提供クレジット

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提供クレジット(ていきょうクレジット)は、民間放送のテレビ番組・ラジオ番組に出資した者(スポンサー)を明らかにするために入れられるものである。テレビ番組の場合には提供スーパーと呼ぶこともある。

提供クレジットの位置づけ

スポンサーとはおおむね「番組を放送するための費用を出資した会社」という意味であり、スポンサーが支払う費用には番組制作費(権利処理費を含む)と電波料が含まれる。番組中にはスポンサーのCMが流されるが、それだけでは「番組の放送を支援している = 制作費を出している」のか、それとも「単にCM枠を買ってスポットCMを流しているだけ = 広告料しか出さず、番組の制作費までは出していない」のかわからない。

提供クレジットを流すことによって、スポンサーがその番組の経済的基盤になっていることを告知し、単にスポットCMを流しているだけではないということを明らかにすることができる。

提供クレジットの目的は、企業名や当該企業の主要ブランドの認知度をアップし、番組に好感を持っている視聴者に自社および自社商品のイメージを高めてもらうことにある。だが近年、提供クレジットに企業名ではなく、ブランド名や商品名を流すことによって提供クレジットそのものを広告化するという動きもみられ、意味合いは多少混乱している。

提供クレジットの様式・挿入場所

ラジオの場合は音声で、典型的には「○○の提供でお送りします」「○○の提供でお送りしました」といったナレーション(いわゆる提供読みもしくは提供アナウンス)をもって提供クレジット(英語版は後述)とする。テレビの場合には、画面にスポンサー名が表示され、音声では「○○の提供でお送りします/しました」あるいは「ご覧のスポンサーの提供でお送りします/しました」などのガイダンスを流すというかたちで提供クレジットとする。

提供クレジットはおおむね番組の前後に入れられる。

番組の最初に入れられるものは「前提供」と呼ばれる。前提供は厳密に番組の最初に入れられるとは限らず、番組の構成によっては開始後しばらくしてから表示される場合も多い(このケースでは、スポンサーの提供開始タイミングがはっきりしなくなる)。番組の最後に入れられるものは「後提供」と呼ばれる。後提供も、厳密に番組の最後に入れられるとは限らず、後提供が流されたあとにエピローグなどが流されるケースもある。

また、長時間に及ぶ番組の場合には途中でスポンサーが交代する場合がある。このようなケースでは、CM前後に「ここまで(の放送)は~」「ここから(の放送)は~」などのアナウンスとともに提供クレジットが流される場合もある(テレビの場合には音声を伴わず、番組中に画面の下に出すスーパーだけで処理する場合もある。珍しいケースとしてテレビ東京の「日曜ビッグバラエティ」では途中入れ替えの際、ロールスーパーで提供クレジットを流している。)。また2011年10月29日放送の空から日本見てみようの再放送では提供がマスコットキャラクターグッズ紹介になっていた

右のブルーバック版は主にローカルセールス枠での番組によく使われる。背景あり版はネット番組の殆どで使われる。縮小版は、生放送番組(朝晩のニュースなど)や長時間特別番組中にスポンサーが変わるときに使用されることがある。画面下中央に表示される場合、2列で表示することもある(この場合、最大6社まで表示可能)。 最近では提供表示中にぼかし入れるケースが多い 日本テレビでは笑点ととアニメとドラマ以外の殆どの番組以外で表示されるまたダウンタウンと県民でも2013年2月から表示されている TBSではサンデージャポンとリンカーンで表示される テレビ朝日ではアニメとドラマ除いた殆どの番組 テレビ東京では先取りJUMPで表示される フジテレビでは表示されなかったがおじゃマップ2で初めてぼかしが入ったまた現在は家来るとアカンでも表示されている

音声による提供クレジット

ラジオ・テレビともに、音声による提供クレジットの様式は近年変化しつつあり、表現が異なるケースや英語によるものなども出現している。

例として、J-WAVEWOWOWなどでは一部を除いて"This Program is(was) brought to you by ~."の英語表現が使われている。また一部の番組(TBSうたばん』、CBCサンデードラゴンズ』、中京テレビPS』など)では「○○は、ごらんのスポンサーの提供でお送りします/しました」の表現もある(この手法を最初に導入したのはめちゃ×2モテたいッ!である)。

※"~"には提供名、"○○"には、番組タイトルが入る。
※英語紹介の場合、開始時に"is"、終了時に"was"もしくは"has been"が入る。

テレビにおける提供クレジット

時代的変遷

テレビ番組における提供クレジットは、時代によって変遷している。最初の様式は、フリップと呼ばれる厚紙製のボードに文字を記したものをテレビカメラで画面いっぱいに撮影するというスタイルのものであった。

