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'''壁ドン'''(かべドン)とは、[[壁]]に大きな衝撃を加え「ドン」という衝撃音を発させる行為であるが、使用者によって以下のとおりまったく異なる意味として用いられることがある。
 
'''壁ドン'''(かべドン)とは、[[壁]]に大きな衝撃を加え「ドン」という衝撃音を発させる行為であるが、使用者によって以下のとおりまったく異なる意味として用いられることがある。
  
# [[集合住宅]]などで隣の部屋が騒がしい時に壁をドンと殴る行為<ref name="sankei20140812">{{cite news|author=杉山みどり|newspaper=[[産経新聞|産経ニュースWEST]]|publisher=[[産業経済新聞社]]|date=2014-08-12|url=http://www.sankei.com/west/news/140812/wst1408120004-n1.html|title=現代女子が憧れる「壁ドン」、企業も食いつく(ファッション・オタク通信)|language=[[日本語]]|accessdate=2014-11-13}}</ref><ref name="nikkei20140607">{{cite news|author=福光恵|newspaper=日経プラスワン|publisher=[[日本経済新聞社]]|date=2014-06-07|title=壁ドン―女子憧れの胸キュンシーン(コトバ百貨店)|page=2|language=[[日本語]]}} - 日経テレコンにて2014年10月14日閲覧。</ref><ref name="コトバンク">{{Cite web|author=若林朋子|title=壁ドン|work=[[コトバンク]]『[[知恵蔵|知恵蔵2014]]』|publisher=[[朝日新聞社]]|year=2014|url=https://kotobank.jp/word/%E5%A3%81%E3%83%89%E3%83%B3-189837|accessdate=2014-11-16}}</ref>。
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# [[集合住宅]]などで隣の部屋が騒がしい時に壁をドンと殴る行為。
# 男性が女性を壁際に追い詰めて手を壁にドンと突く行為<ref name="sankei20140812"/><ref name="nikkei20140607"/><ref name="コトバンク"/><ref name="nikkei20140820">{{cite news|author=堀江耕平、中川淳一|newspaper=[[日経流通新聞]]|publisher=[[日本経済新聞社]]|date=2014-08-20|title=イケメンが壁に手を突き、顔を急接近、「壁ドン」、女心打つ―少女漫画「LDK」が火付け役、リアル男子にない強引さ|page=16|language=[[日本語]]}} - 日経テレコンにて2014年10月14日閲覧。</ref>。
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# 男性が女性を壁際に追い詰めて手を壁にドンと突く行為。
# 壁を叩きたくなるほどの不満や憤りを感じた時など<ref name="コトバンク"/>、腹が立った時に壁を殴る行為<ref name="jcast20121020">{{Cite web | date=2012-10-20 | url=http://www.j-cast.com/2012/10/20150799.html | title=本当の「壁ドン」は? 「隣人にドン」「ラブラブにドン」 | work=J-CASTニュース | publisher=[[ジェイ・キャスト]] |accessdate=2014-11-13}}</ref>。
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# 壁を叩きたくなるほどの不満や憤りを感じた時など、腹が立った時に壁を殴る行為。
  
'''1番目'''の壁を殴る行為は、ネットを通じ比較的古くから用いられている用法、[[ネットスラング]]である<ref name="やじうま">{{Cite web|title=勘違いはどっち?「壁ドンの本来の意味」でネットユーザーが大激怒中|work=やじうまWatch(INTERNET Watch)|publisher=[[インプレス]]|date=2014-10-16|url=http://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/20141016_671524.html|accessdate=2014-10-23}}</ref><ref name="AOL">{{Cite web | author=今岡憲広 | date=2014-10-16 | url=http://news.aol.jp/2014/10/16/kabedon/ | title=女子が憧れるシチュエーション「壁ドン」本来の意味を巡ってネット上で論争が勃発 | work=AOLニュース | publisher=[[AOL|AOLオンラインジャパン]] |accessdate=2014-11-13}}</ref>。「壁殴り」<ref name="jcast20121020"/>や「イラ壁」<ref name="AOL"/>とも呼ばれる。
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'''1番目'''の壁を殴る行為は、ネットを通じ比較的古くから用いられている用法、[[ネットスラング]]である。「壁殴り」とも呼ばれる。
  
'''2番目'''の女性を壁に追い詰める行為は、そのシチュエーションを[[2008年]]に「'''壁にドン … 黙れよ'''」という言葉で説明したことが起源とされ<ref name="jcast20121018">{{Cite web | date=2012-10-18 | url=http://www.j-cast.com/2012/10/18150607.html | title=ツイッターで謎の「ブーム」「壁ドン」とは何なのか | work=J-CASTニュース | publisher=[[ジェイ・キャスト]] |accessdate=2014-09-15}}</ref>、ラジオ<ref name="amagami">{{Cite episode |title=[[良子と佳奈のアマガミ カミングスウィート!]] #97 |network=[[音泉]]|airdate=2011-02-14}}</ref>等で「壁ドン」と呼ばれるようになったもの。後に女子中高生などが使い始めて流行し、メディアに取り上げられるまでに至っている。2番目の用法は1番目の用法と独立して生まれているが<ref name="日経ビジネス">{{Cite web|author=もりひろし|date=2014-12-22|url=http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20141218/275323/|title=2014年の新語十選 迷いの1年(社会を映し出すコトバたち)|work=[[日経ビジネス|日経ビジネスオンライン]]|publisher=[[日経BP]]|accessdate=2015-01-25}}</ref>、1番目の用法は古くからあるためにこちらの用法が本来のものであるという報道<ref name="やじうま"/><ref name="AOL"/><ref name="jcast20121018"/>と、メディアに初めて広く知られた2番目を本来の用法とする報道<ref>{{Cite web | date=2014-10-03 | url=http://nikkan-spa.jp/712365 | title=「壁ドン」の意味、勘違いしてる人が多数 | work=[[SPA!|日刊SPA!]] | publisher=[[扶桑社]] |accessdate=2014-11-13}}</ref>がある。[[日経ビジネス|日経ビジネスオンライン]]の記事によれば、1番目と2番目でそれぞれ別々の用法が誕生したのは「たまたま、偶然」であるとしており、言葉の成り立ちとしては「非常に面白い事例」であると報じている<ref name="日経ビジネス"/>。
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'''2番目'''の女性を壁に追い詰める行為は、そのシチュエーションを[[2008年]]に「'''壁にドン … 黙れよ'''」という言葉で説明したことが起源とされ、ラジオ等で「壁ドン」と呼ばれるようになったもの。後に女子中高生などが使い始めて流行し、メディアに取り上げられるまでに至っている。2番目の用法は1番目の用法と独立して生まれているが、1番目の用法は古くからあるためにこちらの用法が本来のものであるという報道と、メディアに初めて広く知られた2番目を本来の用法とする報道がある。[[日経ビジネス|日経ビジネスオンライン]]の記事によれば、1番目と2番目でそれぞれ別々の用法が誕生したのは「たまたま、偶然」であるとしており、言葉の成り立ちとしては「非常に面白い事例」であると報じている。
  
