ラクス・クライン
ラクス・クライン (らくすくらいん) は、TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』などの作品に登場する人物。
目次
個人データ
- 国籍:プラント→不明(DESTINY時。公的にはプラントのままと思われる)
- 出身:プラント アプリリウス市
- 人種:二世代目コーディネイター(SEEDを持っている可能性あり)
- 生年月日:C.E.55年2月5日
- 年齢:16歳→18歳
- 血液型:B型
- 身長:158cm→160cm
- 体重:53kg→46kg
- 髪色:桃
- 瞳:水色
※矢印右はSEED DESTINY時のデータ。
人生
出生
コズミック・イラ55年2月5日、プラントのアプリリウス市で、プラント最高評議会議長シーゲル・クラインの娘として生まれる。母親は不明。
学歴については全く明らかになっていないが、少なくとも公的には何の問題もなく過ごしていたようだ。
ヤキン・ドゥーエ戦役の数年前、プラント国防委員長パトリック・ザラの息子アスラン・ザラと内々に婚約。ラクスとアスランの意志では全くなく(面識もなかった)、シーゲルとパトリック、親同士が決定した事というのが通説である[1]。
コズミック・イラ70年2月11日、プラントは地球連合に宣戦布告し、ヤキン・ドゥーエ戦役が勃発。ときにラクス15歳。
ラクスは歌手活動やユニウスセブン追悼慰霊団の代表など、公的行事に参加していた。自由条約黄道同盟ZAFTの広告塔として歌やメッセージをプラント国民に送っていたが、彼女自身は「ZAFT(のメンバー)ではない」と述べている。学校に通っていた形跡はないので、既に卒業していたのだろう。
C.E.71年1月25日、ザフトはガンダム奪取作戦を決行。実行部隊であるクルーゼ隊は、奪取目標5機のうち4機を奪取するが、残り1機の捕獲には失敗。さらに破壊にも失敗し、戦闘母艦のアークエンジェルと共に取り逃がしてしまう。この「アークエンジェル」がラクスの運命を大きく変えていく事になる。
ヤキン・ドゥーエ戦役
人質事件
コズミック・イラ2月2日、ラクスは血のバレンタイン事件の犠牲者の追悼式典の準備のため、視察団の代表として民間船シルバーウィンドでユニウスセブンの残骸を視察していた。が、そこで地球連合軍と遭遇。視察団はラクスを緊急避難ポッドで脱出させ、シルバーウィンドは撃沈される。ラクスは連合軍に発見されないまま、ポッドで漂流する。
2月3日、月へと航路を取るアークエンジェルはこの宙域を航行していたが、物資不足を懸念してユニウスセブンから物資を調達する。一方ザフトも捜索部隊が船団を捜索に来ていた。ここで哨戒していたストライクが、追悼船団を捜索しにきた強行偵察型ジンを発見。ストライクはやり過ごそうとしたが、ジンが調達作業中のポッドを発見したため、撃墜。直後にストライクがラクスのポッドを発見し、回収。
ラクスはアークエンジェルの個室に軟禁されることになる。一方、いまだラクスを発見できないザフトでは、クルーゼ隊を動員してラクスの救助を行おうとする。クルーゼ隊が動員されたのは隊員にアスラン・ザラがおり、パトリック・ザラがプロパガンダとしてこの事件を利用しようとしたからだと言われる。
アークエンジェルはクルーゼ隊に発見され、戦闘で撃沈寸前の危機に陥るが、同艦のクルーは彼女を人質としてクルーゼ隊を恫喝し、攻撃を中止させる。
2月7日、アークエンジェルは地球連合軍第8艦隊の先遣隊と合流するが、クルーゼ隊が襲来。アークエンジェルはラクスを乗せたまま戦闘を行う。結果、先遣隊は壊滅するが、アークエンジェルは辛くも逃れる。
2月8日、ラクスを人質とした事に不満を抱いたストライクのパイロット(非公式)キラ・ヤマトが、独断で彼女を連れアークエンジェルを脱し、クルーゼ隊に彼女を引き渡す。クルーゼは引き渡しにきたストライクを攻撃したが、ラクスの説得により中断。ラクスはクルーゼ隊と別れ、プラントへと帰還した。
