2011年問題 (日本のテレビジョン放送)
日本のテレビジョン放送において2011年問題(2011ねんもんだい)とは地上アナログテレビジョン放送が2011年7月24日までに終了し、地上デジタルテレビジョン放送に切り替わる事で発生する機器のデジタル化及びアナログ波停波に関する諸問題のことである。
地上波に限らず、衛星放送(BS放送)についても同時期にアナログ放送が完全に終了することになっている。
目次
国民不在のデジタル化
そもそもこの計画は当初放送事業者の側が望んだものではなく、いわば「国策」として始められた経緯を持つ。日本の地上波放送のデジタル化は1997年3月、当時の郵政省幹部が「地上放送のデジタル化に向けた取組み」を「政策的に公言」したことからはじまった。
当時、諸外国の状況や技術的動向から放送波のデジタル化については各放送事業者でも考えられてはいた。しかし戦後放送の歴史的経緯、すなわち白黒テレビジョン放送の開始、カラーテレビジョン放送の開始など「新しい放送を受信したい視聴者は自らの意思で新しい受信セットを求めて受信するもの」であり視聴者が今持っている・使っている受信セットである日突然従来の放送が受信できなくなることは「考えられない」ことであり、また現行のチャンネル数から実施するとしてもアナログとデジタルの共存は可能であることから従来アナログテレビジョン放送網が拡大、整備されてきたものと同じく視聴者のニーズや各放送事業者の財政的状況に応じて順次緩やかに実施、整備されていくものといった慎重な認識がなされていた。
こういった中、「公言」は放送事業者にとってはまさに「寝耳に水」、加えてその内容も明瞭さを欠いていたため当初NHK、民間放送局ともに騒然となった。さまざまな思惑が交錯、混乱を招いたが間もなくその免許はデジタル化終了まで既存のアナログテレビジョン放送を行っている放送事業者のみに与えるという決定がなされ各放送事業者は自らのいわゆる「既得権」の保証がなされたことから「国策」を受け入れた。ここに放送事業者と政府による、国民不在のデジタル化がはじまったとされる。
電波監理は国の専権事項ではあるが日本の戦後放送の歴史の中で視聴者が今持っている・使っている受信セットである日突然全く放送サービスが受けられなくなり、再びサービスを受けるためには100%視聴者費用負担で必要となる受信セットを購入しなければならないという強硬なものはなかった。このことから放送労働者団体(民放労連)が反対の声をあげたものの結局、放送事業者としての正式な反対の声になることはなかった[1][2][3]。
当初デジタル化はテレビジョン放送の占有する広い周波数帯域を空けることにより将来、逼迫することが予想される携帯電話をはじめとする移動体通信などの周波数需要に応えることが主な目的であったがこれらはいずれも技術的進歩により短期間で割り当てられている範囲のもので需要に応えられるようになったこと、またこれは当時、既に技術的客観性をもって想定することが可能な範囲にあったこと、さらには結果、空いた周波数の利用計画に特に明確な至急性もみられず今日根本的な部分、すなわち直接、国民に負担を強いてまで性急に放送波のデジタル化を遂行する「必要性」があったのかどうかについて疑問の声も聞かれるようになっている。
「カネ」がない
よく「繁栄を続けるテレビ放送業界」といわれるが実際には3大都市圏と地方では天地の差があり、地方民間放送局の経営は開局以来ぎりぎりである。民間放送局の場合、その財源は主に広告収入であることから根本的に広告主が多く中継局数の少ない3大都市圏の放送局の収支は毎年度「余裕のある」黒字となるが地方放送局の場合、主に地形上の制約により多くの中継局を必要とするため設備費がかかり加えて広告主が少ないことから毎年度「やりくりして」黒字になる。自社制作では赤字となるため、その放送の多くの部分をいわゆるキー局あるいは準キー局などが制作した番組に頼らざるを得ないのも現実である。
このため地方民間放送局の場合、いわゆる内部留保に回せるカネが総売上げの1%いくかいかないかという放送局もざらである。放送局を企業、すなわち営利追求団体として観ると地方では開局50年で100億円程度の内部留保がある放送局は「優良企業」である。これは3大都市圏の各放送局の内部留保とは実に1ケタ以上の差になる。
デジタル化に要する放送局の初期設備投資額は、地方局ではおよそ50億から100億円にも達する。民間放送局の商品は「時間」であり24時間を広告主に切り売りするものであることから他の産業と異なり「新市場の開拓」は困難、そもそも地方民間放送局は企業としてこのような巨額の投資をするには無理がある。多くの地方民間放送局では内部留保を全てこれに充当したとしても足らず、再び黒字転換するまでに今の広告収入が継続するものとした楽観的試算でも今後30年以上かかると容易に想定されるところすらある。すなわち厳しい収支状況にある地方民間放送局ほど、デジタル化によってさらに困窮する事態に至る。
当初、こういった実態について国は明確に把握しておらず結果、後述のデジタル放送実施のための第一歩となるアナアナ変換よりずるずると国費が投入される結果となっている。当初の思惑、すなわち「視聴者の受信セットの買い替え負担のみ」は外れ何がしかのかたちで「国民に諸々の負担」を求めなければデジタル化を遂行できないことがはっきりしてきたことからいわゆるキー局が系列の地方放送局の経営に関与することについての制限緩和、放送事業者の電波利用料の大幅増額など後手の対応が現在に至るも続いており、さらに2008年以降の深刻な不景気がこれに追い討ちをかけ今後この事態がいつまで続くのかわからない状態となっている。NHKについても必要となる経費を合算して均等割り受信料としていることから今後、視聴者の直接負担増も想定される範囲にある。
