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* (明治) 英語Husband「夫」の頭文字Hを、女学生が性的な意味で使った隠語。 | * (明治) 英語Husband「夫」の頭文字Hを、女学生が性的な意味で使った隠語。 | ||
* (大正 - 昭和初め) 男性同性愛者をさした「鶏姦」を、英語Hen (雌どり) の頭文字Hで隠語とした<ref name="Hen"/>男色を表す。不良仲間の隠語<ref>[[日本国語大辞典]]654ページ、第2版第2巻、2001年2月発行ISBN 4095210028は『特殊語百科辞典』から引用として記述するが、[[国立国会図書館|国会図書館]]NDL-OPAC検索に拠ればタイトルキーワード「特殊語百科辞典」でヒットする『司法警察特殊語百科辞典』、高久景一編、出版地 東京、司法警務学会、[[1931年]](昭和6年)発行からの引用。</ref>。 | * (大正 - 昭和初め) 男性同性愛者をさした「鶏姦」を、英語Hen (雌どり) の頭文字Hで隠語とした<ref name="Hen"/>男色を表す。不良仲間の隠語<ref>[[日本国語大辞典]]654ページ、第2版第2巻、2001年2月発行ISBN 4095210028は『特殊語百科辞典』から引用として記述するが、[[国立国会図書館|国会図書館]]NDL-OPAC検索に拠ればタイトルキーワード「特殊語百科辞典」でヒットする『司法警察特殊語百科辞典』、高久景一編、出版地 東京、司法警務学会、[[1931年]](昭和6年)発行からの引用。</ref>。 | ||
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+ | 諸説が乱立している状態である。 | ||
+ | * 英語letch (レッチ) 「助平な、いやらしい」の意。 | ||
+ | * [[1955年]][[マリリン・モンロー]]主演の映画の題名、"The Seven Year Itch"(邦題「[[七年目の浮気]]」)のItch(浮気)から。 | ||
+ | * キスを'''K''' ('''K'''iss)、性行為を愛 ('''I''') としたときのKやI以前の段階として、手をつなぐ、肩を寄せ合う程度から、軽い[[愛撫]]や[[ペッティング]]などの行為を「'''H'''」と称した<ref>[[亀井肇]]編集『外辞苑:平成新語流行語辞典』66ページ([[平凡社]] 2000年7月 ISBN 4-582-12419-4)では、"エッチ"を中年世代男性は女性への軽いタッチ程度のことと理解するが、若者はセックスと同じ意味とする、と辞典発行時点での世代間の理解や捉え方に違いがあると記述・指摘している。</ref>。あの男女はまだ'''H'''の段階のつきあいであると言うような使われ方をした。1950年から1960年代中頃に言われた説。 | ||
+ | * 自慰 (G) の後に来て、愛 (I) に繋がるのでH。 | ||
+ | * 英語horny【形】「性欲をかき立てられて」の頭文字H。 | ||
+ | * 「助平」の'''助'''にあたる英語Helpの頭文字Hから、[[大日本帝国海軍]]の兵隊が隠語として使ったという説(海軍では、「[[淋病]]」を'''R'''、妻を'''K.A''' (かあちゃん) と呼ぶなど、[[アルファベット]]由来の隠語を使う趣味があった)。 | ||
+ | * 同じく海軍語源説として石井幸之助の著作『報道班員従軍記』([[光人社]])中に、隠語としてHを上げ、語源をHELL(地獄)=下に落ちる話、との記述がある。 | ||
+ | * 破廉恥のローマ字表記"Harenchi"の頭文字H。[[永井豪]]『[[ハレンチ学園]]』が語源であるという説。初出が1968年以降であるため語源にはならないものの、ふたたび「エッチ」が広まるきっかけとなり、子供まで「エッチ」と言うようになり問題視された。 | ||
+ | * erotic (eroticism) ⇒ エロチック (エロチシズム) ⇒ エロ ⇒ エ ⇒ H | ||
+ | * (H)の字体が、男女同士の性交中の様子に似ていることから。縦線二本(││)が男女が並んだ姿を表し、横線一本(━)が男性器を表し、それ同士が合わさって(H)となり、性交中の姿に見えることから呼ばれるようになったという説。 | ||
+ | *「えちもの 姿ばかりを飾って役に立たない柔弱な者」<ref>広辞苑 第四版より引用</ref> | ||
== 日本以外の国における「エッチ」の用法 == | == 日本以外の国における「エッチ」の用法 == |
2023年4月15日 (土) 21:05時点における最新版
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エッチ (H) とは性的にいやらしい様、またはそういう人を指す日本語の俗語。ラテンアルファベットのHは「エイチ」と発音して区別することが多い。類義語に「エロ」 (エロスの略) がある。
1980年代頃から、性行為の婉曲表現として「エッチする」と言われる様になった。
概要[編集]
その語源は変態 (Hentai) の「H」である[1]。古くは明治20年代から、性的な隠語として女学生の間で使われた。大正時代には、同性愛者を意味する隠語だった[2]。
現代の「エッチ」に近い意味で使われはじめたのは1952年頃からで、いやらしい人物や態度を(非難を込めて)指示する隠語として日本の女学生の間で使われた[3]。1955年から1956年にかけて朝日新聞に連載された舟橋聖一の新聞小説『白い魔魚』で使われたのが、一般への流行のきっかけと言われる[4][5]。
