「ガンホー」の版間の差分

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* 戦国テンカトリガー
 
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* クレイジータワー
 
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== 株価急騰。パズドラの勢いはどこまで続くか ==
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バッサバッサとモンスターを倒していくかのように、驚くべき大躍進が続いている。[[スマートフォン]](スマホ)向けゲーム『[[パズル&ドラゴンズ]]』(パズドラ)を手掛けるガンホー・オンライン・エンターテイメントは、今や押しも押されもせぬスター銘柄だ。2013年[[5月14日]]には株価は163万円を付け、時価総額は1.8兆円に達した。[[グリー]]、[[DeNA]]をとうに抜き去り、ゲーム専業最大手である[[任天堂]]も越えた。[[ソニー]]にも迫る勢いだ。その後、株価は130万円台に反落したが、まだ時価総額は1.5兆円ある。
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株価上昇を支えているのは、パズドラの大ヒットである。5月9日に発表した2013年1~3月期(第1四半期)決算は、売上高309億円(前年同期比9.4倍)、営業利益186億円(同75倍)。そのうち、パズドラの収益が約9割を占める。
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会社側は業績予想を発表していないが、[[証券アナリスト]]のコンセンサスでは2013年12月期の純利益は568億円にも及ぶ。130万円台の株価であってもPER([[株価収益率]])は20倍台だ。驚異的な成長スピードを勘案すれば、ハネ上がった株価も、実は常識的な範囲に収まっている、との見方もできる。
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2012年2月にサービスを開始したパズドラは、4月末には累計1300万ダウンロードを突破。国内スマホ保有者の4人に1人が遊んでいるゲームとなった。基本は無料で遊べ、スタミナ回復やガチャと呼ばれる電子くじを回すときなどに使う魔法石(1個最大85円)というアイテムの販売で稼ぐ。
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この勢いはどこまで続くのか。「パズドラの勢いは少なくとも10月ごろまで持続する。いたずらに成長を追わない運営方針が、逆にゲームの寿命を長期化させている」と[[エース経済研究所]][[アナリスト]]の[[安田秀樹]]氏は分析する。
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新しい成長の種もある。スマホゲームでは3月『[[ケリ姫]]』シリーズが累計500万ダウンロードを突破。今冬には[[ニンテンドー3DS]]向け『[[パズドラZ]]』を投入する。パズドラは2012年11月に[[北米]]、同12月に[[韓国]]、2013年4月には[[カナダ]]で配信が開始され、順調な出足を見せている。
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結果的にお株を奪われているのが、モバイルゲームの分野では先行していたグリー、DeNAだ。
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=== スマホへの特化が奏功 ===
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グリーの2013年1~3月期は4四半期連続の営業減益となり、通期では営業利益が半減する見通しだ。DeNAは2四半期連続の営業減益で、国内におけるゲーム内の仮想通貨消費はサービス開始後初めて減少した。両社とも従来型携帯電話向けで成長してきたが、スマホに適した大型ヒット作を生み出せていない。
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一方ガンホーは、従来型携帯電話向けへの提供は行わず、グリー、モバゲー(DeNA)へ配信していない。スマホに特化し、スマホ普及の波にうまく乗ることができたといえる。また、ガンホーは[[1998年]]の設立以来、「パソコン上のオンラインゲームで培った、課金単価を適正に保ち顧客を定着させる、運営ノウハウがある」([[森下一喜]]社長)。それが、グリー、モバゲー上で過熱した高額課金によって疲れたユーザーを取り込んだ面もある。
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今後の焦点は、パズドラの成長が鈍化したときに、新たなヒット作が補い、会社全体の成長を維持できるかどうか。森下社長は「[[M&A]]はせず自力で成長をしていく」とサラリと語る。当面はその一挙手一投足に注目が集まることは間違いない。
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== ガンホー森下社長が語った開発の裏側 ==
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パソコン向けオンラインゲーム「[[ラグナロクオンライン]]」から出発し、スマートフォンゲーム「パズル&ドラゴンズ」(通称パズドラ)が大ヒット――。
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ガンホー・オンライン・エンターテイメントが2013年[[2月14日]]に発表した2012年12月期決算に、市場関係者は度肝を抜かれた。売上高258億円(前期比2.7倍)、営業利益92億円(同7.9倍)は、市場の事前予想を大幅に上回る水準だったからだ。
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=== 株価は1年で16倍に ===
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驚くことに、足元の成長は加速している。1月単月の売上高85億円は前年同月比11倍。このままの成長が続くと仮定すれば、わずか3カ月で前年度の売り上げに並ぶ計算である。
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同じ色のブロックを3つそろえるのが基本的な遊び方株価の値上がりも尋常ではない。2月18日にはソーシャルゲーム大手、グリーの時価総額を追い抜き、2月22日の終値272万5000円は、1年前の約16倍だ。同時点の時価総額3133億円は、[[ジャスダック]]5位の[[日本マクドナルドホールディングス]]に次ぐ。
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成長を牽引するのがパズドラだ。パズドラはモンスターを育て、パズルでバトルする新ジャンルのゲーム。自分で選んだモンスターで編成したチームで冒険に出かけ、ドロップ(パズル)をそろえる。モンスターを討伐し、ダンジョンを攻略するという一連の流れには、従来のソーシャルゲームにさほど必要とされない戦略性が求められる。
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グリーやディー・エヌ・エー(DeNA)で提供される従来のソーシャルゲームは、カードバトルと呼ばれ、とにかく強いカードを集めれば前に進める単純なものが多い。だが、パズドラはそうしたゲームと一線を画す奥深さがある。
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パズドラは2012年2月20日のサービス開始から、ちょうど1年で900万ダウンロードを突破した。それまでソーシャルゲームの歴史を塗り替えたとされていた[[コナミ]]の「[[ドラゴンコレクション]]」は2012年2月時点の登録者が750万人。ここに至るまでに2年5カ月を要したことを考えれば、パズドラはソーシャルゲーム業界で、新しい金字塔を打ち立てたと言ってもいいだろう。
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パズドラが大ヒットしている理由は何か。ガンホーは今後、どのような戦略を描いているのか。森下一喜社長兼CEOが本音を語った。
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――ものすごい業績の伸びと株価の上昇です。
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株価については、非常に高い期待値をいただいていると思っています。期待されることは、それ自体大変ありがたい。ただ、モノづくりと株価は関係ありません。株価を高くするために僕たちはゲームを作っているわけではないし、今も最高に面白いゲームを作るということだけを考えています。
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――冷静ですね。
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冷めていると言われているかもしれません。僕らは[[2005年]]3月に上場して、そのときも株式市場から高い評価をいただきました(注:上場時の株価は調整後94万円)。浮かれたつもりはなかったけれども、株価は最近まで低迷していました。そうした経験もあり、株価は気にせず面白いゲーム作りに専念することが、社員の幸せや充実につながると思っています。
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=== ヒットしたのは「運」 ===
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――パズドラがヒットした理由は?
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運ですね。これをやったから上手くいったんじゃないかという分析は、正直くだらない。僕たちが作っているゲームは妥協せず、すべて魂を込めて作っています。
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順序が違えば、パズドラはヒットしていなかったかもしれません。タイミングが良かったのは、(ガチャへの依存度が高い)カードバトルと呼ばれるソーシャルゲームで単に絵柄を変えたようなばかりのものが出てきて、ユーザーの中にも嫌悪感が出ていた状況だったということです。運営会社が儲かっているけど、なぜ儲かっているかわからない。そうしたモヤモヤしている中に、ポンと目の覚めるゲームを出せたという面はありました。
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いいゲームを出すというノウハウは、家庭用ゲーム機やPCオンラインゲームで培ってきました。例えばタッチパネル型の家庭用ゲーム機向けにソフトを作る場合、コントローラーがあるときと同じ操作性を維持しなければなりません。僕たちのプログラマーは、そうした実直なモノづくりをしてきた実績があります。職人とも言える、優秀なプログラマーがいたからこそ、パズドラが生まれました。
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=== 努力がいらないゲームはゲームではない ===
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――パズドラを投入する前に、一度経営幹部がカードバトルのソーシャルゲームを提案し、森下社長が却下した経緯があったとか。
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自分が面白いと思わないから、そんなもの作る必要がないと言いました。むしろ、カードバトルゲームで遊んでいたユーザーがドッと驚くようなゲームを作りたかった。
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パズドラは最初、2つの案がありました。山本大介(前職はハドソン)というプロデューサーと話し合い、パズルゲームと(陣地を防衛する)タワーディフェンスゲームにする案がありました。結果的に、パズルゲームを選びました。
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僕らはこれを「収斂度」と呼んでいますが、運だけでなく、頑張って乗り越えていくという仕組みにしたかった。ゲームって努力することが大事なんですね。よく引き合いに出すのは塾です。大学受験をするとき、独学で行くことも出来ますよね。一方で塾にお金を払っていく人もいます。
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ただ、お金を払ったからといって、必ず大学に受かるわけではありません。努力が必要なんです。単純にガチャを回してビックリマンチョコのようにカードを獲得しても、お金を払う努力をしているかもしれませんが、それは努力ではありません。努力がいらないゲームばかりが世の中に増えると、ゲームは世の中に必要ないものになってしまう。
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当時流行っているカードバトルゲームをゲームと言っていいのかと考えたときに、達成する喜びや感動を与えるゲームを作りたいと考え、パズドラの開発に当たりました。そうした思想哲学をベースに、山本とああしよう、こうしようと言い合って、現在の形になりました。
