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2014年8月9日 (土) 22:02時点における版
大井町線(おおいまちせん)は、東京都品川区の大井町駅と神奈川県川崎市高津区の溝の口駅とを結ぶ、東京急行電鉄(東急)が運営する鉄道路線である。路線図や駅ナンバリングで使用される路線カラーは橙色、路線記号は
世田谷線・東急多摩川線をのぞき、南北放射状に伸びる東急の各線(田園都市線・東横線・目黒線・池上線)との乗換駅がある。
1993年以降、田園都市線の混雑緩和のために同線のバイパス路線としての機能を持たせる改良工事が行われた。
一部列車は、平日の朝夕ラッシュ、昼間をのぞき、田園都市線鷺沼・長津田方面との直通運転を実施している。
目次
路線データ
- 路線距離:大井町 - 二子玉川間 10.4km(田園都市線区間を含むと12.4km)
- 軌間:1067mm
- 駅数:15駅(起終点駅含む。溝の口駅を含むと16駅)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 閉塞方式:車内信号閉塞式 (ATC-P)
- 最高速度:急行・各駅停車とも95km/h
二子玉川から溝の口の間は正式には田園都市線の複々線区間である。公式サイトの路線概要では二子新地駅・高津駅は含まれておらず、これらを含むと18駅になる。
沿線風景
大井町線は、品川・大田・目黒・世田谷の各区の住宅密集地を走っている。また、東横線と接続する自由が丘や田園都市線と接続する二子玉川駅周辺は「住みたい街ランキング」の上位に顔を出すこともあるほどの人気がある[1]。
大井町 - 旗の台
起点の大井町を西に向けて高架で出発する。右手には東日本旅客鉄道(JR東日本)の東京総合車両センターおよび同社の社宅があり、山手線用の電車などが留置されている姿が見える。下神明の西端では、足元を品鶴線が、頭上を東海道新幹線が通る3層の立体交差となっている。なお、品鶴線のこの地点は旧蛇窪信号場にあたる。右に都立大崎高校を見て進み、左カーブに差しかかるところが戸越公園。上り勾配で国道1号を跨ぐとそのまま高架の中延へ。その国道1号の地下を都営浅草線が通っているが、一旦改札を出て乗り換えが可能である。またこの区間は東急線で最初に立体化された区間でもある。一旦地平に下りた荏原町では、暗渠化された立会川が直下を流れる。再び高架に上がると池上線を跨ぐ旗の台である。
旗の台 - 自由が丘
旗の台を出ると中原街道と環七通りを相次いで跨ぎ、北千束を経て地下構造の大岡山へ進入する。目黒線と合流し、方向別ホームとなっている。駅前には東京工業大学が、駅の直上には東急電鉄直営の東急病院がある。駅を出ると右に大きくカーブしながら地下から一気に高架へ上るが、気象条件次第ではここから富士山を望むこともできる。カーブが終わると緑が丘。なだらかに下り、東横線をくぐるところが自由が丘である。かつては隣接して自由が丘検車区があったが、急行運転開始に先立ち、ホーム延伸工事に伴い段階的に撤去され、5両編成1本分の留置線を残し、その跡地は商業施設である「Trainchi」(トレインチ)に変わった。2007年11月15日をもって平日夕方1本のみ設定されていた自由が丘行も廃止され、留置線も完全に撤去された。その後、2009年までに5両編成1本分の留置線が復活・併用開始し、日中に車両が留置されている。
自由が丘 - 二子玉川
自由が丘からしばらく直線に進み、右にカーブすると九品仏である。駅北側の浄真寺に安置される「九品仏」(9体の阿弥陀如来像)が駅名の由来である。構内の両端が踏切道であるため、二子玉川寄り1両は扉を開閉しない。尾山台は東京都市大学(旧武蔵工業大学)世田谷キャンパスの最寄り駅である。等々力の手前で目黒通りが頭上を越える。九品仏 - 等々力間はほぼ直線で、隣の駅が見通せる。等々力 - 上野毛間では東京23区で唯一の渓谷である「等々力渓谷」を形成する谷沢川が左を並行し、両駅の中間付近で交差して北に流れてゆく。切り通しに位置する上野毛では、頭上を環八通りが跨ぐ。周辺は国分寺崖線に位置し、五島美術館や多摩美術大学上野毛校舎などもあって緑が多い。切り通しを抜けると、二子玉川駅から多摩川河川敷へかけての街並みが一望できる。大きく左へカーブして渋谷から来る田園都市線と合流し、二子玉川の2番線に到着する。