なお2009年9月4日、総務省は地上デジタル放送完全移行に向けた検討委員会の場で次年度予算概算要求に約900億円の対策費を盛り込んだことを報告した。これは前年度比で約88%増しの要求となっている。財源の大半は携帯電話利用などの対価として国が徴収する電波利用料[4]という特別会計からの支出によるものとなっている[5]。
アナアナ変換
地上デジタルテレビジョン放送は、地上アナログテレビジョン放送に使われているUHF帯の一部(原則13ch〜52ch)をそのまま用いて放送される。このためデジタル放送に使用する送信周波数帯(送信チャンネル)を確保するため、一部の地域ではデジタル放送と同一チャンネルとなるアナログ中継放送局のチャンネル(周波数)を変更することが必要になった。この様なアナログ放送チャンネルの変更・移動を一般に「アナアナ変換」(アナログ-アナログ変換を短縮したもの。別名「アナ変」)と呼んでいる。
これに掛かる費用のうち、
- 各家庭用の受信設備の対策に係るもの
- 地方局の送信設備の対策に係るもの
については主に電波利用料を財源として実施された。テレビ放送波の変更に「繁栄を続けるテレビ放送業界」の金ではなく携帯電話利用者などからの金を流用する事への反発があったが総務省は結局、電波利用料によってすべての変更工事を行い2007年3月に完了した。
このアナアナ変換の実施は、地上デジタル放送開始時点には終了している事が望ましかった。影響を受ける地域の視聴者を個々に回る必要から作業そのものに時間がかかったり、変更したチャンネルが別の地域に影響を及ぼすため相互に地域のアナアナ変換を進めなくてはならない事などで先行して放送開始した三大都市圏を含め放送開始時点で対象の全戸の変更が未完了や完了不可能な地域があった。そのため暫定的に既存のUHFアナログ放送の視聴に混信妨害を与えない様に放送アンテナの指向性・送信出力を制限していたため、局によってはアナアナ変換完了までの一時期にデジタル放送の受信可能範囲が著しく制限されていた。
沿革
- 2003年1月頃 - 関東・近畿・東海地方とその周辺の一部地域で実施を開始。
- 2005年1月頃 - ほとんどの地方局の中継局で実施を開始。
- 2007年3月20日 - 愛媛県の長浜出海中継局(NHK松山総合のみ)を最後に予定されていたすべてのアナアナ変換が終了した。
視聴者のニーズ
2008年3月現在、「地上アナログ放送が停波になる」の認知率は総務省の調べで92.2%でありそれが2011年であると知っているのは64.7%、続いて2009年1月に同省が行った調査で地上アナログ放送が終了する時期を2011年であると回答したのは77.8%となっていて未だ知らない人や停波時期を正確に答えられない人は存在する[6][7]。
そのため、地上波テレビ放送でも幾度とアナログ放送の終了を告知するCMや告知が放送されている。現に家電量販店などの店頭のアナログチューナーのみのテレビには「2011年アナログテレビ放送終了」のシールが貼付されている[8][9][10][11]。
2005年ぐらいまでは、家電量販店でも地上デジタル放送対応テレビのラインナップがほとんど店頭に並んでいなかった。そのため、地上アナログ停波が2008年時点でも約3年で実施される実感がわかない国民も多い。2008年現在、家電量販店の店先に陳列される商品ラインナップは買い替え用の高価な薄型大画面テレビが中心で薄型テレビと比較して安価な地上デジタル放送対応ブラウン管テレビは姿を消してしまっている。また既存のアナログチューナー付きテレビに追加する地上デジタルチューナー自体が店頭にほとんど並んでいないばかりか、2008年現在では大手メーカー製地上デジタルチューナーは価格が5~6万円と高い。このため、まだ十分使えるテレビを買い換えたり高いチューナーを追加購入する事に抵抗感がある人も多くこれらの事が地上デジタル放送の普及を妨げる大きな要因であろう。
カーナビゲーションの自動車メーカー装着チューナーは、2008年現在も多くが地上アナログ用である。地上デジタル放送チューナーはディラーオプションであるものが多い。2005年まではディラーオプションも設定されていないものが多かった。アフターマーケットでの自動車用地上デジタル放送チューナーに於いても2006年以前はワンセグ/12セグ切り替えに数秒以上時間が掛かったり弱電界時のキャリア合成ダイバシティ機能の性能が良くなかったりなど移動時の受信性能に問題があり、アナアナ変換移行期による地上デジタル放送の電波の弱さや全国で地上デジタル放送の電波が発射されていなかった事なども併せてユーザーへの訴求力不足であった。
双方向機能が活かされるのは、クイズやアンケート番組に視聴者が参加できる事やテレビショッピング程度ではないかといわれる。なお地上デジタル放送では課金に係わる機能が実装されていないため、BSデジタル放送と異なりテレビ単体でテレビショッピングはできない。
地上デジタルチューナー非内蔵機器の継続使用
地上デジタルチューナーを持たないテレビ・録画機など[12]は地上デジタルチューナー内蔵機器(単体チューナー、DVDレコーダー、テレビ、CATVセットトップボックスなど)のビデオ信号出力などを利用し追加機器からテレビ側へ映像、音声、制御信号などを入力する事で廃棄する事なく継続して使用できる[13]。デジタル放送の利点である画像品質やアスペクト比に拘らず、また各種の機能などを必要とせずコンポジット映像信号などのビデオ信号出力を利用すれば画質と音声の劣化はあるが多くは継続使用できる。但し、テレビとチューナーの双方を操作する必要が生じる事から従来のアナログテレビ単独使用と比べて利便性が低下するのは不可避となる。