続いてスーパーインポーズカメラを用い、黒バック白文字・白バック黒文字などで表示するという方法が開拓された。この方法はカラー化後も長らく標準的な方法として使われていたが、バックはブルーなど色付とされ、多少はカラフルになった。

その後、放送局の機器類の機能が強化されるに伴い、多彩な表現がなされるようになっている。たとえば無地バックではなく、番組の映像の上にスーパーインポーズで文字を焼き込むといった方法は一般化している(民放局のの大半は「フェードイン~フェードアウト」で表示するのがほとんどである。)。また、2006年現在はまだスペシャル番組や大型スポーツ番組(FIFAワールドカップ等)などに限られるが、「スポンサー社名の文字が飛んでくる」などのアニメーション効果を使ったものもあらわれてきている。

表示様式

テレビにおける提供クレジットは、スポンサーとしての出資額によって「一画面一社」「一画面複数社」にわかれる。出資額が多ければ「一画面一社」となり、少なければ「一画面複数社」となるのが原則である。一部の放送局では筆頭スポンサーを中心としてゴールデンプライムタイムの枠を中心に(スポーツ中継など日中の番組で出す場合もある)企業カラー表示でクレジットする場合がある。

また、出資額によって提供クレジット枠の長さが変化する場合もある(特に、アニメーション効果などを伴う提供クレジットの場合、文字が止まっている時間のほかに前後の動き分の余計な時間がかかるため、提供クレジット枠は伸びる傾向がある。総尺が同じであれば、文字が止まっている時間が短くなってしまうためである)。

特殊な例として、秋田朝日放送のローカル番組『ぷぁぷぁ金星』ではスケッチブックに手書きの提供クレジットを書いてローカルタレントのバリトン伊藤が読み上げるケースがある。

放送形態による扱いの違い

テレビにおける提供クレジットには、画面の提供クレジット表示にあわせてアナウンスで

  • 「(この番組は)○○○○(商品名、企業キャッチフレーズスローガン)の△△の提供でお送りします/しました」と述べる場合(冠スポンサーまたはそれに準ずる特別な大口スポンサーの場合。)
  • 「(この番組は)○○・△△・◇◇の提供でお送りします/しました」と述べる場合(スポンサー全社をアナウンスする場合。スポンサーが1社~数社(5~6社)の場合に述べられる)
  • 「(この番組は)○○・△△・◇◇と、ご覧のスポンサーの提供でお送りします/しました」と述べる場合(特定の大口スポンサーのみアナウンスする場合)
  • ご覧のスポンサーの提供でお送りします/しました」(スポンサー全社を等しく扱う場合)と述べるにとどまる場合がある。これは多くの場合、スポンサーのネット上での扱いが異なることに基づくものである。

また、「ご覧のスポンサーがお送りします/しました」や「○○・△△・◇◇がお送りします/しました」というように、「提供」を省略して述べる場合もある(特にTBSやフジテレビでよく見られる)。1980年代のNNNきょうの出来事でなどでは「ご覧の各社の提供でお送りします/しました」という言い方をしていた。

提供クレジットは、通常放送局で放送に際して挿入される。複数の放送局で同時に放送する番組の場合、全局で等しくスポンサーとなっている会社については送出局で提供クレジットのスーパーを入れ、アナウンスでも社名を読み上げる。それぞれの局でのみスポンサーとなっている会社の場合には、送出局では提供クレジットのスーパーを入れずに送出し、それぞれの局でローカルスポンサーのスーパーを提供クレジット枠に入れることになる。その場合も音声そのものは全局で同じものが使われるため、ローカルスポンサーを読み上げることができず、全局で一括して「ご覧のスポンサーの~」という共通の音声が使われることになる。この場合、提供なしの場合や、スポンサーの意向で企業名を読み上げる必要がある場合は、音声の消去またはブルーバックや局ID等の別画面への差替えを伴う。そのため、番組によっては、各局独自の提供読みを挿入できる様に、テロップの消去に併せて音声も提供読みのないBGM・実況音等のみとしたものをネット局へ送り出す場合もある。また、特別な例としては、独立U局千葉テレビ放送で放送している、朝まるJUST内でのスポンサー読みで、出演キャスターが、「○○の提供でお送りする、JUSTインフォメーション(コーナー名)です。」などとナレーションしている。

ちなみに、視覚障害者向けに音声多重放送にて解説放送が行われている番組の場合、提供アナウンスでは主音声では「ご覧のスポンサーの~」となっていても、副音声では企業読みが行われている(但し番組販売などの場合は、放送局によっては行われないこともある)。

競馬中継番組(みんなのケイバなど)の場合「主催 JRA」と表示され、「主催は、JRA、日本中央競馬会です。」もしくは「この番組は、JRA、日本中央競馬会の主催でお送りします。」とアナウンスされる。

