2018年平昌オリンピック

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第23回オリンピック冬季競技大会は、2018年2月9日から2月25日までの17日間、大韓民国江原道平昌郡を中心とする地域を会場として開催される予定のオリンピック冬季競技大会

一般的に平昌オリンピック(ピョンチャンオリンピック)と呼称され、平昌五輪と略される。

2011年7月に南アフリカ共和国ダーバンで開かれた第123次IOC総会で、2018年冬季オリンピックの開催地が平昌に決定した。主催都市(Host City)は平昌郡で、オリンピックの名称には「平昌」の地名が冠されているが、競技会場は江陵市旌善郡にも配置されている。規模の大きな都市がメイン会場であった過去数大会の冬季オリンピックとは異なる特徴をもつ。

大会開催までの経緯

詳細は 2018年冬季オリンピックの開催地選考 を参照
2018年冬季オリンピック開催地投票結果
都市 1回目
平昌 大韓民国の旗 韓国 63
ミュンヘン ドイツの旗 ドイツ 25
アヌシー フランスの旗 フランス 7
  • 2011年7月6日 - 南アフリカダーバンで開かれた第123次IOC総会で、平昌が1回目の投票で過半数の票を獲得して開催地に選ばれる。
  • 2011年10月19日 - 2018年平昌オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(POCOG) が設立される。
  • 2014年7月17日 - 新設する大型競技施設としては初めてとなる、江陵の競技場の起工式が行われる。
  • 2014年7月21日 - キム・ジンソン大会組織委員長が「新たなリーダーシップの下で委員会のシステムを強化すべき」として、任期を残して組織委員長の辞任を表明した。
  • 2016年5月3日 - テンプレート:ill2平昌オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員長が会長を務める韓進グループの経営悪化に伴う業務専念を理由に辞任、後任にはテンプレート:ill2が就任した。
  • 2016年8月30日 - 開会式の演出を担当するはずだった鄭求昊が、オリンピック組織委員会が契約締結を先延ばしすることを不服として開会式演出の辞退を表明した。

大会マスコット

大会マスコットは白虎のスホラン

予算・運営費

平昌大会の予算は約90億ドル(約1兆円)である。ソチ大会(2014年)の510億ドルと比べ、既にインフラが整っており大幅に費用が圧縮されていると説明されるがバンクーバー大会(2010年)の18億8,000万ドルと比べると4倍強となっている。

実施競技と日程

2018年冬季オリンピックでは、以下の15の競技から102種目が実施される。このうち、スノーボードのビッグエア、カーリングの混合ダブルス、スピードスケートのマススタート、アルペンスキーの混合団体が今大会の新種目として採用された。また、競技日時

はアメリカのNBCがフィギュアスケートでの生中継を希望しており、午前中の開催となった。以下、括弧内の数字は各競技でメダルが授与される種目の数を示す。

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テンプレート:2018年冬季オリンピック競技日程 注:日付は全てKST (UTC+9)

参加国・地域

  • これまでのところ、94の代表チームが少なくとも1名の選手の出場資格を得ている(内訳は93か国・地域の代表選手団、及びオリンピック旗の下に参加する前回のソチ大会の開催国・ロシアからのオリンピック選手団)。前回のソチに続き、欧州連合加盟全28

カ国も参加されることになった。

  • エクアドル、エリトリア、コソボ、マレーシア、ナイジェリア、シンガポールの6か国は、参加することが決まれば、冬季オリンピック初出場となる。
  • 国家ぐるみの組織的なドーピング疑惑English版が取り沙汰されているロシアの今大会における地位は長く不透明であったが、2017年12月5日、国際オリンピック委員会 (IOC) はロシア・オリンピック委

員会を直ちに資格停止とする決定を下したと発表した。出場資格を有し、かつIOCの反ドーピング規程に従うことを立証できる個人選手らは、「ロシアからのオリンピック選手」 "Olympic Athletes from Russia" (OAR) として、いかなる式典においても中立的な[[

オリンピックシンボル|オリンピック旗]]とオリンピック賛歌の下、出場することが許される。

参加する国および地域の選手団

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会場

競技会場は合計13会場で、山岳地区(アルペン・クラスター)の平昌(ピョンチャン)郡・旌善(チョンソン)郡と海岸地区(コースタル・クラスター)の江陵(カンヌン)市の3ヶ所に分かれて開催される予定である。2018年1月現在では

、山岳地区を1つにまとめ、平昌マウンテンクラスター江陵コースタルクラスターの2分類になっている。平昌一都市で開催することが不可能であることが判明したため、複数の都市に分散して開催にこぎつけた。
日本からの空路は仁川国際空港や金浦空港への定期便が運航されているが、選手団は襄陽国際空港へのチャーター機が手配される。

大会期間中は、KTXで最寄り駅、高速バスで最寄のバスターミナルや駐車場に着いてから先は、観客シャトルバスでのみ競技場へ移動できる。

山岳地区・平昌(ピョンチャン)

