フィギュア萌え族
rxy=森谷辰也=LTA:ASPE、 LTA:DCHANCE、LTA:SASHOという動かせない事実。
以下の内容は見方が偏っているのではないかと言っていた人がいたようです。 |
フィギュア萌え族( - もえぞく)とは、ジャーナリスト大谷昭宏が奈良小1女児殺害事件の犯人像を「オタク」だと予想した際に作成した造語、ならびにそれに関連する発言の事である。厳密には「フィギュア萌え族」(仮)。
目次
概要
2004年11月17日に発生した奈良小1女児殺害事件に関する報道の初期から、大谷は犯人をアニメや恋愛ゲームに没頭するフィギュアおたくであると想像し、「『フィギュア萌え族』(仮)」という言葉を作って、ワイドショーやスポーツ新聞などでの発言を続けた。大谷は犯行の動機を、「少女をフィギュア化して犯人の支配欲や所有欲を満たす為」という様に推理したのである。2004年12月30日、被疑者が逮捕され、被疑者が小児性犯罪の前科を持っており充分に更生していなかった事、またフィギュアはおろか成人向け恋愛ゲームに必要なパソコンすら所持していない事が判明した。
しかし、大谷は差別感情による偏見に基づいた自説を曲げることはなく、自分への批判者を激しく非難し、オタク趣味と事件を関連付ける様な報道を続けた。
発言の背景となった大谷のオタク観
大谷はオタクについて必ずしも無知という訳ではない。東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で広まったネガティブなイメージの影響を受けている事は確かであるが、自らが漫画原作者として活動していた事もあり、その後ポップカルチャーとして隆盛していったオタク文化についても充分認識はしている。
実際の事件を基にした漫画作品での言及
大谷は、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件が未解決なまま続いていた1988年の11月に、原作を務めたフィクションの漫画『獅子のごとく』 にて、警察官である主人公の正義感の強さを示すエピソードの中で、少女への性犯罪を描いている。この話では犯人が大学の助教授という事になっているので、彼は東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の犯人像をその様に想像していたのかも知れない。なお、この話では犯人が少女をかどわかす為に、「カコちゃん人形」という「リカちゃん」をもじったフィギュアを用いている。
その後、漫画『こちら大阪社会部』にて2件の性的殺人事件の犯人像をストーカー的な意味合いで「オタクっぽい奴」等と表現している。その内1993年に発表された1件は、1976年に発生し、大谷が懸命に取材した未解決事件「シーヤリング工場羽衣女子寮OL殺人事件」をアレンジしたものである。実際の事件と同様に、漫画の中でも事件は未解決である。ここで「オタク」という言葉が変質者の意味合いで使われている。
恋愛ゲームに関する言及
1997年に、大谷は漫画『こちら社会部』の中で、『バーチャルアイドル編』と題して、「同級生」や「ときめきメモリアル」を模したと思われる恋愛ゲームのマニアが、ヒロインを演じている声優を拉致し、ヒロインの攻略条件に近い状況に監禁するという架空の事件を書いている。犯人がそうする事でその声優が自分の事を好きになると思い込んで犯行に及んだという筋立てなのである。いわゆる「バーチャルリアリティ」や「擬似恋愛」を批判的に描いたストーリーではあったが、ゲーム自体については典型的な恋愛ゲームを概ね正確に描いており、この時点では一通りの取材をした上で批判していることが見て取れる。
また、奈良小1女児殺害事件の発生時点では、大谷の批判はゲームの中の「擬似恋愛」に対するものであった。しかし、事件解決後の市井からの批判に大谷が再反論した際には、ゲームの性表現に矛先を向けて、それを「児童ポルノ」だとして非難している。ここにも論点のすり替えが見られる。
フィギュアを取り上げた背景
実際の主張はフィギュアに対してだけではなく、アニメや漫画やゲームの規制にも及んでいる。むしろ、主張の中でフィギュアを持ち出しているのは、キャラクターがフィギュアとして商品化されているアダルトアニメや漫画、恋愛ゲームを批判する為である。被害者が「モノ扱い」された凄惨な事件と関連付ける為には、フィギュアすなわち「人形」が丁度良かったのだと思われる。被疑者逮捕後には、「極端な形のフィギュア」「一部の変なフィギュア」等と表現を変えており、被疑者から押収された手製のダッチワイフについて「フィギュアが出てきたじゃないか!」と主張している。