企業ロゴマークによる企業名の表示

最近では、ロゴなどに使用されている英語の企業名を、提供クレジットに表示する企業が増えている。三菱自動車工業は以前は「三菱自動車」として企業名を出していたが、現在では「MITSUBISHI MOTORS」に変更している。会社名の表示は英語で、アナウンスは日本語で言う場合もある。ちなみに、日本リーバ(現在のユニリーバ・ジャパン)や東京ガスなどもこのような表示を行っている。

また2000年代初頭までは、企業名の読み上げを行わないスポンサーのクレジット表示は、CIマークが省略された状態の企業名ロゴのみで表記されているものがほとんどだったが、現在は大半のテレビ局において、ほとんどがCIマークと企業名ロゴを併記したものに変更されている。これに該当する主な大手企業の例は、トヨタ自動車小林製薬日清食品などが挙げられる。在京キー局ではまず、日本テレビテレビ朝日フジテレビの順で順次変更された。その後TBSテレビ東京でも順次変更されているが、2008年現在もTBSは一部、テレビ東京はまだ大半の企業が企業名ロゴのみ(CIマークなし)のままのものが残っている。

出演者・声優によるアナウンス

テレビ・ラジオ番組における提供クレジットは各局のアナウンサー(大半は女性)が担当するが、バラエティ番組などにおいては、出演者やナレーションが提供読みを担当する場合がある(ナレーションでは、『めちゃ×2イケてるッ!』、『世界一受けたい授業』、『銭形金太郎(終了)』等。出演者では、『ナイナイサイズ!』等のナインティナイン等)。

テレビアニメでも主要なキャラクターを担当する声優がアナウンスをするケースも多い。主な例では『サザエさん』ではフグ田サザエ役の加藤みどり、『ポケットモンスター』シリーズではサトシ役の松本梨香、『名探偵コナン』では江戸川コナン役の高山みなみ(ただし、映画版はすべて局アナが読み上げているが、2008年4月21日放送の映画版では1枠目は局アナ。2枠目・3枠目は高山みなみがそれぞれ読み上げている。(1枠目は前クレのみ。後クレは読み上げなし)。)、『魔法少女リリカルなのは』シリーズでは高町なのは役の田村ゆかり等がある。

FNSの日

フジネットワーク1987年から毎年7月に制作・放送している生放送長時間特別番組FNSの日』では、第1回放送から「フジテレビ新人アナ披露」というコーナーを設けている。このコーナーは、その年の4月フジテレビジョンに入社した新人アナウンサーに、「FNSの日」に提供もしくは協賛したスポンサー各社名を提供クレジットとともに読み上げさせるものである。今ではフィナーレに欠かせないコーナーとなり、テレビ局が提供クレジットをいかに重要視しているかを上手く伝え、なおかつ新人の登竜門として演出することで視聴者の注目を集める好例ともなっている。

提供コメントを一切行わない番組

  • テレビ朝日の『徹子の部屋』が有名でオープニングでは提供クレジットを載せてゲストの紹介、エンディングでは提供クレジットを載せてトークを時間までしている。ただし、地上波では一時期(番組終了時・ローカルセールスでブルーバック画面のみ)、BS朝日では開局から2年ほどは提供コメントを行っていた。なお、CS放送のテレ朝チャンネルは有料放送でなおかつ、ノンスポンサーであるため提供クレジット表示は一切行っていない。

提供クレジットの非表示

スポンサー企業の判断によっては、提供クレジットに自社名を意図的に表示しない場合がある。具体的には以下のようなケースである。

  • 番組に「俗悪番組」などの批判があり、提供クレジットを入れることによって企業イメージがダウンするおそれがあったり、番組への苦情が企業にまで来てしまう可能性がある場合。俗悪番組批判がスポンサー批判に及んだことがあり、そういったケースへの警戒感に基づくものと思われる。ただし、提供クレジットには表示されなくても、通例は番組中にCMは放送される(特に花王のCMにおいて、この方式が顕著に見られる)。
  • 番組内容とスポンサー企業の活動内容とがそぐわない場合。たとえば連続ドラマのうち交通事故が重要な要素となっている回では、通してスポンサーとなっている自動車メーカーが、提供クレジットを非表示とする場合がある。この場合も、提供クレジットには表示されなくても、通例は番組内にCMは放送される。
  • スポンサー企業が不祥事を起こし広告自粛をしている場合。このケースでは、通例番組内のCMも自粛される。しかしながら、スポンサーとして番組枠を確保し続けるためにスポンサーとしての出資は続けられるのが普通である。当該スポンサーの広告時間は公共広告機構などに譲渡され、その企業が公共広告機構に広告枠を寄付したというかたちを取る場合が多い。

関連項目

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