モラル・ハザード
モラルハザードは元来保険の世界の話であり、「モラル」を「倫理」と捉え、モラルハザードを「倫理の崩壊」等と解釈するのは間違い。
定義[編集]
金融においてモラルハザードとは、特融や預金保険といったセーフティネットの存在により、金融機関の経営者、株主や預金者等が、経営や資産運用等における自己規律を失うことをいいます。例えば、金融機関経営上のモラルハザードとしては、公的資金による救済をあてにして、経営陣や株主が「最終的には金融当局が救済してくれるだろう」と考え、信用供与や資産の運用方法に慎重さを欠いた経営を行うといったことが考えられます[1] 。
具体的には、例えば自動車保険に加入したドライバーが、「保険があるから」といって事故を引き起こしかねない危険な運転を行ってしまうようなことを「モラルハザード」と言い、「プリンシパル・エージェント問題」「情報の非対称性」の一例として語られる。
モラルハザードの防止[編集]
モラルハザードを防止するために様々な手法が駆使される。上記の自動車保険の例で言えば、「免責」がある。自動車保険においては、例え保険会社が保険の支払いを行う場合でも、通常一定金額(5万円なり10万円なり)を保険加入者側で負担しなければならない。この負担があるために、保険加入者はリスクを意識せざるを得ず、危険な運転を行わなくなることが期待される。 また、「保険等級」もモラルハザード防止策の一つ。無事故のまま保険期間が経過すると、次の保険期間における保険料が安くなる制度だが、事故を起こせば保険料が上がるため、保険加入者はなるべく事故を起こさないようにすることが期待される。 上記のように、モラルハザードを防止するためには、モラルハザードを起こしそうな人にリスクを分担させることが必要であり、「モラルの向上」を訴えることはあまり意味がない。