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=== 合計で4回作り直した ===
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――開発初期のパズドラはどのようなゲームだったのでしょう?
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最初は今のように縦ではなく、横の画面でした。絵のテイストも洋風で、キャラクターの表情が海外のRPGのようにリアルな感じでした。そこでまずは横から縦に画面を変え、暇な時間でも気軽に遊べるようにしました。年内に家庭用ゲーム機向けにもパズドラを投入しますが、縦画面に切り替えたこのときから、家庭用への対応は考えていました。
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キャラクターデザインもモンスターに変更し、小さい画面だからこそビジュアルイメージが湧きやすいように、自分でドラゴンの目を描きました。ドラゴンを選んだ理由は、国民的キャラクターだからです。
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合計で4回作り直しています。開発期間は5カ月で、デザインのほか、感触を何回も確かめました。最初は四方にしか動けなかったので、爽快感がない、テンポが悪いということで自由に動けるようにしましたが、そうすると逆に簡単になり過ぎてしまったので、タイムゲージ(制限時間)を導入しました。ドロップ(パズル)を1回動かすときのタイムゲージを4秒にしたのは、そのためです。
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「触感」をとりわけ重要視しています。ユーザーがプレイするときにストレスを感じない触り心地を何回も何回も追求しました。
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名前も最初は「ダンジョンパズル」で、「パズル&ダンジョン」になり、ドラゴンを入れろと指示して「パズル&ドラゴン」になり、リリース直前に「ドラゴン&パズル」にしましたが、語呂が悪いと言うことで、「パズル&ドラゴン」に戻りました(笑)。
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――開発コストはどれぐらい?
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数千万円後半です。特別多いというわけではありません。
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――リリース後は、どのような点を改善していますか?
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ゲームのバランスですね。ユーザーがダンジョンで行き詰まってしまうと、間にダンジョンを追加し、ユーザーが脱落しないようゲームバランスをなだらかにしています。
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――パズドラの開発スタッフは現在、何人ですか?
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30人弱です。プロモーションやカスタマーサポートの人員を加えれば、もっと増えます。その30人弱も、パズドラだけの開発に携わっているわけではありません。
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=== 「マネタイズ」という言葉は使ったことがない ===
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――パズドラの運営に当たり、数値面で意識している点は?
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いわゆるKPI (=Key Performance Indicators。重要業績評価指標)の管理を意識したことはありません。マネタイズ(収益化)という言葉も一度も使ったことがありません。そのような言葉を用いてヒットするのなら、どの会社でもヒットしていますよね。結局、何かの焼回しに過ぎないんです。
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事業計画も作っていません。当然、運用上はデータをもとに「このイベントは受け入れてもらわなかったから、次はどうしようか」という対策は取ります。ただ、KPIやマネタイズということを考えて改善するわけではありません。
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ゲームのロイヤルカスタマー(固定客)を作りたいという思いはあります。パッケージゲームと同じで「このゲームだったらお金をかけていい」というものを作りたい。「6800円払ってもこのパッケージゲームを買いたい」という気持ちの動機づけを、どのゲームを作るときも意識しています。
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=== 僕らには「ゲーム屋」としての思想哲学がある ===
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――今のガンホーにとっての競合は?
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エンターテインメント(娯楽)にかかわる企業のすべてですね。たとえばスタジオジブリも米ピクサーも対象に入ってきます。エンターテインメントは人間にとって、必需品ではありませんから、人間のライフスタイル、生活の中にある余暇の時間から、いかに自分たちのゲームに時間を割いてもらうかということが重要になります。
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――ここ数年の成長が目覚ましいモバゲー(ディー・エヌ・エー)、GREE(グリー)をどう見ていますか?
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彼らはゲームを作りたくてゲーム会社になったわけではないので、言葉は悪いですけど、僕たちとは人種が違います。IT企業として、儲かることは何でもやるのでしょう。彼らには彼らの思想哲学があるでしょうし、僕らには「ゲーム屋」としての思想哲学があります。
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僕たちとは合わないから、彼らの土俵には乗りません。いいか悪いかではなく、単純に考え方の違いです。彼らが今後もうまくいくかどうかを気にしている人も多いようですが、それは正直どうでもいいです(笑)。
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ゲーム業界で唯一気になるのは、任天堂ですね。モノづくりという観点でいうと、任天堂という会社は素晴らしいし、いちユーザーとしても愛着があります。
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任天堂はハードウエアを含めて、日本で唯一モノづくりができるゲーム会社です。今は業績が厳しいですが、かつて「NINTENDO64」(1996年発売)で下火になっていた状況から復活したように、革新的なモノを生み出せる潜在能力は十分にあると思います
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=== 海外展開も「運」次第 ===
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――パズドラは北米(2012年11月)や韓国(12年12月)でもサービスを始めるなど、海外展開を行っていますが、手応えは?
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まだわからないです。これも運がよければうまく行くかもしれません。現地の言語や文化への適応は必要ですが、ゲームの内容を変えて媚びるようなことはしません。純粋に面白いゲームを作れば、世界で受け入れられると思っています。
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――パズドラの家庭用ゲーム機への移植はどのプラットフォームを考えていますか?
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2013年内に出すことまでは言えますが、プラットフォームは言えません。家庭用ゲーム機にはこれまで「PlayStation Vita」「PSP」「PlayStation2」「ニンテンドーDS」向けに出しています。仮に「ニンテンドー3DS」向けに出すとすれば、初めてになります。
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スマートフォンは普及が著しいし、成長が見込めるプラットフォームですが、この中でできることには限界があります。家庭用ゲーム機だったらもっと「こんなことができる」「ユーザーにこんなことが体験してもらえる」という可能性があるので、開発当初からパズドラは家庭用ゲーム機に出していきたいという思いはありましたね。
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――業績以外に、今後、運営で気をつけるべき点は何でしょう?
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機械ではなく人間が運営しているので、ミスは必ず生じます。問題はミスが発生したとき。「できるだけこまめにアナウンスしろ」と口を酸っぱくして言っています。電車が止まっているときを想像してください。電車が止まっていて、いつ動くのかがわからないときに車内アナウンスがなかったら、ストレスや不安を感じますよね。
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これを当社に当てはめてみると、例えばサーバーの障害が発生したときには現状の報告や、ユーザーがストレスを感じた分の還元などを行うようにしています。
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=== もともとがマイナスからのスタート ===
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――(ソフトバンク孫正義社長の弟でガンホーの大株主でもある)孫泰蔵会長は現在どのような立場でガンホーにかかわっていますか?
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経営には直接かかわっていません。基本的には僕一人で全体を見ています。創業の頃から孫さんは「ガンホーは森下の会社だから自分が口を出すことはない」と言っていました。
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ガンホーの生い立ちは少し複雑です。もともと3人で会社を起こして家庭用ゲーム機向けの受託開発を行っていたところ、大口顧客だったセガが家庭用ゲーム機(ドリームキャスト)から撤退(01年)したことで業績が厳しくなり、会社を売却しました。当時は家庭用ゲーム機に依存しすぎていたので、プラットフォームに依存しないオープンなマーケットという観点から、パソコン向けにはあまり興味はなかったのですが、パソコン向けオンラインゲーム「ラグナロクオンライン」を自分でプロデュースし、新たに会社を作ろうと決めました。
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そのときは日本の大手ゲームメーカーから出資してもらうつもりだったのですが、当時、ソフトバンクにいた孫泰蔵さんとたまたま知り合って、オンセールという休眠会社を使ってくれないかと打診されました。もともとはニューマネーで会社を起こすつもりだったので4回くらい断ったんですが、結果的に引き受けてしまいました。債務を抱えた会社でマイナスからのスタートですから、「ドM」もいいところですよね(笑)。
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そうした経緯もあり、孫泰蔵さんは会長でありながら、いち安定株主にとどまり、経営には口を出すことはありません。
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=== 業績や株価で一喜一憂するつもりはない ===
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――今後、株式市場はパズドラの高成長による反動減を嫌う局面が来ると思いますが、マイナスからの出発で得た経験が生きますか?
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そうですね、業績や株価で一喜一憂はするつもりはないです。逆に今の過熱感は、置いてきぼりを食らっている感じがします。繰り返しになりますが、純粋に面白いゲームを作って、それが業績に結び付けば、株主の皆さんにとってもいいことになると思います。
