ミッチー・サッチー騒動
ミッチー・サッチー騒動(-そうどう)は、女優の浅香光代による野村沙知代への批判を発端として、1999年春から夏頃にかけ、ワイドショーを中心にマスコミを騒がせた一連の出来事である。野村沙知代が脱税容疑で逮捕されたことにより、世間から「浅香光代側の勝利」と受け止められた上で、一応の終結を見せた。
単に「サッチー騒動」と呼ばれる場合もある。
経緯[編集]
1999年3月、浅香はラジオ番組『大沢悠里のゆうゆうワイド』にて、最後のレギュラー出演時に野村を批判した。ことの発端は浅香の舞台での野村との競演から始まる。当初、浅香と野村の仲睦まじい競演で話題を呼んでいたが、後日になり野村が浅香に対して、「挨拶がしっかりしていない」や「横柄な振舞」などと批判し、それに対して浅香が「馬鹿言ってんじゃないわよ!!」と一喝し、この発言は多くの視聴者に衝撃を与えた。
写真週刊誌やワイドショーなどがこの騒動を取り上げ始めると、これに乗じる形で各芸能人が野村に対してのバッシングを出すようになる。かつて体格に関して野村に貶された元フィギュアスケート選手の渡部絵美や女優の十勝花子、さらにはデヴィ・スカルノなどといった人物が野村に批判を浴びせては浅香寄りの発言をした。しかし野村と交友のある日本料理人の神田川俊郎や占い師の細木数子は彼女を擁護する立場に立った。また野村は浅香の事を「女剣劇」と罵っていた。マスコミの報道はますます過熱し、連日のようにこの騒動が報じられた。
また野村が学歴詐称をしているのではないかという疑惑も取り沙汰された。1999年7月、1996年の第41回衆議院議員総選挙に野村が立候補(結果は落選)した際、虚偽の経歴(アメリカ合衆国のコロンビア大学卒業)で選挙活動を行ったとして浅香は野村を公職選挙法違反(虚偽事実公表罪)で告発した。同年10月には不起訴処分になっており、このときはNHKでも取り上げられた。
芸能人だけではなく、テレビ局をも巻き込んだ騒動であった。例えば日本テレビで放送された「おしゃれカンケイ」では、野村がゲストの回のみ提供スポンサーである資生堂がつかなかったり、TBSで放送されている「アッコにおまかせ!」では、堂々と野村がゲスト出演すると広告し、騒動の真相が聞けると思いきや、野村がボイコットし司会者である和田アキ子を困らせるなどと様々な方面でも問題を生じさせている。また当時の内閣総理大臣である小渕恵三もこの騒動にコメントを寄せようとした場面もあったほどである。
あまりに過熱する騒動に、マスコミの姿勢に対して批判の声があがった。また、報道被害など、人権の観点からの批判もあった。現在でも、報道と人権やメディア・リテラシーについて学ぶ題材として、この一連の騒動が使われる場合がある。
一方で、報道するマスコミ側からは、野村がその時点で衆議院の繰り上げ当選の可能性を残していた(現実に繰り上げ当選の可能性が取りざたされたこともあった)ことなどから、野村が「公人」であるとして、報道を正当化する意見が述べられた。
しかし2001年12月に脱税容疑で野村が逮捕・起訴され、この騒動は収まった。
後に野村は騒動に関連した数多くの週刊誌や芸能人を相手取り、名誉を毀損されたとして裁判を起こした。2004年1月16日には、浅香に対して名誉毀損で1億1千万円の損害賠償を求めていた訴訟の判決が下り、東京地裁は浅香光代に110万円の支払いを命じている。また、野村は舞台での共演を継続したいという浅香の要望を断った直後に浅香が批判をし始めたと述べている。