現在では、セックス(性行為)のぼかした言い方としても定着している。「エッチする」という使い方は、1980年代以降でなされ、バラエティ番組においては明石家さんま、または島田紳助が初めて言ったとされる[6][7][8]。
語源[編集]
- 変態 (Hentai) から、性に関する言動が露骨なこと[9][10][3][5]。
- (明治) 英語Husband「夫」の頭文字Hを、女学生が性的な意味で使った隠語。
- (大正 - 昭和初め) 男性同性愛者をさした「鶏姦」を、英語Hen (雌どり) の頭文字Hで隠語とした[2]男色を表す。不良仲間の隠語[12]。
異説[編集]
諸説が乱立している状態である。
- 英語letch (レッチ) 「助平な、いやらしい」の意。
- 1955年マリリン・モンロー主演の映画の題名、"The Seven Year Itch"(邦題「七年目の浮気」)のItch(浮気)から。
- キスをK (Kiss)、性行為を愛 (I) としたときのKやI以前の段階として、手をつなぐ、肩を寄せ合う程度から、軽い愛撫やペッティングなどの行為を「H」と称した[13]。あの男女はまだHの段階のつきあいであると言うような使われ方をした。1950年から1960年代中頃に言われた説。
- 自慰 (G) の後に来て、愛 (I) に繋がるのでH。
- 英語horny【形】「性欲をかき立てられて」の頭文字H。
- 「助平」の助にあたる英語Helpの頭文字Hから、大日本帝国海軍の兵隊が隠語として使ったという説(海軍では、「淋病」をR、妻をK.A (かあちゃん) と呼ぶなど、アルファベット由来の隠語を使う趣味があった)。
- 同じく海軍語源説として石井幸之助の著作『報道班員従軍記』(光人社)中に、隠語としてHを上げ、語源をHELL(地獄)=下に落ちる話、との記述がある。
- 破廉恥のローマ字表記"Harenchi"の頭文字H。永井豪『ハレンチ学園』が語源であるという説。初出が1968年以降であるため語源にはならないものの、ふたたび「エッチ」が広まるきっかけとなり、子供まで「エッチ」と言うようになり問題視された。
- erotic (eroticism) ⇒ エロチック (エロチシズム) ⇒ エロ ⇒ エ ⇒ H
- (H)の字体が、男女同士の性交中の様子に似ていることから。縦線二本(││)が男女が並んだ姿を表し、横線一本(━)が男性器を表し、それ同士が合わさって(H)となり、性交中の姿に見えることから呼ばれるようになったという説。
- 「えちもの 姿ばかりを飾って役に立たない柔弱な者」[14]
日本以外の国における「エッチ」の用法[編集]
英語圏の国々、特にアメリカ合衆国においては、「エッチ」 (ecchi) という言葉は、日本製の漫画やアニメ、ゲーム作品の中で、性的な内容・表現を漠然と含むものに対して用いられている。具体的にはヌード、セミヌード、パンチラなどの描写を含むが、登場人物が直接的な性行為にまでは及ばないような漫画・アニメ・ゲーム作品、またはそれらを模したものを指して "ecchi" と呼ぶことが多い。これに対して露骨な性描写があるような作品については、「ヘンタイ」 (hentai) と呼ばれ、区別されている。 また、セックスと言わずにエッチと言って表現をかえることもある。
脚注[編集]
- ↑ 『週刊読売』1955年8月28日号
- ↑ 2.0 2.1 日本博学倶楽部『雑学大学』PHP文庫、2000年。間もなく変態の意味に変わり、やがて現在の意味へと変化していったとする。
- ↑ 3.0 3.1 『週刊朝日』1952年4月13日号 18頁。「「エッチ」とは変態性 (HENTAISEI) の頭文字から来た言葉つまり、いやらしい男のことだ。映画館、満員電車などで、怪しげな男につきまとわれたとき「エッチ」と叫んで、同僚の救いを求めるのだ。」現代で言う痴漢や変質者のこと。「女子大生」など大学生からの聞き込み。
- ↑ 米川明彦編著『明治・大正・昭和の新語・流行語辞典』三省堂、2002年
- ↑ 5.0 5.1 舟橋 聖一『白い魔魚』新潮社 昭32.12.25初版 68-69頁。「Hは変態の頭文字。」
- ↑ 明石家さんまに関して、亀井肇編集『外辞苑:平成新語流行語辞典』66ページ、平凡社2000年7月 ISBN 4-582-12419-4
- ↑ 島田紳助に関して、米川明彦編著『若者ことば辞典』36ページ東京堂出版、1997年2月、ISBN 4-490-10449-9
- ↑ 島田紳助に関して、米川明彦編著『日本俗語大辞典』87ページ東京堂出版、2003年10月、ISBN 4-490-10638-6
- ↑ 1973年(昭和48年)3月発行三省堂『広辞林』第5版P209
- ↑ 1983年(昭和58年)12月発行『広辞苑』第3版P262
- ↑ Badi1997年4月号「ゲイの考古学 X氏の回想」。
- ↑ 日本国語大辞典654ページ、第2版第2巻、2001年2月発行ISBN 4095210028は『特殊語百科辞典』から引用として記述するが、国会図書館NDL-OPAC検索に拠ればタイトルキーワード「特殊語百科辞典」でヒットする『司法警察特殊語百科辞典』、高久景一編、出版地 東京、司法警務学会、1931年(昭和6年)発行からの引用。
- ↑ 亀井肇編集『外辞苑:平成新語流行語辞典』66ページ(平凡社 2000年7月 ISBN 4-582-12419-4)では、"エッチ"を中年世代男性は女性への軽いタッチ程度のことと理解するが、若者はセックスと同じ意味とする、と辞典発行時点での世代間の理解や捉え方に違いがあると記述・指摘している。
- ↑ 広辞苑 第四版より引用