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毎日デイリーニューズWaiWai問題(まいにちデイリーニューズワイワイもんだい)とは、毎日新聞社の英語報道メディアMainichi Daily News(「毎日デイリーニューズ」; 以下 「MDN」)で日刊紙時代の1989年10月に連載が始まり、2001年春のWebサイト移行時にも継承されたコラム「WaiWai」において、低俗な内容、誇張や虚構にもとづく内容の記事が掲載・配信された問題。
2008年に表面化し、同コラムの閉鎖、担当記者や上司の処分、Web サイト配信分に関する社内調査結果の公表などに発展した。
この問題の影響で「毎日変態新聞」という呼称が広まり、同年12月1日に未来検索ブラジルが発表したネット流行語大賞2008では4位にランクインした[1]
目次
問題となった記事[編集]
7月20日に公表された社内調査結果によると
- 事実の裏づけ無く、異常な性的嗜好を話題にした記事
- 事実の裏づけ無く、日本の伝統的な祭りを性的な話題に結びつけた記事
- 事実の裏づけ無く、海外で日本人観光客が違法ツアーに参加しているとする記事
- 未成年者の性に関する話題を不適切に取り上げた記事
- 出典内容に記載されている数字を、算出根拠などを明確にしないまま使用した記事
- 出典では数人の女性のコメントから成る内容を、「日本人女性の間で」と表現して一般化した記事
- 月刊誌から、美少女キャラクターが登場する漫画による防衛省の防衛政策紹介を扱った話題を取り上げた際、内容に加筆(同誌による説明はこちら)した記事
などが配信されていた。
経緯[編集]
加筆依頼:この記事は加筆依頼に出されています。
要望内容:問題記事の内容と2008年7月20日発表の毎日新聞社のお詫び・社内調査結果等の詳細 |
問題の表面化[編集]
2008年4月から5月ごろ、MDN サイトのコラム「WaiWai」の配信記事(過去分をふくむ)の内容に関して、批判・抗議や疑問の声が日本語のインターネット・コミュニティ(掲示板など)に多く寄せられ、問題があることが表面化した[2]。
不穏当な記事への批判[編集]
同コラムは、日本で発行された紙誌の内容を翻訳して紹介したものとされ、具体的にはタブロイド誌や夕刊紙などが出典として用いられたが、一部記事の見出しや内容を知った人々から「日本人が海外で誤解される」「内容が低俗」といった批判が届いたばかりでなく、同年5月末には記事を巡って翻訳転載元の月刊誌からも抗議を受ける事態となった[2]。
毎日側の甘い認識・遅い対応[編集]
しかし、毎日新聞社も後日(同年7月20日)公表した社内調査結果[2]で認めるように、この問題への同社側の認識・対応は鈍いものであった。英文毎日編集部は同コラム閉鎖を即断せず、出典に同社の週刊誌「サンデー毎日」を用いて同コラムを存続させる一方、過去記事は一部を削除・その他を閲覧禁止とし、外部検索サイトにも非表示にするよう要請した[2][3]。同年6月20日に他社ニュース配信サイトがこの問題を報じるに至って[4]、6月21日、同コラムを閉鎖し、毎日新聞社としてもMDN サイトと同社の日本語サイトでおわびを表明した[5][6][7][8][9][10]。「毎日新聞」紙面では、6月25日付朝刊に謝罪記事が掲載された[2][11]。
責任者の昇進[編集]
2008年6月の謝罪段階ではまだ、主として同コラム読者に対する「おわび」であり、不適切な記事が及ぼした悪影響や、掲載された原因などは詳述せず、調査中とするにとどまっていた。6月25日には、後述のように2日後に責任者として処分される朝比奈豊が社長に、長谷川篤が取締役に昇任している。
関係者の処分[編集]
2008年6月27日、毎日新聞社はこの問題を受け、担当記者(ライアン・コネル; 処分発表では匿名)を懲戒休職3カ月、英文毎日編集部長の高橋弘司を役職停止2カ月、問題当時デジタルメディア局次長だった磯野彰彦(同日現在は局長)を役職停止1カ月の懲戒処分とし、デジタルメディア局長だった長谷川篤(同日現在は取締役デジタルメディア担当)が役員報酬の20%(1カ月)、常務デジタルメディア担当だった朝比奈豊(2008年6月25日付けで社長に就任)が役員報酬の10%(1カ月)を返上する処分とした[12]。 しかし、ライアン・コネルと共に記事を執筆していたマスオ・カミヤマとされる記者への言及はなされていない。
抗議の拡大[編集]
2008年5月に問題を把握して以降、毎日新聞社側の対応が後手後手に回っているあいだに、抗議や疑問の声は拡大していった。