地上デジタルチューナー非内蔵機器の多くは標準画質だが2008年1月現在発売されている地上デジタル対応の単体チューナー、DVDレコーダー、CATVセットトップボックスはこの継続使用のため特化したものはなく過剰性能でありその分高価なものばかりである。総務省の情報通信審議会は、電機メーカーに対し5,000円前後の特化した単体チューナーの発売を求める答申を出す方向で動いている[14]。2009年9月にはイオングループ限定で10万台限定(需要次第で最大で20万台追加販売される予定)の販売になるものの、単体チューナーが4,980円で販売されている[15]。
地上デジタルチューナー非内蔵テレビ
地上デジタルチューナー内蔵機器をビデオ端子などで接続する事で継続使用が可能である。現存するほとんどのテレビはビデオ信号入力端子を備えているが、ビデオ信号入力端子が搭載されていないテレビではビデオ信号をアンテナ端子から入力可能なRF信号に変換するモジュレータ(例:マスプロ電工のAV変調器「VMD3M」)が追加で必要となる。なおNTSC規格の仕様上、旧型の白黒テレビでも利用可能となっている。
地上デジタルチューナー非内蔵録画機
地上デジタルチューナー非内蔵録画機(ビデオデッキ、CPRM対応DVDレコーダーなど)については、地上デジタルチューナー内蔵機器(地上デジタルチューナー内蔵テレビにも録画出力があるものがあり、それも使用可能)の映像・音声出力端子から映像・音声コードを介して録画が行える。但し、CPRM非対応のレコーダーでは録画できないものがある。また、ここからさらに録画側をデジタル録画機にしての複製はコピーワンスのコピー制御により原則行えない(日本の地上デジタルテレビ放送#コピー制御を参照)。
移行の際の混乱
現行アナログ放送の終了は年金生活高齢者、生活保護世帯、単身者、勤労学生などの経済的弱者にも新しい受信機への買い換えもしくは移行時点での予想最低価格5,000円以下の地上デジタルチューナーの買い足しができない人へ地上デジタルチューナーの新規購入を強いるものでありそういった人へはあまねく国民全員が享受して来た情報伝達や娯楽手段を一部の人から奪う事になりかねないので「弱者切り捨てではないのか」という不満の声がある。実際にインターネットコムとgooリサーチが行った「テレビに関する調査」では約2%がテレビ視聴を止めると答えている。
現にニュースサイトや動画共有サイト、SNSなど多くのインターネットコンテンツが若者に浸透し始め「テレビよりもインターネットが面白い」と考える若者が多くなり、地上アナログ放送とデジタル放送がサイマル放送されている今でもテレビ離れを加速させている。結果として地上波放送局の平均視聴率、それに伴って民間放送局の広告収入は年々減少傾向にありデジタル放送に一本化する事によって減収も加速させるのではという懸念する声もある。
このため、低所得者世帯などに地上デジタルチューナーを無料配布する事も政府内で検討されている[16]。
また、経済的に余裕のある層でも「現行のアナログ放送でも事足りている」「まだまだ使える現行のアナログテレビがあるのにわざわざ新たに対応テレビ(もしくは対応チューナー)を購入する魅力や必要性が乏しい」などといった価値観が根強く残っている事も普及への大きな妨げになっている。さらに2008年末以降の大幅な景気悪化による経済的弱者の急増により終了予定となる2011年7月24日までの受信機やチューナーの購入需要が大きく冷え込む事が確実視されており、景気悪化が進行すれば準備が整っていない世帯を多く残したままの停波が予想される。
さらに、日本の地上デジタルテレビ放送#集合住宅での受信未対応件数の項でも述べた様な問題に対して「駆け込み工事」の混乱を未然に防ぐための方策が特に一戸建て世帯に対しては十分とは言えない現状も危惧されている。
デジタル放送はその伝送誤りの処理能力内なら障害のない(又は少ない)受信が可能だが、誤り訂正能力を超えた伝送誤りが発生するとベリノイズが現れたり全く受信できなくなる。アナログ放送ならば災害などで地元の放送局に障害が生じても他県の放送をゴーストが生じたり、色がつかなかったりする状態で何とか受信して災害情報を得られる可能性があるがデジタル放送ではその可能性は低くなる。これは、地上デジタルラジオの普及後もアナログラジオ放送を継続する政策の理由の1つである。なお、通常時においても現在は辛うじて受信できていてデジタル波になったら全く受信できなくなる地域も存在する。特に2007年現在、地方局などではまだまだ受信耐久率がアナログ放送以下のテレビ局が多くそういった局はやや強い雪が降っただけですぐに映らなくなる事が頻繁である。
デジタル放送の問題の1つとして、「額縁映像」をはじめとした表示形態上の問題がある(詳細はデジタルテレビ#表示形態を参照)。「額縁映像」はほとんどの場合テレビやチューナーなどの受信装置側の設定を変えるなどして防ぐ事ができるが、高齢者やいわゆる「デジタル弱者」にとっては本来簡単な設定の変更でさえ敷居が高い事が多い。
ごく一部のケーブルテレビ局では地上波以外のアナログ放送もパススルー方式で送信しており、地上デジタルアナログ契約では受像機1台分の契約しかしなくてもアンテナ分配器で実際の受像機の数を増やせた。だがデジタル契約では「契約受像機数=セットトップボックス数=受像できる受像機数」となるので複数の受像機を持っている場合、結果的に受像機数分の契約をする可能性もある。しかし他の多チャンネル放送に乗り換えられる可能性もあるので、ケーブル局の増収となるとは限らない。ケーブルテレビでのデジタル放送受信方式にはセットトップボックスを必要としないパススルー方式があるが、パススルーによる送信は技術的に容易で設備も簡易で済む地上デジタル放送のみ実施している局が多い。
松下電器産業(現:パナソニック)は「アナログチューナーのみの従来型テレビの生産を2006年で終了する」と発表した(但し実際に生産終了したのは2007年8月)。大手では他に東芝・三菱電機・ソニーが既に生産を終了している。録画機器もパナソニックなどがアナログチューナーのみの従来型ビデオデッキやDVDレコーダーの生産を終了した。