高崎小1女児殺害事件の報道
フィギュアを取り上げた背景には、2004年3月11日に発生した高崎小1女児殺害事件の加害者が「フィギュアおたく」だと報じられている事もある。ただ、この事件と奈良小1女児殺害事件との共通点は被害者が小学1年生の女児である点と、犯行が性的な動機によるものとされている点だけである。2004年11月の時点では、この事件の加害者の心理鑑定が始まったばかりであり、フィギュアを所有していたという事実以上の事は憶測でしかない。
大谷が主張した犯行の動機
大谷は「犯人は少女をフィギュア化して性的支配欲や所有欲を満たす為に殺害した」と主張した。
大谷が主張した被疑者の人間像
被疑者逮捕後、大谷は押収されたダッチワイフを指して、犯人の人間像において自説は正しかったと主張した。起訴され被告となった被疑者自身も、第3回公判の中で少女の遺体を「傷ついた壊れたおもちゃとしか思わなかった」と供述している。これらは確かに、大谷が主張した「モノ扱い」という説を裏付けている。
発言の経緯と発言への批判
被疑者逮捕前の経緯
奈良小1女児殺害事件が発生した直後の2004年11月19日、大谷は事件の第一報を伝える日刊スポーツの記事に、犯人からのメールの文言「娘をもらった」が「モノ扱い」した表現である事を根拠に、犯人が女児を人形化する為に殺害したと推理し、「人間的感情持たぬフィギュア世代の犯行か」とコメントを付けた。
そして、2004年11月22日、ABC(朝日放送)制作のワイドショー、「おはようコールABC」で彼は奈良小1女児殺害事件の犯人を、「いわゆるロリコンではなく、『フィギュア萌え族』(仮)」と主張した。
また翌日の日刊スポーツ・大阪エリア版の連載コラム「フラッシュアップ」では『対話も感情もない「萌え」のむなしさ』(11月23日)を掲載、この中で生身の人間ではなく恋愛ゲームやアニメ等の二次元の(すなわち絵の)少女しか愛せないパソコンオタクや、秋葉原系フィギュアマニアを事件の犯人像として提示した。同日のスーパーモーニングに電話出演した際、大谷は犯人像を「萌えの人」と表現した。また「『私はこれに萌えしてる』などと言う風に使います。」という解説をしたが、これは「萌え」という単語の用法として誤っている。そして一連の発言の中で大谷は、犯人が女児の遺体を傷つけた事について「フィギュアおたくの非常に特徴的なところ」とコメント。
被疑者逮捕後の経緯
結局、2004年12月30日早朝に逮捕された被疑者は、フィギュアなどの趣味を持っていなかった。それにもかかわらず、逮捕直後から大谷は「私は最初からフィギュアオタク的なロリコンが犯人だと言ってきた」と主張を巧妙に変化させて、報道の過誤を認める事をしなかった。それどころか、大谷は被疑者逮捕を報ずる報道特別番組において、捜査情報とは無関係な個人的偏見で「被疑者はフィギュア的なオタク」と一方的にコメントした。
その後、大谷は2005年1月4日、コラムの続編となる『趣味と犯罪の境界 社会が決めるべき』で、こうした批判に反論した。
勿論、被疑者の特徴が東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件と共通するという指摘もある。だからと言って、被疑者を「フィギュアオタク的」と一括りに決めつける事はできない。
2005年1月13日、大谷は朝日放送のワイドショー「ムーブ!」で、「服役している性犯罪者にロリコン雑誌が差し入れられている」という話題について、「日本の社会は、グダグダ言ってきてるアホたちをそういう所に放り込んで性欲減退の処置を取れる!」と糾弾した。
雑誌メディアによる批判
2005年1月25日に発売された扶桑社の週刊SPA!2月1日号が『誤解と偏見の「オタク迫害」に異議アリ!』という特集を組んでこの問題を取り上げた。
この中で保坂展人は、教育ジャーナリストとして、被疑者逮捕前に予断で犯人像について騒ぎ立てたメディアを、「事件とは関係ないところでロリコンやフィギュア好きを迫害する気分を作ってしまう」と批判し、被疑者逮捕後の報道内容については「被疑者が何故犯行に至ったのかという事件の本質を検証しなければ、報道の意味がない」と指摘した。
