ヤンキー
ヤンキーとは、本来はアメリカ人を指すYankeeが語源。日本では、「周囲を威嚇するような強そうな格好をして、仲間から一目おかれたい」という少年少女。また、それら少年少女のファッション傾向や消費傾向、ライフスタイルを指す場合もある。口伝えで広まった言葉のため、本来の意味を知らない多くの人々によってあいまいな定義のまま使用されることが多く、「非行少年」「不良」「チンピラ」「不良軍団」など多くの意味で使用される。
目次
ヤンキーファッションの変遷[編集]
ヤンキーファッションは、若者の「周囲を威嚇するような強そうな格好をして、仲間から一目おかれたい」という願いをかなえるものである。しかし、その中でも流行があり、クラシックヤンキー→ヒップホップヤンキー、ギャル男→悪羅悪羅スタイルと流行は変化していった。
番カラ[編集]
バンカラ(ばんから、蛮殻、蛮カラ)とは、ハイカラ(西洋風の身なりや生活様式)をもじった語である。明治期に、粗野や野蛮をハイカラに対するアンチテーゼとして創出されたもの。後に、番長の意味に誤解され、蛮→番となり「番カラ」の使用も増える。番長のファッションは典型的な様式としては弊衣破帽がある。
ツッパリ[編集]
1970年代の不良少年は主に東京など関東地方でツッパリ(突っ張り、つっぱり)と呼ばれた。不良少女はスケ番(女番、スケ番)と呼ぶ。ツッパリは、シンナーや覚せい剤の乱用事件や、喧嘩から発展した暴力事件を引き起こし、暴走族の流行とも呼応して「特攻服」などのファッションを生んだ。
クラシックヤンキー[編集]
1980年代後半から1990年代初頭にかけて、不良少年少女全般を指して「ヤンキー」と呼んだ。またこれらを“古典的なヤンキー”の意で「クラシックヤンキー」と呼ぶ。当時のクラシックヤンキーの男性はリーゼントに幅の広いズボン(学校の中ではジョニーケイやブラックワン、マックスラガーの変形学生服を着用)や、主に紫色をベースにした派手な柄のシャツ等で見た目から分かりやすく、2009年現在の不良とはスタイル、ファッション共に隔世の感がある。足下は、派手なヒール付きサンダル、もしくは雪駄を好んで履いていた。2009年現在の若者達の感覚ではヤンキーとはこのクラシックスタイルヤンキーのことを指す。同年代に使用する場合も、一般人から見ると特異なファッションセンスを持つ、あるいは特有の仕草がある不良を揶揄して呼ぶが、一方では「ヤンキー的なるもの」は脈々と受け継がれ、形を変えつつ「新たなるヤンキー」が生まれつつある(後述のヒップホップヤンキー以降の流れ参照)。
日本のロックバンド氣志團は「ヤンク・ロック」を標榜、クラシックヤンキーの衣装・意匠を用いているが、構成員自体がヤンキーあるいはそれに類するメンタリティの持ち主であるかは不明である。
クラシックヤンキースタイルの衰退そしてハードロック系、ギャル男へ[編集]
バブル崩壊から1990年代末にかけて、三大いい男吉田栄作、加勢大周、織田裕二の登場により、ストレートヘア、ストレートジーンズに白いTシャツやブレザーを合わせるなどのきれいめファッションがはやり、アイドルが髪にパーマをかけなくなり、スリムジーンズが時代遅れになるのと並行して、ボンタン、ドカン、リーゼントなどのクラシックヤンキースタイルが完全に時代遅れとなった。そのためクラシックヤンキーたちは今までのファッションをすてることになった。模索している時期はファッションは主にハードロック系のアメカジスタイルが主流。バイカーファッションやロッカーファッション(キャロルデビュー時の矢沢永吉のような格好)を不良っぽく着こなしていた。このころ、メンズエッグが創刊され、クラシックヤンキーをすて、ギャル男に変化する若者が相当数現れた。
ヒップホップヤンキー[編集]
ハードロック系やギャル男では一般人とファッションで差別化するのが難しく、周囲の人を威嚇できず、ヤンキーの自己顕示欲を満たすことができない。そのため、2000年代には、アメリカの低所得者層の不良子弟(→ギャングスター)のそれに似た様式が日本に流入し、いわゆるヒップホップ系ファッションをしたヤンキー「ヒップホップヤンキー」が誕生した。