これらの問題については新聞などの投書欄で読者からの意見として紹介される事や討論番組などで討論の内容になる事はあるが、テレビのニュースなどで取り上げられる事は少ない。これらのデメリットを詳しく知るためには書店で専門的な雑誌を読む、ネットで調べるなど疑問を持ち主体的に行動しなくてはならず特に高齢者などには敷居の高いものとなっている。
なお、上記の告知CMには「(地上デジタル放送開始に伴うアナログ放送停止は)国の法令で定められている」というテロップが入っている。
また、家電リサイクルの面でもアナログテレビの大量廃棄が問題となる。電子情報技術産業協会の予測では、2007〜2013年の排出量の総数は約6,428万台。特に停波直後の2011年には約1,800万台に達し、2006年度排出量の約2倍となる見込み[17]。このためリサイクル処理に伴い二酸化炭素の排出量が多くなる事、処理プラントの増強が必要な事、ブラウン管の再生ガラスの過剰供給が問題となりうる事が指摘されている[18]。
以上の様な状況ではあるが既にアナログ停波を宣言してしまっている以上、停波そのものの撤回は容易ではない。これは逆に買い替えをしてしまった視聴者からの反発も予想されるからである。また停波時期の延長も電波法の再改正を必要とするため容易ではない。なお一部の国会議員の中には格差問題などを考え、停波時期の延長や停波そのものの撤回も選択肢の1つではないかと考えている者もいる様である。
なお2009年8月現在において世界におけるアナログ放送を完全に終了させた国はオランダ、アンドラ、フィンランド、イギリス、アメリカなど少数であり韓国は当初の終了予定を過ぎた現在でもアナログ放送を継続させている事から「日本でも同様の措置を取るべきだ」との声もある。詳細は地上デジタルテレビ放送#世界各国における地デジへの移行を参照。
しかし現実問題としてこれらの国々とは異なり、日本のデジタル化には経済的余裕がなく「2011年7月24日をもって、アナログ放送の維持費用発生がゼロになる」ことを大前提として「なんとかぎりぎりやりくり」しながら進められてきた。よってメーカー各社もこれに追従、受像機はおろか肝心のアナログ放送機・中継機などの生産がごく一部の保守用を除いて国内で既に中止されており停波時期の延長や停波そのものの撤回のためにはこれらを急ぎ再開させるあるいは海外から急ぎ輸入して対応しなければならない(多くの放送局で現在運用されているアナログ放送設備は停波日より耐用期間を逆算、数年前より更新されていない状況にある。従って2011年7月24日を超えて放送を続けるためには、一気に老朽化したアナログ放送設備を更新する必要に迫られる)ことからまた新たに莫大な費用が発生、多くの民間放送局はこの費用負担に耐えられる状態にはなくNHKについても受信料に転嫁して視聴者に直接その負担を求めることにもなりかねない。これを回避するためには国としての新たな費用負担ということになるがいずれにしても国民が負担することに違いはなく、今後国会でも激しい論争が巻き起こる事も予想される。
アナログ放送終了に備えた措置
現在、アナログ放送を受信している視聴者でもデジタル放送だと勘違いをしている視聴者がいるため停波になった時に多少の混乱が起こる事も懸念されている。そのためか、2008年7月24日からアナログ放送終了に備えた措置を実施している。この措置は大きく4段階に分かれている[19][20]。
なお、以下の措置においては視覚障害者に対する配慮を行うとされている。
地上波アナログ放送終了に備えた措置
- 2008年7月24日 - 【第1段階】アナログ放送終了の告知画面・告知スーパーの放送を開始。アナログ放送の画面に「アナログ」ロゴマークの表示を開始。アナログ放送終了告知を強化。
- 2009年
- 4月6日 - 総務省は「アナログ放送終了リハーサル」と呼ぶアナログ波停止を行った場合、その地域のアナログ放送視聴者にどの様な問題が発生するかを観察・抽出するため公募の結果、珠洲市を選んだ。これにより国として全国的に必要な対策・措置を検討・実施する。2009年度末までに完全停波を行い、それまでは時間帯を選択し段階的にTV画面に終了告知を表示したり実際に部分的停波を行う。なお、他の地方自治体からリハーサルへの参加は引き続き募っている[23][24]。
- 7月 - 【第2段階】アナログ放送の一部の番組を4:3レターボックス放送に変更(その後、段階的に拡大)。告知テロップの表示回数を増加。
- 9月3日 - 総務省テレビ受信者支援センターは珠洲市での「アナログ放送終了リハーサル」で使用する5,000台から8,000台の簡易チューナを珠洲市市役所納入先とする購入に公募し、同年11月30日を最終納入日とした[25]。
- 9月15日 - 「総務省地デジチューナー支援実施センター」がNHK受信料全額免除の生活保護受給世帯へ無償支給する簡易チューナーの申し込みを郵送で受け付け開始[26]。
- 2011年
- 1月 - 【第3段階】アナログ放送の全番組を4:3レターボックス放送に変更。告知テロップを常時表示。アナログ放送終了告知をさらに強化。
- 7月1日 - 【第4段階】アナログ放送終了を知らせる静止映像と4分の1未満の枠で通常番組を放送、通常番組の上にアナログ放送終了を知らせる文面を前面に表示、アナログ放送終了を知らせるミニ番組を繰り返し放送、アナログ放送終了を知らせる静止映像のみ放送のいずれかに変更。可能な場合は同年4月から前倒して実施し、順次時間を拡大させることも検討する。同年7月24日正午をもってアナログ放送を停波。混乱を防止するため、2008年6月までに国と放送事業者とで免許切れ直前に完全移行する事が決められた。更に停波の時間については混乱を避け、コールセンターへの問い合わせに対応できるようにするため期限日の正午とすることが2009年4月23日に総務省内での会議で決められた[27][28]。
備考
