図書館
図書館(としょかん)とは、図書、雑誌、視聴覚資料、点字資料、録音資料等のメディアや情報資料を収集、保管し、利用者への提供等を行う施設もしくは機関である。
目次
概要[編集]
実物資料を中心に扱う博物館、非定型的文書資料を中心に扱う公文書館とともに基礎的な蓄積型文化施設であり、出版物を中心に、比較的定型性の高い資料を蓄積するものである。
図書館資料は時代と共に拡大されており、20世紀後半からは、ビデオソフト・DVDやCD等の視聴覚資料、又、(印刷物ではなく)電子媒体によって提供される資料を使える図書館が増えてきた。また、インターネットで提供される資料を、館内に設置された端末で使える図書館もある。
図書館まで来られない人々の為に、車輛に本棚を載せ図書を収めた移動図書館を用意する自治体も多い。大都市部では、交通ターミナルの近くに公的な図書館、もしくは図書館分館を持っている所も出て来て、図書館サービスの形態が変わり始めている。
仕事や学校などがある人でも利用できるようにと土曜日、日曜日にも開いている図書館が多い。またその場合、かわりに月曜日若しくは火曜日を休館日とすることが多い。祝日に開館するかは地域や図書館によって異なる。
一般に、娯楽を目的とする図書館と学習や調べ物をする為の図書館とに分かれる。図書館の利用者層や蔵書形態も様々で、児童図書中心とした図書館や、漫画のみを扱ったまんが図書館、学生に学習室を開放したり社会人に利用者層を絞った図書館、大学等に付随する学校図書館等がある。
図書館とは、明治中期に英語のlibraryから訳された訳語(和製漢語)。「図書館」は、地図(図版)の「図」、書籍の「書」を取って、図書とし、図書を保存する建物という意味であった。
図書館の歴史[編集]
世界史上早期の図書館として有名なものに、紀元前7世紀のアッシリア王アッシュールバニパルの宮廷図書館がある。アッシリア滅亡時に地下に埋もれたまま保存されたこの図書館の粘土板文書群の出土によって、古代メソポタミアの文献史学的研究が大きく前進した。さらに下ってヘレニズム時代になると、紀元前3世紀のアレクサンドリア図書館が著名である。これには薬草園が併設されており、今日の植物園のような遺伝資源の収集も行われていた。つまり、今でいう図書館、公文書館、博物館に相当する機能を併せ持っていたのである。この図書館は、付近を訪れる旅人が本を持っていると、それを没収して写本を作成するというほどの徹底した資料収集方針を持ち、古典古代における最高の学術の殿堂となっていた。
歴史的には、学術研究用に資料を集めた場として、学者や貴族以外の者は利用出来なかったり、利用が有料であった時代が長い。中世には、本一冊で家が買えるほど貴重なものであった為、鎖で本棚に繋がれていた。グーテンベルクの印刷術により本が大量生産出来るようになって初めて、「誰でも無料で」の原則が広まり始めた。
日本の図書館の歴史は、文庫、書庫、書府、経蔵や書籍館(しょじゃくかん)に遡る。現在でも、古文書館、文書館(もんじょかん)といった歴史的文書の保存施設がある。
日本における初期の近代的な図書館としては1872年に文部省によって設けられた書籍館がある。この時期にはまだ名称は一定していない。図書館という名前が初めて採用されたのは、1877年の東京大学法理文学部図書館とされている。その後、図書館という名称が普及していき、1899年公布の図書館令において図書館という語が用いられた事で定着した。
2007年10月1日、東京都港区にある全ての図書館にて全ての本にICが導入された。港区立図書館6館にて昨年度から5691本(約750万円相当)が不明状態にあるという。
図書館の機能[編集]
図書館の機能は大きく分けて6つある。
図書館資料の収集[編集]
図書、新聞、雑誌を初めとして、CD等のマルチメディアの収集を行なう。この時、利用者の立場に沿った収集方針を定め、計画的に収集していく。また、利用されなくなった資料のうち、保存するだけの資料価値が乏しいと判断されたものは定期的に廃棄(除籍という)して、資料の整理を行なう。
図書館資料の整理[編集]
資料は適切に整理されていないと利用価値が無い。収集された資料は各館が定めた分類法(公立図書館等では、「日本十進分類法」に沿ったものが多い)により分類番号等を付けて利用されやすいように整理する。また資料毎に日本目録規則に従って目録が作成されており、これを検索する事によって資料の情報を得る。
図書館資料の保存[編集]
各種資料はその材質に応じて適切に保存する必要がある。また、書籍等の劣化に対応して、補修を行なったり、貴重な資料に関しては(例えば、電子的な)複製の作成も行なう。更に、増大する新規資料を保存していく場所の確保も重要である(1つの方策として前述の除籍がある)。
図書館資料の提供[編集]
図書館の最大の業務は資料・情報提供である。図書館資料の貸出、レファレンスサービス、レフェラルサービス、朗読サービス、複写サービス、アウトリーチサービス等を提供する。また、司書等による情報検索サービス等も行なわれている。
なお、貸出方式にはニュアーク式、ブラウン式、逆ブラウン式、回数券式、一括ブラウン式、フォトチャージング式、リーダーズ・トークン式、ライブラリー・トークン式、コンピューター方式等々様々な方式がある。
集会活動、行事の実施[編集]
図書館利用の広報活動の事である。
資料及び図書館利用に関する指導[編集]
図書館の利用のガイダンスを行なう事である。
図書館の提供サービス[編集]
図書館が行っているサービスを図書館奉仕(英:Library Services)といい、代表的なものには次のものがある。
- 貸出 lending service
- 複写 copy service
- リクエスト・予約 request service
- 参考業務(レファレンスサービス)reference service