'''3番目'''は主に男性[[アニメ]]ファンの間に存在した用法であり<ref name="jcast20121020"/>、視聴者が[[嫉妬]]するような恋愛描写に反応して壁を叩く行為、転じて「幸せそうな[[カップル]]を見かけた時に嫉妬して壁をドンドン叩く行為」<ref name="jcast20121020"/><ref>{{Cite web|date=2014-11-21|url=http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20141121-00039106-r25|title=流行語候補「壁ドン」ネット民複雑(噂のネット事件簿)|work=[[R25 (雑誌)|web R25]]|publisher=[[リクルート]]/[[ヤフー (企業)|ヤフー]]|language=[[日本語]]|accessdate=2015-01-25}}</ref>として用いられることがある。
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'''3番目'''は主に男性[[アニメ]]ファンの間に存在した用法であり、視聴者が[[嫉妬]]するような恋愛描写に反応して壁を叩く行為、転じて「幸せそうな[[カップル]]を見かけた時に嫉妬して壁をドンドン叩く行為」として用いられることがある。
  
「壁ドン」は[[2014年]]に開催された[[ユーキャン新語・流行語大賞]]のトップテンに選ばれた<ref name="毎日20141201">{{cite news|newspaper=[[毎日新聞]](まんたんウェブ)|publisher=[[毎日新聞社]]|date=2014-12-01|title=山崎賢人:“壁ドン”流行語トップテン入りに「ここまではやるとは」|language=[[日本語]]|url=http://mainichi.jp/mantan/news/20141201dyo00m200040000c.html|accessdate=2014-12-05}}</ref>。これは'''2番目'''の用法として受賞されたものである<ref name="毎日20141201"/>。
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「壁ドン」は[[2014年]]に開催された[[ユーキャン新語・流行語大賞]]のトップテンに選ばれた。これは'''2番目'''の用法として受賞されたものである。
  
 
== 集合住宅などにおける壁ドン ==
 
== 集合住宅などにおける壁ドン ==
主にアパートなどの集合住宅において、隣人の声や生活音などが[[騒音]]として聞こえる場合に、その隣人の部屋につながっている壁を強く叩き、隣人に抗議・警告を示す行為のこと<ref name="sankei20140812"/><ref name="nikkei20140607"/><ref name="コトバンク"/>。初期には「壁殴り」<ref name="jcast20121020"/>「イラ壁」<ref name="AOL"/>とも称され、後に「壁ドン」に転じた。壁の薄いアパートなどでは頻繁に起こるトラブルであるほか<ref name="弁護士20130728">{{cite web|publisher=弁護士ドットコム|date=2013-07-28|url=http://www.bengo4.com/topics/621/|title=アパート隣人の「壁ドン」には「壁ドン」で対抗? 騒音トラブルへの対処法とは?|language=[[日本語]]|accessdate=2014-11-13}}</ref>、しばしば壁の薄さを「自虐的」に表現する際に用いられることもある。[[レオパレス21]]が、後述する「[[#恋愛における壁ドン|恋愛における壁ドン]]」を題材とした映像コンテンツを公開した際には、これを「自虐ネタか」と評する報道が散見された<ref>{{Cite web|date=2014-12-02|url=http://news.aol.jp/2014/12/02/bzcs_kabedon/|title=レオパレス21の「壁ドン女子」がネット上で話題に「壮絶な自虐www」「ワロタw」(BUZZZ)|work=AOLニュース|publisher=[[AOL|AOLオンラインジャパン]]|accessdate=2015-01-25}}</ref><ref>{{Cite web|author=高城歩|date=2014-12-02|url=http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1412/02/news074.html|title=女の子からしても、いいよね? レオパレス21が「壁ドン女子」スペシャルコンテンツを公開|work=ねとらぼ|publisher=[[アイティメディア]]|accessdate=2015-01-25}}</ref>。
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主にアパートなどの集合住宅において、隣人の声や生活音などが[[騒音]]として聞こえる場合に、その隣人の部屋につながっている壁を強く叩き、隣人に抗議・警告を示す行為のこと。初期には「壁殴り」「イラ壁」とも称され、後に「壁ドン」に転じた。壁の薄いアパートなどでは頻繁に起こるトラブルであるほか、しばしば壁の薄さを「自虐的」に表現する際に用いられることもある。[[レオパレス21]]が、後述する「[[#恋愛における壁ドン|恋愛における壁ドン]]」を題材とした映像コンテンツを公開した際には、これを「自虐ネタか」と評する報道が散見された。
  
