茨木市連続ひき逃げ事件
茨木市連続ひき逃げ事件(いばらきしれんぞくひきにげじけん)とは、2004年11月に大阪府茨木市内で乗用車が暴走し、通行人5名が次々にはねられ死傷した無差別殺人事件である。
事件の概要[編集]
2004年11月18日の午前6時過ぎ、茨木市内中穂積~下穂積の路上で乗用車が暴走し、通りかかった自転車の男女5名を次々とはね、民家の生垣に衝突して停止した。運転していた韓国国籍で新聞販売店従業員の容疑者も意識不明の重体となった。
現場はすれ違いが困難なほど細い道路で、乗用車は壁に車体をこすりつけながら約500mにわたって蛇行運転し、自転車を追い掛け回す形となった。
被害者5名のうち2名が死亡、3名が重軽傷を負った。
事件当時容疑者は全裸であり、車内にも衣類は発見されなかった。またH容疑者は統合失調症で通院中であった。
その後の経過[編集]
大阪府警は、H容疑者を業務上過失致死と道交法違反(ひき逃げ)の容疑で意識回復後に逮捕した。
その後、容疑者は「人を殺そうと思った」「悪魔に命令された」と供述し、殺人・殺人未遂容疑で大阪地検に送検され起訴された。
2005年5月20日に初公判が開かれ、検察側は、被告が他者の殺害で死刑になることにより自殺しようとしたとし、一方、被告側は心神喪失による無罪を主張した。公判開始後に改めて行われた精神鑑定では「責任能力なし」とされた。
2007年2月28日、大阪地裁は「被告は当時、心神喪失状態で罪にならない」として無罪判決を言い渡した。
2008年6月24日、大阪高裁は、一審判決を支持し、検察側の控訴を棄却、再び無罪判決を出した。検察側は上告を断念し無罪判決が確定した。
事件に関する報道[編集]
朝日新聞などは容疑者の氏名を通名で報道したが、河北新報など他のメディアは韓国名で報道するなど扱いが分かれ、物議をかもした。
なお、事件発生直後、読売新聞系のメディアでは、H容疑者を「23歳の産経新聞販売店店員」と報道し [1] 、産経新聞系メディアも事件を取り上げている。
脚注[編集]
- ↑ 読売新聞ニュースサイト2004年11月21日付 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20041121i517.htm (リンク切れ)