秋葉系

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秋葉系(あきばけい)・アキバ系(あきばけい)とは、主に秋葉原(東京都)や日本橋大阪府)などの街に象徴される文化、集う人々のファッション的傾向、ないし行動スタイルを指す俗語である。

概要

いわゆるオタクあるいはマニアの中でも、秋葉原を情報拠点として発展したテクノサブカルチャーや、近年のオタク文化を趣味として、更には傾倒する向きを指している。なお、この語は「そのように見える」という形容でもあるため、当人がオタク的指向を持ち合わせていなくても、このように呼ぶ場合がある。

近年の秋葉原では、以下のようなサブカルチャー媒体の販売形態が盛んである。

これらを趣味とし熱中する人々を揶揄する意図で、これに傾倒する側のステレオタイプ的イメージを総称して、「秋葉原辺りに居そうな服装・行動をする人々」という意味であるが、広くはさらに鉄道に傾倒するマニアや、秋葉原の旧来から持つ電子工作無線、あるいは1990年代末頃より急速に愛好者を増やした自作パソコンの中でも、必要以上の性能を求めたPC自作などを含め趣味とし熱中する人々をも指し示している。

同義語

尚、この語で示される人が、ファッション的流行には関心を示さない傾向もあるため、1990年代末~2000年代には、ヒップホップのダンサーやそれに似たファッションを好む男性を表すB-BOYをもじって、秋葉原(Akihabara)の頭文字を取り秋葉系の男性をA-BOY(エー・ボーイ)、同様に秋葉系の女性をA-Girl(エー・ガール)と呼ぶこともある。これの類型としてA系Aカジといった呼称も存在する。

古くは、オタク文化黎明期に前後して発生した太陽族竹の子族などの若者文化と対比させる形で、秋葉族という呼称も見られる。

ただ、これらは並列的に発生して使用され、また汎用されている部分もあり、定義は曖昧である。用いられる媒体・コミュニティによって定義の揺らぎを含むためである。

呼称の背景

戦後急速に電気街として発展した秋葉原では、家電のほかにコンピュータゲームやマニアックで高価な音響機器などや、また各種電気・電子部品なども取り扱っていたことから、しだいに秋葉族と呼ばれる人々や、ゲーム好きが集まるようになっていった。これらは1960年代に前後するオーディオブーム(→オーディオマニア)や、1970年代の電子工作・無線機器、1980年代よりの8ビットパソコン(→8ビット御三家)といった時代の流行傾向があるものの、いずれ劣らぬ専門知識をもった趣味人で、彼らはその一般社会には理解されない専門化された趣味性に邁進していた。

この様相が大きく変化し始めたのが、Windows95の登場以後のPCユーザーの増大と、また同時期に高度化して多様化した家庭用ゲーム機の発展である。秋葉原はその、最新のパソコンや高性能なパソコン部品、あるいは発売直後で入手し難い最新ゲーム機を求める層が、関東一円、さらにその周辺地域からも人を集めるようになった。このような彼らをターゲットにしたPCゲームの店が増え始めることとなる。

また2000年代に入ると、家庭用ゲーム機ではなおのこと、パソコン上でもレイティングなどの形で販売・流通量の限られるアダルトゲームが大小様々なメーカーより数多く販売されるようになり、これを求めるユーザーと、それを提供するゲームソフト販売店が進出し、そうしたゲームのほとんどが実写でなく漫画やアニメを主体としていたこともあって、アニメ・漫画(同人漫画を含む)・フィギュアおよびコスプレに関連した店が集まり始めた。

この、「オタク好み(→萌え)」な文化の集中は、さらにはメイド喫茶などのコスプレ喫茶、さらにはアダルトショップ風俗店なども軒を連ねるようになり、秋葉原は世界有数のオタク文化発信拠点として、あるいは聖地とまで言われるようになった。そのような背景を集約する言葉として、秋葉原に集まる向きを総称して、オタク文化を社会現象として注目する向きや、あるいは「オタ臭さ」を忌避する向きに「秋葉系」という言葉やその類義語が使われるようになっている。

ステレオタイプ

なお「秋葉系」と表現すると、一般に気持ち悪いなど否定的・批判的な見方をされることが多く、同地域に昔から住んでいる人や、古くよりの秋葉族と呼ばれる、現状の秋葉系とは異なる人達には、こうした秋葉原自体の変容や、あるいはマスメディア上にて、むやみやたらに「キモオタの街」的に取り上げられる現状を快く思わない人も多い。 しかし既に、日本のアニメ産業やそれに関連するサブカルチャーそのものは、世界に伝播して日本を代表する文化のひとつとなるまでに発展しているとの見方も一部にある。このため旧来の電気街としての秋葉原を好んだ旧秋葉族と、現在の秋葉原の方向性に合致している現秋葉系の世代交代と見なせるかもしれない。