同社やMDN 編集部に寄せられる電話や電子メールの数はふくれ上がり、主に2ちゃんねるを舞台として非難が飛び交ったほか、問題記事一覧が作成される、この問題をまとめたサイトが登場するなどした。「2ちゃんねる」は「祭り」状態になり、特に既婚女性板では2008年8月18日現在、中心となるものだけでも既に123ものスレッドが1000レス、あるいは所定のバイト数を超えている要出典。また、一部インターネット・ユーザーにより、対象を毎日新聞社から同社の媒体に広告を掲載する企業などにも広げて、電凸などの抗議活動が行われたと言われる要出典。
この問題の影響は日本語報道サイト「毎日jp」の広告にも及び、Yahoo! Japanが広告の配信を一時停止し、同年7月上旬には広告スペースがほとんど自社広告で埋め尽くされる状況となった[13]。
社内調査結果とそれに反する事実[編集]
この節を書こうとした人は途中で寝てしまいました。後は適当に頑張って下さい。 |
毎日新聞社は同年7月7日になってようやく、社内調査結果を 7月中旬に公表するという見通しを示した[14]。そして 7月20日、MDN サイト分の問題について、同サイトや同社の日本語サイト、同日付け「毎日新聞」朝刊紙面(見開き特集をふくむ)で、社内検証チームによる検証結果と分析、社外の言論関係者からのコメント、検証結果を受けた追加処分などを公表した[15][16][2][17]。
社内調査結果では英文サイト問題と呼んだり、柳田邦男や玉木明のコメントとしてネット社会の問題点に言及した[18][19]。要因の分析としてもWeb サイトへ移行をした時の問題とし、日本人スタッフが減少して担当が外国人のみになったことをあげている[20]。
しかし、1997年11月5日の毎日デイリーニューズの印刷紙面記事において既に「息子の性欲をoral sexで処理する日本人母」なる記事が掲載された。毎日デイリーニューズはWebサイトへ移行する以前から日本人スタッフの減少とも無関係に多くの「変態ニュース」を配信し、日本人記者と思われる記者名も「変態ニュース」に添えられていた[21]。
追加処分は2人で、1999年4月から2004年6月まで総合メディア事業局長だった渡辺良行常務(役員報酬20%・1カ月返上)と、処分時点で役職を退いていた英文毎日元編集部長。
記事に対する訂正[編集]
社内調査結果の中で、引用記事に対して、記者による加筆や改変があったと認めているが、具体的にどの記事においてどのような改ざんがあったのかなどの検証はなされておらず、記事に問題があったとしているにもかかわらず記事の訂正は全くなされていない。
転載記事の追跡調査[編集]
社内調査結果の中で、『「WaiWai」は既に閉鎖しておりますが、過去の記事を転載しているサイトなどが判明すれば、事情を説明し、訂正や削除の要請を続けていきたいと思います。』と書かれているが、いくつのサイトに対して削除や訂正を求め、その結果削除や訂正に応じたのはどれだけかなど、具体的な動きは全く明らかにされていない上、過去の記事を転載しているサイトを探すための部署などはない。また、毎日新聞からの要請で削除されたと思われるサイトは見つかっていない。
論点[編集]
以下の内容は著者独自の見解で根拠がないのではないかと言っていた人がいたようです。 |
この事件は、主に次の点について議論を呼んだ。
- 週刊誌などに掲載された猥雑な記事の多くを事実であるかどうかの検証をしないままに掲載し、大手新聞社の看板と記者の署名で信憑性を与えてしまったことに対する批判。
- 海外では、日本の情報が限られるため毎日新聞が事実であるかのように報道することは、日本人や日本女性のイメージに対して大きな影響を与えるとされる[22]。毎日新聞が、どのくらいそのことを理解していたのか、あるいは故意に日本人差別を煽る報道をしたのではないかという疑惑。
- すでに、海外のブログなどで毎日デイリーニューズの記載が取り上げられるなど[23]、記事の影響が広がっているが、そのことに対する責任を毎日新聞はとり得るのかという問題。
- 海外に伝わった「日本人に対する誤解」や「女性を侮蔑する内容」に対して毎日新聞社側の見識を問う議論。
- 外部から何度も指摘されながら、問題記事を長期間放置したことに対する毎日新聞社側の姿勢と責任。
- 関係者の処分とその後の処遇(一部役員の昇任をふくむ)について、毎日新聞社が事件の重大性を認識しているのかという疑問や、「身内には極めて甘い対応」だとする批判。
- 問題について社外委員から見解を聞いた「開かれた新聞」委員会なる組織の、実質的な独立性・第三者性への疑義。
- 同社がなおも「ネット敵視姿勢」「被害者意識」を持ち続けているのではないかという議論。
- 海外メディアでは記事の捏造をなぜ許したのかという論調で取り上げたものがあったのに対し要出典、国内では一部雑誌等が取り上げたものの、大手マスコミが大きく扱わないことへの批判。
- 「事実を正確に伝える」という報道の基本原則や倫理観からの逸脱。