二子玉川 - 溝の口
二子玉川からは、田園都市線の複々線のうちの内側2線を走行し、溝の口に至る。種別色が青の各駅停車は田園都市線の二子新地駅と高津駅に停車するため、二子玉川 - 二子新地駅間で転線し外側線を走行する。詳細は各駅停車の節を参照。
年表
- 1927年(昭和2年)7月6日 目黒蒲田電鉄(目蒲電鉄)が大井町 - 大岡山間を開業。当時から大井町線という路線名であった
- 1928年(昭和3年)10月10日 池月駅(現・北千束駅)開業
- 1929年(昭和4年)
- 1930年(昭和5年)
- 1933年(昭和8年)4月1日 中丸山駅を緑ヶ丘駅に改称
- 1936年(昭和11年)1月1日 戸越駅を下神明駅に、蛇窪駅を戸越公園駅に、洗足公園駅を北千束駅に改称
- 1940年(昭和15年)12月1日 大井町線二子玉川駅と玉川線よみうり遊園駅を統合し、二子読売園駅に改称
- 1943年(昭和18年)7月1日 玉川線(溝ノ口線)二子読売園 - 溝ノ口間の軌間を1372mmから1067mmに改軌し、大井町線に編入
- 1944年(昭和19年)10月20日 二子読売園駅を二子玉川駅に改称
- 1945年(昭和20年)10月1日 二子玉川駅 - 溝ノ口駅間を軌道法に基づく軌道から地方鉄道法に基づく鉄道に転換
- 1951年(昭和26年)3月1日 東洗足駅を移転し、旗の台駅に改称
- 1954年(昭和29年)8月1日 二子玉川駅を二子玉川園駅に改称
- 1958年(昭和33年)1月15日 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧
- 1963年(昭和38年)10月11日 大井町線を「田園都市線」に改称。これにより大井町線という名称は一時消滅する
- 1966年(昭和41年)1月20日 緑ヶ丘駅を緑が丘駅に、自由ヶ丘駅を自由が丘駅に、溝ノ口駅を溝の口駅に改称
- 1979年(昭和54年)8月12日 田園都市線の電車が二子玉川園から新玉川線を経由して渋谷・当時の営団半蔵門線方面へ直通運転を行うようになり、同時に大井町 - 二子玉川園間が大井町線として分離され、約16年ぶりに名称が復活
- 2000年(平成12年)8月6日 二子玉川園駅を二子玉川駅に改称
- 2006年(平成18年)
- 2007年(平成19年)11月15日 自由が丘終着の列車を廃止[4]
- 2008年(平成20年)
- 2009年(平成21年)7月11日 溝の口駅まで延伸。同時に、2種類の各駅停車(種別色が青色と緑色)の運転開始。
- 2012年(平成24年)3月3日 大井町駅でホームドアの使用を開始。
- 2013年(平成25年)2月24日 戸越公園駅で2両分ホーム延伸ならびに踏切移設工事が行われ、これにより同駅でのドアカットが解消[7]。
運行形態
急行と各駅停車が運転されている。大部分は大井町 - 溝の口間の折り返し運行となっているが、鷺沼にある車庫との間の出入庫に伴い、朝夕の一部には田園都市線鷺沼、長津田までの直通列車がある。2006年3月18日から土曜・休日を中心に田園都市線の長津田や中央林間発着の急行列車が運行されている[3]。
列車種別
急行
2008年3月28日より運転を開始した。なお、急行は戦前の一時期にも運転されていた(後述)が、それとは全く異なるものである。
全列車が6000系6両編成で運転されるが、同系車両の故障および定期検査で運用する編成が不足する場合や、非常時には各駅停車専用の車両を用いて5両編成で運転することもある。上下とも旗の台駅で各駅停車に接続するほか、上りのみ平日朝夕ラッシュ時には上野毛駅で各駅停車を追い抜く。平日はほぼ全日、土曜・休日は日中のみ運転される。平日朝ラッシュ時はおおむね12分間隔(各停3本に対して1本)、平日の日中・夕ラッシュと土曜・休日の日中はおおむね15分間隔(各停2本に対して1本、平日夕ラッシュのみ各停3本に対して1本)で運転される。
