東芝の労働事件
東芝の労働事件は東芝の労働問題の総称である。いずれの問題もマスコミ報道をはじめとする紛争沙汰に発展している。
概要[編集]
東芝やその関連会社に勤める社員の過労死認定等の労働事件は従来から存在していたが、[1][2]、08年に入ってからは、その件数が特に増えてきている。加えて、従前では見られなかった類の労災事件が多いこともあって、東芝における労働事件はマスコミ各社からも注目を浴びている。
08年では、長時間労働など業務上のストレスで男性技術職員が自殺した事件において、労基署は、妻が詳細に記録していた男性の出勤時間や帰宅時間などを考慮し、1ヵ月あたり100時間前後の時間外労働が続いていたと認定し、労災を認めた(08年4月)。この事件では、東芝側は「タイムカードの保存期間が経過した」などとして、労働時間記録の提出を行なわず、遺族に対して非常に非協力的な態度を取っている[3]。また、東芝がうつ病で休職していた元社員を解雇した事件においては、東京地裁は当該解雇は無効であるとして、東芝に対し未払い賃金や慰謝料等の支払いを命じている(08年5月)[4]。この事件においては、東芝広報室は「主張が認められず、大変遺憾。控訴の手続きを取った」と発表し、徹底的に争う姿勢を見せている[5]。この他に、東芝においては、職場の要求実現を求める労働者を排除し昇進昇格差別を行なってきたことが問題になったが、県労委だけでなく中央労働委員会も「組合に対する支配介入」と認定し東芝に是正を命じたため、08年になって全面和解に至った(08年04月)[6][7]。
09年では、東芝子会社「東芝電機サービス」に勤務する男性技術者が出張先で死亡した事件において、当該社員の死亡は過労死だったとして労災が認定されている(09年2月)[8]。さらに、最近では、東京地裁によって東芝の元女性社員の労災認定がなされている[9](09年5月)。
これらの事件では、過労を原因とする休職中に一方的に解雇すると企業の雇用責任が問われるリスクがあること、遺族が提出することが困難なタイムカード等の証拠が無くても、日記等で過重労働を立証すれば過労が認定され得ることが明らかになった点で社会的にも重要な意義を持つ。
この他に、社外の労働組合に加入している東芝社員に対してユニオンショップでも会社労組脱退認めた事件もあり、当該事件は、最高裁判決ということもあり、労働法上、重要な意義を持つ[10]。 なお、労働事件とは異なるが、08年4月には東芝の社宅にて硫化水素による自殺も発生している[11]。
脚注[編集]
- ↑ http://www.jil.go.jp/mm/hanrei/20021011b.html 東芝社員の過労死認定-80時間超える残業
- ↑ http://karoushi.jp/joho/joho11.html 失踪から1年半後に発見 過労自殺で初労災認定 千葉の男性
- ↑ http://counseling.st/hr/news/2008/14.php 東芝社員のうつ自殺が労災認定、妻の日記で長時間労働を立証 -熊谷労基署
- ↑ http://counseling.st/hr/news/2008/18.php うつ病で休職の東芝元社員の解雇は無効 (東芝側は控訴)-東京地裁
- ↑ http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20371964,00.htm 仕事で鬱病 解雇は無効 東芝に賃金支払い命令
- ↑ http://homepage3.nifty.com/54321/roudoujikenbo.html
- ↑ http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-25/2008042501_01_0.html
- ↑ http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090202/crm0902022157028-n1.htm 東芝子会社・技術者の過労死認定 時間外労働は月114時間
- ↑ http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-05-19/2009051901_03_1.html 東京地裁 東芝の責任明確に
- ↑ http://himadesu.seesaa.net/article/32720305.html <ユニオンショップ>「脱退認めぬ合意」無効 最高裁判決
- ↑ http://www6.big.or.jp/~beyond/akutoku/news/2008/0412-54.html 男性が硫化水素自殺? 社宅で火災訓練中に(産経新聞)