騒音に対して壁を殴り抗議を示す行為は、相手に意図が伝わらない可能性が高く逆にトラブルを呼び起こす恐れが指摘されている<ref name="弁護士20130728"/>。
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騒音に対して壁を殴り抗議を示す行為は、相手に意図が伝わらない可能性が高く逆にトラブルを呼び起こす恐れが指摘されている。
  
 
== 恋愛における壁ドン ==
 
== 恋愛における壁ドン ==
恋愛における壁ドンは、主に[[少女漫画]]やアニメなどで見られる[[Wikt:シチュエーション|シチュエーション]]である<ref name="sankei20140812"/><ref name="nikkei20140607"/><ref name="nikkei20140820"/><ref name="asahi20140731">{{cite web|work=dot.|publisher=[[朝日新聞出版]]|date=2014-07-31|url=http://dot.asahi.com/dot/2014072900039.html|title=「壁ドン」から「蝉ドン」まで? 女子中高生流行りものランキング|language=[[日本語]]|accessdate=2014-11-13}}</ref><ref name="毎日20141114">{{cite news|author=中本泰代|newspaper=[[毎日新聞]](大阪夕刊、総合面)|publisher=[[毎日新聞社]]|date=2014-11-14|page=3|title=現代女子論:第21講 壁ドン 「草食」時代、積極男子に酔う|language=[[日本語]]}} - G-Searchにて2014年11月24日閲覧。</ref>。「男性が女性を壁際まで追い詰め、壁を背にした女性の脇に[[手]]をつき『ドン』と音を発生させ、腕で覆われるように顔が接近する」まで<ref name="nikkei20140607"/>、あるいは「耳元で愛を囁かれる」まで<ref name="毎日20141114"/><ref name="東京20141104">{{cite news|newspaper=[[東京新聞]](朝刊、東京発面)|publisher=[[中日新聞東京本社]]|date=2014-11-04|page=26|title=TOKYO発 壁ドン 女子とろける|language=[[日本語]]|author=栗原淳、田志緒里}} - G-Searchにて2014年11月29日閲覧。</ref>が一般的な壁ドンである。このシチュエーションにおける男性は、女性から見ていわゆる「[[イケメン]]」であるか、好意を持っている男性に限る、とする報道もある<ref name="sankei20141219">{{cite news|author=杉山みどり|newspaper=[[産経新聞|産経ニュースWEST]]|publisher=[[産業経済新聞社]]|date=2014-12-19|url=http://www.sankei.com/west/news/141219/wst1412190005-n1.html|title=「壁ドン」の次は「顎クイ」、萌える女子高生続出…ただしイケメンに限る、誤解すると暴行罪に?(ファッション・オタク通信)|language=[[日本語]]|accessdate=2015-01-25}}</ref><ref name="asahi20150114">{{cite news|author=中村真理子|newspaper=[[朝日新聞]]|publisher=[[朝日新聞社]]|date=2015-01-14|url=http://www.asahi.com/articles/DA3S11549061.html|title=壁ドンと勝負と生き残り 相手にゆだねる優しさ(弱さの強さ 成熟社会を生きる:4)|language=[[日本語]]|accessdate=2015-01-25}}</ref>。また、女性が男性に対して壁ドンする行為は「逆壁ドン」と呼称する<ref name="nikkei20140820"/>。
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恋愛における壁ドンは、主に[[少女漫画]]やアニメなどで見られる[[Wikt:シチュエーション|シチュエーション]]である。「男性が女性を壁際まで追い詰め、壁を背にした女性の脇に[[手]]をつき『ドン』と音を発生させ、腕で覆われるように顔が接近する」まで、あるいは「耳元で愛を囁かれる」までが一般的な壁ドンである。このシチュエーションにおける男性は、女性から見ていわゆる「[[イケメン]]」であるか、好意を持っている男性に限る、とする報道もある。
  
この意味での使われ方は、2008年に声優の[[新谷良子]]が「萌えるシチュエーション」として「'''壁にドン'''」という言葉で紹介したのが初出と言われている<ref name="jcast20121018"/>。流行の火付け役となったのは、[[渡辺あゆ]]による少女漫画『[[L・DK|L♥DK]]』(『[[別冊フレンド]]』2009年3月号から連載開始)であり、その映画化(2014年[[4月12日]]公開)を機に幅広い年代に知られるようになったとも<ref name="sankei20140812"/>、原作の冒頭シーンが「壁ドン」で始まることから[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]を通じ女性読者の間で新語として拡散していったとも<ref name="nikkei20140820"/>、『L♥DK』に「壁ドン」が登場したのち他の漫画やアニメ作品に同様の場面が引用され拡散していったとも<ref name="東京20141104"/>報じられている。特に「壁ドン」が様式美として広く認識されたきっかけは原作の14巻における壁ドンシーンであるとの分析もある<ref name="asahi20141023">{{cite news|author=斉藤佑介|newspaper=[[朝日新聞]](東京朝刊、3社会)|publisher=[[朝日新聞社]]|date=2014-10-23|title=少女漫画発「壁ドン」、ときめきと人気止まらない(ニュースQ3)|page=33|language=[[日本語]]}} - G-Searchにて2014年11月29日閲覧。</ref>。少女漫画でよく見られるシチュエーションであることから、特に女子中高生は「壁ドン」をこの意味で用いることが多いという<ref name="asahi20140731"/>。
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この意味での使われ方は、2008年に声優の[[新谷良子]]が「萌えるシチュエーション」として「'''壁にドン'''」という言葉で紹介したのが初出と言われている。流行の火付け役となったのは、[[渡辺あゆ]]による少女漫画『[[L・DK|L♥DK]]』(『[[別冊フレンド]]』2009年3月号から連載開始)であり、その映画化(2014年[[4月12日]]公開)を機に幅広い年代に知られるようになったとも、原作の冒頭シーンが「壁ドン」で始まることから[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス|SNS]]を通じ女性読者の間で新語として拡散していったとも、『L♥DK』に「壁ドン」が登場したのち他の漫画やアニメ作品に同様の場面が引用され拡散していったとも報じられている。特に「壁ドン」が様式美として広く認識されたきっかけは原作の14巻における壁ドンシーンであるとの分析もある。少女漫画でよく見られるシチュエーションであることから、特に女子中高生は「壁ドン」をこの意味で用いることが多いという。
  