メイン会場となる大関嶺面の人口は6,141人(2016年)に過ぎない小さな村である。

バスターミナル、珍富駅)

以下は蓬坪面にある。人口5,841人(2016年)

山岳地区・旌善(チョンソン)

旌善郡の北坪面にある。人口2,678人(2015年)

  • 中峯(チュンボン)山地(アルペンスキー・スピード系)
  • 旌善アルペン競技場(アルペンスキー・技術系)(珍富駐車場、珍富駅)

海岸地区・江陵(カンヌン)

江陵市での開催。人口215,807人(2014年)。(江陵バスターミナル、江陵駅)

開・閉会式

気候

メイン会場に近い、標高850mほどの大関嶺地区の気候については、オリンピックが開催される2月の平均気温が-5.9℃と、札幌(-3.1℃)や白馬(-2.6℃)よりも低い。2月の平均最低気温は-10.9℃に達し、1974年1月24日には過去

最低気温として-28.9℃を記録するなど、氷点下20℃前後の厳しい冷え込みになることも珍しくない。このため、気温面では過去の冬季五輪開催都市の中では低い方に入り、冬季五輪開催には申し分ない条件となっている。また、積雪も過去最深積雪として188.8cm

1989年2月26日)を記録するなど、一般的には十分な積雪量を誇っている。積雪量が安定しない場合は人工雪の使用が想定されるが、気温が低いためにパウダースノーに近い状態になりやすい利点がある。

一方、スケート種目が実施される江陵日本海沿岸に位置するため、比較的温暖な気候であるが、時に大雪を降らせることがあり、過去最深積雪は1990年2月1日に韓国の都市部・平野部で最多の138.1cmを記録している。

問題点・騒動など

  • 招致プレゼンテーションの際、招致委員会が仁川国際空港仁川広域市) - 平昌間を68分で結ぶ高速鉄道路線を建設することを発表した。しかしこの建設に10兆ウォンの費用が必要となる上、オリンピック終了後

の需要が少ないとして開催決定半年後の2012年1月、韓国政府が高速新線の建設計画を白紙化した。その後、在来線として計画されていた原州-江陵鉄道(京江線)を高速運転対応とし、既存の仁川国際空港鉄道京義線中央線

経由して高速列車を運行する計画に移行している。

  • オリンピック会場周辺の宿泊施設の不足が指摘されている。開催都市の観光ホテル、コンドミニアムの収容人数が絶対的に不足しており、多くの来場者が宿泊の為に周辺都市に移動せざるを得ない。また、その影響で周辺のモーテル価格まで高騰しており、

大会期間中1泊70万ウォン(2017年12月19日のレートで約7.2万円)もするモーテルまで現れている。

  • 2017年12月、IOCが予約した1泊約10万円以上の客室を大量にキャンセルし、大会主要関係者と顧客向け宿泊施設の要求が21,200室から15,700室規模に減ったことが報じられた。
  • 当初、宿泊施設の不足が指摘されていたものの、宿泊料ぼったくり報道やIOCの大量キャンセル、さらにはKTXの開業で日帰りが可能になったことから逆にホテル離れを招き、実際には2017年末時点で大会期間中のホテル予約率は3割にとどまっていることが明らか

になってる。

  • 大会期間中の2018年2月15日から18日はソルラル(旧正月)の連休にあたるため交通機関の混雑が予想される。

日本に関連する問題

  • 2017年1月、オリンピックの政治的利用を禁止した五輪憲章違反であるとして、五輪公式ウェブサイトと報道配布資料で使用されている地図の地名表記において、竹島が韓国領「独島」と記載されていることに関して、日本の外務省から是

正要請が行われた。

  • 2017年9月27日、五輪公式ウェブサイトの「ドリーム・プログラム」を紹介するページにおいて表示されている世界地図に、樺太(サハリン)を含む日本列島が描かれていなかったことが発覚し、日本政府は「極めて不適切だ」と批判し、韓国大使館に早

急な是正を申し入れた。組織委員会は、「同年2月のホームページ改正後から近隣地域が記載されていないことに気がつかなかった」、「ホームページを改編した際に起きた単純なミスだった」と説明し、同日午後、日本列島が入った画像に急遽修正した。この問題

で、菅義偉官房長官は9月27日の記者会見で、「極めて不適切だ。政府としてはしっかり対応をやっていきたい」と述べた。

北朝鮮に関連する問題

安全性確保

平昌は韓国と北朝鮮の間の軍事境界線から約80キロメートルという近い位置にあり、2017年に北朝鮮による軍事的な挑発行動が散発するようになると、五輪についての安全性確保の問題が生じた。

2017年9月20日、ロイター通信によると韓国の文在寅大統領はニューヨークで開催された国際オリンピック委員会トーマス・バッハ会長との会談で、オリンピックの安全性を強調し、オリンピックの成功が朝鮮半島の平和と安定につながると伝えた。

