紀の国際社会においてリーダーシップを発揮できる人材の育成を目標に設立された。バイリンガル、バイカルチュラルな教育を標榜している。
米国ニューヨーク州教育委員会より正式な私立高等学校としての認可を受けていると共に、日本の文部科学大臣により高等学校相当の課程を有する在外教育施設としても指定されている。卒業後は日米両国の高等学校卒業の学歴を取得できる。
周辺環境[編集]
ニューヨークシティから北東に約30km、隣接する市町村と共に全米屈指の高級住宅街を構成するパーチェスに、約110,000m²の面積を有するキャンパスを置く。周囲には野生のリスやスカンク、鹿などが生息する豊かな自然が残されている。また、PepsiCo, Inc.(ペプシコーラを製造、販売)やIBM、敷地内への立ち入りが厳しく制限されている関係であまり知られていないがマスターカードも付近に本拠地を構えている。
入学・進路[編集]
出願資格[編集]
2000年以前は日本国外に在留する邦人の子女、海外留学者、または外国人に限って出願資格を認めていたが、志願者減少の傾向に歯止めがかからず、現在は国籍、居住地に関係なく所定の学年を修了していれば、出願を認められる。
入学試験[編集]
入学試験は、日本語、英語、数学の筆記試験および面接によって選抜される一般入試と、書類、日本語と英語の小論文をもとに選抜されるAO入試があり、相応の英語力が要求される。論文試験と面接が、日本語と英語の2言語によって行なわれるという点が特徴である。
進路[編集]
卒業生は原則として、学院長の推薦により全員が慶應義塾大学に入学することができる。進学を希望する学部の選択は自由であるが、学院在学中の成績、出席状況等を考慮の上で決定される。また、理工学部、医学部への進学を希望する生徒は第12学年時に理数系のコースを履修する必要がある。この理系のコースはレヴェルが高く、日本では大学に入るまで学ばないようなことも扱っている授業もある。
卒業が6月のため、9月入学を実施している総合政策学部、環境情報学部への進学者は、9月に大学に入学することができる。それ以外の7学部への進学者は翌年4月の入学まで、学部研修生として、日吉キャンパスで特別に開講される授業を履修することができる。
大概の卒業生は慶應義塾大学に進学するが、推薦を辞退して米国内の大学に進学する生徒もいる。これまでの、その進学先は、シカゴ美術研究所、ジュリアード音楽院、ニューヨーク州立大学、ニューヨーク大学、バークリー音楽大学、ブラウン大学など。
学校生活[編集]
生徒・クラス編成[編集]
男女共学。第9学年は60人、第10学年から第12学年はそれぞれ120人、合計420人の生徒が在学する。クラスは、第9学年がK、E組の2クラス、第10学年から第12学年はK、E、I、O組の4クラスから編成される。
生徒の入学前の居住地は、米国をはじめ、カナダ、メキシコ、キューバ、ヴェネズエラ、ブラジル、英国、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ルクセンブルク、オーストラリア、ニュージーランド、パキスタン、中国、インドネシア、マレーシア、タイ、グァテマラ、フィリピン、南アフリカ、韓国、日本など多岐にわたるが、国籍はほとんどが日本である。
学期[編集]
米国の学校同様、9月上旬に新学期が開始し、6月上旬に終了する2学期制である(前期: 9月〜翌1月、後期: 2月〜6月)。年末年始に約2週間の冬期休暇、4月中旬に10日間程度の春期休暇がある。
新入生を対象に、学院独特のカリキュラムや、寮生活に慣れるための期間として、入学前の8月に、約10日間の日程でプリエントリーと称するプログラムが組まれている。
カリキュラム[編集]
カリキュラムは日米両国の学習指導要綱に基づいており、授業で用いられる言語は、30%が日本語、70%が英語である。また、通常の教科とは別に、英語もしくは日本語が苦手な生徒を対象に、ESL (English as a Second Language) およびJSL (Japanese as a Second Language) と呼ばれる語学補習授業が設けられている。 また、12年生で理系コースを取ると日本史だけが日本語という英語漬けの生活になるため、日本語派は覚悟をしなければならない。上でも述べている通り、レベルは高く、生物では慶応義塾大学医学部の生物の授業で使うアメリカ大学の英語の教科書を用いて授業を行っている程である。TOEFLのスコアが上がることは言うまでもない。
