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2014年8月31日 (日) 15:49時点における版
はるひ野駅(はるひのえき)は、神奈川県川崎市麻生区はるひ野五丁目にある、小田急電鉄多摩線の駅である[1]。ユニバーサルデザインに配慮した設計[2]や、風力・太陽光ハイブリッド発電設備が開業時から導入されていたこと[3]が特筆される。2つのホームをつなぐ跨線橋がひとつの大きな屋根で覆われていることが外観上の特徴[4]で、2005年の鉄道建築協会賞に入選している[5]。
駅構造
10両編成対応の相対式ホーム2面2線を有する、当駅が建設された2004年の日本国内の新設駅としては珍しい地上駅で[1][4]、両ホームを結ぶ跨線橋が通風、採光に配慮し、街のシンボルとなることを意図したひとつの大屋根で覆われていることが外観上の特徴である[4][6]。改札口は北口と南口の2か所、北口は新百合ヶ丘方面ホーム(以下、上りホーム)から数段階段を降りたところに、南口は唐木田方面ホーム(以下、下りホーム)と同一面に設けられている[1]。駅務室は南口に設けられており、駅員は南口にのみ配置される[1][7]駅員が配置される時間帯は7:30 - 11:00と13:00 - 終電のみで、それ以外の時間帯は無人となる[1][注釈 1]。定格出力400kWの風力発電機10基とこれを補完する定格出力136kWの太陽電池8基とで構成されるハイブリッド型発電システムを日本で初めて導入し、駅設備の電力の一部をまかなっている[3][8]ほか、上りホーム上屋の一部が緑化されている[2][4]。両ホームと跨線橋を結ぶエスカレーターとエレベーターが設置され、上りホームのエレベーターは北口とも結ばれている[1]。下りホームには車椅子やオストメイト対応の個室トイレが設置され、上りホームにも通常のトイレがある[9][1]。上りホームには冷暖房装備の待合室が設けられている[2]。2010年度には行先案内表示器が設置された[10]。当駅は2005年の鉄道建築協会賞に入選している[5]。
ホーム | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
1 | ■多摩線 | 下り | 唐木田方面[1] |
2 | ■多摩線 | 上り | 新百合ヶ丘・新宿・千代田線方面[1] |
歴史
多摩線建設時にはすでに当駅周辺の開発計画が存在し、小田急、京王が沿線開発の目的で用地の取得を行っていたが、地権者の合意が得られずに開発計画が難航、1977年(昭和52年)に両社とも開発計画を中止した[11]。現在のはるひ野駅の位置は多摩線計画時にも駅の設置場所候補のひとつだったとされる[12]。1991年(平成3年)3月に当駅周辺の開発計画が認可され翌年着工[11]、数次の計画変更を行いながら開発が進捗する中[13][14]、2000年(平成12年)12月ごろに小田急が駅の建設計画を表明[12][注釈 2]、地元説明会などを経て[15]、2003年(平成15年)2月に駅設置の認可が申請され[注釈 3]、2003年11月に着工した[12]。小田急設計コンサルタント、篠田義男建築研究所の設計により、小田急建設が施工、総工費約25億円をかけ、面積5,300平方メートルの駅がのちに「はるひ野」の住居表示が実施される黒川特定土地区画整理事業地内の中央部[注釈 4]に建設され[4][2]、2004年(平成16年)12月11日に小田急70番目の駅として開業した[3][7]。都市再生機構、川崎市などの覚書では駅前広場を建設することになっていた[2]が、開業時には都市計画が決定しておらず[16]、都市計画決定を経て駅開業から4年弱たった2008年(平成20年)11月に南口に駅前広場が完成している[17]。駅前広場設置構想時に周辺バス事業者にはるひ野駅への乗り入れ予定がなかったことから、駅前広場の設計には大型バス乗り入れが考慮されていない[18]が、2011年(平成23年)3月31日 から稲城市循環バス(iバス)のマイクロバスが南口駅前広場に乗り入れるようになった[19]。
年表
- 1974年(昭和49年)6月1日 - 小田急多摩線開通[20]
- 2000年(平成12年)12月ごろ - 小田急が新駅を計画[12]
- 2002年(平成14年)9月 - 新駅設置の説明会[15]
- 2003年(平成15年)
- 2004年(平成16年)
- 2008年(平成20年)11月 - 南口駅前広場完成[16][21][17]
- 2011年(平成23年)3月31日 - 稲城市循環バス(iバス)が南口に乗り入れ開始[19]
- 2014年(平成26年)3月15日 - ダイヤ改正により準急停車駅となる[22][23][注釈 5]
駅名の由来
都市基盤整備公団(2004年7月に都市再生機構に改組)開発の分譲地名称が「くろかわはるひ野」[13]であることによる。「黒川」を駅名に入れる案が地元にはあったが、類似駅名は利用者が混乱するとの理由で「はるひ野」とされた[24]。2006年3月13日には住居表示が施行され、都市再生機構開発地域の町名が黒川からはるひ野に改められた[25]。2009年の時点では、小田急の駅で唯一ひらがなが入る駅名である[26]。
