朝日珊瑚事件
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朝日珊瑚事件(あさひさんごじけん)とは、1989年に沖縄県西表島で、朝日新聞東京本社写真部員本田嘉郎が珊瑚に落書きをし、落書きについて、事実と異なる新聞記事を作成した事件のことである。
概要[編集]
- 1989年4月20日の朝日新聞夕刊に、「沖縄県西表島のサンゴに『K・Y』の落書きがされている」という記事が載った。 しかしその後、これを不審に思った地元の沖縄県竹富町ダイビング組合が「サンゴに書かれた落書きは、取材者によるものではないか」との指摘を行った。これに対して朝日新聞は当初、「撮影効果をあげるため、うっすらと残っていた部分をストロボの柄でこすった」としていたが、その後の継続的な調査を経て「当該カメラマンが無傷の状態であったサンゴに文字を刻み付けた」との判断を発表し、虚偽報道であったことを認め、謝罪した。珊瑚に傷をつけたカメラマンは退社(懲戒解雇)処分、随行していた別のカメラマンも停職処分となった。
- この時期の新聞は急速に台頭してきたテレビニュースとの競争にさらされ、写真報道に力が入れられていた。この虚偽報道の特殊性は写真にからむ捏造であり、新聞の虚偽報道としてはやや複雑な様相を呈している。
- 中村庸夫によると、西表島に偶然『K・Y』というイニシャルの有名ダイバーが居て、彼が憤慨して調査を始めたのが切っ掛けであったとされる。
- サンゴはアザミサンゴという種類である。
- 2006年度より使用されている中学校社会科の公民教科書「中学社会 新しい公民教科書 新訂版」(扶桑社発行)に、この事件が取り上げられている。
その後の顛末[編集]
海洋写真家の中村庸夫の著書『サンゴ礁の秘密―彼らは“地球の肺”である』(祥伝社)P57~65にこの事件に関する顛末が記載されている。
- 「朝日珊瑚事件」の取材に来たマスコミにより、およそ百隻余りの船が取材の際に錨を落とした為、およそ一年後の時点で件のアザミサンゴの周辺の珊瑚がボキボキに折られ白い傷口を無残に晒し、珊瑚礁が傷だらけになっていた。
- 対照的にアザミサンゴは一年後の時点で傷が再生し、文字が解らない状態になっていた(当時、サンゴが元に戻るのに数十年かかると報道されていた)。
- 更に有名になったアザミサンゴを見に来たダイバーがアザミサンゴや周辺の珊瑚礁をスクーバ・タンクをぶつける被害などもでている。
- 撮影を担当した東京本社写真部員本田嘉郎は懲戒解雇、東京本社編集局長、同写真部長は更迭、同行していた西部本社写真部員は停職三カ月、一柳東一郎社長が責任をとって辞任という結果となった。
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