- 全国に先駆け、鹿児島県鹿児島市の一部地域でサービスを行っているかごしま光テレビは2008年7月で地上アナログ放送の再送信を終了しテレビの完全デジタル化を完了した[29]。
- 福岡放送では措置の本格実施に先駆け、2008年7月12日の「博多祇園山笠追い山ならし」中継において第2段階の措置を実行した。全編をアナログ放送ではレターボックスで放送し、CM明けに完全実施モードのアナログ終了告知を数秒表示。番組中でもアナログ終了アナウンスを行った。
- NHK総合テレビでは、第1段階開始日の2008年7月24日に特別番組として『備えあれば映りよし 〜完全デジタル化まであと3年〜』を放送した。番組中の中継の中でアナログ放送の終了体験が行われた。地上デジタル放送推進メインキャラクターの草彅剛(SMAP)とNHKアナウンサーの島津有理子らによるカウントダウンの後に、アナログ放送のみブルーバックでNHKの地上アナログ放送の2011年7月での終了とデジタル放送受信の準備を早期に行う事を要請する旨のテロップが表示された(デジタル放送では中継先の映像のまま。音声はデジタル・アナログとも中継先の音声を流した)。2009年の同日にも特別番組が放送された。
- テレビ東京は、2009年2月にすべての番組(15分以下の番組を除く)内で告知テロップを表示した。本編中、4:3番組では映像中に挿入し4:3レターボックス番組では下側の黒帯部分に表示した。生放送番組でも告知テロップは4:3レターボックス放送と同じものを表示していた[30]。同年7月にも15分以上のすべての番組で告知テロップを表示した[31]。
- フジテレビでは、2009年4月以降、すべての深夜番組や午後のドラマ再放送(2003年以前作品を除く)を4:3レターボックスにした。TBSテレビでも同時期に午後のドラマ再放送を4:3レターボックスにしている。
- これ以外でも、各局がそれぞれの方法によりアナログ終了の告知を強化している。
- 2008年11月27日、「日本再建のため行革を推進する700人委員」[32]の研究会で地デジへの移行に際して「アンテナの改修が必要な場合がある事の説明が足りないのではないか」など説明不足を指摘する意見が出た[33]。
- アナログ放送停波後のケーブルテレビの応急処置
- 2009年1月、2011年のアナログ放送停波に伴いケーブルテレビ局を通じデジタル放送をアナログ変換し再送する事が国の予算編成で検討されている。
BSアナログ放送終了に備えた措置
BSアナログ放送については受信機の普及が地上波よりもかなり進んでいる事や全国一律放送である事もあり、地上波と同時期もしくはこれより早く終了させる方向で検討する事を決めており既存のアナログ視聴者に対してもデジタルへの移行を促している。
- 2008年
地上アナログ放送での受信障害
視聴者が使用しているブースターが多くのチャンネルを増幅できる性能が十分でない場合、地上デジタル放送開始と共にUHF帯域のチャンネル数が増えるためにUHF帯域の地上アナログ放送にスノーノイズが現れる。これが現れた場合は社団法人電波産業会受信対策センターに相談する様に呼び掛けられている。地上デジタル放送へのフィルターを取り付てくれ、地上アナログ放送に障害が出ない様にしてくれるという。地上デジタル放送への対応はしてくれない。この障害が現れると地上デジタル放送への対応には、多くの場合ブースターの調整又は交換が必要である。地上アナログ放送が停波すれば交換しなくても地上デジタル放送が支障なく受信できる可能性は増えるが、確実ではない。
視聴できない地域
地上デジタルテレビジョン放送の開始は段階的に進められ東京都や大阪府などの都市部を優先して試験的に開始し2006年12月1日までに43県の県庁所在地及び近辺に位置する一部の市町村で受信できる様にはなったが、県庁所在地から大きく離れた市町村及び離島での受信が不可能な状態で開始される事となった。
中継局の増設が本格化となった2007年以降、視聴できない地域は次第に減少し2009年3月末時点での受信可能地域は試験電波発射中の地域を含め都道府県庁所在地から大きく離れた主要地域の市町村と一部の離島でもほぼ網羅して来ているがそれでも各都道府県にあるすべての中継局が整備されておらず地上デジタル放送を受信できる様にするための整備が常に後手に回る事態となっており特に人口の少ない地域ほど後回しになっている。
また難視聴区域の中でも京都府和束町では高圧送電線の電波障害を解消するために関西電力が建設した電波受信施設で現在はアナログ波を各家庭に配信しているが、この施設をデジタル波用に改修するに際しての費用負担の問題から地上デジタルに完全移行への不安が残る地域も存在する[35]。
加えて、新潟県上越市大島区(旧:大島村)などの一部市町村ではその地理的な環境より全面的に難視聴地域となる事が予想されている。これは、デジタル波の直進性と閾値以下では映像が見られない特性によるものある。これらの地域は過疎化と高齢化に悩む地域で、全国に点在している。この様な地域では経済的にも恵まれず、デジタル放送に関して積み残しとの指摘もある。総務省ではこれらの解消を考慮はしているが予算などの事情から完全実施は不可能であり、地域住民の負担で行うしか方法はないが1世帯あたりの負担は重くそれら施設工事の国庫負担率1/3から1/2へと引き上げが望まれている。