駅の発車標や電車の種別・行先表示器のLEDでは、赤地に白文字で「急行」と表示される。
大井町線内は全区間運行し、途中駅発着の設定は無い。
大井町・溝の口発着のほか、平日・土曜・休日夜の下りに田園都市線の鷺沼・長津田まで直通する列車、平日の朝の上りに同線の長津田発の列車、土曜・休日の朝の上りに同線の中央林間発の列車が運行されている。これらの列車は田園都市線内でも急行で運転され、大井町線 - 田園都市線間の転線を二子玉川駅で行う。ただし、田園都市線が人身事故等で急行運転を取り止めた場合、田園都市線内は各停で運転されることがある。
途中停車駅は他の東急各線との連絡駅のみで、東急線全体のバイパス路線という大井町線の性格がよく反映されている。
平日の田園都市線の上り急行は、二子玉川でのみ大井町行き急行と日中に接続し、溝の口で高津・二子新地に停車する大井町線各停に接続している。大井町線の下り急行は、二子玉川と溝の口の両駅で田園都市線の下り急行と日中に接続する。
2010年3月25日から平日夜間の下り急行のうち溝の口行き2本、および鷺沼行き1本が長津田まで延長される。これにより、大井町から長津田まで直通する急行は4本となる。
2012年3月17日より土休日日中に毎時2本を溝の口発着から長津田発着に延長する。大井町 - 長津田間の急行は長津田で中央林間発着の各駅停車と接続する。これに伴い土休日の田園都市線の急行と大井町線の急行との接続はなくなった。
2014年6月21日から田園都市線内で日中に準急が運行されるに伴い、土休日の田園都市線の上り準急が溝の口で溝の口始発の大井町行き急行、および高津・二子新地に停車する大井町線各停に接続する[8][9]。
各駅停車
種別色が緑の各駅停車と種別色が青の各駅停車の2種類が運行され、いずれも5両編成が使用される。
- 種別色が緑(■)の各駅停車は大井町 - 溝の口間の全線で大井町線の線路を走行し、ホームのない二子新地駅・高津駅は通過する。「各駅停車」であるが“通過駅”のある珍しい例の一つである。
- 種別色が青(■)の各駅停車は二子玉川 - 二子新地間・溝の口 - 高津間で田園都市線の線路に転線するため、二子新地駅・高津駅に停車する。
駅の発車標や電車の種別・行先表示器のLEDでは、緑の各駅停車は白地に緑枠・緑文字で「各停」、青の各駅停車は青地に白文字で(正確には白枠で囲まれて)「各停」と表示される[10]。
駅構内自動接近放送や電車内の車掌アナウンス(自動放送含む)で、二子新地と高津に停車するか否かの案内がある。溝の口方面行の時には駅構内自動接近放送は「まもなく○番線に各駅停車××行がまいります。」というアナウンスの後、緑の各駅停車は「二子新地・高津にはとまりません」、青の各駅停車は「二子新地・高津にとまります」と案内放送が流れる。なお、溝の口始発の大井町線接近放送は「高津・二子新地…」と言い回しが逆になる。
大半の列車は大井町 - 溝の口間の運転であるが、朝と夜間には田園都市線鷺沼発着の列車が設定されており、始発・終電に二子玉川発着の列車が1本、平日朝に自由が丘発の列車が1本設定されている。
種別色が青の各駅停車は、日中毎時4本と早朝・深夜時間帯に運転される梶が谷以西の田園都市線直通列車(鷺沼行)のみであり、それ以外は二子玉川始発・終着列車も含めて種別色が緑の各駅停車である。もっとも、二子新地駅と高津駅は大井町線の駅ではなく、厳密には田園都市線のみの駅であり、種別色が緑色の各駅停車が本来の大井町線である。前述したように、種別色が青の各駅停車は途中の二子玉川 - 溝の口間で田園都市線の線路に乗り入れる形をとっているため「田園都市線経由の大井町線」という扱いであり、車掌によっては「田園都市線経由」とアナウンスする場合がある。車両の自動放送でも「田園都市線経由」とアナウンスされる。なお、溝の口延伸直前に大半の車両が行先表示器を更新したものの、溝の口延伸前日までは行先表示器が未更新の編成も存在したため、青の各駅停車二子玉川行きの表示がされていた。