- 相互貸借 interlibrary loan
図書館の種類[編集]
- 設置者別
- サービス対象別
公立図書館、民法上の公益法人または日本赤十字社が設置する私立図書館は、図書館法により規定されている。
都道府県教育委員会または市町村教育委員会もしくは学校法人が設置する学校に設置される学校図書館は学校図書館法により規定されている。
大学図書館は文部科学省令である大学設置基準に規定されている。
国立国会図書館東京本館、国立国会図書館関西館および国立国会図書館国際子ども図書館ならびに国立国会図書館が司法、行政各部に設置する支部図書館は、国立国会図書館法に規定されている。
日本の国立図書館[編集]
- 国立国会図書館 The National Diet Library of Japan
- 国立国会図書館関西館 Kansai-kan of the National Diet Library of Japan
- 国際子ども図書館 The International Library of Children's Literature of Japan
日本の専門図書館[編集]
- アジア経済研究所図書館 The Institute of Developing Economies Library
- 大阪府立国際児童文学館 International Institute for Children's Literature,Osaka
- 大宅壮一文庫
- 大原社会問題研究所
- 天理大学附属天理図書館
- 蓬左文庫
- 三康図書館
- 東書文庫
- 名簿図書館
- 松竹大谷図書館
- 自費出版図書館
- 日本財団図書館
- 成田仏教図書館
- 防衛庁防衛研究所戦史部図書館
- 長野電波技術研究所附属図書館
- 東京ゲーテ記念館
- 現代マンガ図書館
世界の主な図書館[編集]
- 新アレクサンドリア図書館 The Bibliotheca Alexandrina
- 英国図書館 The British Library
- ボドリーアン図書館 The Bodleian Library
- ケンブリッジ大学図書館 The Cambridge University Library
- アメリカ合衆国議会図書館 The Library of Congress
- ニューヨーク公共図書館 The New York Public Library
- ハーヴァード大学図書館 The Harvard University Library
- フランス国立図書館 La Bibliothèque nationale de France
- ドイツ図書館 Deutsche Nationalbibliothek
- ベルリン国立図書館 Staatsbibliothek zu Berlin
- オーストリア国立図書館 Österreichische Nationalbibliothek
- オランダ王立図書館 Koninklijke Bibliotheek
- レイデン大学図書館 Universiteitsbibliotheek Leiden
- デンマーク王立図書館 Det Kongelige Bibliotek
- ウプサラ大学図書館 Uppsala universitetsbibliotek
- ローマ国立中央図書館 Biblioteca Nazionale Centrale di Roma
- フィレンツェ国立中央図書館 Biblioteca Nazionale Centrale Firenze
- スペイン国立図書館 Biblioteca Nacional de España
- ロシア国立図書館_(モスクワ) Российская государственная библиотека
- ロシア国立図書館_(サンクトペテルブルク) Российская Национальная библиотека
- アンブロシウス図書館 Biblioteca Ambrosiana
- バチカン図書館 Bibliotheca Apostolica Vaticana
- 中国国家図書館(旧称:北京図書館) 中国国家图书馆(中華人民共和国)
- 国家図書館 國家圖書館(中華民国―台湾)
- インド国立図書館 The National Library of India
- The European Library
インターネット上の図書館[編集]
関連項目[編集]
- 図書館法
- 日本図書館協会
- 図書館員 - 司書 - 司書補 - 司書教諭 - 学校司書
- 図書館情報学 - 図書館学 - 情報学
- 電子図書館
- 目録 - OPAC - 日本目録規則(NCR)
- 図書分類法 - 日本十進分類法(NDC) - 国際十進分類法(en:UDC) - デューイの十進分類法 - 米国議会図書館分類法(en:LCC) - コロン分類法
- 開架式図書館 - 閉架式図書館
- 図書館史
- 設備
- 図書館奉仕
- 図書館資料 - メディア - 電子媒体
- 種類
- 大統領図書館
- カーネギー図書館(en:Carnegie library)
- 近代以前の日本における図書館(的な施設)-図書寮(ずしょりょう)・芸亭(うんてい)・金沢文庫・足利学校
- 日本の図書館蔵書数ランキング
- 特定建築物 - 日本の図書館施設の環境衛生等に関する規定
つくし作業所。スライムの作業所。不定期で桂の図書館に行く事ある
参考文献[編集]
- 北嶋武彦 『図書館概論 新 現代図書館学講座(2)』 東京書籍、2005年。ISBN 4-487-71492-3
- L.カッソン著/新海邦治訳『図書館の誕生』刀水書房 ISBN 978-4-88708-356-1
外部リンク[編集]
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