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(はりつけ)とは、罪人を板や柱などに縛りつけ、槍などを用いて殺す公開処刑の刑罰のこと。磔刑(たっけい)。ナザレのイエスが受けた十字架刑についてはキリストの磔刑を参照。

磔に使われる台(磔台)の形状として、キリストの磔刑図や時代劇で見られる十字形の他、逆十字形、I字形、X字形、Y字形、IとX字の組み合わせなどがあり、刑の内容や時代及び場所によって使い分けられていた。

概説[編集]

磔の方法として、頭を上にする方法の他、頭を下にする方法(逆さ磔)、ブリッジなどの不自然な体位で磔ける方法があった。磔けたあと、槍などを使ってとどめを刺す方法の他、重傷を負わせて放置する方法、何もせずに呼吸困難で死ぬに任せる方法があり、変わった物として、ドルイド信仰の一種として、森林を違法に伐採した場合、樹木に負わせた傷と同じ傷を犯人に負わせて木に縛り付け、樹木が許してくれるまで磔にするという刑罰があった。

十字形の磔台はキリスト教とともに日本に伝わったという説がある。

日本における磔刑[編集]

日本の江戸期における磔の場合、受刑者は牢から引き出され、市中引き回しにされる。その後刑場において磔台に縄で固定される。同心が最期の人改めを行い受刑者が本人で有ることを確認した上で、槍を構えた執行役の非人身分の者が二人磔台の左右に並び、「えいえいや」のかけ声で、最初は「見せ槍」として受刑者の目前で槍を交叉させ、次にねじり込むように脇腹からにかけて受刑者を貫く。2回か3回で受刑者は絶命するが、これを30回ほど繰り返す。最後にとどめの槍を受刑者の喉に刺す。その後3日間晒し者として放置し刑は終了する。日本における磔の場合、重大犯罪に対して「逆さ磔」の規定があったが、これは他国文化圏のように頭を下にする方法ではなく、受刑者の手を固定する際、手の平を磔台の方へ向け固定することにより、手を握って苦痛をこらえる事が出来ないようにする刑である。

波打ち際に満潮時には頭が海中に没するように頭を下にして磔けることを「水磔」と言った。

ギリシア・ローマの磔刑[編集]

ナザレのイエスが受けた有名な磔刑はこちらである。十字架刑とも呼ばれる。ギリシア・ローマでは不名誉な罪に対する罰として十字架刑が行われた。特にローマでは国家の裏切り者に対して行われた。ユダヤ属州において、ナザレのイエスがなぜ十字架刑を受けることになったか、その経緯については諸説有る。

十字架刑の受刑者は刑場まで自力で十字架を運ぶことになっていたと言われる。だが、その重さからして不可能・または極めて困難であったと考えられ、誇張があった可能性がある。十字架刑の受刑者は鞭を打たれる事になっていたが、この鞭は強力なもので、打たれた者は皮膚が裂け出血するほどである。場合によっては打たれた者が死亡することがあり、それではこの後の死刑執行が無意味になってしまうので、程々に打たれたものであろう。

刑場に到着すると、十字架は寝かされた状態で、まず受刑者は十字架に釘で固定される。衣服は奪われ裸にされる。磔刑図では、よく手のひらをで磔台に打ち付けた姿が描かれるが、手のひらにを打つと、自重を支えきれず手が裂けて体が落ちてしまうので、手首橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)と手のひら付け根の手根骨(しゅこんこつ)との間にが打たれた。この位置であれば自重を支えることが可能であり、骨折もなく、出血も比較的少量で済む。この位置に釘を打つと正中神経が破壊され、手と腕は麻痺する。更に脚を45度曲げた状態で足を打ち付ける。これにより十字架が引き起こされてからは、受刑者は不自然な姿勢を取らざるを得なくなり、自重を支えるのが困難となる。

十字架が引き起こされ立てられて固定されると、受刑者の両腕に自重がかかり、受刑者は肩を脱臼する。その結果、に自重がかかり横隔膜の活動が妨げられる。受刑者は呼吸困難になり、血中酸素濃度は低下する。血中酸素濃度の低下により心臓心拍数を高め、これが血中酸素濃度の低下に拍車をかける。やがて受刑者の全身の筋肉は疲弊し、肺は肺水腫を起こし、さらに酸素が欠乏し、心筋は疲弊し尽くして機能を停止し、受刑者は絶命に至る。この後刑吏が受刑者にを刺し死亡を確認する事があったという。

また、腰や足の下に支え板があったり、胴をロープなどで縛り付ける事により絶命までの時間を引き延ばし、苦痛を増大させることが出来た。逆に処刑を急ぎたい場合は、脚の骨を折った。 [1]

関連項目[編集]

注釈[編集]

  1. 受刑者が死に至るプロセスについては、1930年代にピエール・バルビー博士の行った一連の研究が詳しい。ただし、監察医のフレデリック・ズージベは、ボランティアを革ひもを使って十字架にくくり付ける実験で呼吸困難に陥った被験者がいなかったことを理由にバルビーの研究を否定している。
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