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僕たちが作るゲームはすべて作品であり、道具ではありません。魂を込めて作ってきたので、子どもと一緒です。だから、業績や株価で評価して欲しくない。パズドラを特異なゲームとして扱ってほしくもありません。これからも純粋に面白いゲームだけを作り続けていこうと思います。
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――2012年は2月にリリースした「パズル&ドラゴンズ」がAppStoreやGoogle Playでほぼ通年で第1位を獲得し、業績も右肩上がりの1年でした。
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「『パズル&ドラゴンズ』を楽しまれている方はもちろん、10年間ずっとPCで『ラグナロクオンライン』をプレーしてくれている、根強いファンの方々はとても大切な存在。幅広いファンの期待に応えたい」(森下氏)。この1年で急に何か新しいことを始めたわけではありません。そもそも私が会社を作ったのは自分で面白いゲームを作りたかったから。その思いを形にするため、3年前に開発部門を自分の直轄へ組織改革してから、全タイトルの開発に企画段階から参加しています。
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いくら煮詰めても面白くならないゲームはリリースを見送るという決断をしたこともありました。
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この3年間、自分たちが100%面白いと思ったタイトルだけをリリースし、一本いっぽん大切にしてきた。その結果と、正直運だと思っていますが、昨年「パズル&ドラゴンズ」がヒットしたと考えています。
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――「パズル&ドラゴンズ」は、スマホアプリならではのまめなバージョンアップで、登場モンスターが続々と追加になるなど、プレーヤーを飽きさせない努力がヒットに結びついたと言われています。
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森下氏:それもありますが、同じく私が重要だと考えているのはユーザーさんの生の声です。App StoreやGoogle Playなどの評価は何のバイアスもかかっていない、貴重な意見。「もっとこうだったら面白かったのに」というコメントを読むと、「うーん、悔しい。では、その期待をさらに上回るように改良しよう」と思い、実行に移す。その繰り返しです。
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――家庭用ゲームメーカーは、なかなかそうした「運用」に対応できる体制が組めずに苦戦しています。
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森下氏:我々は10年間、「ラグナロクオンライン」などのPCオンラインゲームを手がけているので、ユーザーさんの要望をとり入れながら継続的に開発していくことに慣れています。その経験が「パズル&ドラゴンズ」でも生きています。
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=== 家庭用ゲームで得たノウハウを活用 ===
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――「パズル&ドラゴンズ」は1000万ダウンロード目前です。(2013年3月6日時点、2013年3月25日に1100万ダウンロードを発表)TVCMの効果もあり、日ごろゲームを遊ばない層も取り込んでいるのでは?
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森下氏:1000万ダウンロードという数字もありがたいですが、ユーザー数が増加しても、App StoreやGoogle Playなどで、高い評価を付けてもらえる率が変わっていないことに手ごたえを感じています。これは誰でも遊びやすいゲーム作りにこだわった結果でしょう。
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――平成24年度の通期業績ではモバイル関連の売り上げが半分を超えました。
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森下氏:PCや家庭用ゲーム機は、ハードのある場所で遊ばなくてはならない。スマートフォンはそうした制約から解放される圧倒的なメリットがあるので、市場が二極化するのは自然な流れでしょう。
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一方でスマートフォンの画面は小さく、専用コントローラーがないという制約もあります。
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そこで大切になるのは、小さい画面でもストレスを感じさせないUI(ユーザーインターフェイス)の設計。我々は[[PlayStation Vita]]、[[ニンテンドーDS]]など、携帯ゲーム機用タイトルも手がけていますから、そのノウハウを活用しています。
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家庭用ゲーム機の強みは専用のコントローラーを備えていることですね。純粋にボタンを押すだけで気持ちいいじゃないですか。その快感をいかにスマートフォンなどのタッチパネルで再現するかは、プログラマーの技術力にかかってます。「パズル&ドラゴンズ」で家庭用ゲーム機に匹敵する操作性を実現できたことが、ヒットの一因だと思っています。
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――「パズル&ドラゴンズ」の国内ヒットを受け、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの海外展開は?
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森下氏:海外で現状展開がスタートしているのは、米国と韓国。なぜ、そこからかというと支社があり、現地流のプロモーションや、カルチャーを取り入れやすいからです。「パズル&ドラゴンズ」や「ケリ姫クエスト」などを展開していますが、海外ユーザーさんが各ストアなどに書き込んだ評価を目にすると、直感的な面白さは世界共通なのだと受け止めています。
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国内で「パズル&ドラゴンズ」がヒットしたからといって、海外でも一気に攻勢をかけるのではなく、あくまでも現地のユーザーの生の声に耳を傾けつつ、種をまいている状況です。
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――「パズル&ドラゴンズ」のグラフィックスは日本市場にマッチしたアニメ風ですが、海外市場に合わせてリアルに書き換えるなど仕様変更をしていくのでしょうか?
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森下氏:ありえませんね(笑)。なぜなら我々は日本人だからです。世界に負けない作品をと、肩肘を張ったり、媚びたりしてもよい結果を生みません。いつも「まず、自分たちが面白いと思うモノを作ろう」と開発チームとは話しています。
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――中国などで、現地のパートナーと手を組むゲームメーカーも多いようですが?
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森下氏:PCオンラインゲームを長く手がけているので、海外展開の難しさは業界内からよく耳にします。愛情を込めて作り上げた1本が、現地ではしっかりプロモーションをしてもらえず、まったくヒットしなかったというケースもあるようです。可愛いわが子を不遇な目には遭わせたくないので(笑)、こうした取り組みは慎重に行いたいですね。
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=== 「パズル&ドラゴンズ」はソーシャルゲームではない ===
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――「パズル&ドラゴンズ」は課金せずとも十分に楽しめるゲームバランスも人気の理由の一つです。大ヒットを受け、ビジネスモデルはどのように発展していくのでしょうか。
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「海外戦略に自然体で臨んでいるのは、過去にPCオンラインゲームで散々失敗した経験があるからです(笑)」(森下氏)
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森下氏:「パズル&ドラゴンズ」のビジネスは、ゲームを進めるための補助アイテム「魔法石」の課金システムで成り立っています。ユーザーさんが増加したから課金システムを変更するということは、まったく考えていません。また、今後は、スマートフォン以外のプラットフォームへの展開や、キャラクターマーチャンダイジングなどを考えています。
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繰り返しになりますが、課金システムも含めて、ユーザーさんによるゲームの評価、つまりは各ストアなどでの生の反応をいかに良くしていくかを最優先に考えています。
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いくら広告費をかけプロモーションをしても、ユーザーさんは遊ぶ前に、必ず他のプレーヤーの評価に目を通します。その時、評価がプロモーション内容と食い違っていたら話になりませんよ。
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――他人と競わせるような、他のソーシャルゲームとは根本的にビジネスモデルが違いますね。
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森下氏:対応しているハードはスマートフォンやタブレットですが、「パズル&ドラゴンズ」はそもそもソーシャルゲームではありませんので、比べて考えたこともありません。強いて言えばオンラインゲームですね。
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=== 面白く、楽しく、驚きのあるゲームが企業価値を高める ===
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――「パズル&ドラゴンズ」のヒットに続く、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「次の一手」は。
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森下氏:現在、制作中のゲームは13本ほどあります。全タイトルに自分が深くかかわっているので、この程度が適正な本数と考えています。ジャンルも幅広く、対応ハードもさまざまです。スマートフォン用がやや多いですね。
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「パズル&ドラゴンズ」がヒットしたので、開発ラインをいきなりすべてスマートフォンゲームにシフトしたり、パズルゲームばかりを制作するようなことはありません。
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なぜなら、スマホのゲームは日常の空き時間にプレーする。家庭用ゲーム機やPCは、どっぷりとゲームの世界に浸って遊ぶというように、それぞれの魅力があるからです。どのハード向けであっても、一貫して大切にしているのは、初めてプレーしたときに体験した事がない面白さがある作品を作りたいということ。
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「パズル&ドラゴンズ」を初めて遊んだとき、「ゲーム専用機に負けない操作性にビックリした」という評価をいただきますが、そうしたサプライズが何より重要だと思います。
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シンプルな理念ですが、面白く、楽しく、驚きのあるゲームを、制作し続けることが企業価値の上昇につながっていくと確信しています。
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――4月29日(月)に東京ドームシティ内で、イベント「ガンホーフェスティバル2013」を開催します。
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森下氏:こうしたイベントはユーザーさんの生の声を社員全員で共有するために、10年間続けています。ユーザーさんの笑顔は、我々の作品作りのパワーの源になりますし、そもそも私はお祭り好きなんです(笑)。
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「パズル&ドラゴンズ」で初めてガンホー・オンライン・エンターテイメントに興味を持たれた方から、毎年参加されている方まで、楽しんでいただけるブースやステージが盛りだくさんですので、ぜひご来場ください。
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――ありがとうございました。
  
