国宝

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国宝(こくほう)は、日本の有形文化財の中から、文化史的または学術的価値が極めて高いものを、法令に基づいて文部科学大臣が指定したものである。

国宝の指定[編集]

「国の宝」というべき価値高いものである。重要文化財のうち、特に格が高いものである。文化審議会の答申に基づき官報告示を経て指定される。

文化財保護の歴史[編集]

日本では1872年(明治4年)に「古器旧物保存法」、1897年(明治30年)に「古社寺保存法」(明治30年6月10日法律第49号)が布告され、文化遺産の調査・保護が始まった。大正から昭和初頭に「史跡名勝天然記念物保存法」「国宝保存法」(旧法)となった。1949年(昭和24年)に起きた法隆寺金堂の壁面焼損がきっかけとなり翌1950年(昭和25年)に「文化財保護法」が制定された。

「文化財保護法」で文部科学大臣は、有形文化財のうち重要なものを重要文化財に指定することができる(文化財保護法第27条1項)。文部科学大臣は、重要文化財のうち世界文化の見地から価値の高いもので、たぐいない国民の宝たるものを国宝に指定することができる(文化財保護法第27条2項)。国宝の指定は文化審議会の文化財分科会の審議・議決答申を受けて文部科学大臣が指定し(文化財保護法第153条)、官報に告示される(文化財保護法第28条)。

国宝の指定解除[編集]

国宝が「価値を失つた場合その他特殊の事由がある」ときは、国宝の指定を解除できることとされている(文化財保護法第29条第1項)。しかし国宝(新国宝)に指定された物件のうち、重要文化財に「格下げ」された例は1件もない。重要文化財の指定を解除されたものの大部分は火災によって焼失したことによる。

修理勧告・命令[編集]

文化庁長官は、国宝がき損している場合、保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理団体に対し、修理に関して命令又は勧告ができる(文化財保護法第37条第1項)。勧告または命令によって修理を行うときは、全部又は一部を国庫負担とすることができる(文化財保護法第37条第3項)。命令に従わない時は、国が自ら修理を行い、又は滅失、き損若しくは盗難の防止の措置取ることが出来、修理又は措置をおこなう管理者を文化庁職員の中から任命する。

売却の申し出[編集]

国宝を含む重要文化財を有償で譲渡しようとする者は、譲渡の相手方、予定対価の額等書面で、文化庁長官に国に対する売渡しの申出をしなければならない。所有者の氏名や住所が変更になった場合,変更から20日以内に指定書を添えて「重要文化財の所有者の氏名(住所)の変更の届出」を提出する。

輸出禁止[編集]

国宝や重要文化財指定物件及び重要美術品等認定物件は,文化財保護法及び関係法令により,原則として海外への輸出(持ち出し)は禁止されている(文化財保護法第44条)。

輸入[編集]

外国の博物館等から盗取された文化財は「特定外国文化財」として,外務大臣の通知を受けて文部科学大臣が指定する(文化財の不法な輸出入等の規制等に関する法律 第3条)。特定外国文化財の輸入は,外国為替及び外国貿易法による輸入承認事項とし,我が国内への流入を防止している。(第4条)

古美術品輸出鑑査証明[編集]

古美術品を海外に輸出しようとする際には,古美術品輸出鑑査証明を受けることとされている。輸出鑑査証明の有効期間は一年である。貴重な国民の財産である文化財が誤って海外に流出することを防ぐため、古美術品を海外に輸出しようとする際は、当該輸出品目が国宝や重要文化財に指定されておらず、重要美術品等認定物件にも該当しないことの証明を、税関に対し提出することとされている。

指定件数[編集]

2021年(令和3年)6月1日現在の国宝指定件数は次の通りである。

  • 絵画 162
  • 彫刻 140
  • 工芸品 254
  • 書跡・典籍 228
  • 古文書 62
  • 考古資料 652
  • 歴史資料 3
  • 建造物 228
  • 合計 1,125

寺社連続油被害事件[編集]

寺社連続油被害事件は、2015年春から2017年にかけて寺社の国宝や重要文化財などに油状の液体が散布された事件である。アメリカ在住、日本国籍で男性産婦人科医師 が逮捕された。