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2008年3月2日 (日) 18:57時点における最新版
社会(しゃかい)とは、相互に影響しあう複数の人間によって構成された、比較的大規模な集団・集合体・もしくは共同体のことである。範囲を限定された小規模な集団や組織は社会とはいわず、それより大規模な(かつ相互作用がある)集団のことをいう。19世紀半ばまでの日本語には「社会」という単語はなく、「世間」や「浮き世」などの概念しかなかった。明治時代に福地桜痴がsocietyという英語を社会と訳して今日にいたる。
概要[編集]
その集団により、ある一定の様式や秩序などの特徴が見られ、これをある種の領域であるかのように捉えて、自然現象や外部地域と区別するために語句を用いる場合もある。日本国語大辞典や広辞苑や大辞林によれば、societyという英語を訳して社会という語を作った(福沢諭吉が訳との説があるが、これはおそらく『翻訳語成立事情』という本の誤解)。
社会という語は、情報化社会、部族社会、イスラム社会、地域社会、ムラ社会、封建社会、階級社会、情報社会、高齢化社会など様々な形容、限定と共に用いられる。これらの限定は集団の構成員の特徴や専門領域によるものであったり、集団の秩序の特徴によるものであったりするため、社会ということば自体は幅広い領域を含む。
生態学は生物間の社会、個体間の社会を観察することから始められた。より狭義には、社会学などでは社会は経済や政治などの領域と区別されることがある。
社会の形成[編集]
動物には、アリやハチ、イヌ、サルのように群を作り集団行動を好む動物と、ネコのように単独行動を好む動物がある。人間はその起源より他の多くの動物と同様に群という小さな社会を形成して生きていたと推定されている。食料を得るための、外敵から身を守るための、その他生存するための必要を満たすための社会であったと推定されるが、やがて群は近隣の群と離合集散を繰り返しより大きな集落という社会を形成したと考えられている。現在でも人間社会とは、小さな世帯・集落の集合体である。国・地方自治体等による区分けは、便宜上設けられたに過ぎず、全ての人類によって一つの共同体(共同社会)が形成されている。
理論的な仮定として考えると、原始的社会においては秩序はなく「万人の万人に対する闘争」が存在したが、その後、社会秩序が形成されたと考えることができる。ごく古いタイプの政治哲学的に考えると、秩序の形成においては、初めは王や権力が支配する形で、国家や何らかの社会が作られた。その後、共和制や民主制の国家や社会が作られた。実際には、いかなる原始的な社会にも、様々な社会秩序や協力行動、規則(ルール)、礼儀(マナー)、慣習(カスタム)、公式あるいは非公式な法律や制度などが存在している。
人間と社会の関わり[編集]
社会は概念であり、単独で機能するものではなく、社会の構成員相互の協力によって営まれている。このため、円滑に社会を営むために人間にはそれぞれ役割が与えられている。各々がそれぞれの役割を果たすことによって、社会がその機能を果たすことが可能となる。たとえ、自給自足の生活を実践している人であっても生活の場の安全は、社会の理解によって保護されていると考えることができる。
そして、役割を果たし生活するために人間は社会に対し様々な形態で参加する。則ち、生活に密接した労働・生産・再生・消費・利用・処分・廃棄の行為であり、労働者・生産者・消費者・利用者等と行為に基づいて呼ばれる。社会の営みは、人間の様々な行為によって産業を興し、文化を育み、子供を教育し、交通手段を発達させ、医療の充実させて長い歴史を積み重ねてきた。時に利害の衝突等から戦争となり、戦争に備えて軍事を発達させ、戦争の深い悲しみは平和を希求させた。また、経済の発達は社会を不安定化させていた貧困や失業を解消する可能性を生み出したが、同時に環境を破壊し、次世代にまで引き継がざるを得ない環境問題を産みだし負の遺産となっている。
社会と制度[編集]
現代社会では、構成員の利害を調整することにより秩序を維持して生活を円滑に行えるように様々な制度が定められている。人間の権利行為には、一般に政治が生み出す法に基づいて様々な制限が加えられている。近年、社会で認知された人間が生まれながらに持つとされる自由な人権に対し、社会的にどこまで制限を加えることが可能か常に議論の対象となっており、制度に基づく義務は、大きな負担となってきている。
人間の自発的な行為には常に責任が伴うとされているが、法律に罰則がなければ社会的に罰することは困難である。その一方で、我々が共存している地球の許容にも限界があり、現代社会が抱える全ての社会問題には私達自身に解決する責務があると考えられている。
小学校の科目としての社会科[編集]
日本の小学校において、児童が学習する科目の一つ。詳しくは社会科を参照。
学習指導要領によれば、目標として「社会生活についての理解を図り,我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て,国際社会に生きる民主的,平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う。」とあり、身近な職場の様子や町並みの状況から始まり、社会全般の役割と構成を学ぶ科目である。また、社会科見学として実際に各施設の見学を実施している。
社会状況[編集]
偏差値競争の高まった高度経済成長期から今日まで出身や学歴の高さに応じ賃金や処遇、昇進等の優劣が決まる状況を学歴社会などと表されたり、いわゆる肩書きが極度に社会生活における成否を左右する状況を肩書き社会といわれた。近年では、65歳以上の人口が若年層よりも上回る高齢化社会、またそれが加速した状況を高齢社会、超高齢社会というのをはじめ、多様な危機を抱えている社会をマルチハザード社会、ITなど情報通信技術を基本に社会が動く状況を情報化社会と称することがある。
関連項目[編集]
- 我々人間が一般的に考える所の社会は、人間社会のそれをおいて他には無いが、人間以外の動物にあっても、社会に類似した構造の生活様式を持つものも存在する。