 
== 出典・注釈 ==
 
== 出典・注釈 ==

2013年10月26日 (土) 16:07時点における版

東京ゲームショーのガンホーコンパニオン
東京ゲームショーのガンホーコンパニオン

ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は、ソフトバンクグループのオンラインゲームの運営を行う企業である。

目次

概要

東京ゲームショーのガンホーコンパニオン

アメリカの大手オークションサイト・OnSaleとソフトバンクの合弁企業、オンセール株式会社として1998年(平成10年)7月1日に発足し、初代社長には孫正義の弟である孫泰蔵が就いた。当初はネットオークション事業を手がけたが、Yahoo!オークション(現ヤフオク!)等の大手オークションサイトの牙城を崩すまでには至らず、2002年(平成14年)8月に同事業からは撤退、現行の社名に変更するとともに韓国のゲーム会社グラビティより『ラグナロクオンライン』の国内運営権を獲得し、オンラインゲーム運営事業へと転換する。その後も『A3』・『ポトリス』の運営も請け負うなど、オンラインゲームを総合的に運営するようになる。このラグナロクオンラインのヒットにより、2004年事業年度においての売上高は約42億円と急成長を遂げ、同タイトルへの依存度が99%以上ながらも、監査法人トーマツによる国内成長企業ランキングFast50において2位以下を突き放して1位を受賞、アジア内成長企業ランキングFast500においても10位を受賞した。2005年(平成17年)3月9日には大証ヘラクレス市場に上場を果たした際には、公募価格の1株120万円に対し、一時期は1株2000万円弱まで高騰し話題となった。その後も積極的に提携やM&A等を進めている。

2006年(平成18年)7月13日には公式ウェブサイトをリニューアルすると共に、ガンホーゲームズを展開した。これはカジュアルゲームブログ、ネットニュースなどを統合したポータルサイトであり、傘下企業のブロッコリーや、提携企業の日本ファルコムなどと協力し、アバターサービスとして人気キャラクターが提供されている。なおガンホーゲームズは、ジーモード社との合弁企業ガンホーモードによって運営されていたが、2007年(平成19年)6月6日、ガンホーゲームズの運営をガンホー単独で行う発表がされた。

2008年(平成20年)2月17日、グラビティの株式52.4%を取得し同社を買収。グラビティは2005年(平成17年)8月にもソフトバンク系列の投資会社EZERに買収されている。

2012年にリリースしたスマートフォン・タブレット向けゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)が大ヒットし、モバイル部門の売り上げがPC部門を上回るほどに成長。長年ラグナロクオンラインに依存していた収益体質が大きく変化した。2012年1-12月の売上高が前年の2.7倍、営業利益は7.9倍になった。2013年3月末には株式分割を実施する。

2013年5月7日付でソフトバンクの連結子会社となる。

諸問題

オンラインゲームの運営に関する諸問題については各オンラインゲームの記事や、日本のラグナロクオンラインを参照のこと。

ラグナロクオンラインに対する不満

ガンホー社は当初より多くのオンラインゲームを運営する現在に至るまで、特に最初期からの主力コンテンツである「ラグナロクオンライン」のユーザーからの不満が非常に根強く、その声はマスコミ各社や国民生活センター等へと、長期にわたり届けられる事となっている。これに対しガンホー社とユーザーとの直接対話の場として2003年(平成15年)にオフラインサミットを、2004年(平成16年)以降からは同年10月にゴシップ雑誌に載せられた「告発記事」による混乱より急遽開催し、運営に対する苦情処理の側面を有したオフラインミーティングを不定期(およそ半年に一度)に開催。2009年(平成21年)からはユーザーシンポジウム(2008年に一度開催されたユーザーシンポジウムと統合)と形式を変更している。開催地を変えながら行われていたオフラインミーティングやその後に行われているユーザーシンポジウムでは、開催形式を改めた際に参加者の人数を増やしたものの、回を重ねるに従い、より少人数に絞る傾向がある。その一方で、ミーティングの録音及びウェブ上での公開を原則許可し、事後に会議結果を公式発表するなど風通しを良くしている。しかしながら、特にゲーム内における不正利用者の問題に関しては、ユーザーが求める要求とガンホーの企業としての認識及び実行力の隔たりの差は非常に大きく、双方の歩みよりが難しい現状が過去数度に渡り行われた当ミーティングにより浮き彫りとなった。