旗の台駅での急行を待ち合わせする各駅停車のほか、上り(大井町方面行)のみ朝間や夕方に上野毛駅で急行の通過待ちを行う列車が存在する。
過去の運行形態
1943年の溝の口線編入から1979年までは、大井町駅から二子玉川園(現・二子玉川)駅を経由して同駅以西の現在の田園都市線区間へ運行する形態が基本的な運行であった(なお、1963年から1979年までは大井町 - 二子玉川園間も「田園都市線」の路線名であった)。その後、新玉川線(現在の田園都市線渋谷 - 二子玉川間)の開業後に二子玉川園以西からの一部列車が同線渋谷方面へ直通するようになる。
1979年には、大井町線の分離によって逆に一部をのぞき二子玉川園駅以西へは運転されなくなり、大井町 - 二子玉川園の運行が基本となった。
1979年の系統分離以前には快速列車が運転されていた時期があったが、快速運転は二子玉川園以西で行われ、現在の大井町線にあたる大井町 - 二子玉川園間ではすべての列車が各駅に停車していた。
1979年から2008年3月27日までは全列車が各駅停車であった。田園都市線と直通する急行列車が2002年と2003年[11]に臨時列車として、2006年3月18日からは土曜・休日のみの定期列車として運行を開始した[3]が、これも2008年3月28日の大井町線の急行運転開始より前は大井町線内は各駅停車として運転し、田園都市線内のみ急行として運転した。なお、直通急行の定期運用化の時期に、田園都市線内での誤乗を防ぐため、一部編成をのぞき先頭車の前面下部と側面のドアと窓の間に大井町線のロゴ入りステッカーが貼り付けられ、帯のデザインも大井町線のカラーのオレンジのグラデーションに変更された。この時に施行されなかった編成についても大井町線内急行運転開始時に施行された(8000系をのぞく)。
2008年3月28日から2009年7月10日までは、それまでの運行形態に線内での急行運転が追加され、急行と各駅停車の運行となった。
戦前期の急行運転
大井町線では戦前の一時期に急行列車が運転されていた[12] 。これは二子玉川 - 大井町間で運行されるの列車のうち、朝間の上りと夕方の下りに荏原町 - 大井町間を通過運転するものであった[12]。古い事柄のため運転開始時期は不明であるが[12]、1936年(昭和11年)4月1日のダイヤ改正で廃止されている[12]。
この急行には、車両の前面向かって右側(東横線系統は前面向かって左側[13] )に急行板が掲出されていたが[12]、「急行」表記のほかに「通過駅 中延 蛇窪 戸越」と表記されていた[12]。なお、この表示の「戸越」「蛇窪」はそれぞれ、現在の下神明駅、戸越公園駅のことである。
改良工事
大井町線では、1993年以降大規模な改良工事が行われている。これは、大井町線に田園都市線のバイパス路線としての機能を持たせることで、混雑が激しい同路線の混雑緩和を図るものである[14]。
東急大井町線改良・田園都市線複々線化工事(溝の口 - 二子玉川間)を実施し、以下の工事を行っていた[15]。等々力駅以外はすべて完工している。
- 大井町駅
- ホーム拡幅と車両全長20m級6両編成の列車が停車できるホーム長を確保するため、頭端式2面2線から頭端式1面2線へとリニューアル工事を実施。
- 旗の台駅
- 駅施設改良工事ならびに相対式2面2線から島式2面4線に線路を増やし、緩急接続を可能な構造とした上で、車両全長20m級6両編成の列車が停車できるようにホーム延伸工事。
- 自由が丘駅
- 駅施設改良工事ならびに車両全長20m級6両編成の列車が停車できるようにホーム延伸工事を実施。
- 等々力駅
- 現在の地上ホーム島式1面2線から島式1面4線地下駅構造とし、両外側に急行通過線を設置する計画であるが、後述の反対運動により未だ着工はされていない。そのため、当駅付近で地質調査などが行われている。