「はるひ野」の地名自体は2001年(平成13年)4月に開催された地権者と都市基盤整備公団との協議で「はるひ野」「みずき野」「万葉の丘」の三案から、独自性を主眼に選ばれた[27]。「はるひ野」は「はる」に新しい街の成長への期待、「ひ」はおおむね東向きの斜面に開発された土地であることから温かさを、「野」は広がりを表すものとされている[28]。独自性を維持するため、「はるひ野」は都市再生機構が商標登録している[29]。
利用状況
2012年度の一日平均乗降人員は8,067人で[30]、増加率はどの年度も小田急全70駅中第1位である。開業以来の乗降人員・乗車人員の推移は下表のとおり[31]。
年度 | 一日平均 乗降人員 |
増加率 | 順位 | 一日平均 乗車人員 |
---|---|---|---|---|
2004年 | 1,219 | 70位/70駅 | 627[32] | |
2005年 | 2,461 | 101.9% | 70位/70駅 | 1,002[32] |
2006年 | 3,461 | 40.6% | 69位/70駅 | 1,600[32] |
2007年 | 4,589 | 32.6% | 68位/70駅 | 2,159[33] |
2008年 | 5,771 | 25.8% | 68位/70駅 | 2,749[33] |
2009年 | 6,384 | 10.6% | 68位/70駅 | 3,123[33] |
2010年 | 6,784 | 6.3% | 65位/70駅 | 3,373[33] |
2011年 | 7,186 | 5.9% | 65位/70駅 | 3,521[33] |
2012年 | 8,067 | 12.3% | 65位/70駅 |
駅周辺
ここではおおむね徒歩10分圏の駅周辺に立地する施設と、バス停について述べる。
周辺施設など
1992年(平成4年)11月に宅地開発が着工されるまでは当駅周辺は山林だった[34]。当駅周辺の開発構想は1973年(昭和48年)ごろから存在[11]したが、地権者の合意が得られず開発がいったん断念され[11]、開発再開後も反対運動[34]などの影響で開発が長期化、構想から30年を経た2003年(平成15年)11月に居住が始まっている[14]。
はるひ野全域が住宅地として開発され[12]、行政商業施設として計画された2区画のうち1区画が集合住宅に転用されたこともあり[14]、南口前の行政商業施設区画に開業した大規模薬局[35]とスーパー[36]が入るはるひ野ショッピングセンター[37][38]、北口近くに立地する小田急グループのリストランテ アベーテ[39]を除いて大規模な商業施設はない。南口にははるひ野メディカルヴィレッジと呼ばれる小児科、内科、整形外科などの診療所と調剤薬局が入居する区画や[40][41]、小学校と中学校が合築された[14] 川崎市立はるひ野小学校・はるひ野中学校がある[42]。当初学校のほか幼稚園、消防署も駅周辺に誘致する計画だったが、2001年11月に川崎市から公益用地の買い取りを拒否された[13]のち、数次の計画変更を経て2005年2月に市議会で学校建設が議決され、現位置にPFI方式で小中学校が建設されている[14]。幼稚園は公立としては実現せず、私立の幼児園が南口近くに開業した[43]ほか、社会福祉法人運営の保育園2件が同じく南口にある[44][45]。駅北東を通る県道上麻生連光寺線[12]沿いにはチェーン系飲食店などが並び[46][47][48][49][50]、京王若葉台ゴルフ練習場[51]も徒歩圏に立地するが、飲食店とも地番としては黒川に属する。県道上麻生連光寺線の坂を下りきったところに京王相模原線若葉台駅があるが、当駅北口から徒歩約10分を要する。
バス路線
南口駅前広場にはるひ野駅バス停が設置され、小田急バスが運行を委託された稲城市循環バス(iバス)稲城市立病院行が乗り入れている[52]。当駅から徒歩約5分の県道上麻生連光寺線上にはるひ野駅入口バス停があり、小田急バス 柿24系統 若葉台駅行/柿生駅北口行[53]とiバス 稲城市立病院行/はるひ野駅行[52]が停車する。
隣の駅
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 1.8 はるひ野駅のご案内・周辺情報 小田急電鉄
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 小田急多摩線に12月11日「はるひ野駅」開業 初の風力発電など環境に配慮” k-press. 2012年10月28日閲覧
- ↑ 3.0 3.1 3.2 3.3 『鉄道ファン』通巻527号 p.192
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 4.4 “小田急はるひ野駅”. 篠田義男建築研究所. 2012年10月28日閲覧
- ↑ 5.0 5.1 “協会賞 作品部門 平成17年度” 一般社団法人 鉄道建築協会. 2012年10月28日閲覧
- ↑ 『新駅「はるひ野(仮称)」の概要が決定』小田急電鉄報道発表資料 2003年12月11日
- ↑ 7.0 7.1 7.2 『鉄道ピクトリアル』通巻829号 p.212
- ↑ “広報誌 小田急 2007年5月号”. 小田急電鉄. 2012年9月2日閲覧
- ↑ 各駅設備一覧 小田急電鉄 (2012年9月2日閲覧)
