調教師

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  1. 一般的な意味としては、など動物をしつけ、人の言うことを聞くようにする人のこと。またその仕事。特定の分野では人をしつける場合にも用いることがある。
  2. 競馬において、厩舎を運営し競走馬を管理することを業とする者。以下に記述する。

調教師(ちょうきょうし)とは、競馬において厩舎を運営し競走馬を管理することを業とする者のことである。現場では、俗に騎手を逆にした手騎(テキ)と呼ばれている。

日本における免許制[編集]

日本で中央競馬の調教師になろうとする者は日本中央競馬会が発行する調教師免許を、地方競馬の調教師になろうとする者は地方競馬全国協会の調教師免許を取得することが必要である。この2つの免許は異なるものである。 また、騎手免許と調教師免許は同時に取得することは出来ないため、騎手免許を持っていた者が調教師免許を取得した場合、騎手免許を返上し騎手を引退するのが通例である(騎手#調騎分離に詳しい)。調教師免許を持っていた者が騎手免許を取得した例は日本ではないが、取得しようと騎手免許試験を受験した例はある(2000年に内藤繁春が受験したことがある)。

調教師試験の合格者は、下記の「#開業まで」にもあるとおり、日本の競馬では馬房の数の制限があるために、ある年に調教師になることができる人数は、引退する調教師の人数との関係で自ずと制限される。調教師となることの出来る人数が限られる以上、調教師免許試験の合格者数も限られており、中央競馬の調教師免許試験では年に5~8人ほどというのが通例である。そのため、しばしば合格率が1割にも満たない超難関となる。

開業まで[編集]

日本において、調教師が調教師業を始めるにあたっては免許の他に、馬房(馬を飼育する施設)が必要である。馬房は主催者(中央競馬においては日本中央競馬会(JRA))から与えられるもののみが使用できる。自分の資金で独自に馬房などの設備を構えて、そこで調教師業を開くことはできない(ただし、現在は外厩と呼ばれる制度が一部の地方競馬で導入されている。また馬房に冷房装置を取り付けるなどの改良は行える場合がある)。 馬房は競馬場もしくはトレーニングセンター(中央競馬では美浦トレーニングセンター栗東トレーニングセンター)と呼ばれる場所に存在する。

なお調教師免許取得者は、免許取得から約1年間、すでに開業している調教師の下で研修を積むのが通例である(この期間の肩書は技術調教師と呼ばれている)。この期間に馬主とのパイプを確保し、開業時に競走馬を確保する準備期間も兼ねている。 ただし、調教師が死亡したり、免許を返上するなどして、急に馬房が空いた場合には、臨時貸付期間(調教師が不在の厩舎の競走馬は競走に出走できない為、既に開業している調教師に馬房を臨時で割り当て、競走馬の出走などの日常業務を滞りなく行うとともに、転厩などの為の準備期間)を経て、研修中の調教師が予定を繰り上げて開業することになる。

開業後[編集]

主催者から与えられる一定数の馬房(馬を飼育する施設)を使って競走馬を管理し、レースに出走させる。収入源は馬を預かって調教する預託料と、競走で勝利を収める際に入ってくる賞金である。競走で勝利を収めることによって馬を預かって欲しくなる馬主が増加し、預託料も増加することから、競走で勝利することが調教師の収益に大きな影響を与える。

中央競馬では物理的な制約から総馬房数が自然と決まり、それを各調教師ごとに配分している。現在では新調教師には少なく割り当てられ、年々その数を増やすことで、開業当初の不慣れな調教師業での負担軽減と、慣れてきた頃に調教師業の拡大を円滑に行わせる目的がある。また、近年では馬房数は競争原理により増減させるメリットシステムを導入している(#メリットシステムを参照)、 調教師が馬主と預託契約を結ぶことのできる頭数には一定の制限がある(現在は管理馬房数の3倍が上限。馬房数の上限は24とされているため、72頭を上回ることはない)。

メリットシステム[編集]

中央競馬において、2004年度より、調教師の厩舎経営状況・調教技術により、厩舎の管理馬房数が増減する制度(メリットシステム)が導入された。競馬界にも優勝劣敗の法則を導入するべきであるとの声に応えての取り組みである。なお、2006年の年末にルールの一部見直しが発表された。

対象は20馬房の割り当てを受けている(過去に受けた)調教師であり、新人や開業後まもない調教師(開業直後は20馬房より少ない数から始まり、年々加増される)は対象から外される。 具体的には、経営状況(1馬房あたりの出走実頭数、1馬房あたりの出走延頭数)と調教技術の評価(1馬房あたりの勝利数、1馬房あたりの獲得賞金、勝率)の項目を偏差値化し、前2年間の合計(2008年より出走実頭数、出走延頭数は1/2とされる)に基づき評価される。 評価の結果、各トレーニングセンター毎に下位である約1割(2007年度より)の馬房が2ずつ削減され、その馬房が上位の調教師に分配される(実際には2004年は下位5厩舎、2005年は下位8厩舎、2006年は下位12厩舎の馬房が削減された)。馬房数の変更は物理的なものを伴う為、評価は同一トレーニングセンター内でのみ行われ、美浦と栗東の異なるトレーニングセンターの調教師が比較されることはない。 また、2008年より過去に削減された調教師がその翌年以降、査定順位の中央値を上回った場合には、馬房を加増の対象となる。 同一の調教師が2年連続で削減の対象となることはない(しかし、逆に言えば2年後もまた評価順位が下位ならば再削減を食らうということでもある)。2009年には馬房数の加増は28まで、削減は12までの範囲で行われることとなっている。

引退・定年制[編集]

調教師は騎手とは異なり、肉体労働というよりもマネージメント業であるため、高齢になっても仕事を行うことは難しくない。

しかし、総馬房数が限られているにもかかわらず高齢の調教師が引退しないために世代交代がうまく進まず、調教師試験の合格率が5%前後にまで落ち込むなど旧来の制度の弊害が顕著に表れた。 そのため、中央競馬においては、1989年3月1日より調教師の70歳定年制が導入された。ただし当時は70歳を超える調教師が多数であったため1999年までは経過期間とされ、要件どおりの制度運用が開始されたのは2000年以降である。この制度により、稲葉幸夫二本柳俊夫大久保房松といったベテラン調教師が引退した。

また大井競馬でも定年制(75歳)が導入されている。一方で川崎競馬では調教師の定年制が無い為、八木正雄調教師(1917年2月23日生)は2007年の誕生日を迎えて90歳となったが、現役の調教師として活躍をしている。

関連項目[編集]