- 問題を示す事物の隠蔽・身内の擁護と受け取られうる不適切な対応。
- 雑誌の記事の引用、翻訳、改変が著作権法の要件を満たしているのかという問題[2]。
国内メディアの反応[編集]
インターネットでは大規模な抗議活動が行われていた一方、朝日新聞や産経新聞、読売新聞などの他紙は、この問題を非常に小さく取り上げるのみに留まった。報道の方法も、単に報告書の内容を淡々と取り上げるのみであった。
元毎日新聞社の記者で現在はフリージャーナリストの佐々木俊尚は、「ネットの攻撃のパワーが大きいことを明確にしてしまうと、今度は自分たちのところに刃が向かってくるのではないかという恐怖感がある」と指摘している[24]。また、インターネットメディアのWIRED VISIONは、これまで世論を操ってきたマスメディアが、世論を操れなくなって怖がっているとの説を主張している[25]。
その一方、「日本のマスコミは自らに都合の悪い/自らの意図に反することはニュースにしない」ために本件がニュースとなりにくい、とする論調も見受けられる。放送法違反が問われる事態にまで発展した「椿事件」や「アサヒる問題」のようなマスコミ自身による捏造・世論誘導・印象操作の事例については、自らが非難されないよう完全な黙殺を決め込んで、世間が忘れ去るのを待っているのではないか、というものである。
海外メディアの反応[編集]
WaiWai問題は、海外メディアも取り上げた[26]。
海外メディアは日本とは少し報道の切り口が異なっている。ブログ型ニュースサイト「ゴーカー」は、ライアン・コネル達が記事を書く過程に注目し、これらの問題記事を捏造としている。またこの問題を、ニューヨーク・タイムズの「ジェイソン・ブレア事件[1]」に匹敵すると評価している[26]。ちなみに、ジェイソン・ブレア事件では、ニューヨーク・タイムズは徹底的な関係者の処分と事件の検証を行って読者に公表したため、むしろ事件後は株が上がるという、毎日新聞社とは全く逆の対応を行っている。
他にも、イギリスのデイリー・テレグラフや、ライアン・コネルの母国オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルドもこの問題を取り上げている[26]。
問題拡大の原因[編集]
以下の内容は著者独自の見解で根拠がないのではないかと言っていた人がいたようです。 |
ブログ型ニュースサイトの1つであるGIGAZINEでは、この問題が拡大した原因について、「毎日新聞が対応ミスを犯したため」と指摘している[27]。
その最大のミスとして、「毎日新聞はこうした名誉を棄損するなど明らかな違法行為に対しては、法的措置を取る方針でいる」という方針を公表した事としている。これが、一部のインターネットユーザーにとって「反省していない」と映り、結果として問題を拡大した。なお、毎日新聞は現在まで、どの書き込みが名誉を毀損しているのか明らかにしていない。
司法判断[編集]
この一連の記事を巡り、神戸市在住の男性が人格権の侵害と神戸地裁に訴えた。2008年11月27日、神戸地裁は、「日本についての誤った情報や著しく品性を欠く性的な話題などが長期間にわたり配信された」ことを認めたが、原告の訴えは「特定個人について言及するものでない限りは、いかに低劣な内容のものであったとしても、他人の生活等に対して圧迫、干渉を加えるような性質のものではない」として退けた。
脚注[編集]
- ↑ http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/12/01/21711.html ネット流行語大賞、金賞は福田元首相の「あなたとは違うんです」
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 (2008-07-20) 英文サイト問題検証(特集面1) PDF 毎日新聞 毎日新聞社 2008-07-20 [ arch. ] 2008-07-31
- ↑ 同社は、過去記事を削除・閲覧禁止とする目的やその対象範囲を明示しなかった。ネット上ではこの対応を「証拠隠滅」などととらえる向きもあった要出典。
- ↑ (2008年6月20日) 毎日新聞英語版サイト「変態ニュース」を世界発信 J-CAST [ arch. ] 2008年6月22日
- ↑ (2008年6月25日) Apology to readers for WaiWai column 毎日新聞社 [ arch. ] 2008年7月31日
- ↑ (2008年6月25日) 英文サイトのコラム、読者におわびします 毎日新聞社 [ arch. ] 2008年7月31日
- ↑ "毎日新聞英文サイト英訳コーナー廃止 「低俗」批判受け"[リンク切れ], 朝日新聞,2008年6月24日.