- ↑ 駅や車内、ホームページなどで列車運行に関する情報提供を行っています。 小田急電鉄
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」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 川崎市都市計画公聴会 川崎都市計画道路の変更 (3・5・18号黒川3号線の追加)公述意見の要旨と市の考え方 川崎市 (2012年9月6日閲覧)
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タグです。 「2009-167
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 『黒川地区「愛称」選考について』 平成13年4月22日 地権者と公団の打ち合わせ資料
- ↑ 「黒川特定土地区画整理区域の新町界・町名(案)について」 新町名地番検討会 2004年6月発行
- ↑ 商標出願・登録情報検索 特許庁 (2012年5月7日閲覧)
- ↑ 事業案内 小田急電鉄 (2013年11月1日閲覧)
- ↑ 各年度の乗降員数、増加率は小田急がサイト上に発表した数値による。毎年数値は更新されている。
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タグです。 「.E9.96.8B.E7.99.BAp30
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ はるひ野店 店舗地図 株式会社カワチ薬品 (2012年9月5日閲覧)
- ↑ 店舗所在地 株式会社クリシマ (2012年9月5日閲覧)
- ↑ 大規模小売店舗立地法に基づく新設の届出川崎市長 (2012年9月5日閲覧) ショッピングセンターの大店法申請、この時点では名称が仮称。
- ↑ バリアフリー推進構想 川崎市 (2012年9月5日閲覧) この施設の正式名称が54ページ、55ページに出ている。
- ↑ shop information ジローレストランシステム株式会社 (2012年9月6日閲覧)
- ↑ 診療所一覧 川崎市 (2012年9月5日閲覧) メディカルヴィレッジに入居する診療所が記載されている
- ↑ 調剤薬局 あい薬局 はるひ野駅前店 株式会社富士薬品 (2012年9月7日閲覧)
- ↑ 黒川地区小中学校の学校名・通学区域について 川崎市教育委員会教育施設課 (2012年9月5日閲覧)
- ↑ バディスポーツ幼児園はるひ野 バディスポーツ幼児園 (2012年9月5日閲覧)
- ↑ 交通案内 社会福祉法人 春献美会 (2012年9月6日閲覧)
- ↑ (仮称)くろかわのぞみ保育園 社会福祉法人 春献美会 (2012年9月6日閲覧)
- ↑ はるひ野店 日本マクドナルド (2012年9月4日閲覧)
- ↑ [http://sasp.mapion.co.jp/b/ringerhut/info/r0463/ 川崎黒川店 株式会社リンガーハット (2012年9月4日閲覧)
- ↑ 華屋与兵衛 若葉台店 株式会社華屋与兵衛 (2012年9月4日閲覧)
- ↑ はるひ野店 株式会社サイゼリヤ (2012年9月4日閲覧)
- ↑ 川崎麻生店 株式会社 西松屋チエーン (2012年9月4日閲覧)
- ↑ 交通案内 京王若葉台ゴルフ練習場 (2012年9月2日閲覧)
- ↑ 引用エラー: 無効な
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」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 稲城市内バス路線図 稲城市 (2012年9月4日閲覧)
注釈
- ↑ 当駅を除く多摩線全駅が橋上駅または高架駅で、当駅が着工された2003年時点では全駅改札口は1箇所のみだった。多摩センター駅東口改札口設置が2004年11月、新百合ヶ丘駅中央東改札口設置が2008年3月である一方、当駅のみ開業時から2か所の改札口を持っている。
- ↑ はるひ野開発の正史ともいえる『はるひ野開発と地域の記録』 p33には「都市機構を含め川崎市も地元地権者も(駅建設を)予想していなかった」との記述があり、機構、地権者の依頼によらず小田急が独自に新駅を建設したことが伺えるが、認可申請時の報道発表資料には「都市基盤整備公団から新駅設置の依頼を受けてから協議を重ねた」旨の記載があり、駅設置に至る経緯には2説あることになる。
- ↑ 実際の申請は小田急電鉄の事業基本計画変更の認可申請である。
- ↑ 『はるひ野開発と地域の記録』 p29に掲載の初期の土地利用計画図、『はるひ野開発と地域の記録』 p33掲載の最終的な土地利用計画図の双方で線路沿いに車両が乗り入れできる駅前広場を確保できる場所は実際に駅が建設された場所しかないうえ、小田急永山寄り北側の京王相模原線と小田急多摩線に挟まれた土地は三沢川支流の水源地帯として保全されることになった(『はるひ野開発と地域の記録』 p35)ため、駅が建設できる場所は現位置しかなかったことがわかる。
- ↑ 2014年3月15日のダイヤ改正で設定された多摩線の準急は平日朝の下り1本のみである。