職員による不正アクセス事件

2006年(平成18年)7月19日、いわゆるゲームマスターと呼ばれるゲーム内の不正の取り締まりを担当していた当時の職員が、2005年(平成17年)10月から2006年(平成18年)3月までの期間、直属上司のアカウントを盗み取りラグナロクオンラインの管理サーバーに侵入し、不正に作り出した仮想通貨(ゲーム内通貨・ゼニー)をRMTで現金に換え約1400万円の利益を得ていたとして、不正アクセス禁止法違反の疑いで警視庁に逮捕され、職員は同日付けで懲戒解雇された。同年9月末に当該事件の初公判が行われ、同年10月24日に結審。懲役1年、執行猶予4年の有罪判決となった。これを受け同年11月6日、元職員を相手取り損害賠償請求を目的とした民事訴訟の提起を発表。即日東京地方裁判所に提訴しこれを受理。2007年(平成19年)10月23日、元職員はガンホー社に対し330万円の支払いを命じる判決がされた。しかし、ガンホー社はこの判決結果を不服として控訴。2008年(平成20年)3月13日東京高等裁判所にて控訴審判決がされ、元職員はガンホー社に対し550万円の支払いを命じられた。しかしながらガンホー社はこの判決結果も不服として最高裁判所上告したが、同年7月17日に不受理決定がされ、一連の民事訴訟の判決が確定した。

ガンホーゲームズにて提供中のゲーム

東京ゲームショーのガンホーコンパニオン
東京ゲームショーのガンホーコンパニオン

提供中のゲーム

括弧内は正式またはベータサービス開始日

MMORPG

ファンタジーRPG

  • 燐光のレムリア
  • Dream Drops
  • 真・女神転生IMAGINE(イマジン)

シミュレーションRPG

  • ラグナロクオンライン ギルドマスターズ
  • ブラウザ三国志

シューティングゲーム

シミュレーションゲーム

  • ふわふわパン工房 プチ&パティ(2009年2月12日オープンβテスト、2月18日より正式サービスが開始された。2012年2月16日15:00サービス終了)
  • 聖痕のエルドラド

パズルRPG

提供予定のゲーム

MMORPG

  • ラグナロクオンラインII(2007年8月30日-9月27日 ※クローズドβテストが行われた期間)
    • 上記の期間に行われたクローズドβテストが終了後、再開発により現在サービス停止中。再開時期は未定。

スポーツゲーム

  • eXtreme Soccer(2006年8月11日にβテスト開始)
    • βテスト期間終了後、開発元であるSonicAntが2008年 - 所在不明(倒産ではなく夜逃げ)の為サービス停止中。再開時期は未定。

終了した事業・サービス・ゲーム

括弧内はサービスが提供されていた期間。

事業

サービス

ゲーム

コンシューマーゲーム

2009年までのタイトルはガンホー・ワークスを参照。同社の解散後、販売やサポートをガンホー・オンライン・エンターテイメントが引き継いでいる。

プレイステーション・ポータブル

  • ラグナロク~光と闇の皇女~(2011年10月27日)

PlayStation Vita

  • ラグナロク オデッセイ(2012年2月22日)
  • Dokuro(2012年7月5日)
  • ピコットナイト(2012年9月20日)

ニンテンドー3DS

ゲームアーカイブス

シスコンエンタテイメントSoftgarage魔法マイクロキャビン講談社など、解散したり家庭用ゲーム事業を終了したメーカーから権利を引き継いだPlayStation用タイトルをPS3PSP向けゲームアーカイブスで配信している。タイトル一覧は公式サイトを参照。

スマートフォン・タブレット向けゲーム

株価急騰。パズドラの勢いはどこまで続くか

バッサバッサとモンスターを倒していくかのように、驚くべき大躍進が続いている。スマートフォン(スマホ)向けゲーム『パズル&ドラゴンズ』(パズドラ)を手掛けるガンホー・オンライン・エンターテイメントは、今や押しも押されもせぬスター銘柄だ。2013年5月14日には株価は163万円を付け、時価総額は1.8兆円に達した。グリーDeNAをとうに抜き去り、ゲーム専業最大手である任天堂も越えた。ソニーにも迫る勢いだ。その後、株価は130万円台に反落したが、まだ時価総額は1.5兆円ある。

株価上昇を支えているのは、パズドラの大ヒットである。5月9日に発表した2013年1~3月期(第1四半期)決算は、売上高309億円(前年同期比9.4倍)、営業利益186億円(同75倍)。そのうち、パズドラの収益が約9割を占める。

会社側は業績予想を発表していないが、証券アナリストのコンセンサスでは2013年12月期の純利益は568億円にも及ぶ。130万円台の株価であってもPER(株価収益率)は20倍台だ。驚異的な成長スピードを勘案すれば、ハネ上がった株価も、実は常識的な範囲に収まっている、との見方もできる。

2012年2月にサービスを開始したパズドラは、4月末には累計1300万ダウンロードを突破。国内スマホ保有者の4人に1人が遊んでいるゲームとなった。基本は無料で遊べ、スタミナ回復やガチャと呼ばれる電子くじを回すときなどに使う魔法石(1個最大85円)というアイテムの販売で稼ぐ。

この勢いはどこまで続くのか。「パズドラの勢いは少なくとも10月ごろまで持続する。いたずらに成長を追わない運営方針が、逆にゲームの寿命を長期化させている」とエース経済研究所アナリスト安田秀樹氏は分析する。

新しい成長の種もある。スマホゲームでは3月『ケリ姫』シリーズが累計500万ダウンロードを突破。今冬にはニンテンドー3DS向け『パズドラZ』を投入する。パズドラは2012年11月に北米、同12月に韓国、2013年4月にはカナダで配信が開始され、順調な出足を見せている。

結果的にお株を奪われているのが、モバイルゲームの分野では先行していたグリー、DeNAだ。

スマホへの特化が奏功

グリーの2013年1~3月期は4四半期連続の営業減益となり、通期では営業利益が半減する見通しだ。DeNAは2四半期連続の営業減益で、国内におけるゲーム内の仮想通貨消費はサービス開始後初めて減少した。両社とも従来型携帯電話向けで成長してきたが、スマホに適した大型ヒット作を生み出せていない。

一方ガンホーは、従来型携帯電話向けへの提供は行わず、グリー、モバゲー(DeNA)へ配信していない。スマホに特化し、スマホ普及の波にうまく乗ることができたといえる。また、ガンホーは1998年の設立以来、「パソコン上のオンラインゲームで培った、課金単価を適正に保ち顧客を定着させる、運営ノウハウがある」(森下一喜社長)。それが、グリー、モバゲー上で過熱した高額課金によって疲れたユーザーを取り込んだ面もある。

今後の焦点は、パズドラの成長が鈍化したときに、新たなヒット作が補い、会社全体の成長を維持できるかどうか。森下社長は「M&Aはせず自力で成長をしていく」とサラリと語る。当面はその一挙手一投足に注目が集まることは間違いない。