また、藤井誠二は、被疑者逮捕前のプロファイリングについて「自分は行わない。当たらないし、視聴者や読者の好奇心を煽るだけ」とコメントし、被疑者逮捕後の朝日新聞の社説などが論点をずらしている事を指摘した上で、「犯罪対策とポルノ規制は次元を変えて議論するべき」と批判した。
一般者たちからの批判
2005年2月14日には、東京で行われた公開シンポジウム「おかしいぞ警察・検察・裁判所」の質疑応答で「『フィギュア萌え族』発言が、権力の腐敗の一因となる『危ない奴へのレッテル貼り』だと批判されている事をどう思うか?」という質問が飛び出した。大谷は事件の凄惨さとそれに対する憤りを強調した上で、「事務所が嫌がらせを受けている」「私は『一部の非常に曲がったロリコンのフィギュアのオタクの中に被疑者が居るんじゃないか』と言った」「犯人はスクール水着に少女の下着を詰め込んでフィギュアを作っていた」等と激しく抗弁した(なお、被疑者の供述によるとスクール水着と下着で「人形」を作ったのは、事件が報道された後の11月20日である)。
2005年2月24日には、大谷はTBSのラジオ番組「アクセス」に生出演し、「子供たちは社会が総力を挙げて守るべき。私が一部の変なフィギュアや児童ポルノやアニメを批判したところ、そういう趣味の持ち主から総攻撃された。ミーガン法では住民がパニックになるだけだ」と主張して、2人の子供を持つ聴取者から「フィギュアやアニメに興味を持つのは、趣味嗜好の問題でそれはそれでいいと思う。ミーガン法で問題になる守秘義務を守る事はできる」と反論された。
2005年3月12日に東海テレビ「スーパーサタデー」で『氾濫児童ポルノ』と題した特集を放送した。そこでは秋葉原で売られている個人製作のパソコン用アダルトゲームの製作元(個人の民家)への押しかけ取材が行われ、また販売店舗の映像と奈良小1女児殺害事件の遺体遺棄現場の映像をオーバーラップさせる等の演出が行われた。この際に「インターネットには自分達の主張が通らないという事で、私を攻撃する者が居る」と、主張した。
団体・知識人からの批判
2005年7月28日、ワイドショー「ムーブ!」で大谷は、被告がフィギュアマニアだと報じられた高崎小1女児殺害事件に関する話題(検察官が被告にフィギュアの廃棄を求め、それを聞いて被告が号泣しフィギュアの廃棄を止めるように求めたこと)の中で、「フィギュアとか異常な幼児性愛に対して、私は奈良の事件でも厳しい事を言ってきた。子供を殺された親の気持ちが判らないのか? 趣味は自由だが、枠を外している自由に対して、私達は指弾していく」とコメント。
2005年9月30日、それまで大谷の言説を批判する内容のコメントをしてきた斎藤環が、初めて大谷を名指しで批判した。斎藤は「フィギュア萌え族」について「『ゲーム脳』の様なインチキ」と評した。
発言の一時的な終息
2005年8月6日、大谷は事務所のホームページのコラム『「会えて、よかった」に会えて‥‥。』を執筆した。このコラムによると、被告の弁護を担当している高野嘉雄弁護士が被告の反省を促すために、被告に大谷の恩師である黒田清の著書「会えて、よかった」を読ませ、それを読んだ被告が徐々に反省の意を表すようになったとの事である。大谷は急遽事務所の吉富有治に命じ、8月4日発売分の週刊フライデーに『奈良女児誘拐殺人被告「獄中で書いた読書感想文」を初公開!』という記事を書かせている。
また2005年8月5日放送のスーパーモーニングでは、恩師の黒田清について「ジャーナリストの仕事はこの様な形で残さなければならない。高野弁護士と巡り合う機会を作ってくれた事に縁を感じる」、また高野弁護士の姿勢について「『社会がどうしたらこういう人間が出てくる事を防御できるのか学習して欲しい』と仰っている」とコメントし、ジャーナリストとして被告自身に向き合う事の重要性を示唆している。
関連項目
文中キーワード
報道に関するもの
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- 東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件の頃、TBSのワイドショーで、コミックマーケット会場にて参加者全員を指し示し、「皆さん、ここに10万人の宮﨑勤がいます!」と発言