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2019年1月24日 (木) 17:49時点における最新版
イギリスの音楽 この項目では、イギリス、イギリス人の音楽について述べる。
イギリスはヨーロッパの一部にあり、ヨーロッパ大陸からいくらか離れたグレートブリテン諸島にある国である。従って、ヨーロッパの音楽文化圏の一部であって、ヨーロッパ大陸の音楽、すなわちイタリアやドイツ、フランスの音楽と、リズム、音組織(音階や和音)などに基本的な違いはない。常に大陸と密接な関わりを持ちながら、発達してきたと言っていい。しかしながら、民族に独特の音楽も持っている。スコットランドのバグパイプの音楽などは、その代表例である。マザーグースなどの童謡、クリスマスキャロル、スコットランドやアイルランドの民謡などは、日本でもよく知られたものが多い。
歴史的には、イギリスは、中世・ルネサンス音楽期においては、ヨーロッパでもフランスに次ぐ音楽先進国であった。しかし、ドイツからイギリスに帰化したヘンデルが活躍後のクラシック音楽においては、イギリスの作曲家は、イタリア、ドイツ、オーストリア、フランスなどの作曲家に比べ、日本語圏で知られているものが少ないのが現状である。数少ない例外は、エドワード・エルガー、グスターヴ・ホルスト、ベンジャミン・ブリテン、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズであろうが、それとても日本語圏での演奏機会が多いとは言えない。演奏を見ると、ロンドン交響楽団やロンドン・フィルハーモニー管弦楽団といったオーケストラ、サイモン・ラトルらの指揮者が、日本公演やCDなどによってよく紹介されている。ルネサンス音楽では、タリススコラーズ、ザ・シックスティーンなどの声楽団体が、この分野を代表する演奏団体となっており、極めてレベルが高い。また金管バンドに特徴があり、英国式ブラスバンドとして他と区別される。
一方、ポピュラー音楽については、ビートルズを筆頭に、日本語圏でも知られているものが多い。
中世イギリスの音楽[編集]
中世のイギリスは、ヨーロッパではフランスに次ぐ音楽先進国であった。11世紀以降、セイラム(ソールズベリーの古名)でソールズベリー聖歌が発達し、この聖歌はイギリス国教会の成立まで盛んであった。また、13世紀末の「夏は来りぬ Sumer is icumen in」は、発見されている世界最古のカノンである。13世紀前後のフランスのカロルという舞曲がイギリスに伝えられ、14〜15世紀になると多くのキャロルが作られた。キャロルは、500編の歌詞と100曲あまりの旋律が残されている。現在、聞かれるクリスマス・キャロルの多くはこのころ作られたものである。
14世紀から15世紀には、イギリス独自の3度や6度和音を利用した美しい多声音楽の方法が開発された。イギリスは島国であり、百年戦争で大陸との接触が無くなると、大陸で廃れた技法、例えばノートルダム楽派のイソリズムが使用され続けられ、独自に発展した。百年戦争末期になるとイングランド王国が北フランスを占領し、大陸とイギリスの音楽家の交流が始まった。この時代の重要な作曲家が、リオネル・パワー(1375頃-1445)とジョン・ダンスタブル(1380頃-1453)である。特にダンスタブルは、大陸にイギリスの和音の技法を伝えブルゴーニュ楽派を成立させるとともに、イギリスにフランスの新しい技法を伝えた。しかし、百年戦争でイギリスが敗退(1453年)、イギリス国内でのバラ戦争(1455〜1485年)などの影響で、イギリスの音楽文化は一時的に衰退する。
ルネサンス音楽[編集]
テューダー朝のヘンリー8世(1491年- 1547年)が、1509年に王位についた頃から、イギリスにおける音楽活動は再び盛んになった。ヘンリー8世は、音楽にも造詣が深く、ヘンリー8世作曲とされる楽譜(合唱曲『Pastime with Good Company』など)が現存する。このころの宗教音楽は、イートン聖歌隊本(Eton Choirbook イートン・クヮイアブック)にまとめられている。また、クリスマスキャロルとして知られる「グリーンスリーブス」はこの時代からエリザベス朝にかけてよく歌われていた民謡である。中世・ルネッサンス期では緑色には「不倫」という意味があり、6人の妃を持ったヘンリー8世による女性遍歴を揶揄した曲であると言われている。ヘンリー8世は、キャサリン王妃との離婚および、アン・ブーリンとの再婚を巡る問題から教皇クレメンス7世と対立。1534年には国王至上法を発布し、自らをイギリス国教会の長として、ローマ・カトリック教会から離脱した。