ガンホー森下社長が語った開発の裏側

パソコン向けオンラインゲーム「ラグナロクオンライン」から出発し、スマートフォンゲーム「パズル&ドラゴンズ」(通称パズドラ)が大ヒット――。

ガンホー・オンライン・エンターテイメントが2013年2月14日に発表した2012年12月期決算に、市場関係者は度肝を抜かれた。売上高258億円(前期比2.7倍)、営業利益92億円(同7.9倍)は、市場の事前予想を大幅に上回る水準だったからだ。

株価は1年で16倍に

驚くことに、足元の成長は加速している。1月単月の売上高85億円は前年同月比11倍。このままの成長が続くと仮定すれば、わずか3カ月で前年度の売り上げに並ぶ計算である。

同じ色のブロックを3つそろえるのが基本的な遊び方株価の値上がりも尋常ではない。2月18日にはソーシャルゲーム大手、グリーの時価総額を追い抜き、2月22日の終値272万5000円は、1年前の約16倍だ。同時点の時価総額3133億円は、ジャスダック5位の日本マクドナルドホールディングスに次ぐ。

成長を牽引するのがパズドラだ。パズドラはモンスターを育て、パズルでバトルする新ジャンルのゲーム。自分で選んだモンスターで編成したチームで冒険に出かけ、ドロップ(パズル)をそろえる。モンスターを討伐し、ダンジョンを攻略するという一連の流れには、従来のソーシャルゲームにさほど必要とされない戦略性が求められる。

グリーやディー・エヌ・エー(DeNA)で提供される従来のソーシャルゲームは、カードバトルと呼ばれ、とにかく強いカードを集めれば前に進める単純なものが多い。だが、パズドラはそうしたゲームと一線を画す奥深さがある。

パズドラは2012年2月20日のサービス開始から、ちょうど1年で900万ダウンロードを突破した。それまでソーシャルゲームの歴史を塗り替えたとされていたコナミの「ドラゴンコレクション」は2012年2月時点の登録者が750万人。ここに至るまでに2年5カ月を要したことを考えれば、パズドラはソーシャルゲーム業界で、新しい金字塔を打ち立てたと言ってもいいだろう。

パズドラが大ヒットしている理由は何か。ガンホーは今後、どのような戦略を描いているのか。森下一喜社長兼CEOが本音を語った。

――ものすごい業績の伸びと株価の上昇です。

株価については、非常に高い期待値をいただいていると思っています。期待されることは、それ自体大変ありがたい。ただ、モノづくりと株価は関係ありません。株価を高くするために僕たちはゲームを作っているわけではないし、今も最高に面白いゲームを作るということだけを考えています。

――冷静ですね。

冷めていると言われているかもしれません。僕らは2005年3月に上場して、そのときも株式市場から高い評価をいただきました(注:上場時の株価は調整後94万円)。浮かれたつもりはなかったけれども、株価は最近まで低迷していました。そうした経験もあり、株価は気にせず面白いゲーム作りに専念することが、社員の幸せや充実につながると思っています。

ヒットしたのは「運」

――パズドラがヒットした理由は?

運ですね。これをやったから上手くいったんじゃないかという分析は、正直くだらない。僕たちが作っているゲームは妥協せず、すべて魂を込めて作っています。

順序が違えば、パズドラはヒットしていなかったかもしれません。タイミングが良かったのは、(ガチャへの依存度が高い)カードバトルと呼ばれるソーシャルゲームで単に絵柄を変えたようなばかりのものが出てきて、ユーザーの中にも嫌悪感が出ていた状況だったということです。運営会社が儲かっているけど、なぜ儲かっているかわからない。そうしたモヤモヤしている中に、ポンと目の覚めるゲームを出せたという面はありました。

いいゲームを出すというノウハウは、家庭用ゲーム機やPCオンラインゲームで培ってきました。例えばタッチパネル型の家庭用ゲーム機向けにソフトを作る場合、コントローラーがあるときと同じ操作性を維持しなければなりません。僕たちのプログラマーは、そうした実直なモノづくりをしてきた実績があります。職人とも言える、優秀なプログラマーがいたからこそ、パズドラが生まれました。

努力がいらないゲームはゲームではない

――パズドラを投入する前に、一度経営幹部がカードバトルのソーシャルゲームを提案し、森下社長が却下した経緯があったとか。

自分が面白いと思わないから、そんなもの作る必要がないと言いました。むしろ、カードバトルゲームで遊んでいたユーザーがドッと驚くようなゲームを作りたかった。

パズドラは最初、2つの案がありました。山本大介(前職はハドソン)というプロデューサーと話し合い、パズルゲームと(陣地を防衛する)タワーディフェンスゲームにする案がありました。結果的に、パズルゲームを選びました。

僕らはこれを「収斂度」と呼んでいますが、運だけでなく、頑張って乗り越えていくという仕組みにしたかった。ゲームって努力することが大事なんですね。よく引き合いに出すのは塾です。大学受験をするとき、独学で行くことも出来ますよね。一方で塾にお金を払っていく人もいます。

ただ、お金を払ったからといって、必ず大学に受かるわけではありません。努力が必要なんです。単純にガチャを回してビックリマンチョコのようにカードを獲得しても、お金を払う努力をしているかもしれませんが、それは努力ではありません。努力がいらないゲームばかりが世の中に増えると、ゲームは世の中に必要ないものになってしまう。

当時流行っているカードバトルゲームをゲームと言っていいのかと考えたときに、達成する喜びや感動を与えるゲームを作りたいと考え、パズドラの開発に当たりました。そうした思想哲学をベースに、山本とああしよう、こうしようと言い合って、現在の形になりました。

合計で4回作り直した

――開発初期のパズドラはどのようなゲームだったのでしょう?

最初は今のように縦ではなく、横の画面でした。絵のテイストも洋風で、キャラクターの表情が海外のRPGのようにリアルな感じでした。そこでまずは横から縦に画面を変え、暇な時間でも気軽に遊べるようにしました。年内に家庭用ゲーム機向けにもパズドラを投入しますが、縦画面に切り替えたこのときから、家庭用への対応は考えていました。

キャラクターデザインもモンスターに変更し、小さい画面だからこそビジュアルイメージが湧きやすいように、自分でドラゴンの目を描きました。ドラゴンを選んだ理由は、国民的キャラクターだからです。

合計で4回作り直しています。開発期間は5カ月で、デザインのほか、感触を何回も確かめました。最初は四方にしか動けなかったので、爽快感がない、テンポが悪いということで自由に動けるようにしましたが、そうすると逆に簡単になり過ぎてしまったので、タイムゲージ(制限時間)を導入しました。ドロップ(パズル)を1回動かすときのタイムゲージを4秒にしたのは、そのためです。

「触感」をとりわけ重要視しています。ユーザーがプレイするときにストレスを感じない触り心地を何回も何回も追求しました。

名前も最初は「ダンジョンパズル」で、「パズル&ダンジョン」になり、ドラゴンを入れろと指示して「パズル&ドラゴン」になり、リリース直前に「ドラゴン&パズル」にしましたが、語呂が悪いと言うことで、「パズル&ドラゴン」に戻りました(笑)。

――開発コストはどれぐらい?

数千万円後半です。特別多いというわけではありません。

――リリース後は、どのような点を改善していますか?

ゲームのバランスですね。ユーザーがダンジョンで行き詰まってしまうと、間にダンジョンを追加し、ユーザーが脱落しないようゲームバランスをなだらかにしています。

――パズドラの開発スタッフは現在、何人ですか?

30人弱です。プロモーションやカスタマーサポートの人員を加えれば、もっと増えます。その30人弱も、パズドラだけの開発に携わっているわけではありません。

「マネタイズ」という言葉は使ったことがない

――パズドラの運営に当たり、数値面で意識している点は?

