梅酒
梅酒(うめしゅ)とは一般的に6月頃に収穫される青梅を35~40度程度のアルコール(ホワイトリカー、焼酎が一般的)で漬け込んだ酒で、日本を代表するリキュールである。「うめざけ」「ばいしゅ」「うめじょうちゅう」とも言われる。
概要[編集]
夏の喉の渇きを止め、暑気払いや疲労回復に非常に良く、また体を温める。梅とアルコールの殺菌効果で、生水に少量落とすと毒消しにもなる。家庭でも簡単に作れることから、古来民間の健康酒として親しまれ、近年では食前酒としても飲まれている。
作り方[編集]
梅1kgに対して砂糖0.4~1kg、酒1.8lが一般的な割合である。梅酒に使われる梅には最高級梅とされる南高梅の他、古城、白加賀、鶯宿、豊後、竜峽小梅、林州、玉英、梅郷など、果肉が厚く種の小さい酸味高い品種が用いられる。黄色く色づき熟した物ではなく、青梅が良いとされる。梅の茎を竹串などで取り除き、傷のある実があれば除く。よく洗ったのち念入りに拭いて水分を取り、1時間ほど天日で干す(時々ひっくり返し完全に乾燥させる)。梅と砂糖を交互にビンに詰める。この際、梅が浮いてこないよう砂糖を一番上にする事が多い。これにゆっくりと酒を注いで密栓し、冷暗所に静置する。
砂糖は一般的に氷砂糖が使用されるが、蜂蜜、黒糖、果糖なども使用される。溶解が比較的おだやかな糖類の方が好ましい。その理由については、まず糖分が溶け出す前の初期段階に浸透圧差で梅に酒を吸わせたのち、ゆっくり糖分が溶ける事で濃度が上がる事で浸透圧差が逆転し、梅の中のエキスが放出されるためと説明されている。急速に糖分が溶解してしまうと浸透圧が釣り合ってしまい、梅に含まれるエキス分がそのまま梅の中に保持されてしまう。実際、酒だけ入れておいて置くと梅の香りがするだけの酒が出来上がってしまう。
アルコールはホワイトリカー(甲類焼酎)、ブランデーが無難であるが、ジン、ウォッカ、ラム酒などのスピリッツや、日本酒、みりん、ワインなどの低アルコール度の酒でも漬け込むことができる。ただし旨味を出すには長期の熟成が必要となるため、低アルコール度数の酒を使う場合は腐敗に注意を払う必要がある。一般的に(日本国内で)市販されている梅酒のアルコール度数は10~15度である。
1年程度漬ければ飲めるが、長く漬ければ漬けるほどコクが出るため、10年を超えるものも存在する。その場合、梅は早めに取り出しても入れたままでもよい。取り出した梅も美味である。
家庭で作る梅酒(自家醸造)と法律[編集]
酒類と他の物品を混和した場合、その混和後のものが酒類であるため、新たに酒類を製造したものとみなされてしまう。
しかし、消費者が自分で飲むために酒類に下記の物品以外であれば混和しても、例外的に酒税法上の「製造行為」にはあたらない。
- 米・麦・あわ・とうもろこし・こうりゃん・きび・ひえ・でんぷんまたはこれらのこうじ
- ぶどう(やまぶどうも含む)
- アミノ酸もしくはその塩類、ビタミン類、核酸分解物もしくはその塩類、有機酸もしくはその塩類、無機塩類、色素、香料又は酒類のかす(酒税法第7条、第43条第11項、同法施行令第50条、同法施行規則第13条第3項)
したがって、家庭で梅酒を作っても「密造酒」にはあたらない。すなわち酒税法違反にはならない。
注意点[編集]
ただし家庭で作る場合、加えるアルコールはアルコール度数が20度以上でなければならない。それ以下で作った場合には酒税法違反となってしまう。そのため、10~14度の一般的なみりんなどで漬け込む場合は、腐敗の心配だけでなく法律違反となってしまうので注意が必要である(酒税法施行令第50条第10項の1)。
2007年6月14日、テレビ番組『きょうの料理』(日本放送協会)の「特集★わが家に伝わる漬け物・保存食~梅酒~」にて梅酒のつくり方[1]を放送したが、そのレシピに従い個人が梅酒をつくると違法となることがわかり、後日、謝罪放送がされる[2]という異例の事態が発生した。
代表的な梅酒メーカー[編集]
脚注[編集]
- ↑ 『くらしのパートナー:きょうの料理』日本放送協会。
- ↑ 「お詫びと訂正」『くらしのパートナー:きょうの料理』日本放送協会。
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関連項目 |
ライ麦 - 麦芽 |
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