- ↑ "みだらな表現に抗議受け、毎日新聞が英文サイト一部閉鎖"[リンク切れ], 読売新聞, 2008年6月24日.
- ↑ "英語版サイトに「低俗」な日本紹介記事を掲載 毎日新聞がおわび"[リンク切れ], 産經新聞, 2008年6月24日.
- ↑ (2008年6月24日) 毎日が英文サイト一部閉鎖 「低俗」と抗議3百件 共同通信 [ arch. ] 2008年6月24日
- ↑ (2008年6月25日) 英文コラム「不適切」、閉鎖=毎日新聞が謝罪記事 時事通信 [ arch. ] 2008年6月25日
- ↑ (2008年6月28日) 役員・記者ら処分 英文サイトに不適切コラム 毎日新聞社 2008年6月28日 [ arch. ] 2008年7月31日
- ↑ 小林直樹 (2008年7月8日) 小林直樹 「毎日jp」が自社広告だらけに、ネット上に深いつめ跡残る ITpro [ arch. ] 2008年7月11日
- ↑ (2008年7月7日) 英文サイト不適切記事問題 中旬に調査結果公表します 毎日新聞社 2008年7月7日 [ arch. ] 2008年7月31日
- ↑ (2008-07-20) Mainichi Daily News to start over again 毎日新聞社 2008-07-20 [ arch. ] 2008-07-31
- ↑ (2008-07-20) 英文サイト出直します 経緯を報告しおわびします 毎日新聞社 2008-07-20 [ arch. ] 2008-07-31
- ↑ (2008-07-20) 英文サイト問題検証(特集面2) PDF 毎日新聞 毎日新聞社 2008-07-20 [ arch. ] 2008-07-31
- ↑ http://www.mainichi.co.jp/20080720/0720_08.html 「開かれた新聞」委員会委員に聞く(2)
- ↑ http://www.mainichi.co.jp/20080720/0720_09.html 「開かれた新聞」委員会委員に聞く(3)
- ↑ http://www.mainichi.co.jp/20080720/0720_05.html 検証チームの分析――要因 複合的に
- ↑ http://www.j-cast.com/2008/08/13025121.html 毎日英字紙にも「変態ニュース」 11年前から多数の記事掲載
- ↑ 東京大学比較文学比較文化研究室のロバート・キャンベル教授「電子メディアであること、英字媒体であることは、新聞(社)にとっても門戸が世界に向いているということです。これらの記事を事実とみなして、信じ込んでしまう外国人は非常に多いと思う。日本への関心が高いのに、確実な情報源を持たない若者たちが世界中にいるなか、新聞はとてつもなく大きな信憑性を持つのです」(読売ウィークリー2008 7/13号 21ページ)
- ↑ http://www.j-cast.com/2008/07/23023977.html
- ↑ () 毎日新聞社内で何が起きているのか(上):佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 CNET [ arch. ] 2008-08-05
- ↑ () 温暖化をめぐる「世論」の一致は可能か? ? メディア「崩壊」の後で WIRED VISION [ arch. ] 2008-08-28
- ↑ 26.0 26.1 26.2 (2008-08-07) 毎日「変態」英文記事問題 海外メディアも取り上げる J-CASTニュース J-CASTニュース 2008-08-07 [ arch. ] 2008-08-07
- ↑ (2008-07-21) テレビや新聞で詳しく報道されない「毎日新聞英文サイト変態記事事件」、一体何が問題なのか? GIGAZINE GIGAZINE 2008-07-21 [ arch. ] 2008-07-21
参考文献[編集]
- 週刊新潮 7月3日号、7月14日号