さらに、神奈川県内の鎌倉市ではデジタル放送を視聴できない恐れが出てきた。現在、鎌倉市の大半の世帯は放送波を東京タワーから直接、または湘南平(平塚市)から中継局経由で受信している。放送局側の試算によると想定される神奈川県内の難視地域のうち、75%超が鎌倉市内に集中している。鎌倉は海と山に囲まれた特有の地形を有しており、放送波が行き届きにくい地形を有している。総務省は鎌倉の山中に中継局の設置を市側に提示しているが、世界遺産登録の為に制定された条例(古都保存法で歴史的風土特別保存地区に指定。20m以上の工作物は原則建設禁止、20m以下は市が意見を付けた上で県の許可が必要)があり調整が難航している。この状況でデジタル放送に移行すれば、約5100世帯が難視地域になる可能性が出てきた。ケーブルテレビ(CATV)や光ファイバーを活用する方策もあるが、折りしも経済情勢の悪化でこれ以上の負担を強いられることは市民の反発を招く恐れもある。総務省は中継局建設工事や手続き、受信者側の準備などを勘案すると2009年4月末までにはある程度のめどをつける必要があるが現在まで総務省や鎌倉市から新たな発表はなされていない。また相模原市の旧津久井郡地区では2009年3月31日に2ヶ所の中継局(津久井、相模湖)が開局したものの、なおも約15%に当たる2400世帯が視聴できない。この為、市内に住む住民が組合を組織し共聴アンテナを利用して現在アナログ放送を視聴しているが各世帯の自己負担が10万円前後、現在も月500円を徴収しており施設のデジタル化には多額の費用が掛かるのが現状である。
地上系による放送の放送対象地域は県域又は広域が原則である(短波放送を除く)が、送信される電波は県域又は広域に留まらず県外または圏外にも漏れる場合が多い[36]。これは圏外の視聴者には喜ばれる一方、地元の放送局やそのスポンサーにとって隣接する都道府県又は広域圏を放送対象地域とする放送局に視聴者を奪われる事、番組著作権・番組出演者の肖像権の侵害にもつながる重要な問題であった。
今回の地上デジタルテレビジョン放送への移行実施に当たり、総務省は現在アナログ放送で見られるエリアのほとんどをデジタルで視聴可能にするとしている[37]。実際に独立局を中心にアナログ放送と同等のスピルオーバーのエリアを確保している局も多くあるが、デジタル放送に新たに割り当てられたチャンネルで混信が起こり視聴が不可能又は困難な地域もある。また現在中継局の整備が不完全であるため、スピルオーバーのエリアは完全ではない。地域によってはスピルオーバーと中継局の未整備とが相まって、受信できる放送局が他の都道府県を放送対象地域としている放送局のみというケースも生じている[38]。
前記は施策の遅れ・困難さに伴う副次的な影響であるが、さらに実際の施策を進めていく上でも地上デジタルテレビジョン放送では送信所から発信される電波の方角・強度を細かく設定できる事や出力もアナログUHF局の10分の1に抑える事で地上アナログテレビジョン放送に比べ本来の放送対象地域に沿った放送が実施可能となると見られる。また、社団法人日本民間放送連盟がケーブルテレビに対して区域外再送信を認めない(放送局個別の判断で方針は運用されており、一部例外あり)事から[39]地元の放送局は視聴者を奪い返す絶好の機会、自局が属する系列以外の事業者への番組販売の増加による収益確保、新規系列局の開局にもつながる可能性が期待できる(但し、難視聴地域の増加や広告出稿への影響などを考慮すれば区域外再送信やスピルオーバーの可否もケースバイケースであろう。下記CATV局の事例も参照の事)。しかしチャンネル数の選択肢の少ない地域(福井県、宮崎県など)で他の県の放送を頼りにしている地域への配慮がない事について改善の兆しもなく、また経済格差や既存テレビ局の圧力などで新規テレビ局の設置→チャンネル数の増加が困難な例がある。この点は宮崎県知事である東国原英夫が公約として「宮崎県にテレビ局を作る」が盛り込まれた事がいえる。また、県の単位と実際の地域経済単位や文化の単位も異なる例があり(例:山口県西部は福岡県北九州地区の影響が、静岡県伊豆半島東部は首都圏の影響がある)事に対し有力な反論は表されていない面もある。
ケーブルテレビの区域外送信問題
一方、区域外再送信を売りに加入者数を増やして来たケーブルテレビ局は「区域外再送信を禁止されるとこれに伴う解約者が増えかねない」と異論を唱える局もあり実質視聴可能な放送局数の減少や地域間格差の拡大[40]など区域外視聴者からの反発も予想される。
一部のケーブルテレビ局では、加入者の減少対策として放送対象地域外の放送局の電波が提供地域の全世帯までに届いていればその放送局の区域外再送信を行う局も出始めている[41]。また、大分県で起こったこの問題に対して「区域外送信を認める」との大臣裁定が降りた事によりデジタル波でも再送信を行うケーブルテレビ局が出ている。
なお、ケーブルテレビ局の中には加入世帯数の伸び悩みにより老朽化した送信設備を地上デジタル対応に改修する費用を捻出できなくなる局もあり地上アナログ放送終了と共に廃局となる局もある(岩手県盛岡市直営のテレビ都南は2011年をもって廃局決定)。
既存の建造物などによる受信障害への対応
現在、建造物によって周辺にテレビ受信障害(電波障害)が発生した場合、建造物の設置者が費用を負担してケーブルテレビへの加入や共聴設備を設置する事で対応することが多い。しかし、そうして設置された共聴設備の大半は地上デジタルを想定しておらず視聴するには改修工事が必要となる。
ところが、地上デジタル放送の開始が建築前には告知されていなかった場合はその分の改修費まで補償する法的義務はないと建築者や建物の管理者が主張している事が多い。従って電波障害によりデジタル放送が受信できない場合、そのテレビの所有者が実費で対処を検討する問題が起きる。なお地上デジタルを所管する総務省はこの様な場合、協議を推奨している[42]。
新規地上アナログ放送局開局が困難
2011年7月24日までに地上デジタルテレビ放送に完全移行し、現在の地上アナログテレビ放送の終了を予定している。そのため開局を断念した放送局一覧の項でも触れた茨城・福井・徳島・佐賀・宮崎・沖縄の6県に割り当てられた新規アナログテレビ放送用の周波数割り当ても取り消されている他、既存の民放テレビ局(特に平成時代に開局した局)のアナログ放送中継局及び送信所の新規開設の凍結など地上アナログ放送の新規の開局は事実上不可能となった。
