軍服 (架空世界)
架空世界の軍服(かくうせかいのぐんぷく)では、さまざまなフィクション作品の登場人物が着用している軍服またはそれに準ずる制服について述べる。
概要[編集]
映画、漫画、アニメ、特撮などの媒体において、とりわけSFないしファンタジーのジャンルに属する作品では、しばしば「惑星間戦争」や「架空の王国」または「悪の組織」といった設定がなされる。そして、その設定にリアリティを持たせるために詳細な「組織描写」(部署や階級等)を読者・視聴者に目に見える形で印象付けるため、登場人物の服装にも現実世界の軍服に似た設定がなされることが多い。
全体的な組織描写以外に、主要な登場人物においてはその身分・地位・立場・資質等を象徴して個々の「キャラクター描写」の一環をなす一方、劇中で戦いを演じる組織の「軍服」のデザインの差が、「敵・味方」「善・悪」を象徴する役割も果たす。これらはある意味、歴史映画、時代劇、戦争映画で培われたノウハウの応用といえる。
多くの場合、現実の歴史上存在したいずれかの国の軍服(概ね19世紀~第二次世界大戦時までに使用されていたもの)をベースにしつつ、デザインや素材感に未来感・ファンタジー色を加味している。
現代の軍服では礼装(正装)と常装、戦闘服が分れているのが一般的だが、フィクションにおいては礼装が存在しない(少なくとも作品内には登場しない)こともあり、常装と戦闘服の区別に至ってはほとんど見られない。ただし宇宙を舞台とした作品の場合、軽量で動きやすい構造の宇宙服が戦闘服やパイロットスーツの役割を果たす例もある。また、時にはヘルメットと呼吸装置を装着するだけで簡易宇宙服になるような軍服も登場する。
陸上戦闘において低視認性が重視されることは架空世界でも同じだが、海軍・空軍・宇宙軍などではそうした制約がないため、様々な色の軍服が登場する(軍服の色によって兵科が識別できるようになっている作品も少なくない)。
日本[編集]
- 宇宙戦艦ヤマトシリーズ
- 地球防衛軍の制服は胸に大きな錨マークが入っており、職種ごとに色が異なる(戦闘機搭乗員は黒地に黄色、生活班は逆、他は全員白地に戦闘班は赤、航海班は緑、技術班は青など)。艦長のみ白い帽子とスカーフ、黒いコートを着用している。『さらば宇宙戦艦ヤマト』/『宇宙戦艦ヤマト2』に登場の空間騎兵隊隊員は錨マークのない野戦服を着用。
- ウルトラシリーズ
- 対怪獣防衛部隊のメンバーは一般の防衛隊員と異なる、非常に目立つデザインの制服を着用している。
- ガンダムシリーズ
- 地球連邦の軍服は前がファスナーになっているようである。通常はカーキ色で、将官などは胸に略綬を付けている者もいた。『機動戦士ガンダム』の主人公たちは正規の軍人でないためか、違う色(男性は青、女性は赤)の服を着用し、また制帽も被っていなかった。
- ジオン公国の軍服は階級によって襟と胸の模様(マント)が異なる。下士官以下の制服はマント無しで、胸の模様もほぼ同一。士官は階級によりマントの形状と模様が違う。一部のキャラクター(エース・パイロットや部隊幹部クラスが多い)は独自のデザインの軍服やノーマルスーツを着用していることもあった。
- 『機動戦士Ζガンダム』で登場したティターンズは連邦軍の一部隊ではあったが、「エリート」であることを誇示する意味で一般兵と異なる色(ティターンズのイメージカラーらしき黒)の軍服を着用していた。この作品以降からロングブーツから半長靴を着用する描写が増えていく。
- 銀河英雄伝説(OVA版)
- 銀河帝国軍
- 銀河帝国の軍服は黒地に銀を配した詰襟風で、階級によって襟と胸の模様が異なる。将官は胸の飾りが服の合わせ目を覆っている。元帥の服は肩にマントが付く(色は各自に固有)。礼装は特にないようで、儀式などでは帝国の紋章を胸に付けるほか、赤色の懸章を着用する。また王朝が交代した際、配色は引き継ぎつつ軍服のデザインも大きく変更された。その他皇帝専用のものが数種類ある。帽子については、憲兵隊将校が一般的な制帽、憲兵隊兵士がケピ帽、親衛隊がギャリソンキャップを着用しているが、それ以外の艦隊勤務や地上部隊の将兵は階級に関係なく帽子を着用しない。軽装陸戦兵および憲兵隊については、地上戦が想定される場合にバイザー付のヘルメットを着用する。軍医は同じデザインながら白地に銀という色のものを着用する。
- 自由惑星同盟軍
- 自由惑星同盟の軍服はモスグリーンのジャケット(同じデザインの物が実際に販売された)とベレー帽に、アイボリーホワイトのスラックスとスカーフと短靴。ジャケットの下は水色のワイシャツに赤色のネクタイである。左襟に階級章、左胸に兵科章や艦隊司令記章など、左上腕部に所属部隊のワッペンを付ける。治安・警備など任務の場合、これに加えてヘルメット、手袋、半長靴を装備する。OVA版の第21話および第60話~62話では有人惑星における地上戦用の戦闘服も登場し、こちらはモスグリーンのシャツとズボンにアイボリーホワイトのスカーフ、半長靴で構成される。白い背広風の礼装と黒い背広型の喪装があるほか、士官学校用の制服と礼服がある。また、元帥の階級を持つ現役軍人は平服のジャケットないし礼装の背広の上に飾緒を着用する。
- 星界の紋章・戦旗
- アーヴによる人類帝国(フリューバル・グレール・ゴル・バーリ)の軍衣(セリーヌ)は彼らの先祖が着用していた船内作業服を元にしており、緊急時には与圧兜(サブート)を装着する事によって与圧服(ゴネー)の代用にもなる。左胸には兵科ごとに違う色の階級章(レンスィムスィア)を付ける。飾帯(クタレーヴ)は服を締めるためではなく、装備品を吊るためのものである。
- 十翔長(ローワス)以上の階級の翔士(ロダイル)は上に袖のない長衣(ダウシュ)をまとい、艦隊司令はさらにその上にマントを着る。
- 頭環(アルファ)はアーヴ特有の能力である空識覚(フロクラジュ)を使うために不可欠の道具だが、非アーヴの翔士にとってはただの飾りでしかない。従士(サーシュ)は頭環の代わりにベレー帽を着用している。
- 超時空要塞マクロス
- 鋼の錬金術師
日本国外[編集]
- スタートレック
- 惑星連邦宇宙艦隊は正式には軍隊ではないとされているが、多くの点でアメリカ海軍を参考にしている(まず艦名に「U.S.S.」が冠されるのがその証左)。作中の時代ごとに制服のデザインは何度も変更されているが、職種によって違う色の服を着用することが多い。かつては赤い制服を着たエキストラ(保安部員)がしばしば登場直後に殺されることから、そのような役柄を意味する「赤シャツ」という言葉まで作られたが、のちの作品では指揮官が赤い制服を着るようになり、めったに死ななくなった。
- スター・ウォーズ
- 銀河帝国宇宙軍においては基本的にグレーの制服を着用する。モフ、グランドモフなども同様である。階級は左胸の二段のブロック状の階級章で識別し、その色(青、赤、黄)と数で階級が決まる。例外としてブリッジ士官などは黒、大提督は純白の制服を着用している。一方、地上軍兵士すなわちストームトルーパーは基本的に白い装甲服を着用しており、スカウトトルーパーと言った亜種もそれぞれの任務に応じた装甲服を着用する。