戦前

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戦前(せんぜん。ラテン語:antebellum、英語:prewar、ドイツ語:Vorkriegszeit)は、ある戦争が始まる前の時代。対義語は戦後

概説

戦争勃発前の短期的または長期的な期間を指す語や概念。戦争を境にして政治体制(場合によっては国家まで)が新しく作り直され、価値観まで変化する。

「戦前」という語は「戦争が始まる前」という意味を持つが、しばしば「戦争に至った体制」という意味合いを伴うこともある。これは、戦争を境にして国家が根本から変わる事態が多いためである。

「戦前」が指す戦争

日本史における「戦前」

日本では単に「戦前」と言う場合、通常は真珠湾攻撃に始まる太平洋戦争勃発前の時代を指す。しかしながら、張作霖爆殺事件柳条湖事件に始まる日中戦争の始まりを「戦前」の終わりとする例もある。

また、太平洋戦争中を含めた第二次世界大戦終結までの期間を「戦前」と表現する人も存在する。これは、第二次世界大戦前の時代は天皇を主権者とする大日本帝国憲法下であり、この体制が第二次世界大戦終結まで続いたため、大日本帝国憲法下の天皇主権時代を指して「戦前」と呼ぶものである。この「大日本帝国憲法下の時代」「天皇主権の時代」という意味では明治維新が「戦前」の始まりと考えられる。

「戦前」の日本は帝国主義国家であり、欧米列強の植民地主義や帝国主義が荒れ狂う中で始まり、その極限である世界大戦が起こった時代である。言うなれば、国内外ともに「パワーポリティックス」の時代である。徳川幕府が倒されて明治政府が政権を握ると、国号は「大日本帝国」となり、列強の植民地化を免れるために西洋化を急いだ。政体は、徳川家徳川幕府)から天皇を最高権力者(大日本帝国憲法)とする国体に変わった。当時の日本は、単に「帝国」という略称で呼ばれていた(例:帝国議会帝国国防方針)が、第二次世界大戦で敗れて国号が「日本国」に変わると、「帝国」時代の日本を指して「戦前」という呼称が用いられるようになっていった。

軍事と国際関係

「戦前」の日本は海軍国家でもあった。軍事は大日本帝国陸軍大日本帝国海軍で構成されているが、軍艦の保有数が経済指標になり、また外交問題にもなっていた。

「戦前」の日本の国際関係は、当初はドイツ帝国を模範としていたが、日露戦争から第一次世界大戦の間は日英同盟を外交の基軸としていた。そして、第一次世界大戦終結から第二次世界大戦終結までは再びドイツを模範としていた。

京都

京都では、「応仁の乱より前」や「禁門の変より前」を指す場合がある。これは、京都が第二次世界大戦ではほとんど戦災を受けなかった事もあるが、なにより京都が歴史が古い街である事を強調する意味合いを強く持つ用法である。

アメリカ合衆国における「戦前」

アメリカ合衆国では、建国以降多くの戦争に関与していることから、単なる「戦争前」(prewar、antebellum)・「戦争後」(postwar、postbellum) は用いない。

単に「戦前」と呼ぶ例は、南北戦争前または南北戦争以前の時代を、ラテン語で「en:Antebellum」と呼ぶ例がある。又、第一次世界大戦第二次世界大戦の間の時代を指して「戦間」(interbellum) と呼ぶ使い方もある(例:en:Interbellum Generation)。

関連項目

全般的な戦前

日本の戦前

外部リンク