ラジオカセットレコーダー
ラジオカセットレコーダーは一般的にラジカセとも呼ばれ、コンパクトカセットテープレコーダー(テレコ)にラジオチューナーを内蔵した音響機器である。その他にアンプとスピーカーを備える。いわゆるオールインワン型製品である。
ほぼ全ての機種で持ち運びが出来ることを念頭としている(実質問題大きくて困難な機種もあるが)ため、乾電池駆動が可能で、上部に折りたたみ式の把っ手がついている。
ちなみに短縮形で「ラジカセ」と世間に呼ばせたのは音響機器メーカーのパイオニアで、「ラジカセ」を商標登録しようとしたが却下された。日本国外では「boombox」や「ghettoblaster」と呼ばれる。
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歴史[編集]
日本では日立製作所が1963年にオープンリール式テープレコーダーにトランジスタラジオを搭載した「ベルリーナ」が最初と言われている。 その後、1968年に国産初のアイワ製TPR-101(コンパクトカセット+FM SW AM 3バンドラジオ式)が登場し、1970年代には各家電メーカーが相次いで商品を投入した。当初はモノラルタイプが主流だったが、同時期にFM放送が開始されてエアチェックがブームになると、ステレオタイプも出すようになった。
本体にマイクロフォンを内蔵しており、マイク端子を持たない物もあった。ビデオレコーダーが家庭に普及する前は、テレビの前にラジカセを置いてテレビの音声を録音するのが、唯一のテレビ番組の保存方法だった。しかし、これはテレビの音を外部入力端子にケーブルを繋がないで直接内蔵マイクで録音する事から録音者及び周囲が静かにしないと他の物音も録音される欠点がある。外部入力端子付きのラジカセでテレビの音を録音すればこの問題は無いが、当時は外部入力端子(マイク入力・ライン入力)がほぼすべてのラジカセが備えていながら一般に存在を知られていなかった事、接続するためのコードも普及していなかった事、テレビとラジカセを接続するとリアルタイムで放送音声が聴けなくなる事(当時のテレビの外部出力端子はスピーカーからの音が遮断されるイヤホン端子のみで、RCA端子の装備はビデオデッキの普及以降である)などから、こうした問題が起こっていた。80年代前半からこうした利用方法に答えるべく、VHF/UHFのTVチューナー搭載機も多く発売された。下記の「CDラジカセ」には内蔵マイクを持つ機種は少ない。
1980年代に三洋電機が「おしゃれなテレコ」の愛称で「U4」を登場し、ベストセラーになる。また、この頃高級化が進み、スピーカーにウーファーとツイーターの2ウェイタイプが登場するなど、音質にこだわった商品も登場した。大きな直方体の箱、上部に大きなチューニングスケール、正面左右に大きいステレオのスピーカー、中央にカセットテープドライブ、というスタイルができた。この頃にはダブルカセットのラジカセも登場して、テープダビングも可能となった(パナソニック(松下電器産業)からはトリプルラジカセも発売されたが、高価格化や海賊版テープ作成の容易化などで苦情が殺到し、わずか1機種が短期間販売されたのみであった)。またウォークマンをはじめとするヘッドホンステレオの人気により、カセット部分を切り離して携帯できる機種も存在した。
80年代にはブレイクダンスやヒップホップの流行に伴い、携帯性を度外視した音質さらには大音量を追求した「Boombox」が普及した。なおBoomboxとはその大小に関わらずラジカセ一般を示す単語である。
1986年頃からCDプレーヤーを搭載した「CDラジカセ」が登場。ディスクメディアのオールインワン型音響機器と考えると、アンサンブル型ステレオが小さくなって現代風になったようなものでもある。最初期はWカセットの片方をCDプレーヤーに乗せ換えたような機種も多く見られたが、後にダビングに便利なカセットテープドライブを2台としたモデルでは横長になるなどし、直方体の箱ではないものが増えた。