一方で翌21日、フランスのローラ・フレセルスポーツ大臣は選手団の安全性が確保できない場合は参加を見送る可能性をラジオ局のインタビューで発言した。22日にはドイツ、オーストリアも選手団の安全性の問題について示唆した。

北朝鮮の参加問題

2017年9月、北朝鮮の張雄IOC委員はIOCの公式メディアとのインタビューで、「政治とオリンピックは別物である」、「選手が出場資格を得れば、平昌五輪への参加は問題ない」という認識を示した。実際に、9月にはフィギュアスケートの平昌冬季五輪予選を

兼ねたドイツの大会で、北朝鮮のリョム・テオク、キム・ジュシク組が全競技を通じて、平昌五輪の出場枠を獲得した。国際社会が北朝鮮への制裁を強化する中で、文在寅大統領は北朝鮮に平昌五輪へ参加するよう求めており、9月21日の国連総会における一般討論

演説でも、北朝鮮の参加に向けて努力を続ける考えを示していた。一方、北朝鮮は平昌五輪への参加を表明しなかった。

2017年10月12日、康京和外相は国会において、与党共に民主党の議員に対する答弁で「北朝鮮が核・ミサイル開発をめぐって国際的な孤立を深める中で、平昌パラリンピックへの参加意向書を国際パラリンピック委員会に提出した」と語った。その上で北

朝鮮の平昌五輪参加については、「フィギュアスケートのペアが出場権を得た。それ以外も多くの選手が参加できるようにIOCも積極的に協力しており、方法を模索している」、「北朝鮮から選手や応援団など多くの人が参加することを願っている」と述べ、平昌冬

季五輪への参加も呼びかけたが、北朝鮮は態度を明らかにしていない。

2018年1月1日、北朝鮮の最高指導者金正恩氏が「新年の辞」において平昌冬季五輪に北朝鮮代表団を派遣する用意があるとの声明をだした。これを受けて1月9日にも南北閣僚級会談が行われ、北朝鮮が平昌冬季五輪に参加することが正式に発表された

2018年1月15日、北朝鮮の対外宣伝サイト「朝鮮の今日」は五輪を自分たちの統一政策の一環だと宣伝する動画を「ユーチューブ」で公開した。動画には、韓半島旗と北朝鮮の国旗を振るシーンが何度も登場するが、太極旗は一度も登場しないなどの内容から、一部

からは「『平壌五輪』と誤解されかねない」と陰口をたたかれた。また20年にわたる招致活動にもかかわらず前夜祭が『金剛山文化行事』という形で北朝鮮開催になったことに地元の不満が爆発した。「国際オリンピック委員会がまるで国連の役割をしているかの

ような錯覚に陥る」との声も上がり、AP通信は「金正恩朝鮮労働党委員長はまるでチャンピオンであるかのように五輪をもてあそんでいる」と報じた。

北朝鮮の協議参加については、南北閣僚級・次官級実務会談において、アイスホッケーの南北合同チーム結成が合意された。IOCのバッハ会長が南北合同チームに非常に前向きであるとされ、韓国政府の決定にも影響があったとされる。この合意について、予選で同

組の日本とスイスは人数増等の公平性の観点からこれに反対した。南北合同チームに合流する北朝鮮選手は現在4-6人で、チームの組織力を殺さないため、攻守5人が構成する「ライン(組)」で一括して起用するとされる。

当事者の選手サイドでは、代表のセラ・マレー監督は「北朝鮮の選手を入れろという圧力がなかったらと思う」とコメントした。代表チームのメンバーからは不満が上がり、ゴールキーパーのシン・ソジョンが「14年間オリンピックの舞台を夢見てきた。

大きな期待をかけてきただけにとても当惑し、失望している。」「選手たちは『(南北合同チーム問題を)変えることはできないのだから、みんな気持ちを引き締めて練習に集中しよう』と話していた。動揺せずに五輪の舞台で最後まで頑張る姿をお見せしたい」

などと語った。

ロシアの参加問題

2017年12月5日、IOCは理事会を開き、組織的なドーピングを行ってきたとされるロシアに対し、ロシア選手団の参加を認めないと決めた。以前のドーピング違反や薬物検査歴のないことが確認された同国選手は、個人資格での五輪参加が認められているが、ロ

シア国旗と国歌ではなく五輪旗五輪讃歌を利用すること、ロシアの国章「双頭のワシ」の代わりに五輪マークを使うこと、また、ロシアと特定されるあらゆるシンボルの使用も禁止、ユニホームなどで「ロシア」の文字は「ロシアからの五輪選手」

に変更して新たにIOCの承認を受けること、「ロシア」の文字だけを大きく表記することも禁じた。

ボランティアに対する問題

ボランティア運営スタッフに対する待遇の不満などで、開催1週間前2月3日までに約2400人が辞めている。お湯が出ない宿泊施設や極寒の野外で1時間待たされるような移動バスの劣悪さなどの不備が挙げられている。

2月3日の開会式リハーサルでは式典進行の業務スタッフ249名中109名が待遇不満を理由にボイコットしている。

関連項目