[[サイバーエージェント]]が、女子中高生444名を対象として2014年上半期に「女子中高生の間で流行ったもの」や「流行りそうなもの」を「JCJK流行りものランキング」として調査した(複数回答可)ところ、「壁ドン」が201票を集めて1位になっている<ref name="sankei20140812"/><ref name="asahi20140731"/>。さらに、[[日清食品]]が2014年[[6月30日]]から「壁ドン」を題材にした[[カップヌードル]]のテレビCMを期間限定放送する<ref>{{Cite web | date=2014-07-01 | url=http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1407/01/news125.html | title=日本観がおかしいカップヌードルCMシリーズ「壁ドン」編が公開に | work=ねとらぼ | publisher=[[アイティメディア]] | accessdate=2014-10-23}}</ref>など、恋愛の意味での「壁ドン」が使用されることが多くなっている。日清食品のテレビCMによって、「壁ドン」は中高生のみならず幅広い世代に知られるようになったとの報道もある<ref name="毎日20141114"/>。
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[[サイバーエージェント]]が、女子中高生444名を対象として2014年上半期に「女子中高生の間で流行ったもの」や「流行りそうなもの」を「JCJK流行りものランキング」として調査した(複数回答可)ところ、「壁ドン」が201票を集めて1位になっている。さらに、[[日清食品]]が2014年[[6月30日]]から「壁ドン」を題材にした[[カップヌードル]]のテレビCMを期間限定放送するなど、恋愛の意味での「壁ドン」が使用されることが多くなっている。日清食品のテレビCMによって、「壁ドン」は中高生のみならず幅広い世代に知られるようになったとの報道もある。
  
一方で[[カルチュア・コンビニエンス・クラブ]]が、20 - 30代男女の[[Tポイント|Tカード]]利用者400名を対象として2014年に実施した恋愛に関する[[アンケート]]調査によれば、「女性が『胸キュン』するシチュエーション」として多かった回答は順に「後ろからギュッとされる」(54.1%)、「危ない時に手を引いてくれる」(49.8%)、「頭をポンポンされる」(49.3%)であった<ref name="DIME">{{Cite web|date=2015-01-20|url=http://dime.jp/genre/173589/|title=女子が胸キュンするのは「壁ドン」より「後ろからギュッ」!?(DATA WATCHING)|work=[[DIME (雑誌)|アットダイム]]|publisher=[[小学館]]|accessdate=2014-01-25}}</ref>。「壁にドンとされる」と回答した者は18.5%に留まり、「世間を賑わせている割には現実世界では『胸キュン』なシチュエーションではない」と報じられたほか、実際に「壁ドンを経験した」と回答した者の割合(男性の「したことがある」、女性の「されたことがある」の合計)も16.5%に留まっている<ref name="DIME"/>。
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一方で[[カルチュア・コンビニエンス・クラブ]]が、20 - 30代男女の[[Tポイント|Tカード]]利用者400名を対象として2014年に実施した恋愛に関する[[アンケート]]調査によれば、「女性が『胸キュン』するシチュエーション」として多かった回答は順に「後ろからギュッとされる」(54.1%)、「危ない時に手を引いてくれる」(49.8%)、「頭をポンポンされる」(49.3%)であった。「壁にドンとされる」と回答した者は18.5%に留まり、「世間を賑わせている割には現実世界では『胸キュン』なシチュエーションではない」と報じられたほか、実際に「壁ドンを経験した」と回答した者の割合(男性の「したことがある」、女性の「されたことがある」の合計)も16.5%に留まっている。
  
 
=== 流行の背景と分析 ===
 
=== 流行の背景と分析 ===
前述の少女漫画『L♥DK』の編集担当者によれば、「壁ドン」が流行した背景としていわゆる「[[草食系男子]]」に対する女性の苛立ち、および「男性から迫ってきて欲しいという気持ちの現れ」であるとの分析がなされているほか<ref name="nikkei20140820"/><ref name="毎日20141114"/><ref name="東京20141104"/>、「実際にはやりにくいが、あってもおかしくない行動であること」「様々な[[妄想]]ができる余地があること」「少女漫画は女子の願望を叶える為の[[ファンタジー]]であり、男性から積極的に言い寄られる快感が絵になっている『壁ドン』は、その願望を満たしている」などの分析や<ref name="朝日中高生">{{cite news|author=岩本尚子|newspaper=[[朝日中高生新聞]]|publisher=[[朝日新聞社]]|date=2014-10-05|url=http://digital.asagaku.com/samplebook/C/index.html#page=13|title=「壁ドンッ!」胸キュンの威力(芸能・話題)|pages=12-13|language=[[日本語]]|accessdate=2015-01-25}}</ref>、「『壁ドン』は恋愛に臆病になっている男性を奮い立たせる為のメッセージ」であるなどの分析<ref name="東京20141104"/>がなされている。また、急速に広まった背景としてSNSの普及が挙げられており、「真似しやすく、絵になる行為」であることから実際に「壁ドン」を行ってSNSに投稿する者が増えたとの指摘がある<ref name="nikkei20140820"/>。
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前述の少女漫画『L♥DK』の編集担当者によれば、「壁ドン」が流行した背景としていわゆる「[[草食系男子]]」に対する女性の苛立ち、および「男性から迫ってきて欲しいという気持ちの現れ」であるとの分析がなされているほか、「実際にはやりにくいが、あってもおかしくない行動であること」「様々な[[妄想]]ができる余地があること」「少女漫画は女子の願望を叶える為の[[ファンタジー]]であり、男性から積極的に言い寄られる快感が絵になっている『壁ドン』は、その願望を満たしている」などの分析や、「『壁ドン』は恋愛に臆病になっている男性を奮い立たせる為のメッセージ」であるなどの分析がなされている。また、急速に広まった背景としてSNSの普及が挙げられており、「真似しやすく、絵になる行為」であることから実際に「壁ドン」を行ってSNSに投稿する者が増えたとの指摘がある。
  