- 上野毛駅
- 上り(大井町方面行)に急行通過線を追加し、島式1面3線構造とする。また、それに合わせて駅本屋の新設・既存施設の改良工事。
- 二子玉川駅
- 大井町線と田園都市線の位置の入れ替え工事。
- 田園都市線二子玉川駅 - 溝の口駅
- 大井町線延伸のための線増工事。溝の口駅は相対式2面2線から、上りが島式1面2線・下りは相対式1面1線を併せ持つ2面3線構造となった後、大井町線延伸に伴い島式2面4線構造となった。
- 梶が谷駅(田園都市線)
- 改良工事完成後の大井町線の車両増に対応するために同線用の梶が谷車庫(4線)の建設。
さらに、急行運転開始に伴う安全性向上と列車運転間隔の短縮のため、2008年2月23日に自動列車停止装置 (ATS) から自動列車制御装置 (ATC-P) へ保安装置が更新された[15]。
経過
前述の通り、田園都市線の混雑緩和を目的とした特定都市鉄道整備事業計画の認定を1995年に受け、「大井町線大岡山 - 二子玉川園(当時)間改良工事および田園都市線二子玉川園 - 溝の口間複々線化工事」として工事が進められた。
当初は、上記の事業名称にもある通り大井町線内の改良区間は大岡山から二子玉川までで、急行運転も同区間のみとされた。また、急行待避設備は等々力駅に上り(大井町方面行)、尾山台駅に下り(溝の口方面行)に急行通過線を上下線別々に設置し、同時に両駅を地下化する計画であった。
しかし、2000年に計画が変更されて改良区間が大井町 - 大岡山間も追加され、これにより大井町線改良工事は同線全区間が対象となった。同時に、前項で述べた急行通過線は、上下線ともに等々力駅に集約・設置するように変更された[16]。
東急電鉄ウェブサイトによると、急行運転は本来ならば2004年の開始を予定していたが、用地買収が難航していることなどから2007年に延び[14]、その後2007年度内に急行運転開始することを発表した後、2008年度内に溝の口駅までに延伸させる計画が発表された。そして、2008年3月28日から大井町線内での急行運転を開始し[5]、その後、溝の口延伸は2009年6月との発表があったが、実際にはさらに延び、7月11日となった[17]。
完成後
工事完成後、大井町線が溝の口駅まで延伸された[17]。
二子玉川 - 溝の口間は複々線となり、外側2線は田園都市線、内側2線が大井町線である。なお、同区間の途中にある二子新地と高津の両駅は、外側の田園都市線にのみホームがある。このため、大井町線には両駅の存在が無いことになっている。
前述の通り各駅停車の列車は2系統になる。二子玉川 - 溝の口間で大井町線の線路を走行して高津・二子新地の両駅を通過する各駅停車は種別色が緑となり、二子玉川 - 溝の口間で田園都市線の線路を走行して高津・二子新地の両駅に停車する各駅停車は種別色が青となる[18]。種別色が青の各駅停車は、この複々線区間で田園都市線の線路に転線しているため、厳密には途中で田園都市線を経由して走行していることになる。
反対運動
この改良工事に対して、とりわけ等々力駅周辺で反対運動が起きている。主な反対の理由は「等々力駅周辺の地下化によって東京23区内唯一の渓谷である等々力渓谷の湧水が妨げられ、渓谷の自然が破壊されるおそれがある」との観点である。このため、世田谷区を中心として等々力駅地下化工事技術検討委員会が設立された。同委員会は工事によって環境影響が生じないように第三者的立場から技術的検討を行い、2005年12月に報告書を提出した[15]。2009年11月現在も等々力駅地下化工事は着工されていない。
また「大井町線に急行は不要である」という観点からも反対運動が起きている。