校則[編集]
校則はアメリカの学校に近く、日本の学校より若干緩い傾向がある。制服はあるが、水曜日と式典等のある日以外は基本的に私服で登校しても良い。その場合にも服装規則として、Tシャツやタンクトップのみの着用、ジーンズ、サンダルは禁止されている。自由な校風の付属校であるがゆえ、日本の有力進学校と比べ、卒業時の学力水準は著しく低い傾向にあるといわれる。このことは大学進学後の本校卒業生の異常な留年率にもあらわれている。
愛唱歌(校歌)[編集]
学院設立15周年を記念して、塾歌とは別にニューヨーク校独自の校歌を制作することとなり、シンガーソングライターの小田和正氏に依頼したところ、横浜創学館高等学校の愛唱歌である「遥かな想い」を使用するように返答があり、塾生などが中心となり英訳し、ニューヨーク校の愛唱歌に選ばれた。
施設[編集]
キャンパスのほぼ中央部に教室、自然科学系の教室群、音楽室、美術室、コンピュータ室、視聴覚室、レクチャーホール、図書館、カウンセリング室、職員室、事務室等を擁する3階建ての校舎が建ち、その東側に体育館が隣接する。グラウンド全般は敷地の東側に位置する。北端に5棟の寮が、南端に2棟の寮が建っており、北側の寮には寮長の居が、南側の寮には保健室が併設されている。北側の寮と校舎の間に、2基の噴水が備わる広い池を望む形で松下ホールと呼ばれるカフェテリアがある。
課外活動[編集]
敷地内には、サッカーグラウンド、野球場、テニスコート、体育館が併設され、15を超える運動部があり、生徒の大半がいずれかに所属している。生徒会や寮委員会、文化祭実行委員会をはじめとした多数の委員会や、福澤諭吉研究会、ヴォランティア部、茶道部など10以上のクラブ活動も盛んである。主にサッカー部が強豪として知られており、ニューヨーク州のState Championに過去4度輝いている。特に近年の活躍はめざましく、2001年、2002年の連覇をはさみ2004年にも州大会優勝、2005年には惜敗したものの準優勝を成し遂げている。蹴球部は、嘗て全米8位となり、オールアメリカンのメンバーとなる選手も輩出しており、慶應義塾大学蹴球部へ進む者も多い。最近では野球部の活躍もニューヨーク州で注目されるようになった。2007年には慶應NY創立史上初となるニューヨーク州ステートチャンピオンシップに出場し、準優勝に輝いた。 祥風祭(文化祭)、体育祭、美術館や博物館での課外授業、音楽授業の延長である秋春のコンサート、ブロードウェイでのミュージカル鑑賞、スキー合宿、ショッピングモールへの買い物ツアー、クリスマス・バレンタイン・卒業パーティー、ロックバンドコンサート、その他多数のイベントが、学院や寮、委員会などによって主催される。特に、パーティーや体育祭などは生徒を主体として作り上げられていく。
寮[編集]
キャンパス内に350人が生活できる男女別の7棟の寮があり、生徒の大部分が親元を離れ寝食を共にしている。各部屋を2人で共有する。寮内には共用バスルーム、コインランドリー、ウェイトトレーニングルーム、ラウンジ、ソフトドリンクや軽食の自動販売機がある。各棟にはスーパーバイザーが1名ずつ置かれている。食事は松下ホールで摂るが、ピザや中華料理などの出前をとることもできる。
平日は原則としてキャンパス外への外出は禁止されているが、週末は学院が認める近郊の市街地に自由に出かけることができる。上級生は保護者の許可を得た上で、ニューヨークシティ(マンハッタン)にまで足を伸ばすことができる。
なお、自宅通学が可能で、入寮を希望しない1割程度の生徒は学院が手配するスクールバスにて通学する。
出身著名人[編集]
- 新井麻希(TBSアナウンサー)
- 尾崎圭司(K-1ファイター)
- Jewels(ラッパー、Heartsdales - 1995年卒業)
- オノ・タクマ(渋谷系お笑いタレント)
- 末吉里花(タレント - 1995年卒業)
- かごしまのりこ(歌手)
- 秀島史香(ディスクジョッキー)
- 小島くるみ(タレント)
- 伊知地萌子(黒木瞳の娘)