「壁ドン」シーンそのものは、『[[ベルサイユのばら]]』(『[[マーガレット (雑誌)|マーガレット]]』[[1972年]] - [[1973年]]連載)<ref name="asahi20141023"/><ref name="朝日中高生"/>、『[[王家の紋章]]』(『[[月刊プリンセス]]』[[1976年]]から連載中)<ref name="朝日中高生"/>、『[[ときめきトゥナイト]]』(『[[りぼん]]』[[1982年]] - [[1994年]]連載)<ref name="毎日20141114"/>など、少女漫画における「定番シーン」として昔から存在していたとも報じられている<ref name="毎日20141114"/>。昔の作品における「壁ドン」は「男らしさを誇示して求愛する『強要』の壁ドン」であり、現代の作品における「壁ドン」は「普段は強くない男でも、何かあった時には男らしさを誇示しなければ男女の関係を縮められない。男の弱さが出ている『懇願』の壁ドン」であるとして、時代によって「壁ドン」の持つ意味合いは違っているとの分析もある<ref name="朝日中高生"/>。
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「壁ドン」シーンそのものは、『[[ベルサイユのばら]]』(『[[マーガレット (雑誌)|マーガレット]]』[[1972年]] - [[1973年]]連載)、『[[王家の紋章]]』(『[[月刊プリンセス]]』[[1976年]]から連載中)、『[[ときめきトゥナイト]]』(『[[りぼん]]』[[1982年]] - [[1994年]]連載)など、少女漫画における「定番シーン」として昔から存在していたとも報じられている。昔の作品における「壁ドン」は「男らしさを誇示して求愛する『強要』の壁ドン」であり、現代の作品における「壁ドン」は「普段は強くない男でも、何かあった時には男らしさを誇示しなければ男女の関係を縮められない。男の弱さが出ている『懇願』の壁ドン」であるとして、時代によって「壁ドン」の持つ意味合いは違っているとの分析もある。
  
以前から描写されてきた「壁ドン」が突然ブームになった要因として、「『壁ドン』という分かりやすい名前を得たこと」<ref name="asahi20150114"/><ref name="asahi20141023"/>および「女性が強くなったこと」<ref name="asahi20150114"/>とする指摘がある。[[1970年代]]の少女漫画における愛情の発露シーンは「女性の手首を掴み、抑えこむ」、すなわち女性の身動きを取れなくする描写が多かったのに対して、「壁ドン」は横に動けばすり抜けることが可能なことから「男性が一瞬強く出るも、後の判断は女性に委ねられている」「『壁ドン』は女性に委ねられて成り立っている」との分析がなされている<ref name="asahi20150114"/>。
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以前から描写されてきた「壁ドン」が突然ブームになった要因として、「『壁ドン』という分かりやすい名前を得たこと」および「女性が強くなったこと」とする指摘がある。[[1970年代]]の少女漫画における愛情の発露シーンは「女性の手首を掴み、抑えこむ」、すなわち女性の身動きを取れなくする描写が多かったのに対して、「壁ドン」は横に動けばすり抜けることが可能なことから「男性が一瞬強く出るも、後の判断は女性に委ねられている」「『壁ドン』は女性に委ねられて成り立っている」との分析がなされている。
  
「壁ドン」は「登場人物同士の関係性を示す『[[記号]]』を多く含むことができる[[発明]]である」との指摘もなされており<ref name="朝日中高生"/>、例えば男性が壁に付けている部分が手のひらであるのか[[肘]]の部分であるのか、片手であるのか両手であるのかなどによって距離感に違いを出したり、状況によって壁ではなく本棚や[[窓]]を利用することもできたり、目を合わせているか逸らしているのかで心理的な描写もできるようになっているとしている<ref name="朝日中高生"/>。
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「壁ドン」は「登場人物同士の関係性を示す『[[記号]]』を多く含むことができる[[発明]]である」との指摘もなされており、例えば男性が壁に付けている部分が手のひらであるのか[[肘]]の部分であるのか、片手であるのか両手であるのかなどによって距離感に違いを出したり、状況によって壁ではなく本棚や[[窓]]を利用することもできたり、目を合わせているか逸らしているのかで心理的な描写もできるようになっているとしている。
  
 
=== 派生と応用 ===
 
=== 派生と応用 ===
「壁ドン」からの派生用語として「'''顎クイ'''」(あごクイ、向かい合った女性の[[顎]]をクイッと持ち上げる行為)<ref name="sankei20141219"/><ref>{{Cite web | date=2014-10-10 | url=http://mdpr.jp/gal/detail/1431814 | title=「壁ドン」の次は「顎クイ」が流行る?「Popteen」モデル発の萌え仕草が話題に | work=[[モデルプレス]] | publisher=ネットネイティブ |accessdate=2014-11-10}}</ref>、「'''股ドン'''」(またドン、壁を背にした女性の股に脚を入れて壁を蹴る行為)<ref name="コトバンク"/><ref>{{Cite web | date=2014-07-29 | url=http://www.news-postseven.com/archives/20140729_268382.html | title=壁ドンに続く「股ドン」は定着するか 「されたい」女子も多数 | work=[[NEWSポストセブン]] | publisher=[[小学館]] |accessdate=2014-11-13}}</ref>、「'''床ドン'''」(ゆかドン、[[#床ドン|後述]])、[[イラスト]]として「'''蝉ドン'''」(せみドン、[[蝉]]のように両手両足を壁に押し付ける様子)<ref name="コトバンク"/><ref name="nikkei20140820"/>などが誕生している。
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「壁ドン」からの派生用語として「'''顎クイ'''」(あごクイ、向かい合った女性の[[顎]]をクイッと持ち上げる行為)、「'''股ドン'''」(またドン、壁を背にした女性の股に脚を入れて壁を蹴る行為)、「'''床ドン'''」(ゆかドン、[[#床ドン|後述]])、[[イラスト]]として「'''蝉ドン'''」(せみドン、[[蝉]]のように両手両足を壁に押し付ける様子)などが誕生している。
  