以上の理由から、環境影響評価に伴って等々力駅地下化工事は着工できずにおり、仮に着工されたとしても相当な時間を要することが予想されることや、かつ急行運転開始を2007年度内に間に合わせるために、急遽計画を一部変更して上野毛駅上り線(大井町方面行)に急行通過線が追加された[19]。なお、あくまでもこれは暫定的な措置であり、将来等々力駅地下化工事が完成した際は、上野毛駅での待避は行われない予定である。ただし、等々力駅での待避に移行された後も上野毛駅の急行通過線は撤去されず、何らかの形で使用を続けるとしている。
使用車両
現行
2013年時点で営業運転に使用している車両を記載する[20] 。
車両のパンタグラフは9000系9002F・9003Fをのぞきすべてシングルアーム式となっているが、6000系以外は当初菱形のものを装着しており、後年にシングルアーム式に交換された。
また、5両編成の全編成の前面帯は後年にグラデーションタイプのものに張り替えられている。側面ドア横には「大井町線」のシールが貼られている。6000系には貼られていない。
九品仏駅では二子玉川寄りの1両がドアカットを実施している。そのため、ドア非扱い装置を設置しているほか、ドアとその上部にはドアが開かない旨のステッカーを貼り付けている。なお、かつて大井町寄り2両のドアカットを行っていた戸越公園駅についても、同様にドアとその上部にドアが開かない旨のステッカーを貼り付けていた。急行通過駅のため、6000系はドアカットを行わないためドアカットのステッカーも貼り付けられていない。
大井町線では、2006年3月に田園都市線直通急行の際に各駅停車の表示を開始した後も、大井町線内急行運転開始後も各駅停車の表示を行わない編成が存在したが、溝の口延伸までに全編成が各駅停車表示を行うようになった。
なお、5両編成の車両の行先表示器は2010年現在字幕式かフルカラーLED式の2種類となっている。これは溝の口延伸と同時に2種類の各駅停車の運転を開始したため、3色LED式では表示に対応することができないためである。なお、非常時に急行に充当されることも考慮し、全編成急行表示に対応している。字幕式車は、幕を回転する際に確認できる。
過去
その他
東京メトロ車両の入出場回送のルートとして同線の二子玉川-大岡山間が使われることがあり、同社の03系・8000系が入線することがある。
駅一覧
正式路線名 | 駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 各停 | 急行 | 接続路線・備考 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大井町線 | OM01 | 大井町駅 | - | 0.0 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:京浜東北線 東京臨海高速鉄道:りんかい線 |
東京都 | 品川区 |
OM02 | 下神明駅 | 0.8 | 0.8 | ● | | | ||||
OM03 | 戸越公園駅 | 0.7 | 1.5 | ● | | | ||||
OM04 | 中延駅 | 0.6 | 2.1 | ● | | | 都営地下鉄: 浅草線 (A-03) | |||
OM05 | 荏原町駅 | 0.6 | 2.7 | ● | | | ||||
OM06 | 旗の台駅 | 0.5 | 3.2 | ● | ● | 東京急行電鉄:■池上線 (IK05) 待避可能 | |||
OM07 | 北千束駅 | 0.8 | 4.0 | ● | | | 大田区 | |||
OM08 | 大岡山駅 | 0.8 | 4.8 | ● | ● | 東京急行電鉄:■目黒線 (MG06) | |||
OM09 | 緑が丘駅 | 0.5 | 5.3 | ● | | | 目黒区 | |||
OM10 | 自由が丘駅 | 1.0 | 6.3 | ● | ● | 東京急行電鉄:■東横線 (TY07) | |||
OM11 | 九品仏駅 | 0.8 | 7.1 | ● | | | 二子玉川駅寄り1両の扉が開かない | 世田谷区 | ||
OM12 | 尾山台駅 | 0.7 | 7.8 | ● | | | ||||
