「名古屋中学生5000万円恐喝事件」の版間の差分
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− | [[1999年]]6月頃、[[名古屋市]][[緑区 (名古屋市)|緑区]] | + | [[1999年]]6月頃、[[名古屋市]][[緑区 (名古屋市)|緑区]]の[[名古屋市立扇台中学校]]に通う少年Xは、同級生の少年Aから帽子にジュースのシミをつけたことに因縁をつけられて金を要求される。怖くなった少年Xは自分の預金19万円を引き出して少年Aに渡した。 |
− | + | その後、少年Aと少年Bは1999年6月から2000年1月までの8ヶ月間にわたって少年Xから金を脅し取っていた。恐喝された回数は130回にも及び、多いときには1回の恐喝金額が500万になることもあり、被害総額は5207万円にもなった。過去には[[1994年]]に同じ愛知県下の中学校でいじめの過程で110万円を恐喝されて最後に自殺に追い込まれた[[愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件]]があったが、被害金額の桁が違っていた。約5000万円という大金を支払うことのできる少年Xの家庭は裕福そうに見えるが、恐喝されていた少年Xは母に金を要求して暴れたため、耐えかねた母が事故死した夫(少年Xの父)の[[生命保険]]や預貯金を取り崩したり親類に借りるなどして金を工面していた。 | |
− | + | 少年Aらは少年Xを某タレントに似ていることになぞらえて「○○○金融」と馬鹿にして預金口座から金を引き出すような感覚で金を脅し取っていた<!--現在も生存している少年Xの今後の生活を平穏なものにするため、タレントの顔から少年Xの顔が推測されないように、似ているとされたタレントの名指しは避けるようにお願いします。-->。また少年Aらは少年Xから恐喝した約5000万円の殆どを遊興費に浪費。[[オメガ]]の[[腕時計]]や[[アルマーニ]]のスーツなどブランド品を買い漁ったり、交際相手の女生徒に『少年Xから恐喝した金』と大金を見せびらかし、その女生徒にも数万円単位で『お小遣い』として現金を与え、[[パチンコ]]や[[ゲームセンター]]や[[カラオケ]]や[[風俗店]]などに消えていった。また学校への登校やゲームセンター等への移動などには、携帯電話に[[タクシー]]会社の専用の電話番号を登録しておき、タクシーを運転手付きの車のような軽い感覚で電話で呼びだしては頻繁に移動手段として利用して現金で支払っていた。1999年10月には「食い倒れ旅行」と称して、[[大阪府]]で[[フグ]]や[[カニ]]などの高級料理を食べた後にブランド品を買い漁り、大阪と名古屋の往復にタクシーを利用するありさまであった。そのため、少年Aの中学校近辺のタクシー運転手の間では少年Aらの豪遊ぶりはよく知られていた。また少年Aらは恐喝だけではなく、理由も無く鼻が骨折するほど殴ったり、タバコの火を押しつけるといった暴行・暴力行為も行っていた。 | |
− | + | 2000年2月に少年Xは少年Aに無理やり連れて行かれたスキー旅行(全員の旅行代金や旅先での滞在費は少年Xに負担させた)で少年Aらに暴行を受けて、名古屋市の病院に入院。少年Xと同室だった男性患者Y(当時22歳)が少年Xがいじめを受けていると感じた。少年Aらは少年Xの病室まで入り込んできた。病院の屋上に少年Xを呼びだして金を脅し取ろうとしたが、不審を抱いた男性患者Yが屋上まで尾行して少年Aらを追い帰した為、その時は事なきを得た。 | |
− | + | 男性患者Yはいじめだけでなく恐喝をされていると確信する。少年Xは男性患者Yに暴行と恐喝のことを話し始めた。[[3月14日]]、男性患者Yの進言で少年Xと母親は警察に被害届を提出。警察の捜査が進められていく中で事件の全容が明らかになった。[[4月5日]]に主犯の少年Aと少年Bと少年Cの3人が逮捕され、5月までに計15人の少年が逮捕された。8月末に少年15人の内、9人が[[少年院|中等少年院]][[送致]]、6人が[[保護観察]]処分が下った。 | |
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− | + | 事件の解明が進むにつれ、少年Aは出入りしていた暴力団関係者から恐喝をされ、二重恐喝をされていたことが発覚した。また2000年2月頃、少年Aらは恐喝事件露見を恐れて、少年Xの殺害計画すら立てていたことも判明している。 | |