2014年秋のテレビドラマ、映画で多用されており、『[[きょうは会社休みます。]]』、『[[ファーストクラス (テレビドラマ)|ファーストクラス]]』、『[[ごめんね青春!]]』、『[[ドクターX〜外科医・大門未知子〜]]』、『[[近キョリ恋愛]]』などで「壁ドン」シーンが登場している<ref>{{Cite web |url=http://www.nikkansports.com/entertainment/column/umeda/news/f-cl-tp0-20141031-1389964.html |title=錦戸も福士も!壁ドンだらけの秋ドラマ(梅ちゃんねる)|accessdate=2014-11-10 |author=梅田恵子 |date=2014-10-31 |work=[[日刊スポーツ|nikkansports.com]] |publisher=[[日刊スポーツ新聞社]]}}</ref><ref>{{Cite web|date=2014-08-19|url=http://news.walkerplus.com/article/49552/|title=山下智久が壁ドンからのチュー!『近キョリ恋愛』での憧れのシチュエーションを絶妙に再現(MovieWalker)|work=[[東京ウォーカー|Walkerplus]]|publisher=[[KADOKAWA]]|language=[[日本語]]|accessdate=2014-11-24}}</ref>。
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2014年秋のテレビドラマ、映画で多用されており、『[[きょうは会社休みます。]]』、『[[ファーストクラス (テレビドラマ)|ファーストクラス]]』、『[[ごめんね青春!]]』、『[[ドクターX〜外科医・大門未知子〜]]』、『[[近キョリ恋愛]]』などで「壁ドン」シーンが登場している。
  
 
=== その他 ===
 
=== その他 ===
恋愛における壁ドンは、日本の法律において[[暴行罪]]に該当する可能性が指摘されている<ref name="sankei20141219"/><ref name="bengo420121026">{{cite web|publisher=弁護士ドットコム|date=2014-08-30|url=http://www.bengo4.com/topics/1980/|title=女子が憧れる「壁ドン」の告白…イケメンがやっても「犯罪」になる可能性アリ?|language=[[日本語]]|accessdate=2014-11-13}}</ref>。
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恋愛における壁ドンは、日本の法律において[[暴行罪]]に該当する可能性が指摘されている。
  
また、「壁ドン」を「相手の同意なく、逃げられない状況にすることであり[[暴力]]的な行為」であるとした上で、「素敵な男性に強引に連れて行ってもらいたい」という古い[[ジェンダー]]が潜んでいるとの批判的な指摘がある<ref>{{cite news|newspaper=[[静岡新聞]](夕刊、静岡、夕家庭)|publisher=静岡新聞社|date=2014-11-12|page=4|title=デートDV 早めに相談 「恋人が怖い」判断の基準 25日まで「女性への暴力なくす運動」 静岡城北高で講座|language=[[日本語]]|url=http://www.at-s.com/blogs/kurashizu/2014/11/post_523.html|accessdate=2014-11-13}} - 元記事はG-Searchにて2014年11月29日閲覧。</ref>。[[読売新聞]]の記事でも同様に「[[ドメスティックバイオレンス|DV]]の要素を感じる」「逃げ道を塞ぐ強引さ、『俺がお前を守る』という台詞に配偶者や恋人からの暴力に繋がりやすい束縛・支配の関係が見える」「『束縛は愛情表現の一つ』といった考え方が若者に広がるのは漫画やドラマの影響がある」とする指摘を取り上げている<ref>{{cite news|author=中舘聡子|newspaper=[[読売新聞]]|publisher=[[読売新聞社]]|date=2014-12-24|title=壁ドンに対抗(今日のノート)|language=[[日本語]]}} - 読売プレミアムにて2015年1月25日閲覧。</ref>。
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また、「壁ドン」を「相手の同意なく、逃げられない状況にすることであり[[暴力]]的な行為」であるとした上で、「素敵な男性に強引に連れて行ってもらいたい」という古い[[ジェンダー]]が潜んでいるとの批判的な指摘がある。[[読売新聞]]の記事でも同様に「[[ドメスティックバイオレンス|DV]]の要素を感じる」「逃げ道を塞ぐ強引さ、『俺がお前を守る』という台詞に配偶者や恋人からの暴力に繋がりやすい束縛・支配の関係が見える」「『束縛は愛情表現の一つ』といった考え方が若者に広がるのは漫画やドラマの影響がある」とする指摘を取り上げている。
  
