ウイングシャトル
ウイングシャトル(通称:シャトル)は、関西国際空港の旅客ターミナルビルと南北ウイング間を移動するための新交通システムである。あくまでもエレベータやエスカレータ同様、昇降機(水平式エレベータ)扱いで、日本の鉄道事業法や軌道法による鉄道・軌道には含まれない。
路線[編集]
ウイングシャトルは、ターミナルビルの北ウイングを走る路線と、南ウイングを走る路線の2系統がある。
旅客ターミナルビル3階・出国審査場通過後の、国際線トランジットエリア左右にある「本館駅」を起点とし、ウイング中央部ゲートの最寄りとなる「中間駅」と、ウイングのもっとも端の最寄である「先端駅」の3駅がある。「本館駅」と「先端駅」の間はそれぞれ545mとなっている。
途中、本館駅を出てすぐに車両基地があり、ここで車両の整備・改修・洗車が行われる。本館駅と中間駅の間には行き違い線があり、ここですれ違う。このため、この区間に入る際、一旦減速される。早朝や深夜帯は、この行き違い線に1編成ずつ留置されることがある。
運用[編集]
すべて最高時速30kmの無人自動運転で、航空機の到着・出発時刻に併せ、最短2分間隔、最長で4分間隔の運行となっている。深夜帯は運転を取りやめたり、各駅に備え付けの呼び出しボタンを押すことによって、車両をホームに呼び出し、乗車する形となっている。
無料で乗車できるが、誰もが乗車できるものではなく、国際線に搭乗、もしくは海外から関西国際空港に到着、もしくは関西国際空港を経由し第三国へ乗り継ぐ乗客・乗員、および空港関係職員が乗車できる。
各ウイングとも海側(第2滑走路寄り)が先端駅行き、陸地側(第1滑走路寄り)が中間駅行きとなっている。路線の構造上、先端駅行きは非常時をのぞいて中間駅は通過し、中間駅行きは先端駅に行くことはない。
駅の構造[編集]
新交通システムで見られるホームドア式となっている。どの駅もCIQの関係上、出発側と到着側をガラスで仕切られた構造となっている。
車両[編集]
3両1編成で、南北両ウイングに4編成ずつ(北ウイング:01 - 04編成、南ウイング:05 - 08編成)、後述の整備時用の予備編成として1編成(09編成)が配置されている。すべて新潟トランシス(旧:新潟鐵工所)製である。CIQの関係上、車両は出発客専用の1両(両ウイング中央寄り)と、到着客専用(同じく先端寄り)の2両という構成になっている。各々の間は仕切り戸で区切られており、通常は閉鎖されている。前面には非常扉が設けられている。
車体は軽量ステンレス製である。制御方式はサイリスタ位相制御である。
車内の座席は折りたたみ式となっており、1両あたり4席となっている。また、車内中央部には手すりがある。ドア上にはLEDによる位置表示灯が備えられており、到着する前に到着駅のランプが点灯する。ドアチャイムの音は、JR東日本キハ100系気動車と全く同じ音である。
予備編成[編集]
平成11年(1999年)に、現在運行しているウイングシャトルを長期間に渡り整備する際、編成不足を補えるよう1編成増備された。使用しないときは、本館駅出てすぐの車両基地もしくは先端駅(陸地側)に留置される。
仕様としては最初に投入された8編成と同様だが、南北両ウイングで使用できるよう、ドア上の駅名表示が差し替えられる構造となっている。
南北両ウイングへは深夜帯に一度地上に降ろし、陸送され軌道上に吊り上げる。
関連項目[編集]
空港内移動手段として新交通システムが導入されている他の例については、以下を参照すること。
参考文献[編集]
外部リンク[編集]
- 関西国際空港
- 関空探検隊が行く(ウイングシャトルについての解説がされている)
- 新潟トランシス(ウイングシャトル製造会社)
- 南海車両工業株式会社(ウイングシャトルの整備を担当)