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− | + | 事件の舞台となった[[名古屋市立扇台中学校]]は、事件当時は生徒数1300人で市内で一番大きい学校であった。事件当時の中学校では生徒同士のトラブルが頻発していた。 | |
− | == | + | 事件発覚当初はマスコミの取材に対し、教頭は「入院したことは知っているが、いじめや暴行を受けてのものかは把握していない」と答えた。また校長は4月6日の記者会見の席で、「ちょっとわからない」「把握していない」を連発したが、少年Xへのいじめについてはなかったときっぱり答えた。 |
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− | + | しかし、[[学年主任]]は恐喝については修学旅行の一件でいじめに関して薄々気づいていたことを述べた。しかし、その後の指導については「きちんとやっていた」「精一杯やった」と述べるに留まった。 | |
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− | + | 2000年6月13日、[[名古屋市教育委員会]]は、休職中の前校長(事件による過労のため入院中)が減俸、教頭に戒告の懲戒処分、教員4人と市教委事務局長らも文書訓告や口頭訓告となった。また被害届が出されて捜査が進む最中に2000年3月末に少年Xの元担任だった女性教諭が一身上の都合で退職している。 | |
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+ | * 少年院出所後、主犯格だった元少年Aと元少年Bは[[2006年]][[2月13日]]に名古屋市のパチンコ店駐車場で約1200万円を強奪する事件を起こし、同年[[11月22日]]に逮捕された(逮捕時の2人の年齢は22歳)。[[2007年]][[3月30日]]、[[名古屋地方裁判所]]は元少年Aに懲役7年6月、元少年Bに[[懲役]]5年6月の判決が出た。 | ||
+ | * [[2009年]][[6月23日]]号の[[SPA!]]には、二重恐喝をしていた主犯格の人物のインタビューが掲載された。<ref>[http://personalsite.liuhui-inter.net/aoiryuyu/nagoyakyoukatsu3.htm 「週刊スパ(2009年6月23日号)」より]</ref> | ||
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+ | == 関連書籍 == | ||
+ | * 中日新聞社会部編 『ぼくは「奴隷」じゃない-中学生「5000万円恐喝事件」の闇』 風媒社 | ||
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+ | == 脚注 == | ||
+ | <references/> | ||
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+ | == 関連項目 == | ||
+ | * [[少年犯罪]] | ||
+ | * [[いじめ]] | ||
+ | * [[恐喝]] | ||
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名古屋中学生5000万円恐喝事件(なごやちゅうがくせいごせんまんえんきょうかつじけん)とは2000年4月に発覚した少年犯罪。中学生がいじめの概念を通り越して5000万円という膨大な被害金額を一人の中学生から恐喝で脅し取っていたことが世間から注目された。
概要[編集]
1999年6月頃、名古屋市緑区の名古屋市立扇台中学校に通う少年Xは、同級生の少年Aから帽子にジュースのシミをつけたことに因縁をつけられて金を要求される。怖くなった少年Xは自分の預金19万円を引き出して少年Aに渡した。
その後、少年Aと少年Bは1999年6月から2000年1月までの8ヶ月間にわたって少年Xから金を脅し取っていた。恐喝された回数は130回にも及び、多いときには1回の恐喝金額が500万になることもあり、被害総額は5207万円にもなった。過去には1994年に同じ愛知県下の中学校でいじめの過程で110万円を恐喝されて最後に自殺に追い込まれた愛知県西尾市中学生いじめ自殺事件があったが、被害金額の桁が違っていた。約5000万円という大金を支払うことのできる少年Xの家庭は裕福そうに見えるが、恐喝されていた少年Xは母に金を要求して暴れたため、耐えかねた母が事故死した夫(少年Xの父)の生命保険や預貯金を取り崩したり親類に借りるなどして金を工面していた。