この事件が彼女の精神面に大きく影響を与えたと言われる。アークエンジェル内部での彼女の扱われ方は、条約にのっとったものだったと言われるが、クルーからはコーディネーター蔑視の発言もあったとされており、これが初めての連合側との接触だったラクスは、彼らに強い印象を抱いた事だろう。
なお、キラはこの件で艦内における軍事法廷に処されたが、当時は軍法上の軍人ではないとの理由で不問に付されている。アークエンジェルの士官達も軍法上の訴追及び緊急避難的措置は法的に正しかったとしながらも、その負い目から処罰は全く考えていなかったようであり、軍法会議は形骸的なものに過ぎなかった。
プラントからの離反~三隻同盟
2月14日、ラクスはプラントで血のバレンタイン追悼式典に出席する。
2月22日、ラクスは自宅でアスランの訪問を受ける。アスランによれば、特別変わった様子は見られなかったという。
4月21日、地球での戦闘で負傷したキラがクライン邸に運ばれてくる。この時点でラクスがどれほどキラの情報を知っていたかは定かではないが、この時すでに後の行動に至るための思想的変化があった事は疑いようがない。ちなみにキラを運ぶよう手配したマルキオ導師なる人物の素性は不明である。
5月5日、ラクスは回復したキラと共にザフト軍工廠に侵入し、フリーダムを奪取。しかしその引き渡す様子を政府に知られ、5月12日に父シーゲルともども国家反逆罪で指名手配される。
国家の敵となったラクスだったが、逃亡生活をしつつ、クライン派の協力によって国民に反戦メッセージを送りつつ逃亡生活を続ける。別行動をとっていた父は警察の襲撃を受け、死亡。
なお、この逃亡生活の最中、アスランがラクスと接触したという。アスランがザフトから離反した理由も、この時にラクスから思想的影響を受けたことが主な要因とされる。
7月1日、ラクスはクライン派となったアンドリュー・バルトフェルド、マーチン・ダコスタらと共に、ザフトからの離反を決意したアスランをパトリックから救い出しつつ、ザフト軍から奪った宇宙戦艦・エターナルでプラントを脱出。ヤキン・ドゥーエ防衛軍に追撃されるが、フリーダムを駆るキラに救われる。
7月5日、そのままアークエンジェル、クサナギと合流(三隻同盟)。
連合・プラントとの戦闘~終戦
三隻同盟結成以降、ラクスはエターナルの艦長を務め、三隻同盟の盟主的立場にあった。ただし艦長については形式的なもので、戦術レベルの話や戦闘指揮についてはバルトフェルドに一任していた。盟主としては、意見を述べる事こそ少なかったが、周囲の人間は常にラクスの事を尊重していたと複数の当事者が述べている。
オーブでの生活・暗殺未遂事件
停戦後はオーブの島にて仲間、マルキオ導師、キラ・ヤマトや孤児らと共に隠棲していた。家事や子供の相手などをする劇中の描写がある。
平和な暮らしを送っていたが、ザフトは執拗にも彼女にコーディネイターで構成された暗殺部隊を差し向け、更に彼女を騙りプロパガンダのために形成手術までしてプラントのために働くミーア・キャンベルの存在も知り、ギルバート・デュランダルに疑念を抱いてゆく。
オーブ脱出後はキラやアンドリュー・バルトフェルド、マリュー・ラミアスらとともにアークエンジェルを拠点とし、スカンジナビア王国の保護を受けながら潜伏活動を再開し、カガリを彼女の結婚式から連れ去った後説得して協力をとりつけ、ザフトと連合軍の戦闘から起きる戦禍から人々を守るために戦闘に介入、プロパガンダ放送など行い、プラントにも連合にも与しない形での和平実現を目指した。
プラントの情勢やデュランダルの真意を知るため宇宙へ上がった後は、前大戦時にザフト軍から奪取し、秘匿していた高速戦艦エターナルを拠点として、「ファクトリー」「ターミナル」といったクライン派関連組織の協力の元にMSストライクフリーダムなど、オペレーション・フューリーからメサイア攻防戦に至るまで、クライン派の戦力の中核をなすMSの開発を指揮。その中で見聞きする出来事から、デュランダルが新しい世界秩序を構築しようとしているのではないかと考えるに至る。
