エコキュート

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↑エコキュートの画像。

エコキュート(EcoCute)とはヒートポンプ技術を利用し空気で湯を沸かすことができる電気給湯機のうち、冷媒として、フロンではなく二酸化炭素を使用している機種の総称である。

概要[編集]

正式名称は「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」という。「エコキュート」の名称は、日本の電力会社・給湯機メーカーが使用している愛称関西電力登録商標である[1]電力中央研究所の基本特許を基にデンソー東京電力と共同開発し、2001年4月、コロナが世界で初めて発売した[2]。その後、その環境性や経済性が受け入れられ、市場全体での累計出荷台数は2007年9月に100万台、2009年10月には200万台を突破した[3]

特徴[編集]

貯湯式で割安な深夜電力を使用するため、燃焼型給湯器に比べ運転費用が抑えられ経済的である。ヒートポンプの特性上、本来は、昼間の気温が高い時に稼働した方が機器単体としてのエネルギー消費は少ない。ただし電源の効率等や火力発電所の効率まで考慮に入れれば、深夜電力の利用が効率的である。電力会社や電気設備業者がオール電化住宅の目玉商品の一つとして導入に力を入れている。給湯の他に床暖房や浴室暖房乾燥もできる多機能型エコキュートもある。ただし、貯湯タンクのお湯を給湯と温水式の床暖房・浴室暖房で分け合うので、床暖房できる広さや連続運転時間に制限がある。

元々は脱フロン化のため二酸化炭素 (CO2) を冷媒としたカーエアコン用として開発されたが、ガス圧力が非常に高く (10MPa) 装置が重くなる点や、凝縮器が高温になりすぎてカーエアコンには不向きであったものを、湯沸かし用途に転用したものである。二酸化炭素は地球温暖化係数が1で代替フロンの1300と比べて環境負荷が低い。また、不燃性ガスでガス漏れしても安全という利点がある。

欠点は、故障した場合に修理の費用が大きいことである。その理由は、エアコンに使われるフロン冷媒と比較してエコキュートの二酸化炭素冷媒は冷媒密閉部に高圧力がかかり、装置が複雑になるためだ。また深夜にコンプレッサーを運転するため、各メーカーは静粛化に力を入れている。

構造と仕組み[編集]

ヒートポンプユニットと貯湯タンクで構成される。ヒートポンプユニットのコンプレッサーは圧力が10MPaを超える高圧であるため、2重構造の2段圧縮となっている。1段目の圧縮吐出圧力が2段目の圧縮部の外殻に加わり、圧力で押さえ込む構造となっている。

  1. 冷媒に二酸化炭素 (CO2) を用いる。ファンを回転させ外気をヒートポンプ内に取込み、ユニット内のCO2を暖める。ここではより高温の外気から熱交換器を介してより低温の冷媒を暖める。すなわち外気のエネルギーを冷媒に取り込む。
  2. 暖められたCO2圧縮機に送り圧縮することで、約90°Cの高温にする。
  3. この高温になったCO2を別の熱交換器を介してタンクの水を温める。すなわち冷媒の熱エネルギーを水に転移しとする。
  4. その後CO2を膨張弁にかけて膨張させ低温にする。この後、1.の段階に循環する。

1のファンを回転させることを除けば、基本的な仕組みとして2の圧縮機駆動の少量の電力が使われるのみであり、また4ではボイル=シャルルの法則に従い、膨張によって体積が増え、圧力と温度が下がる。にするためのエネルギーを電力に依らず、外気の熱エネルギーに依存する構造や仕組みとなっている。2の圧縮も4の膨張もボイル=シャルルの法則による体積、圧力と温度の3者の関係をうまく利用している。なおここでは「冷媒」と呼ぶが、エコキュートは冷房や冷却装置ではなく、水の加熱機器であり冷媒より「熱媒」と呼ぶ方が理解し易い。

販売状況[編集]

  • 2002年8月には従来の家庭用に加えて、東京電力と西淀空調機(現:イトミック環境システム)が共同で業務用エコキュートの開発し、日本イトミック他数社が販売を開始した。
  • 日本以外では、このCO2を冷媒にしたカーエアコンの研究が進んでおり、BBCでは、CO2冷媒を利用したヒートポンプに特化した情報の発信を欧州中心に行っている。
  • 2009年11月11日 - 電気事業連合会は出荷台数が10月末累積200万台に達し、これらの稼働により森林面積9400 km²のCO2吸収量に値するとした[4]

メーカー[編集]

家庭用
業務用

脚注[編集]

  1. この記事における「エコキュート」の登録商標は関西電力(日本4575216号【登録日】2002.6.7 商品第11類:交換器など、役務第37類:建築一式工事など。
    このほか登録商標の「エコキュート」は他社による異なる対象の商品役務の「類」の商標として(1) 章栄不動産(日本4854258号【登録日】2005.4.8 役務第36類:建物の管理建物の管理など、(2) ヤマハ発動機(日本4949948号【登録日】2006.5.12 商品第5類:薬剤、(3) ニプロ(日本5148181号【登録日】2008.7.4 商品第3類:風呂釜洗浄剤など。参考:商標公報データベース商品または役務の呼称検索サイト(独立行政法人)工業所有権情報・研修館
  2. 2001年4月世界初エコキュート販売開始コロナ)2010-01-03閲覧
  3. 財団法人ヒートポンプ・蓄熱センタープレスリリース
  4. 読売新聞2009年11月12日13S版8面

外部リンク[編集]