その一方で、広く社会に認められた文化は「秋葉系」や「オタク文化」といった言葉のニュアンスから外れるため厳密には異なるともいえるが、『新世紀エヴァンゲリオン』に代表されるセカイ系が「社会現象」と表現されたり、スタジオジブリのアニメやマリオブラザーズドラゴンクエストシリーズファイナルファンタジーシリーズなどのゲーム、村上隆のフィギュアやイラストレーションなど、世界的に認められたものも少なからず存在する(ただし、実際のヲタクの一部では、萌えアニメギャルゲーのみを評価し、DQ、FF、少年ジャンプなどを低俗な物として卒業することがステータスシンボル的な言動が見られることなど、これらの一般に評価されている作品が、一般人とは違うという意識から否定されることが多い)。これらのオタクにも一般にも受容されるサブカルチャーメディアは、別の側面から見ると、若者文化の一般常識(一般教養)的にも扱われることも少なくない。

ファッション

いわゆるオタクファッションであるが、オタク自体が共通した文化様式というよりも、ある方向性を指してそのように総称されるため、おおむねの傾向はみられるものの、特定のスタイルというものは存在しない。しかし総じて世間一般の価値観から逸脱して特定の方向性は見出せる事も少なくない。

オタクファッションは、一昔前のグランジ・ファッションエモ・ファッションと重なる点が多いとみなされるが、グランジやエモが意図してそのような「ヨレた(汚れ・伸び・破れが見られる)服装」をしたのに対し、オタクファッションでは見た目をあまり気にしないという理由などから、単純に「ヨレても服を替えない」という点が異なる。

その他の類型としては以下のような物が挙げられる。これらがすべて合致するものも珍しいが、この幾つかが合致すれば秋葉系にみなされる傾向が強くなる。

  • 近眼の傾向。メガネ(特にレンズの大きい銀縁)着用率が高い(コンタクトレンズは外見的に識別できないので除外)
  • 人目を気にしないので以下のような、普段着としてはややずれた服装・スタイルをしている。
  • 購入物を運搬するためのリュックサックあるいはアニメショップの紙袋、またいわゆる「ビームサーベル」スタイル(筒状にまとめられたアニメのポスターが荷物から突き出した状態)

これらは主に男性秋葉系のファッションであるとみなされる。またこれらには、人目を気にしない延長で食べ溢しや綿埃・フケの付着、皮脂のてかりや垢じみた襟足といった要素も挙げられる。

広義には、コスプレなど男女問わず秋葉原界隈によくみられる特徴的(目立つ上に他の場所ではまず見られない)なファッションを総じて呼ぶこともある。

服選びの基本は安価で購入しやすいものであり、親に買い与えられたものも多いとされ、ブランド品などはあまり含まれない。一部の安売りや大衆向けに安価に衣服を大量販売している形態の企業の製品が多い。これは「服に回す金があればオタクグッズを買いたい」や「服装を気にしない」という意識の現れであるとみなされる。単に経済的余裕が無いものも含むかもしれないが、特に秋葉系ではそれらファッションの統一性が無いか、あるいは組み合わせがちぐはぐな傾向が見出される。

散見される男くさいアイテムは、彼らなりの男性的なものへの憧れでもあり、一方で格闘ゲームのキャラクターからの影響も無視できない。これらはサバイバルゲームにも絡んで迷彩などを含むミリタリールックなどの方向性も生むが、ミリタリールックの是非は兎も角としても、主体となる着用した本人が余り身体を鍛えたりする事には熱心で無かったりする傾向も見られ、このアンバランスさが秋葉系と評される要因に上げられる。

メディアへの露出の影響

但し、以上で挙げられたようなファッションは秋葉系に特に見られるものではあるが、必ずしも全ての秋葉系がこうした服装をしているわけではない。

1990年代後半よりオタク文化が社会的に注目され、マスメディアでオタクの事を報道する機会が増え出した頃から、最低限の身だしなみは必要だという意識もうまれ、清潔感のある服装を選んでいることや、オタクや秋葉系の定義が広くなるにつれ秋葉系ファッションをしない人をも含むようになり秋葉系でもこうしたファッションをしている人は少数派になりつつある。実質的なオタク層の数量的増加に加え、オタクという概念の適用範疇の拡大に伴い、従来のオタク像とは違い「周囲の目」を気にする人も、比率的に増加している模様だ。

なお、秋葉系が皆こうしたファッションをしているというイメージがあるのは、オタクといえばバブル期に有名となった宅八郎を思い起こさせるからであるといえる。宅八郎はステレオタイプ化されたオタク像を更にアレンジして、見栄え(?)のする強烈なキャラクター性を生んだが、実質的に彼の構築したスタイルを模倣したり、あるいは平行進化的に同程度に強烈なキャラクターを持つものは稀である。

ただしメディア側では映像面で強烈なオタク像に合致する存在を求めている部分もあり、フィクションの上や特定のイベント内における限定されたスタイルに「普段からそういう格好をしている」というイメージを与えている部分も見られる。秋葉系というイメージは、このようなメディア上と一般の価値観の相互関係で発生した、広範囲な揺らぎを含む概念であると言えよう。

アキバ系の有名人

関連項目

外部リンク

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