 
== 床ドン ==
 
== 床ドン ==
壁ではなく[[床]]に大きな衝撃を加えて音を鳴らす行為に対して、すなわち階下の人間に対して威嚇する行為<ref name="Menjoy">{{cite web|work=Menjoy!|publisher=[[小学館]]|date=2014-09-07|url=http://www.men-joy.jp/archives/140687|title=壁ドンの次は床ドンも!? オトナもできる「さりげないドン技」|language=[[日本語]]|accessdate=2014-11-13}}</ref>、いわゆる「[[引きこもり]]」が階下にいる親に対し何かを要求する行為<ref name="yomiuri20141029">{{cite news|author=辛酸なめ子|authorlink=辛酸なめ子|newspaper=[[読売新聞]]|publisher=[[読売新聞社]]|date=2014-10-29|title=床ドン(辛酸なめ子のじわじわ時事ワード)|language=[[日本語]]}} - 読売プレミアムにて2014年11月13日閲覧。</ref>、寝ている女性の上に男性が覆いかぶさるようにして床に手をつく行為<ref name="Menjoy"/><ref name="yomiuri20141029"/><ref>{{cite web|author=永久眞規|work=[[マイナビニュース]]|publisher=[[マイナビ (企業)|マイナビ]]|date=2014-09-25|url=http://news.mynavi.jp/news/2014/09/25/369/|title=話題沸騰だったTGSの壁ドン・床ドンブース! 現実ではあくまで“プレイ”推奨|language=[[日本語]]|accessdate=2014-11-13}}</ref>に対して「'''床ドン'''」と言うことがある。
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壁ではなく[[床]]に大きな衝撃を加えて音を鳴らす行為に対して、すなわち階下の人間に対して威嚇する行為、いわゆる「[[引きこもり]]」が階下にいる親に対し何かを要求する行為、寝ている女性の上に男性が覆いかぶさるようにして床に手をつく行為に対して「'''床ドン'''」と言うことがある。
  
[[漫画家]]の[[辛酸なめ子]]は、読売新聞の記事において「床ドン」は「壁ドン」に比べて性的な意味合いが強いと指摘しており、「[[性行為]]の婉曲的表現かもしれない」と論じている<ref name="yomiuri20141029"/>。
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[[漫画家]]の[[辛酸なめ子]]は、読売新聞の記事において「床ドン」は「壁ドン」に比べて性的な意味合いが強いと指摘しており、「[[性行為]]の婉曲的表現かもしれない」と論じている。
  
 
== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==
 
* 『きみと壁ドン』([[講談社コミックスフレンド]]、ISBN 978-4063419276) - 壁ドン・オムニバス
 
* 『きみと壁ドン』([[講談社コミックスフレンド]]、ISBN 978-4063419276) - 壁ドン・オムニバス
  
== 脚注 ==
 
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{{デフォルトソート:かへとん}}
 
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[[Category:壁]]
 
[[Category:壁]]

2015年1月31日 (土) 14:28時点における版

壁ドン(かべドン)とは、に大きな衝撃を加え「ドン」という衝撃音を発させる行為であるが、使用者によって以下のとおりまったく異なる意味として用いられることがある。

  1. 集合住宅などで隣の部屋が騒がしい時に壁をドンと殴る行為。
  2. 男性が女性を壁際に追い詰めて手を壁にドンと突く行為。
  3. 壁を叩きたくなるほどの不満や憤りを感じた時など、腹が立った時に壁を殴る行為。

1番目の壁を殴る行為は、ネットを通じ比較的古くから用いられている用法、ネットスラングである。「壁殴り」とも呼ばれる。

2番目の女性を壁に追い詰める行為は、そのシチュエーションを2008年に「壁にドン … 黙れよ」という言葉で説明したことが起源とされ、ラジオ等で「壁ドン」と呼ばれるようになったもの。後に女子中高生などが使い始めて流行し、メディアに取り上げられるまでに至っている。2番目の用法は1番目の用法と独立して生まれているが、1番目の用法は古くからあるためにこちらの用法が本来のものであるという報道と、メディアに初めて広く知られた2番目を本来の用法とする報道がある。日経ビジネスオンラインの記事によれば、1番目と2番目でそれぞれ別々の用法が誕生したのは「たまたま、偶然」であるとしており、言葉の成り立ちとしては「非常に面白い事例」であると報じている。

3番目は主に男性アニメファンの間に存在した用法であり、視聴者が嫉妬するような恋愛描写に反応して壁を叩く行為、転じて「幸せそうなカップルを見かけた時に嫉妬して壁をドンドン叩く行為」として用いられることがある。

「壁ドン」は2014年に開催されたユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選ばれた。これは2番目の用法として受賞されたものである。

集合住宅などにおける壁ドン

主にアパートなどの集合住宅において、隣人の声や生活音などが騒音として聞こえる場合に、その隣人の部屋につながっている壁を強く叩き、隣人に抗議・警告を示す行為のこと。初期には「壁殴り」「イラ壁」とも称され、後に「壁ドン」に転じた。壁の薄いアパートなどでは頻繁に起こるトラブルであるほか、しばしば壁の薄さを「自虐的」に表現する際に用いられることもある。レオパレス21が、後述する「恋愛における壁ドン」を題材とした映像コンテンツを公開した際には、これを「自虐ネタか」と評する報道が散見された。

騒音に対して壁を殴り抗議を示す行為は、相手に意図が伝わらない可能性が高く逆にトラブルを呼び起こす恐れが指摘されている。

恋愛における壁ドン

恋愛における壁ドンは、主に少女漫画やアニメなどで見られるシチュエーションである。「男性が女性を壁際まで追い詰め、壁を背にした女性の脇にをつき『ドン』と音を発生させ、腕で覆われるように顔が接近する」まで、あるいは「耳元で愛を囁かれる」までが一般的な壁ドンである。このシチュエーションにおける男性は、女性から見ていわゆる「イケメン」であるか、好意を持っている男性に限る、とする報道もある。

この意味での使われ方は、2008年に声優の新谷良子が「萌えるシチュエーション」として「壁にドン」という言葉で紹介したのが初出と言われている。流行の火付け役となったのは、渡辺あゆによる少女漫画『L♥DK』(『別冊フレンド』2009年3月号から連載開始)であり、その映画化(2014年4月12日公開)を機に幅広い年代に知られるようになったとも、原作の冒頭シーンが「壁ドン」で始まることからSNSを通じ女性読者の間で新語として拡散していったとも、『L♥DK』に「壁ドン」が登場したのち他の漫画やアニメ作品に同様の場面が引用され拡散していったとも報じられている。特に「壁ドン」が様式美として広く認識されたきっかけは原作の14巻における壁ドンシーンであるとの分析もある。少女漫画でよく見られるシチュエーションであることから、特に女子中高生は「壁ドン」をこの意味で用いることが多いという。