1995年頃からはカセットの代わりにMDデッキを搭載した「MDシステム」も登場している(カセットが付いていないことから、メーカーでは「MDラジカセ」とは呼ばず前述の「MDシステム」や「MDCDシステム」、「ラジMD」等と呼称する。ただしMDデッキとカセットデッキを両搭載した製品もあり、それらについては「MDラジカセ」と呼ぶこともあった)。また同時にあらゆる機能を搭載した「ハイスペック機種」にする風潮もなくなっていった(たとえばラジオ部分を見ると、一時期はVHFの全チャンネルだけではなく、UHFの全チャンネルが受信できる機種や、さらにそれらテレビの音声多重放送に対応したタイプまで製造・発売されていたこともある)。
mpmanに始まるデジタルオーディオプレーヤーの隆盛により、「最もポピュラーな音響機器」の座は譲りつつあるも、iPodとの連携が図られたものや、カセットテープ、CD、MD、2バンドラジオの全てを搭載したハイエンドモデルなどもまだまだ生産されている。
2000年代後半には、カセットを搭載せずSDカードスロットを搭載し、SDカードにCDからmp3録音出来る「SD/CDラジオ」やSDカードスロットの他にUSBポートにを搭載し、USBケーブルを介してUSBマスストレージクラス対応のUSBメモリにCDからmp3録音出来る「SD/USB/CDラジオ」と呼ばれる機種が出現している。
主なメーカー別ラジカセの歴代シリーズ・ブランド名[編集]
(★マークのつくシリーズは現在発売中のシリーズ)
アイワ[編集]
- STRASSER(シュトラッサー) ※ミニコンポとシリーズ名を共用
- ターボソニック
- フットワーク
オーム電機[編集]
- AudioComm(オーディオコム)★
ケンウッド[編集]
- WOODSTOCK(ウッドストック) ※ミニコンポとシリーズ名を共用
- RAMPAGE(ランページ)★※一時カタログから消えていたが、近年復活した。
小泉成器[編集]
- SOUNDLOOK(サウンドルック)★
廣華物産[編集]
- WINTECH(ウィンテック)★
- MateStar(メイトスター)★ ※現在はダブルラジカセのみを展開。中国大手ファクトリーメーカーブランド。
三洋電機[編集]
- U4 ※通称「おしゃれなテレコ」
- V2
- (Σ)ZooSCENE(ズシーン) ※CMにボン・ジョヴィを起用していたことでも有名。当時ボン・ジョヴィは三洋のAV機器のキャラクターでもあった。
- primaire(プリミエール)
- BiG BEN (ビッグベン)
- ROBO (ロボ)
- CD POT (CDポット)
三洋電機コンシューマエレクトロニクス[編集]
- FISHER(フィッシャー)★※かつてU4シリーズを海外向けに「FISHER」ブランドを冠していた。
シャープ[編集]
- THE SEARCHER(ザ・サーチャー)※縦置きラジオカセットでは初のWデッキ採用。シングルカセット採用機種のGP-8Sには当時数少なかったシンセサイザーチューナーを搭載していた。
- AUTO DISC(オートディスク)※日本初のレコードプレーヤー内蔵ラジオカセット。レコード再生にオートリバース機構を採用しコンポ型も同じシリーズ名である
- SEGNO(セグノ)※ヤマハとの共同開発品、同社のASTシステムを搭載。最上位機種にはタッチパネル液晶を装備
- TWINCAM W(ツインカムダブル)※一つのスロットにカセットテープを二本装填し、それぞれのテープリールを同じ回転軸で駆動
- MD Studio(MDスタジオ) ※ミニコンポとシリーズ名を共用
- Auvi(アウビィ)★ ※ミニコンポ、ポータブルMDとシリーズ名を共用
- DIGITURBO(デジターボ)
ソニー[編集]
- エナジーシリーズ
- スタジオシリーズ(CF1980等、ミキシング機能のついたもの)
- TV SOUND (ティーヴィーサウンド) - テレビ音声チューナー内蔵
- ZILBA'P (ジルバップ)
- XYZ(ジィーゼット、後にカーナビゲーションシステムの商品名に転用)
- DoDeCaHORN(ドデカホーン)
- SONAHAWK(ソナホーク)
- PRESH(プレッシュ)
- CELEBLITY(セレブリティー)
- Dr.CHANGER(ドクターチェンジャー) - 3枚CDチェンジャー、光デジタル出力端子搭載
- Wキッド
- 050 (ゼロハン)
- YOKOHAMA(ヨコハマ)
- DEGITABLE(デジタブル)
