GMC・サイクロン
GMC・サイクロン(GMC Syclone )は、ゼネラルモーターズがGMCブランドで生産していたピックアップトラック。GMC S-10の前身であるソノマのハイパフォーマンスバージョンとしてプロダクション・オートモーティブ・システムズ(Production Automotive Systems )で1991年から1992年に生産された。
概要[編集]
1990年にユタ州のボンネビル・スピードウェイで開催されたボンネビル・ナショナル・スピードトライアルでピックアップトラックの世界最高速記録に挑み、時速210マイル(約336km/h)を記録したGMCがホモロゲーションを取得すべく開発・生産されたのがサイクロン。2年間に僅か2,998台が生産されただけのため、世界的に希少価値が高く見かける機会は極めて稀である。
ピックアップトラックとしては過剰ともいえる動力性能を持ち、市販状態でも停止状態から時速60マイル(約96km/h)までの発進加速が4秒台、SS1/4マイル(ゼロヨン相当)13秒台、最高時速125マイル(約200km/h)ということから、「フェラーリ・テスタロッサ殺し」の異名を持つ。
エンジンはシボレー・アストロの4,300cc・V型6気筒OHVのLB4型を三菱TD06-17Cタービン+ギャレット製水冷・空冷インタークーラーで過給、GMスモールブロックエンジンのスロットルボディ流用等のチューニングで、最高出力280hp/4,400rpm、最大トルク49.8kgf-m/3,600rpmを発揮する。これにシボレー・コルベットの4速ATが加わり、トランスファーはオールズモビル・ブラバダで採用された前軸35%/後軸65%で駆動力を配分するフルタイム四輪駆動である。
足回りはフロントがダブルウィッシュボーン+トーションバースプリングで、リアは板バネ+リジッドアクスルを採用、ソノマに比べて2インチのローダウンが施されている。 ブレーキはフロントがベンチレーテッドディスク、リアがデュオサーボドラムで、ABSが備わる。
備考[編集]
- 熱帯低気圧のサイクロンはCycloneだが、インパクトを与えるべく車名の綴りはSycloneとした。
- 市販車はすべて黒一色。
- 1992年のインディ500では3台のサイクロンがペースカーとして活躍した。
- スミソニアン博物館に一時期サイクロンが展示されていた。現在はGMCが引き取って保管している。
- サイクロンのコンポーネントは追って登場したタイフーンにもそのまま採用された。
- サイクロンの廉価バージョンとして1992年にソノマGTが登場、約800台が限定生産された。
- エンジン:L35型4,300ccV6NAエンジン(195hp、サイクロンはターボ付き280hp)
- 駆動方式:後輪駆動(サイクロンは四輪駆動)
- サスペンション:ローダウン未施工
- サイクロンのエアロパーツを装着