後にザフト軍のオペレーション・フューリーによって戦場となったオーブにインフィニットジャスティスに搭乗して降下し、オーブを支援。ザフト軍の撤退後、全世界に向けた放送において、ミーアはラクスを演じる偽者で、自分が真のラクス・クラインであること、デュランダルと軍産複合体の盟主ジブリールの考えには賛同出来ない事を表明した後、デュランダルの思惑を阻止することを目指し再び宇宙に上がる。
その後ミーアと邂逅するが間もなく彼女の死に直面し、彼女の遺した日記からその純粋な歌への思いに涙した。
ついにデュランダルはアルザッヘル基地に向けて大量破壊兵器レクイエムを使う、ラクスはデュランダルと戦う事を決意し、エターナルに乗りオーブ、ザフト軍及びクライン派による連合艦隊と共闘、終戦までその指揮を執り仲間たちと戦い抜き生存した。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY FINAL PLUS 〜選ばれた未来〜
オーブの慰霊碑前でキラ・ヤマトとシン・アスカの会話を横で見守る。メサイア陥落後オーブ、プラント両国間を仲介、停戦協議合意後プラント最高評議会の招聘を受けてプラントに戻り、イザーク・ジュールらと共に最高評議会議長としてプラント最高評議会に臨む。(50話の後ゴンドワナへの通信の後、字幕で議長と出ている。)
備考
- 同作の音楽を担当した佐橋俊彦は、「交響組曲 機動戦士ガンダムSEED」で映画「スター・ウォーズ」シリーズのレイア姫をイメージした人物と語っている。
- SEEDにて、アスランとの婚約は破棄されたはずだが、実は支持率低下を恐れたパトリック・ザラは公式な公表、手続きはしなかった(口頭のみ)らしく、DESTINYでも2人は表向きは婚約者のままである様で、少なくともプラントの国民はそう認識していた。
- 小説版『SEED DESTINY』では、前作の活躍から「救国の歌姫」という英雄像が実際のラクス本人の姿から一人歩きしてしまっているとされ、ラクスのそのことの認識も描かれた。ほぼ完全に偶像崇拝と化しているために、終盤でステーションワンの防衛艦隊旗艦の艦長はアークエンジェルとエターナルをロゴスと断定した。
- アニメ雑誌の人気投票ではヒロインとしてかなりの人気を保ち、カップル(キラ&ラクス)としての人気も根強いが、一方で悪役としてキラと共に上位にランクインした事もある。[2]。
ゲームにおける描写
ゲーム作品に登場するラクス・クラインはその作品独自の設定付けが非常に多い。これは角川小説版や漫画『ジ・エッジ』、『コミックボンボン』版やファンディスクなどのメディアミックス作品でも見られる現象である。
- 第3次スーパーロボット大戦α
- 戦争に心痛めるプラントの歌姫。アニメの設定のみが用いられており、ジャンク屋・クライン派などとの協力関係といった部分はこのゲームでは省略されている。また、エターナル、フリーダムの強奪はバルトフェルド他ごくわずかの仲間と共に起こした行動とされている。
- アニメでは存在しなかった、「SEED」能力の発動カットインシーンが見られる。
- 「歌の力で戦争を止める」という点で、『マクロス7』の熱気バサラ、ミレーヌ・ジーナスらに敬意を覚えており、バサラの影響で戦争を終わらせるために戦う事を決めたと語るシーンがある。また、『超時空要塞マクロス』のリン・ミンメイの姿を見て「自分の進む道を見つけた」とも発言するシーンがある。
- スーパーロボット大戦J
- 天真爛漫な性格がより強調されており、味方と合流した際にはナデシコの名前を「可愛らしい」と評し、ミスマル・ユリカとも意気投合している。
- スーパーロボット大戦W