- MD Link (MDリンク) - 光デジタル出力、ライン入出力端子搭載(MDシステムではない)
- MD Link Plus (MDリンクプラス) - 上記端子に加えMDコントロール、DCアウト端子も搭載。MDウォークマンの制御、充電が可能
- MDIO(エムディオ) - MDシステム
- ザ・たんぱ録音ラジカセ - ラジオNIKKEIと共同開発。ラジオNIKKEIの他AMも聴け、タイマーを内蔵しているので留守録もできる。愛称「株・録ラジカセ」
- My First Sony (マイファーストソニー)
MDシステムには特にシリーズ名は無かったが、同社製唯一のMDラジカセ「ZS-M75」は今も人気が高い。
東芝(Aurexブランド)[編集]
- BOMBEAT(ボンビート)※ただし、時期によってはカタログや雑誌では、ボムビートと表記されていた。全てステレオラジオカセットで、ACTUS BOMBEATと呼ばれた時期もあった。
- SUGAR(シュガー)※CD搭載機は「SUGAR CD」と表記されていた。
- ACTAS (アクタス)
- MacKenzie(マッケンジー)
- CD WORKS(シーディーワークス)
- CUTEBEAT(キュートビート)★
NASA通信[編集]
- NASA1200GX DJ573 - シャープOEM
日本コロムビア、もしくはデンオン(現 デノン)[編集]
- GARO(ガロ)※同名のフォークグループの曲がCMに起用されていたことがあった。
- Beat Boy
- DOing
日本ビクター[編集]
- ラジオカセッター
- CDean(シーディーン)
- CDian(シーディアン)
- CDioss(シーディオス)
- G-HORN (ジーホーン)
- SLENDY(スレンディ)
- DRUM CAN(ドラムカン)
- Sound Rocket!(サウンドロケット)
- MD CREATION(MDクリエイション) ※ミニコンポとシリーズ名を共用
- Clavia(クラビア)★
- √2(ルート2)
日本マランツ[編集]
- STANDARD(スタンダード)- 前身のポータブルラジオメーカー「スタンダード工業」のブランド。(1975年まで)
- SUPERSCOPE(スーパースコープ)- 日本マランツの当時の親会社の名前。※日本初のダブルカセット、日本初の3ヘッド搭載機など。
- unix(ユニックス)- 1980年代初頭に採用していたブランド。
- marantz(マランツ)- 一部の大型機にのみ採用。(高級ブランドと位置づけていたため)
いずれもブランド名であり、特にシリーズ名は持っていなかった。
パイオニア[編集]
- MultiBoy (マルチボーイ)
- Runaway(ランナウェイ)- CMソングにデビュー当時のシャネルズを起用していた
日立製作所[編集]
- Lo-D(ローディー)
- PERDiSCO(パディスコ)※ヘッドホンステレオはアイワからのOEM
- EDITBORG(エディトボーグ)※全機種他メーカーからのOEM
- 見聞録(けんぶんろく) - 白黒テレビ(機種によってはカラーテレビ)付き、いわゆるラテカセ
ナショナル(現パナソニック)[編集]
- MAC(マック)
- DISCO (ディスコ)
- The 3(ザ・サード)※スピーカー着脱式。
- STATION (ステーション)
- LOVE CALL (ラブコール)
- CDer(シーダ)コンパクトCDプレイヤー
- RIDDIM VOX(リディムボックス)※パーソナルPAシステム。ギターやベースを直接接続できる。
- SPATIALIZER(スペシャライザー)
- オレッキー ※数少ない、マイク内蔵CDラジカセの1つである。
DT、EDシリーズは「コブラトップ」「サイバートップ」のブランドが知られている。
- FDシリーズ
- DTシリーズ(バブル期のラジカセで最も人気が高い)
- DSシリーズ
- Eシリーズ(スピーカー着脱式)
- EDシリーズ(国内メーカーのテープセレクター付きとしては2011年現在唯一の機種であったが生産終了)
- MDXシリーズ(MDシステム)
三菱電機[編集]
山善[編集]
- Qriom(キュリオム)★