また、この頃からヤンキー達の人間関係も上下関係や組織的な統制を重んじない傾向が始まっている。手持ちの携帯電話には大量の友人や顔見知りの電話番号が記録されているが、その中の一人一人とは特に深い交友関係を持っているわけではないことがこのタイプのヤンキーの典型例と言われている。警察の片瀬江ノ島前暴走注意事件からの暴走族取締りが厳しくなったこと、不況でバイクが購入しにくくなったことも誘因としてあげられる。
カール・カナイのジャージを着るのが愛好家たちの間で流行。また、2000年代に入るとガルフィーのジャージが流行した。 ヒップホップヤンキーの代表的なファッションは、オーバーサイズのジャージやジーンズなどのボトムのウェストを股下までずり下げ着用する「腰履き」が主流である。また、これをファッション誌などのメディアでは、「B系」と称する場合が一般的であるが、その場合は必ずしもヒップホップヤンキーのことを指す表現ではない(B系記事参照)。
ただし2009年現在では、着用の際の工夫を凝らさずともあらかじめ腰履きに見える手軽さと履きやすさが特徴である「ヒップホップジーンズ」などが好まれている。かつてクラシックヤンキーが好んで履いた「ボンタン」との類似点が指摘されている。ただ、このスタイルは、一見してヤンキー的メンタリティを持ち合わせていないと思われる若者の間にも広く受け入れられ、外見的にはヤンキー、ヒップホップ愛好者、そのどちらでもない一般人の区別があいまいで困難になった。
ヤンキーのメンタリティ、精神性は根本的にはそれほど変化していないが、外見や消費傾向などの枝葉の部分は今もなお、変化を続けている。
ヤンキーの消費動向の事例[編集]
ヤンキーには自動車を愛好する者が多い。「周囲を威嚇するような強そうな格好をして、仲間から一目おかれたい」という願いをかなえる車が好まれやすい。ヤンキーが好む車種として中古の日本の高級車、例えばトヨタではソアラやクラウンやマジェスタ、セルシオやセンチュリーなどが、日産ではセドグロやシーマ、プレジなどが好まれる。オートバイではネイキッドタイプのモノや250ccクラスのいわゆるビッグスクーター、及びそれらの経年車が好まれる。ヤンキーが嗜好する車を「ヤン車」やVIPカーなどと言う事がある。ボディカラーは黒色や紫色など、暗い色が好まれる傾向にある。
また、2013年現在では、ヤンキーが好む車種も変遷し、アメリカ車のハマーH2や、リンカーン・ナビゲーターが憧れとされる。ただし現実には購入費や維持費の問題もあり、中古のシボレー・サバーバンや、アストロ、国産のミニバンやSUV(エルグランドやアルファード、オデッセイやランドクルーザー、パジェロなどの大型で高級あるいはスポーツタイプが多い)、軽自動車(ワゴンRなどの軽トールワゴンタイプが多い)をVIPカー仕様に改造し乗用している者も多いとされる。所得の問題もあり、近年はビッグスクーターの改造車や親族の名義の車両を無改造で使用する者も居るとされている。
他にも、高価なAVシステムやハイドロ(油圧式車高調整機構)を搭載し、ワゴンやアメ車を好むB-BOYの乗るローライダーやラグジュアリースポコンなどもあり、これらもまたヒップホップカルチャーの一つであるものの、日本のヒップホップヤンキーと必ずしも密接な関わりがあるわけではないと指摘する向きもある。
ヤンキーが登場する作品[編集]
ヤンキー漫画参照
参考書籍[編集]
- ヤンキー今昔物語 - 芸文社 - ジャパンオリジナル・ヤンキー文化決定版書籍。
- ツッパリ少年少女カタログ - ミリオン出版
- 積木くずし - 穂積隆信 - 桐原書店
- ヤンキー文化論序説 - 五十嵐太郎編著 - 河出書房新社
関連項目[編集]
- 不良行為少年
- 番長
- 非行
- 非行少年
- 暴走族、 徒歩暴走族
- 少年犯罪
- DQN、 へたれ
- ギャル - ギャル男
- おやじ狩り - オタク狩り
- スウェット族
- ジャージ族
- チーマー
- カラーギャング
- ガーディアン・エンジェルス
- 雑誌