少年Aらは少年Xを某タレントに似ていることになぞらえて「○○○金融」と馬鹿にして預金口座から金を引き出すような感覚で金を脅し取っていた。また少年Aらは少年Xから恐喝した約5000万円の殆どを遊興費に浪費。オメガの腕時計やアルマーニのスーツなどブランド品を買い漁ったり、交際相手の女生徒に『少年Xから恐喝した金』と大金を見せびらかし、その女生徒にも数万円単位で『お小遣い』として現金を与え、パチンコやゲームセンターやカラオケや風俗店などに消えていった。また学校への登校やゲームセンター等への移動などには、携帯電話にタクシー会社の専用の電話番号を登録しておき、タクシーを運転手付きの車のような軽い感覚で電話で呼びだしては頻繁に移動手段として利用して現金で支払っていた。1999年10月には「食い倒れ旅行」と称して、大阪府でフグやカニなどの高級料理を食べた後にブランド品を買い漁り、大阪と名古屋の往復にタクシーを利用するありさまであった。そのため、少年Aの中学校近辺のタクシー運転手の間では少年Aらの豪遊ぶりはよく知られていた。また少年Aらは恐喝だけではなく、理由も無く鼻が骨折するほど殴ったり、タバコの火を押しつけるといった暴行・暴力行為も行っていた。
2000年2月に少年Xは少年Aに無理やり連れて行かれたスキー旅行(全員の旅行代金や旅先での滞在費は少年Xに負担させた)で少年Aらに暴行を受けて、名古屋市の病院に入院。少年Xと同室だった男性患者Y(当時22歳)が少年Xがいじめを受けていると感じた。少年Aらは少年Xの病室まで入り込んできた。病院の屋上に少年Xを呼びだして金を脅し取ろうとしたが、不審を抱いた男性患者Yが屋上まで尾行して少年Aらを追い帰した為、その時は事なきを得た。
男性患者Yはいじめだけでなく恐喝をされていると確信する。少年Xは男性患者Yに暴行と恐喝のことを話し始めた。3月14日、男性患者Yの進言で少年Xと母親は警察に被害届を提出。警察の捜査が進められていく中で事件の全容が明らかになった。4月5日に主犯の少年Aと少年Bと少年Cの3人が逮捕され、5月までに計15人の少年が逮捕された。8月末に少年15人の内、9人が中等少年院送致、6人が保護観察処分が下った。
事件の解明が進むにつれ、少年Aは出入りしていた暴力団関係者から恐喝をされ、二重恐喝をされていたことが発覚した。また2000年2月頃、少年Aらは恐喝事件露見を恐れて、少年Xの殺害計画すら立てていたことも判明している。
学校の対応[編集]
事件の舞台となった名古屋市立扇台中学校は、事件当時は生徒数1300人で市内で一番大きい学校であった。事件当時の中学校では生徒同士のトラブルが頻発していた。
事件発覚当初はマスコミの取材に対し、教頭は「入院したことは知っているが、いじめや暴行を受けてのものかは把握していない」と答えた。また校長は4月6日の記者会見の席で、「ちょっとわからない」「把握していない」を連発したが、少年Xへのいじめについてはなかったときっぱり答えた。
しかし、学年主任は恐喝については修学旅行の一件でいじめに関して薄々気づいていたことを述べた。しかし、その後の指導については「きちんとやっていた」「精一杯やった」と述べるに留まった。
2000年6月13日、名古屋市教育委員会は、休職中の前校長(事件による過労のため入院中)が減俸、教頭に戒告の懲戒処分、教員4人と市教委事務局長らも文書訓告や口頭訓告となった。また被害届が出されて捜査が進む最中に2000年3月末に少年Xの元担任だった女性教諭が一身上の都合で退職している。
その後[編集]
- 少年院出所後、主犯格だった元少年Aと元少年Bは2006年2月13日に名古屋市のパチンコ店駐車場で約1200万円を強奪する事件を起こし、同年11月22日に逮捕された(逮捕時の2人の年齢は22歳)。2007年3月30日、名古屋地方裁判所は元少年Aに懲役7年6月、元少年Bに懲役5年6月の判決が出た。
- 2009年6月23日号のSPA!には、二重恐喝をしていた主犯格の人物のインタビューが掲載された。[1]
関連書籍[編集]
- 中日新聞社会部編 『ぼくは「奴隷」じゃない-中学生「5000万円恐喝事件」の闇』 風媒社