このような時代背景の中で、ルネサンス音楽期に活躍した著名な作曲家であるトマス・タリスや ウィリアム・バードはラテン語(カトリック)と英語(イギリス国教会)による曲を両方作曲している。とりわけ、バードは、カトリック信者として生涯を送り、イギリス国教会との葛藤から生まれたラテン語のミサ曲は、ルネサンス期を代表する作品である。シェイクスピアの劇中にも登場するトマス・モーリーなどの世俗音楽が盛んになるとともに、ジョン・ダウランドは、優れたリュート作品や歌曲を作曲した。
エリザベス朝時代後期には、イタリアのマドリガーレの刺激を受けて、イングリッシュ・マドリガルが数多く作曲された。トムキンズ、ギボンズ、モーリーなどの作曲家が知られている。また、器楽音楽についても、ルネサンス後期のイギリスでの発展は顕著であった。特にヴァージナルと呼ばれる小型チェンバロが愛好された。タリス、バード、ファーナービー、ギボンズ、ジョン・ブルなどが作ったこの楽器のための曲は、短い歌謡調の旋律を変奏していく「変奏曲」という形式を確立した。
このように中世、ルネサンス音楽の時代には、イギリスはヨーロッパ有数の音楽先進国であった。
- ヘンリー8世
- ウィリアム・コーニッシュ
- ロバート・フェアファクス
- ジョン・タヴァナー
- クリストファー・タイ
- トマス・タリス
- ジョン・シェパード
- ロバート・ホワイト
- ウィリアム・バード
- オーランド・ギボンズ
- トマス・ウィールクス
- トマス・トムキンズ
- ピーター・フィリップス
- トマス・モーリー
- ジャイルズ・ファーナビー
- ジョン・ダウランド
バロック音楽[編集]
ヘンリー・パーセル(1659年-1695年)はバロック音楽時代に活躍したイギリスの音楽家である。彼はイタリアやフランスの影響を受けつつ、独自の音楽を生み出したものの、その生涯はわずか36年というものであった。その後、ドイツから移住、帰化したゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(1685年-1759年)が、イギリスにおいてオペラやオラトリオなど、世俗の劇的な作品で本領を発揮した。イギリスが大英帝国として、世界各地に植民地を広げた時代である。しかし、このころからイギリスの音楽は、新しい音楽を生み出すことより、他国で生まれた音楽を消費する傾向が強まっていった。パーセル死後に生まれたボイス(1711年-1779年)、アーン(1710年-1778年)、リンリー(1756-1778)などの作曲家は、古典派直前のイギリスの作曲家である。
古典派以降のクラシック音楽[編集]
ルネサンス音楽期までは音楽後進国であったドイツ語圏がバロック音楽期以降、古典派、ロマン派とクラシック音楽の黄金時代を迎えたのに対し、イギリスの音楽が再び世界的影響力を取り戻すには20世紀のビートルズを待たなければならない。19世紀末から20世紀に活躍したエルガー、ホルスト、ブリテン、ヴォーン・ウィリアムズなどの音楽家達は、ベートーベンなどのような歴史的な役割をしたとは言いがたいが、イギリスらしい明解な作品を数多く残している。このころ国民楽派が、ヨーロッパ各地での民族意識の高揚を背景に盛んになるのにやや遅れて、世界の支配的な地位を占めていたイギリスでも、イギリスの民謡や古楽を作曲の題材にしたヴォーン・ウィリアムズやブリテンなどの作曲家が見られたことは興味深い。
指揮者[編集]
演奏家[編集]
オーケストラ[編集]
- ロンドン交響楽団
- ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
- フィルハーモニア管弦楽団
- ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
- BBC交響楽団
- バーミンガム市交響楽団
- ハレ管弦楽団
- ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
民俗(民族)音楽[編集]
関連項目[編集]
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