フォルクスワーゲン・コラード

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フォルクスワーゲン・コラード

コラード(Corrado)は、ドイツ自動車メーカーフォルクスワーゲンが欧州、北米、日本で販売していた2ドア(3ドア)ハッチバッククーペである。事実上、シロッコの後継車にあたる。なお、コラードとはスペイン語で「疾走する」という意味のコレールを元にした造語である。

概要[編集]

1988年にフォルクスワーゲン初のリアルスポーツカーとして発表された。カルマン社と共同開発され、ライバルとしてはポルシェ・944が想定されていた。また多くの基本コンポーネントはゴルフIIと共有されており、ゴルフIIの派生車種として位置づけられている。ただしプラットフォームの前半分がゴルフIIと共通のA2プラットフォームだったのに対し、後ろ半分は3代目パサートと共通のB3プラットフォームが採用されており、内装も当時のゴルフではなくパサートと共通の意匠を持つなど、ゴルフとパサートの中間に位置するグレードだった。チルト式ステアリングコラムも採用されている。

乗車定員は2+2名。リア・オーバーハングは短くトランクルームも狭かったが、リアシートを倒すことで容量を拡大できた。テールゲートに装備されていたスポイラーは70km/h(後に90km/hに変更された)で展開され20km/hで格納されるという速度感応の可変式で、手動での操作も可能だった。安全面ではホイールスピンを防ぐEDS(エレクトロニック・ディファレンシャルロック・システム)を始め、ABSも装備され、後に運転席と助手席のエアバッグも標準装備とされた。タイヤのインチはモデルライフを通じて変換が多かった。

コラードはスポーツカーとしての評価は高かったものの売り上げは振るわず、1995年に生産中止された。直接の後継車は登場せず、カルマンギアに端を発するフォルクスワーゲンの2ドア専用モデルは、クーペカブリオレであるイオス2006年に登場するまで不在となる。またフォルクスワーゲンは同年のパリモーターショーでアイロック (Iroc) と呼ばれるコンセプトスポーツモデルを発表しているが、こちらは2008年よりシロッコの名を復活させた上で発売され、コラード以来久しぶりのフォルクスワーゲン製スポーツカーが登場した。

バリエーション[編集]

イギリスなどでは右ハンドル仕様が販売されていたが、日本では左ハンドルのまま輸入された。

G60[編集]

Gラーダーと呼ばれるスーパーチャージャーを搭載した直列4気筒SOHC 1780ccのエンジンに、5速MTを組み合わせたモデル。最高出力160ps/5600rpm、最大トルク22.9kg・m/4000rpmを発揮した。VR6と16Vの登場に伴い生産終了した。

VR6[編集]

狭角V型6気筒SOHCエンジン搭載。この「VR6」エンジンはパサートと共に導入され、フォルクスワーゲン車にV型エンジンが導入されたのはこれが初めて。またコラードに搭載されたVR6エンジンは、排気量が標準タイプから70cc拡大された2861ccの強化仕様である。さらに5速MTの他に、コラードとして初めて4速ATも採用された。最高出力190ps/5800rpm、最大トルク25.0kg・m/4200rpmを発揮した。G60の事実上の後継モデルと言えよう。

16V[編集]

後にゴルフGTI 16Vにも搭載された直列4気筒DOHC16Vエンジンを採用、変速機は5速MTと4速ATを選択できた。日本での価格が400万円を切る、コラードのエントリーモデルとしての設定だったが、VR6に比べて軽いフロントノーズが魅力的なモデルだった。排気量は1984cc、最高出力135ps/5800rpm、最大トルク18kg・m/4400rpmeだった。VR6よりも1年早くカタログ落ちした。

歴史[編集]

初代(1988年〜1995年)[編集]

  • 1988年、欧州で発売開始。G60のみのモノグレードだった。
  • 1990年、日本と北米に導入が開始される。
  • 1991年、マイナーチェンジ。外観の一部と装備に細かい変更を受ける。ドイツ本国でVR6が追加。
  • 1992年、日本国内で7月からVR6が販売開始、12月にG60が販売終了。ドイツ本国で16Vが追加。
  • 1993年、日本国内で1月に16Vが販売開始、10月に標準装備等の小変更。
  • 1994年、この年をもって16Vの販売が終了する。
  • 1995年、生産終了。日本ではVR6のモノグレードで12月まで販売された。

備考[編集]

脚注・出典[編集]

  1. 村上春樹『やがて悲しき外国語』
  2. 村上春樹『村上朝日堂ジャーナル うずまき猫の見つけ方』

関連項目[編集]