但し、アナログ放送終了後にこれらの地域でも地上デジタルでのテレビ局の新規開局の可能性はある。なお、テレビ東京は2007年5月の定例社長会見において宮城・静岡・広島の各県に新局を設ける構想(テレビ大阪の兵庫県・京都府への放送対象地域拡大も含めて)を発表しているが2008年6月20日のテレビ東京第40回定時株主総会の概要で会社側は見られるエリアの拡大について「現在のテレビ東京の経営環境では厳しい」と回答している。そのため3県には新局無しの状態で隣県か飛地による関東広域圏のテレビ東京系の放送電波のみのエリア拡大計画を模索している。しかしこのすくたれ染みた計画は各3県に加え面子を潰される怖れのある福島県、長野県、山梨県側からも反発を招く可能性が高い。要出典(参照:民放TV全国四波化方針)
その他
2011~2012年時点でも大量にある多くが不自由なく機能し続けるであろう現行のテレビ受像機が多く廃棄された場合、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の観点も含め社会全体の負担コストが大きく環境にも良いとはいえない。
「地上アナログテレビジョン放送終了=テレビが見られなくなる」と曲解し、誤解させる詐欺事件も起こっている[43]。
総務省はUHF帯に移行した後、空いたVHF帯を移動体向け放送(携帯電話通信そのものではなく映像放送などの新規サービス)など新規サービスに開放するとしている(日本の地上デジタルテレビ放送の項も参照)[44]。VHF帯は電波の波長が長いために直進性が低く、例えば携帯電話向けの1.5GHz帯を用いたサービスなどで大きな問題となるビル影・山影による不感問題が生じにくいといった利点はあるものの一方で効率の良い送受信には長いアンテナが必要となる。
また、一部のアマチュア無線家などからは空いたVHF帯のアマチュアバンド化を求める声やかつてそうだった146~148MHz帯を再びアマチュアバンド化し割り当てられていた警察・消防無線を移動させる声も挙がっている。ただし大半のアマチュア無線家はインターネット普及に伴い、短距離FM交信に使用されている[45]。50MHz帯、144MHz帯、430MHz帯[46]の混雑が解消された[47]ことから「地デジにかける金があるなら、アマ局からの電波使用料徴収の中止や開局にかかる費用の低減を実行しろ[48]」という意見が大勢を占める。
「遅延問題」は、日本で行われる(今後の)災害情報通知への問題を含んでいる。具体的には「緊急地震速報」への通知手段として現行のアナログ放送では同時の通報が可能であるが、一方で「遅延」が発生する地上デジタル放送では3~5秒程度伝達遅延が発生する。そのため、仮に5秒前に速報を発信しても実際に届くのは事後(被災後)となる。また津波情報に対しても緊急性が要求されるので、人命に絡む問題である。これもアナログラジオ放送が継続される大きな理由となっている。ブラジルで採用されたSBTVD-T方式では遅延が改善されているが、日本が既に採用したISDB-T方式ではこれ以上の遅延の改善は不可能に近い。
ポケットラジオでは「FMワイドバンド対応。テレビの1~3チャンネル音声が受信可能」と謳う製品が多いが、これらの機種は88~108MHzでラジオ放送が行われている国(アメリカなど)でしか意味を成さなくなる。1~12chテレビサウンド対応のラジオもある(ラジカセの中にはさらにUHFにも対応しているものがある)が、アナログテレビ停波後は全く無意味となる。そのため、ラジオのカタログには「アナログテレビ放送終了後はテレビの音声を聞く事ができません」の注意書きが付記されている。同様の注意書きはFMラジオを搭載したデジタルオーディオプレーヤーや携帯電話にも見られる。
新聞番組表でも、関東と関西の広域放送圏においての配列の変更が一部行われている。日本経済新聞(関東・関西)と朝日新聞・日刊スポーツ(関東)では2009年3月30日の新聞からこれまでのアナログ放送のチャンネル順からデジタル放送のIDキー番号順に配列を変えており、特に朝日新聞と日刊スポーツの関東版ではテレビ朝日にアクセントを付けている。
脚注
- ↑ 「アナログテレビはなくならない。」衆議院議員 平井卓也
- ↑ 地上デジタル放送計画の凍結を求める民放労連の緊急提言
- ↑ 現行の地上デジタル放送計画中止を求める特別方針 日本民間放送労働組合連合会 2003年1月26日採択
- ↑ 電波利用料はアマチュア無線局の開設者など国が開設するものなどの特例を除く、全ての無線局免許を受けた者より徴収されている。
- ↑ 2009年9月5日 朝日新聞朝刊 10版 7面 「政策」
- ↑ 総務省報道資料『「デジタルテレビ放送に関する移行状況緊急調査(平成21年1月)」の結果』
- ↑ 総務省報道資料『「デジタルテレビ放送に関する移行状況緊急調査(平成20年9月)」の結果』
- ↑ AV Watch『10月22日からアナログテレビに「2011年放送終了」シール』
- ↑ AV Watch『「2011年アナログテレビ放送終了」シール貼付け開始』
- ↑ MYCOMジャーナル『総務省とD-pa、2011年のアナログ放送停波告知を開始』
- ↑ 「地上デジタル放送対応テレビは本当に必要か?」という主張をしているバイ・デザインでは、「2011年アナログテレビ放送終了」のシール貼付を拒否している。ただ、販売店では同社製品に対しても貼付している事がある。
- ↑ 2000~2003年に発売されたBS・110度CSデジタルチューナーは内蔵している(最初期は110度CSなし)が地上デジタルチューナーは内蔵していない機器を含む。
- ↑ 但し、携帯用の小型テレビは外部AV入力や外部アンテナ入力を備えない事が多いため継続使用はできない。
- ↑ 総務省審議会『アナログTV用安価チューナーを』 - YOMIURI ONLINE 2007年8月2日