- 今回は火星の後継者に付け狙われており、第二部後半で、フレイ・アルスターを守るために、ラウ・ル・クルーゼの攻撃からエターナルで庇い、その際の混乱で火星の後継者に誘拐されてしまう。演算ユニットに接続されたミスマル・ユリカを安定させるためにその歌を利用されそうになり、当初は拒否していたもののテレサ・テスタロッサ(以下テッサ)の勧めで最終的には歌う事になる。テッサの狙いはラクスの歌で火星の後継者達の戦意を揺さぶり、彼らの部隊の一部を投降させる事であり、それに成功する。その後、ノイ・ヴェルターに合流してエターナルで戦う。
- スーパーロボット大戦Z
- ブレイク・ザ・ワールド後から登場。デュランダルに暗殺されかけたことでアークエンジェルのクルーとして多元世界を巡っている。その道中で∀ガンダムのキエル・ハイムに扮したディアナ・ソレルと出会っている。その後は原作通りに宇宙に上がり、エターナルの艦長となり連邦に引き渡されそうなディアナを救出しようとした。物語中盤まではアニメと相違ないが、中盤以降は他者との交流を通じることで、武力介入による自身の行動を反省し、新たな道を模索するというアニメと大幅に異なる展開となっている。
- また、デスティニー・プランに対してはアニメと異なり、遺伝子で全てが決まれば人が夢や希望が持てなくなる世界になると明確に言葉に表し否定した。
- スーパーロボット大戦K、スーパーロボット大戦L
- 前者はシナリオ中盤以降より、後者はシナリオ後半以降よりエターナルで参戦。後者では、エンジェルダウン作戦時にアークエンジェルにいたため、ミネルバ隊に自らの存在を明示し、プラントにいるラクスがデュランダルが仕立て上げた影武者である事、オーブでザフトらしき部隊に暗殺されかかった事を伝えた。
- 機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T.II
- インフィニットジャスティスでの降下時に着ていたスーツでMSパイロットとして登場する。覚醒時にはキラ、アスラン、カガリ、シン同様「SEED」発動のカットインシーンが存在する。
- ガンダム無双2
- エターナル搭乗時の陣羽織姿のまま、MSパイロットとして参戦。ハイパーSP攻撃発動時のカットインは、キラ、アスラン、シンと同じく「SEED」発動状態のものとなっている。ゲーム自体がパロディー作品であるため、このゲームにおけるラクスは、「他者に言葉で平和を説きつつ同時に、従わない者は問答無用で武力制圧する」「プレイヤーへのご褒美と称し、敵味方問わず攻撃を加える」「自分に疑いを持ったキラを粛清する」「無断出撃をランバ・ラルにおねだりする」「プレイヤーへの作戦参加要請に対する返答の選択肢がラクス様…である」など、強烈なギャグキャラである。
- 機動戦士ガンダムSEED DESTINY GENERATION of C.E.
- C.E.73-Extraステージからエターナルに乗艦し戦闘に参加する。その結末は物語の進行によって大きく変化する。ただ、ラクス視点から見るとシナリオのほとんどがバッドエンドというシビアなものとなっている。
- Extra3c「歌姫達の声」
- 自分が本物と名乗るが叶わず。ミーアの護衛任務中のミネルバ隊の艦長タリア・グラディスの判断ではなくFAITHシン・アスカの判断により戦闘を仕掛けられ乗艦を撃破され死亡した。シン・アスカとの戦闘ではキラ・ヤマトの仇を討とうとする。
- Extra4a「蘇える光」
- 最終局面において、ジブリール亡き後のロゴス残党と、月面プトレマイオス基地に向けてネオジェネシスを撃とうとするデュランダル率いるザフトの争いを止めるために、オーブ軍と連合し、戦場に乱入する。しかし、乗艦を撃破されてしまい死亡した。
- Extra4b「重なる明日」
- ほぼアニメのストーリー通りに行動し、ミネルバと何度も交戦する。最終的に連合・ザフト両軍を止めるためオーブ軍と連合し、戦場に乱入する。このシナリオでは乗艦を撃破されても死亡せず、撤退する。ジブリール艦を撃沈した場合のみ、オーブと共に両軍を調停する。