甲陽軍鑑
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甲陽軍鑑(こうようぐんかん)は、江戸時代の軍学書。著者は小幡景憲。
概要[編集]
甲斐武田氏の戦略・戦術を記した軍学書とされる。全59品(章)。
武田信虎の甲斐統一~武田家滅亡までの合戦や逸話、事跡、刑法などで雑然と構成されている。
歴史[編集]
江戸幕府を開いた徳川家康は武田家の領地を支配し、武田家臣を多く従えていたため、武田家に好意的な姿勢を取っていた。このため、江戸時代に出版された本書は江戸時代の日本で読み物として大いに親しまれた。軍学者の間では、甲州流軍学の聖典とされた。
また、本書から『甲陽軍鑑評判』『武田三代軍記』などの派生本も出版された。
江戸期の講談や歌舞伎をはじめ、明治以後の演劇や小説、映画、テレビドラマ、漫画など武田氏を題材とした創作世界にも取り込まれ、現代に至るまで多大な影響力を持っている。
作者[編集]
武田信玄・勝頼期に仕えた武将・香坂弾正忠虎綱(高坂昌信)が(勝頼在世中の)天正3年・5年に書いた実録を香坂の甥・春日惣次郎らが書き継いだ、という体裁になっており、天正14年5月の日付で終っている。
近代以降の史料批判により、香坂の実録ではなく、小幡景憲(甲州流軍学の創始者)が香坂らの名を借りて作成したもの、という説が有力視されてきた。近年、国語学者の酒井憲二によって、語法などの分析がなされ、江戸時代以前の用法が見られることから、春日惣次郎の下書きを小幡景憲が編纂した可能性が高いという説も唱えられている。
史料価値[編集]
- 偽書ではない。
- 間違いは多い。特に年代。
- 明らかな創作が混じっている。
- 武田氏関係のことを当たる場合、それなりに参考にするべき史料である。史料批判は欠かせない。