- ↑ イオン、4980円地デジチューナー 需要に応え“国内差安値”投入 - フジサンケイビジネスアイ 2009年9月5日
- ↑ 米国では2009年2月の停波に向けてデジタル対応テレビへの買い換えが困難な低所得者層に対し、デジタルTV変換コンバータ購入用としてUS$40のクーポンを配布する方針である。日本もこれに見習ったものである。しかしながら地上デジタル放送への移行に受像機の変更だけでなく新たなアンテナ設備(工事費を含めて数万円)も必要であるが、この事は「デジタルへの移行」自体よりさらに少数の理解しか得られていない。実際、「デジタルへの移行」は何となく理解して新しい受像機に買い換える時に「地上デジタル放送対応」製品を購入したもののアンテナその他までには理解が及ばず実際には従来のアナログ放送を新しい受像機で受信しているだけなのにも拘らずデジタル放送を視聴していると信じ込んでいる例も報告されている。
- ↑ 経済産業省
- ↑ 特集「リサイクル2011年問題」 日経エレクトロニクス 2008年6月30日号 日経BP
- ↑ 「アナログ放送終わります」テレビ画面に常時字幕へ asahi.com、2008年4月18日
- ↑ 形態としては2006年4月から2007年10月末まで表示していたNHKアナログ衛星ハイビジョン(2007年9月末で番組送出終了)と同じ形式となる見込み。
- ↑ TBS・フジテレビ・テレビ朝日系列では字幕テロップとの同時表示もあった。
- ↑ アナログのテロップ表示はNHKとTBS・テレビ東京系列はサイズが小さく、日本テレビ・フジテレビ・テレビ朝日系列は前者の3局より3倍程大きくなっていた。
- ↑ (2009-04-06) 「アナログ放送終了リハーサル」実施地域の決定 総務省、リハーサル推進委員会 2009-04-06 [ arch. ] 2009-04-13
- ↑ (2009-04-06) 石川県珠洲市で停波リハーサルを実施 Impress Watch 2009-04-06 [ arch. ] 2009-04-13
- ↑ (2009-09-03) 地上デジタル放送用「簡易なチューナー」購入に係わる公募 PDF 総務省テレビ受信者支援センター 2009-09-03 [ arch. ] 2009-09-10
- ↑ 読売新聞 2009年9月14日 13S版2面
- ↑ (2009-04-24) アナログ停波は11年7月24日の正午 12時間前倒し asahi.com [ arch. ] 4月24日
- ↑ アナログ放送終了計画(改定版)地上デジタル放送推進に関する検討委員会(第46回)資料(2009年4月23日開催)
- ↑ アナログ放送サービスおよびケーブルインターネットサービス終了のお知らせ 鹿児島光テレビ、2008年8月4日。
- ↑ テレビ東京・2月は全番組で地デジを推進!!地デジ7チャン強化月間
- ↑ テレビ東京・7月は全番組&データ放送で地デジ推進 子供たちにも地デジ推進
- ↑ 日本再建のため行革を推進する700人委員
- ↑ 読売新聞 2008年11月28日 13S版 2面記事
- ↑ かつてはNHKアナログ衛星ハイビジョンでも2006年4月から2007年10月の完全停波まで同じ形式で表示していた。
- ↑ 朝日新聞 2007年8月3日付け朝刊 京都欄記事より。
- ↑ これをスピルオーバーと呼び、山梨県の一部で在京キー局の地上波を受信できるのが代表的な例といえる
- ↑ しかし北海道にあっては未だに民放の中継局が未整備で、札幌市以東・以北でアナログ放送すら受信できない地域が多い
- ↑ 例として、長崎県島原市では2008年1月時点ではデジタル放送で受信可能な放送局は有明海を介して熊本県を放送対象とする放送局のみとなっている。
- ↑ ITmedia『関西で火の手が上がったCATVの「区域外再送信」問題』
- ↑ 関東広域圏は地上波民放が6局以上視聴できる場合があるのに対し、徳島県と佐賀県は地上波民放が1局しか視聴できなくなる地域も出てくる。しかし徳島県については在阪局全5局が佐賀県については在福局全5局が地上デジタル放送の区域外再送信に同意しており、一部ケーブルテレビ局では放送対象地域外の民放局の地上デジタル放送での区域外再送信が行われている。
- ↑ ITmedia『区域外再送信問題、いよいよ決着へ』
- ↑ 総務省『都市受信障害共同受信施設で受信する場合』
- ↑ シニア層は要注意!これからが本番「地デジ詐欺」にだまされるな! 日経トレンディネット 2006年6月20日
- ↑ 以前、テレビ放送の周波数帯をすべてUHFとする政策が示されたが空いたVHF帯の用途が提示されなかった事と既存VHF局の抵抗により実施が見送られた。
- ↑ 短距離と言っても、アマチュア無線のそれは商用放送の広域放送の送信所~(中継局を使用しない)最長受信可能距離と同等である
- ↑ これらの詳細はアマチュア無線の周波数帯を参照
- ↑ インターネットの爆発的普及直前1990年代前半、これらの周波数帯は首都圏や大阪圏のラッシュアワーに例えられるほどの混雑であったが一般家庭のインターネット普及とそのブロードバンド化がこの帯域が混雑する原因となっていたライトユーザーをそちらへ大量に奪ってしまった。この為アマチュア無線のデジタル化はテレビ放送とは正反対に停滞し、現在もアナログFMが主流である
- ↑ これらは前述のアマチュア無線ユーザーの激増とそれによるVHF・UHF各アマチュア無線帯域の混雑を理由に設定、もしくは徴収料の値上げが乱発されたものである
関連項目
- 地上アナログ放送終了告知画面
- 地上デジタルテレビ放送
- 日本の地上デジタルテレビ放送
- B-CAS
- NTSC(日本の地上アナログテレビジョン放送の方式)
- ニュース系列
- 電波法
- 電器店
- 全国電機商業組合連合会
- 時刻出し
- ローカルニュース動画配信実施局一覧
- 地デジカ