いわゆるKPI (=Key Performance Indicators。重要業績評価指標)の管理を意識したことはありません。マネタイズ(収益化)という言葉も一度も使ったことがありません。そのような言葉を用いてヒットするのなら、どの会社でもヒットしていますよね。結局、何かの焼回しに過ぎないんです。

事業計画も作っていません。当然、運用上はデータをもとに「このイベントは受け入れてもらわなかったから、次はどうしようか」という対策は取ります。ただ、KPIやマネタイズということを考えて改善するわけではありません。

ゲームのロイヤルカスタマー(固定客)を作りたいという思いはあります。パッケージゲームと同じで「このゲームだったらお金をかけていい」というものを作りたい。「6800円払ってもこのパッケージゲームを買いたい」という気持ちの動機づけを、どのゲームを作るときも意識しています。

僕らには「ゲーム屋」としての思想哲学がある

――今のガンホーにとっての競合は?

エンターテインメント(娯楽)にかかわる企業のすべてですね。たとえばスタジオジブリも米ピクサーも対象に入ってきます。エンターテインメントは人間にとって、必需品ではありませんから、人間のライフスタイル、生活の中にある余暇の時間から、いかに自分たちのゲームに時間を割いてもらうかということが重要になります。

――ここ数年の成長が目覚ましいモバゲー(ディー・エヌ・エー)、GREE(グリー)をどう見ていますか?

彼らはゲームを作りたくてゲーム会社になったわけではないので、言葉は悪いですけど、僕たちとは人種が違います。IT企業として、儲かることは何でもやるのでしょう。彼らには彼らの思想哲学があるでしょうし、僕らには「ゲーム屋」としての思想哲学があります。

僕たちとは合わないから、彼らの土俵には乗りません。いいか悪いかではなく、単純に考え方の違いです。彼らが今後もうまくいくかどうかを気にしている人も多いようですが、それは正直どうでもいいです(笑)。

ゲーム業界で唯一気になるのは、任天堂ですね。モノづくりという観点でいうと、任天堂という会社は素晴らしいし、いちユーザーとしても愛着があります。

任天堂はハードウエアを含めて、日本で唯一モノづくりができるゲーム会社です。今は業績が厳しいですが、かつて「NINTENDO64」(1996年発売)で下火になっていた状況から復活したように、革新的なモノを生み出せる潜在能力は十分にあると思います

海外展開も「運」次第

――パズドラは北米(2012年11月)や韓国(12年12月)でもサービスを始めるなど、海外展開を行っていますが、手応えは?

まだわからないです。これも運がよければうまく行くかもしれません。現地の言語や文化への適応は必要ですが、ゲームの内容を変えて媚びるようなことはしません。純粋に面白いゲームを作れば、世界で受け入れられると思っています。

――パズドラの家庭用ゲーム機への移植はどのプラットフォームを考えていますか?

2013年内に出すことまでは言えますが、プラットフォームは言えません。家庭用ゲーム機にはこれまで「PlayStation Vita」「PSP」「PlayStation2」「ニンテンドーDS」向けに出しています。仮に「ニンテンドー3DS」向けに出すとすれば、初めてになります。

スマートフォンは普及が著しいし、成長が見込めるプラットフォームですが、この中でできることには限界があります。家庭用ゲーム機だったらもっと「こんなことができる」「ユーザーにこんなことが体験してもらえる」という可能性があるので、開発当初からパズドラは家庭用ゲーム機に出していきたいという思いはありましたね。

――業績以外に、今後、運営で気をつけるべき点は何でしょう?

機械ではなく人間が運営しているので、ミスは必ず生じます。問題はミスが発生したとき。「できるだけこまめにアナウンスしろ」と口を酸っぱくして言っています。電車が止まっているときを想像してください。電車が止まっていて、いつ動くのかがわからないときに車内アナウンスがなかったら、ストレスや不安を感じますよね。

これを当社に当てはめてみると、例えばサーバーの障害が発生したときには現状の報告や、ユーザーがストレスを感じた分の還元などを行うようにしています。

もともとがマイナスからのスタート

――(ソフトバンク孫正義社長の弟でガンホーの大株主でもある)孫泰蔵会長は現在どのような立場でガンホーにかかわっていますか?

経営には直接かかわっていません。基本的には僕一人で全体を見ています。創業の頃から孫さんは「ガンホーは森下の会社だから自分が口を出すことはない」と言っていました。

ガンホーの生い立ちは少し複雑です。もともと3人で会社を起こして家庭用ゲーム機向けの受託開発を行っていたところ、大口顧客だったセガが家庭用ゲーム機(ドリームキャスト)から撤退(01年)したことで業績が厳しくなり、会社を売却しました。当時は家庭用ゲーム機に依存しすぎていたので、プラットフォームに依存しないオープンなマーケットという観点から、パソコン向けにはあまり興味はなかったのですが、パソコン向けオンラインゲーム「ラグナロクオンライン」を自分でプロデュースし、新たに会社を作ろうと決めました。

そのときは日本の大手ゲームメーカーから出資してもらうつもりだったのですが、当時、ソフトバンクにいた孫泰蔵さんとたまたま知り合って、オンセールという休眠会社を使ってくれないかと打診されました。もともとはニューマネーで会社を起こすつもりだったので4回くらい断ったんですが、結果的に引き受けてしまいました。債務を抱えた会社でマイナスからのスタートですから、「ドM」もいいところですよね(笑)。

そうした経緯もあり、孫泰蔵さんは会長でありながら、いち安定株主にとどまり、経営には口を出すことはありません。

業績や株価で一喜一憂するつもりはない

――今後、株式市場はパズドラの高成長による反動減を嫌う局面が来ると思いますが、マイナスからの出発で得た経験が生きますか?

そうですね、業績や株価で一喜一憂はするつもりはないです。逆に今の過熱感は、置いてきぼりを食らっている感じがします。繰り返しになりますが、純粋に面白いゲームを作って、それが業績に結び付けば、株主の皆さんにとってもいいことになると思います。

僕たちが作るゲームはすべて作品であり、道具ではありません。魂を込めて作ってきたので、子どもと一緒です。だから、業績や株価で評価して欲しくない。パズドラを特異なゲームとして扱ってほしくもありません。これからも純粋に面白いゲームだけを作り続けていこうと思います。

――2012年は2月にリリースした「パズル&ドラゴンズ」がAppStoreやGoogle Playでほぼ通年で第1位を獲得し、業績も右肩上がりの1年でした。

「『パズル&ドラゴンズ』を楽しまれている方はもちろん、10年間ずっとPCで『ラグナロクオンライン』をプレーしてくれている、根強いファンの方々はとても大切な存在。幅広いファンの期待に応えたい」(森下氏)。この1年で急に何か新しいことを始めたわけではありません。そもそも私が会社を作ったのは自分で面白いゲームを作りたかったから。その思いを形にするため、3年前に開発部門を自分の直轄へ組織改革してから、全タイトルの開発に企画段階から参加しています。

いくら煮詰めても面白くならないゲームはリリースを見送るという決断をしたこともありました。

この3年間、自分たちが100%面白いと思ったタイトルだけをリリースし、一本いっぽん大切にしてきた。その結果と、正直運だと思っていますが、昨年「パズル&ドラゴンズ」がヒットしたと考えています。

――「パズル&ドラゴンズ」は、スマホアプリならではのまめなバージョンアップで、登場モンスターが続々と追加になるなど、プレーヤーを飽きさせない努力がヒットに結びついたと言われています。

森下氏:それもありますが、同じく私が重要だと考えているのはユーザーさんの生の声です。App StoreやGoogle Playなどの評価は何のバイアスもかかっていない、貴重な意見。「もっとこうだったら面白かったのに」というコメントを読むと、「うーん、悔しい。では、その期待をさらに上回るように改良しよう」と思い、実行に移す。その繰り返しです。

――家庭用ゲームメーカーは、なかなかそうした「運用」に対応できる体制が組めずに苦戦しています。

森下氏:我々は10年間、「ラグナロクオンライン」などのPCオンラインゲームを手がけているので、ユーザーさんの要望をとり入れながら継続的に開発していくことに慣れています。その経験が「パズル&ドラゴンズ」でも生きています。

家庭用ゲームで得たノウハウを活用

――「パズル&ドラゴンズ」は1000万ダウンロード目前です。(2013年3月6日時点、2013年3月25日に1100万ダウンロードを発表)TVCMの効果もあり、日ごろゲームを遊ばない層も取り込んでいるのでは?