サイバーエージェントが、女子中高生444名を対象として2014年上半期に「女子中高生の間で流行ったもの」や「流行りそうなもの」を「JCJK流行りものランキング」として調査した(複数回答可)ところ、「壁ドン」が201票を集めて1位になっている。さらに、日清食品が2014年6月30日から「壁ドン」を題材にしたカップヌードルのテレビCMを期間限定放送するなど、恋愛の意味での「壁ドン」が使用されることが多くなっている。日清食品のテレビCMによって、「壁ドン」は中高生のみならず幅広い世代に知られるようになったとの報道もある。

一方でカルチュア・コンビニエンス・クラブが、20 - 30代男女のTカード利用者400名を対象として2014年に実施した恋愛に関するアンケート調査によれば、「女性が『胸キュン』するシチュエーション」として多かった回答は順に「後ろからギュッとされる」(54.1%)、「危ない時に手を引いてくれる」(49.8%)、「頭をポンポンされる」(49.3%)であった。「壁にドンとされる」と回答した者は18.5%に留まり、「世間を賑わせている割には現実世界では『胸キュン』なシチュエーションではない」と報じられたほか、実際に「壁ドンを経験した」と回答した者の割合(男性の「したことがある」、女性の「されたことがある」の合計)も16.5%に留まっている。

流行の背景と分析

前述の少女漫画『L♥DK』の編集担当者によれば、「壁ドン」が流行した背景としていわゆる「草食系男子」に対する女性の苛立ち、および「男性から迫ってきて欲しいという気持ちの現れ」であるとの分析がなされているほか、「実際にはやりにくいが、あってもおかしくない行動であること」「様々な妄想ができる余地があること」「少女漫画は女子の願望を叶える為のファンタジーであり、男性から積極的に言い寄られる快感が絵になっている『壁ドン』は、その願望を満たしている」などの分析や、「『壁ドン』は恋愛に臆病になっている男性を奮い立たせる為のメッセージ」であるなどの分析がなされている。また、急速に広まった背景としてSNSの普及が挙げられており、「真似しやすく、絵になる行為」であることから実際に「壁ドン」を行ってSNSに投稿する者が増えたとの指摘がある。

「壁ドン」シーンそのものは、『ベルサイユのばら』(『マーガレット1972年 - 1973年連載)、『王家の紋章』(『月刊プリンセス1976年から連載中)、『ときめきトゥナイト』(『りぼん1982年 - 1994年連載)など、少女漫画における「定番シーン」として昔から存在していたとも報じられている。昔の作品における「壁ドン」は「男らしさを誇示して求愛する『強要』の壁ドン」であり、現代の作品における「壁ドン」は「普段は強くない男でも、何かあった時には男らしさを誇示しなければ男女の関係を縮められない。男の弱さが出ている『懇願』の壁ドン」であるとして、時代によって「壁ドン」の持つ意味合いは違っているとの分析もある。

以前から描写されてきた「壁ドン」が突然ブームになった要因として、「『壁ドン』という分かりやすい名前を得たこと」および「女性が強くなったこと」とする指摘がある。1970年代の少女漫画における愛情の発露シーンは「女性の手首を掴み、抑えこむ」、すなわち女性の身動きを取れなくする描写が多かったのに対して、「壁ドン」は横に動けばすり抜けることが可能なことから「男性が一瞬強く出るも、後の判断は女性に委ねられている」「『壁ドン』は女性に委ねられて成り立っている」との分析がなされている。

「壁ドン」は「登場人物同士の関係性を示す『記号』を多く含むことができる発明である」との指摘もなされており、例えば男性が壁に付けている部分が手のひらであるのかの部分であるのか、片手であるのか両手であるのかなどによって距離感に違いを出したり、状況によって壁ではなく本棚やを利用することもできたり、目を合わせているか逸らしているのかで心理的な描写もできるようになっているとしている。

派生と応用

「壁ドン」からの派生用語として「顎クイ」(あごクイ、向かい合った女性のをクイッと持ち上げる行為)、「股ドン」(またドン、壁を背にした女性の股に脚を入れて壁を蹴る行為)、「床ドン」(ゆかドン、後述)、イラストとして「蝉ドン」(せみドン、のように両手両足を壁に押し付ける様子)などが誕生している。

2014年秋のテレビドラマ、映画で多用されており、『きょうは会社休みます。』、『ファーストクラス』、『ごめんね青春!』、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』、『近キョリ恋愛』などで「壁ドン」シーンが登場している。

その他

恋愛における壁ドンは、日本の法律において暴行罪に該当する可能性が指摘されている。

また、「壁ドン」を「相手の同意なく、逃げられない状況にすることであり暴力的な行為」であるとした上で、「素敵な男性に強引に連れて行ってもらいたい」という古いジェンダーが潜んでいるとの批判的な指摘がある。読売新聞の記事でも同様に「DVの要素を感じる」「逃げ道を塞ぐ強引さ、『俺がお前を守る』という台詞に配偶者や恋人からの暴力に繋がりやすい束縛・支配の関係が見える」「『束縛は愛情表現の一つ』といった考え方が若者に広がるのは漫画やドラマの影響がある」とする指摘を取り上げている。

床ドン

壁ではなくに大きな衝撃を加えて音を鳴らす行為に対して、すなわち階下の人間に対して威嚇する行為、いわゆる「引きこもり」が階下にいる親に対し何かを要求する行為、寝ている女性の上に男性が覆いかぶさるようにして床に手をつく行為に対して「床ドン」と言うことがある。

漫画家辛酸なめ子は、読売新聞の記事において「床ドン」は「壁ドン」に比べて性的な意味合いが強いと指摘しており、「性行為の婉曲的表現かもしれない」と論じている。

参考文献