OM13 | 等々力駅 | 0.5 | 8.3 | ● | | | ||||
OM14 | 上野毛駅 | 0.9 | 9.2 | ● | | | 上りのみ通過待避可能 | |||
OM15 | 二子玉川駅 | 1.2 | 10.4 | ● | ● | 東京急行電鉄:■田園都市線 (DT07) (渋谷駅方面) | |||
田園都市線 | - | 二子新地駅 | 0.7 | 11.1 | ○ | | | 東京急行電鉄:■田園都市線 (DT08) | 神奈川県 川崎市 高津区 | |
- | 高津駅 | 0.6 | 11.7 | ○ | | | 東京急行電鉄:■田園都市線 (DT09) | |||
OM16 | 溝の口駅 | 0.7 | 12.4 | ● | ● | 東京急行電鉄:■田園都市線 (DT10) (中央林間駅まで直通あり) 東日本旅客鉄道:南武線(武蔵溝ノ口駅) |
脚注
- ↑ 首都圏・関西 住みたい街ランキング! - マンショントレンド情報 All Aboutでは、不動産大手8社が参加する不動産ポータルサイト「メジャーセブン」でのマンション購入意向者に対するアンケートの結果として、1位に自由が丘、4位に二子玉川が2年連続で入っていることを紹介している。
- ↑ 東急電鉄ウェブサイト「大井町線車両事故に関するお詫び」
- ↑ 3.0 3.1 3.2 「TOKYU NEWS 2005/12/16 2006年3月18日(土)、東横線・田園都市線・大井町線のダイヤ改正を実施」
- ↑ 東急電鉄ウェブサイト「大井町線の行き先を一部変更」
- ↑ 5.0 5.1 5.2 TOKYU NEWS 2008/2/15 3月28日、大井町線の急行運転を開始、田園都市線の混雑緩和を目指します
- ↑ 東急電鉄ウェブサイト「大井町線改良・田園都市線複々線化工事」の概要の部分を参照
- ↑ () 戸越公園駅ホーム延伸工事 東京急行電鉄 [ arch. ] February 08, 2012
- ↑ 各駅時刻表 溝の口駅 - 東京急行電鉄
- ↑ 各駅時刻表 二子玉川駅 - 東京急行電鉄
- ↑ HOT ほっと TOKYU2009年7月より
- ↑ 「TOKYU NEWS 2003/04/22ゴールデンウィーク期間の臨時ダイヤについて」
- ↑ 12.0 12.1 12.2 12.3 12.4 12.5 交友社「鉄道ファン」1981年6月号・7月号 半世紀を走り続けた「東急3450形物語1・2」記事。
- ↑ 鉄道図書刊行会「鉄道ピクトリアル」1985年1月臨時増刊号「東京急行電鉄特集」102頁記事。
- ↑ 14.0 14.1 ニュースリリース(2003年6月18日)
- ↑ 15.0 15.1 15.2 東急電鉄ウェブサイト「特定都市鉄道整備実施状況」に各駅やATCについての工事の状況が示されている。
- ↑ TOKYU NEWS 2000/11/17 特定都市鉄道整備事業計画を変更「大井町線改良工事ならびに田園都市線複々線化工事」
- ↑ 17.0 17.1 ニュースリリース2009年2月5日「2009年7月11日(土)、東急大井町線が溝の口駅まで延伸します」
- ↑ TOKYU NEWS 2009/4/10 「6月6日(土)、東急線でダイヤ改正を実施 田園都市線増発など、各線で混雑緩和と利便性の向上を図ります 7月11日(土)には、溝の口延伸に合わせて、大井町線のダイヤを改正します」
- ↑ 上野毛駅掲示ポスターによる
- ↑ ネコ・パブリッシング「レイルマガジン」2014年4月号特集「東急電鉄長津田検車区24時間密着ルポ」24頁東京急行電鉄基本車両編成表。
- ↑ 東急線全駅で駅ナンバリングを導入します - 東京急行電鉄、2012年1月26日、2012年1月26日閲覧。
関連項目
- 日本の鉄道路線一覧
- Train Simulator+電車でGO! 東京急行編 - 大井町線が収録されており、運転することができる。
外部リンク
- 東急電鉄 ニュースリリース「田園都市線の混雑緩和策を積極的に推進します」 2007年1月15日