格差社会
格差社会(かくさしゃかい)とは、ある基準をもって人間社会の構成員を階層化した際に、階層間格差が大きく、階層間の遷移が不能もしくは困難である(つまり社会的地位の変化が困難、社会移動が少なく閉鎖性が強い)状態が存在する社会であり、社会問題の一つとして考えられている。
学問的には、社会学における社会階層研究や、教育社会学における不平等や地位達成研究(進学実績、教育志望、職業志望研究)、経済学における所得や資産の再分配研究と関連している。
世界的傾向
国際通貨基金の報告書『World Economic Outlook Oct.2007』(世界経済概要2007年10月版)では、過去20年間の傾向として、ほとんどの国や地域で所得の国内格差が拡大しているという。
主因としては「技術革新」と「金融のグローバル化」を指摘している。一方で、よくいわれる「(貿易自由化といった)経済のグローバル化」については、「格差拡大と有意ではない」として疑問視している。
主要国の状況
- 国際通貨基金報告『World Economic Outlook Oct.2007』
ある国における最高所得層と最低所得層との比(最高所得層が、最低所得層の何倍いるか)は以下のとおり。ちなみに日本は、報告書の対象としている国の中で、一番低い値となっている。
国名 | 比率 | 対象年 |
---|---|---|
ブラジル | 23.45 | 2003 |
中国 | 12.20 | 2004 |
メキシコ | 11.25 | 2004 |
アメリカ | 8.63 | 2000 |
ロシア | 7.65 | 2002 |
イギリス | 6.67 | 1999 |
インド | 5.51 | 2003 |
フランス | 4.11 | 2001 |
日本 | 2.28 | 2004 |
貧困率(全体の中央値の半分以下の所得を得ている者の割合)及び順位は以下のとおり。日本は、加盟国の中ではアメリカに次いで二位となっている。
順位 | 国名 | 貧困率 |
---|---|---|
1位 | アメリカ | 13.7 |
2位 | 日本 | 13.5 |
3位 | アイルランド | 11.9 |
8位 | イギリス | 8.7 |
資料出所:IMF『World Economic Outlook Oct.2007』
総務省の発表によれば、2004年の日本のジニ係数は0.278で、1999年より0.005上昇したとされる(しかし逆に家計調査では1999年より0.018減少している)。これは比較可能なOECD加盟国24か国の中で上から12位に位置し、国際的に中位に位置すると同省は評価している。
経団連の発表によれば、2000年の成人一人当たり純資産のジニ係数は、G7中最も低い0.547であり、日本はG7中最も保有資産の格差が少ない国となっている。
順位 | 国名 | ジニ係数 |
---|---|---|
1位 | アメリカ | 0.801 |
2位 | フランス | 0.730 |
3位 | イギリス | 0.697 |
4位 | ドイツ | 0.671 |
5位 | カナダ | 0.663 |
6位 | イタリア | 0.609 |
7位 | 日本 | 0.547 |
- 経団連資料:豊かな生活の実現に向けた経済政策のあり方