森下氏:1000万ダウンロードという数字もありがたいですが、ユーザー数が増加しても、App StoreやGoogle Playなどで、高い評価を付けてもらえる率が変わっていないことに手ごたえを感じています。これは誰でも遊びやすいゲーム作りにこだわった結果でしょう。

――平成24年度の通期業績ではモバイル関連の売り上げが半分を超えました。

森下氏:PCや家庭用ゲーム機は、ハードのある場所で遊ばなくてはならない。スマートフォンはそうした制約から解放される圧倒的なメリットがあるので、市場が二極化するのは自然な流れでしょう。

一方でスマートフォンの画面は小さく、専用コントローラーがないという制約もあります。

そこで大切になるのは、小さい画面でもストレスを感じさせないUI(ユーザーインターフェイス)の設計。我々はPlayStation VitaニンテンドーDSなど、携帯ゲーム機用タイトルも手がけていますから、そのノウハウを活用しています。

家庭用ゲーム機の強みは専用のコントローラーを備えていることですね。純粋にボタンを押すだけで気持ちいいじゃないですか。その快感をいかにスマートフォンなどのタッチパネルで再現するかは、プログラマーの技術力にかかってます。「パズル&ドラゴンズ」で家庭用ゲーム機に匹敵する操作性を実現できたことが、ヒットの一因だと思っています。

――「パズル&ドラゴンズ」の国内ヒットを受け、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの海外展開は?

森下氏:海外で現状展開がスタートしているのは、米国と韓国。なぜ、そこからかというと支社があり、現地流のプロモーションや、カルチャーを取り入れやすいからです。「パズル&ドラゴンズ」や「ケリ姫クエスト」などを展開していますが、海外ユーザーさんが各ストアなどに書き込んだ評価を目にすると、直感的な面白さは世界共通なのだと受け止めています。

国内で「パズル&ドラゴンズ」がヒットしたからといって、海外でも一気に攻勢をかけるのではなく、あくまでも現地のユーザーの生の声に耳を傾けつつ、種をまいている状況です。

――「パズル&ドラゴンズ」のグラフィックスは日本市場にマッチしたアニメ風ですが、海外市場に合わせてリアルに書き換えるなど仕様変更をしていくのでしょうか?

森下氏:ありえませんね(笑)。なぜなら我々は日本人だからです。世界に負けない作品をと、肩肘を張ったり、媚びたりしてもよい結果を生みません。いつも「まず、自分たちが面白いと思うモノを作ろう」と開発チームとは話しています。

――中国などで、現地のパートナーと手を組むゲームメーカーも多いようですが?

森下氏:PCオンラインゲームを長く手がけているので、海外展開の難しさは業界内からよく耳にします。愛情を込めて作り上げた1本が、現地ではしっかりプロモーションをしてもらえず、まったくヒットしなかったというケースもあるようです。可愛いわが子を不遇な目には遭わせたくないので(笑)、こうした取り組みは慎重に行いたいですね。

「パズル&ドラゴンズ」はソーシャルゲームではない

――「パズル&ドラゴンズ」は課金せずとも十分に楽しめるゲームバランスも人気の理由の一つです。大ヒットを受け、ビジネスモデルはどのように発展していくのでしょうか。

「海外戦略に自然体で臨んでいるのは、過去にPCオンラインゲームで散々失敗した経験があるからです(笑)」(森下氏)

森下氏:「パズル&ドラゴンズ」のビジネスは、ゲームを進めるための補助アイテム「魔法石」の課金システムで成り立っています。ユーザーさんが増加したから課金システムを変更するということは、まったく考えていません。また、今後は、スマートフォン以外のプラットフォームへの展開や、キャラクターマーチャンダイジングなどを考えています。

繰り返しになりますが、課金システムも含めて、ユーザーさんによるゲームの評価、つまりは各ストアなどでの生の反応をいかに良くしていくかを最優先に考えています。

いくら広告費をかけプロモーションをしても、ユーザーさんは遊ぶ前に、必ず他のプレーヤーの評価に目を通します。その時、評価がプロモーション内容と食い違っていたら話になりませんよ。

――他人と競わせるような、他のソーシャルゲームとは根本的にビジネスモデルが違いますね。

森下氏:対応しているハードはスマートフォンやタブレットですが、「パズル&ドラゴンズ」はそもそもソーシャルゲームではありませんので、比べて考えたこともありません。強いて言えばオンラインゲームですね。

面白く、楽しく、驚きのあるゲームが企業価値を高める

――「パズル&ドラゴンズ」のヒットに続く、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの「次の一手」は。

森下氏:現在、制作中のゲームは13本ほどあります。全タイトルに自分が深くかかわっているので、この程度が適正な本数と考えています。ジャンルも幅広く、対応ハードもさまざまです。スマートフォン用がやや多いですね。

「パズル&ドラゴンズ」がヒットしたので、開発ラインをいきなりすべてスマートフォンゲームにシフトしたり、パズルゲームばかりを制作するようなことはありません。

なぜなら、スマホのゲームは日常の空き時間にプレーする。家庭用ゲーム機やPCは、どっぷりとゲームの世界に浸って遊ぶというように、それぞれの魅力があるからです。どのハード向けであっても、一貫して大切にしているのは、初めてプレーしたときに体験した事がない面白さがある作品を作りたいということ。

「パズル&ドラゴンズ」を初めて遊んだとき、「ゲーム専用機に負けない操作性にビックリした」という評価をいただきますが、そうしたサプライズが何より重要だと思います。

シンプルな理念ですが、面白く、楽しく、驚きのあるゲームを、制作し続けることが企業価値の上昇につながっていくと確信しています。

――4月29日(月)に東京ドームシティ内で、イベント「ガンホーフェスティバル2013」を開催します。

森下氏:こうしたイベントはユーザーさんの生の声を社員全員で共有するために、10年間続けています。ユーザーさんの笑顔は、我々の作品作りのパワーの源になりますし、そもそも私はお祭り好きなんです(笑)。

「パズル&ドラゴンズ」で初めてガンホー・オンライン・エンターテイメントに興味を持たれた方から、毎年参加されている方まで、楽しんでいただけるブースやステージが盛りだくさんですので、ぜひご来場ください。

――ありがとうございました。

出典・注釈

  1. Kindle Fire版リリース記念プレゼント!

関連会社

過去

  • ガンホー・ワークス - インターチャネル・ホロンのコンシューマゲーム部門・映像部門の一部の譲渡を受け、ガンホー本体のコンシューマゲーム事業と統合して設立。法人は親会社に事業譲渡し解散。
  • ジー・モード - モバイル、ポータルサイト、携帯電話向けゲームも手がける。現在はアプリックスIPホールディングス傘下。

外部リンク

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