シドニー・ポワチエ
シドニー・ポワチエ(Sidney Poitier、1927年2月20日-)は、アメリカの映画俳優・監督。フロリダ州・マイアミ生まれ。黒人俳優として最も尊敬を集める人物の一人で、黒人男優では初のアカデミー主演男優賞に輝くなどした。日本語表記においてはシドニー・ポワティエと表記される事もある。現在は大英帝国勲章KBEを叙勲されサー・シドニー・ポワチエと呼ばれている。
来歴[編集]
バハマでトマト栽培農家を営んでいた両親のもとに育つ。母親がマイアミへ商品を出荷中、彼を出産。これが縁となり少年時代に渡米して生計を立て始める。一時は、生年月日を詐称して軍隊に入隊希望を出した事もあった。その後、劇団に入り俳優を目指すものの、言葉がバハマ訛りということが障壁となり長らく舞台に立つことができなかった。
ようやく初舞台を踏んだのは1946年のことであり、翌年には映画デビュー。以後は映画出演が中心となり1955年『暴力教室』の生徒役で注目され、出世作となった1957年の『黒い牙』、翌年の『手錠のままの脱獄』が代表作となり顔が知られるようになった。後者では主演のトニー・カーティスと共に揃ってアカデミー主演男優賞にノミネートされるという快挙をなしとげた。そして人種問題を問う社会派作品である1963年の主演作『野のユリ』では同賞を受賞。オスカーを授与された黒人俳優としては史上2人目、男優としては史上初の功績を残す。また、ゴールデングローブ賞主演男優賞にも輝き2冠を達成。翌年10月にはPR活動のために初来日して話題となり、一気に知名度が上がった。
これにより、当時黒人俳優の先駆者的存在で、パワフルな存在感で人気を博していたウディ・ストロードの路線とは異なる、知性派のイメージの黒人男優として認知され、映画界の新たな可能性を示す原点となった。こうした個性は、後継者であり良き友人であるデンゼル・ワシントンらに引き継がれることとなる。一方で1968年の主演映画『夜の大捜査線』、かつて生徒役で出演した『暴力教室』のリメイク版『いつも心に太陽を』のサッカレー先生役などでも好演を見せ、幅広い世代のファンを獲得。キャリアは絶頂期に達する。
1970年代以降はプロダクション業務が中心となり、監督にも挑戦。俳優としても年齢を感じさせない息の長い活躍を続け、久々にスクリーン復帰した1988年の主演作『影なき男』、『リトル・ニキータ』でこれまでにないタフガイなアクションを披露し、ファンを喜ばせた。1990年代はTVドラマに活躍の場を移し多くの作品に主演。なかでも1997年の主演作『Mandela and de Klerk(日本未放映)』では南アフリカ共和国のアパルトヘイトを題材に、ネルソン・マンデラを熱演し再び注目を集めた。翌年の主演作『デビッド&リサ~心の扉~』では、心の病と闘う少年と少女を救おうとする医師ミラー役で新たな魅力を開拓。近年は、2001年の主演作『希望の大地』での知的なレンガ職人役などが主な代表作となっている。
こうした功績を評価する形で2001年、アカデミー名誉賞が贈られたほか、2009年には大統領自由勲章を受章。同・授章者であるバラク・オバマ大統領より賛辞の言葉が贈られた。
私生活では1950年に最初の妻と結婚し、4人の娘をもうけて1965年に離婚。1976年には女優のジョアンナ・シムカスと再婚し、その間に生まれた2人の娘の父となり、そのうちのシドニー・ターミア・ポワチエは女優として活躍。 彼女とは1999年の製作・主演作『Free of Eden』で父娘共演を果たした。
主な作品[編集]
出演作品[編集]
- Sepia Cinderella (1947年)
- 復讐鬼 No Way Out (1950年)
- 暴力教室 Blackboard Jungle (1955年)
- 暴力波止場 Edge of the city (1957年)
- 黒い牙 Something of Value (1957年)
- ヴァージン・アイランド Virgin Island (1958年)
- 手錠のままの脱獄 The Defiant Ones (1958年)
- ボギーとベス Porgy and Bess (1959年)
- パリの旅愁 Paris Blues (1961年)
- 野のユリ Lilies of the Field (1963年)
- 長い船団 The Long Ships (1963年)
- 駆逐艦ベッドフォード作戦 The Bedford Incident (1965年)
- 偉大な生涯の物語 The Greatest Story Ever Told (1965年)
- 砦の29人 Dual at Diablo (1966年)
- いつか見た青い空 A Patch of Blue (1966年)
- いのちの紐 The Slender Thread (1966年)
- 夜の大捜査線 In the Heat of the Night (1967年)
- いつも心に太陽を To Sir, With Love (1968年)
- 招かれざる客 Guess Who's Coming to Dinner (1968年)
- 愛は心に深く For Love of Ivy (1968年)
- 失われた男 The Lost Man (1969年)
- 続・夜の大捜査線 They Call Me Mister Tibbs! (1970年)
- ブラック・ライダー Buck and the Preacher (1971年)
- 12月の熱い涙 A Warm December (1972年)
- 夜の大捜査線/霧のストレンジャー The Organization (1972年)
- ケープタウン The Wilby Conspiracy (1974年)
- シドニー・ポワチエ/一発大逆転 Let's Do It Again (1975年)
- シドニー・ポワチエ/ピース・オブ・アクション A Piece of Action (1977年)
- 影なき男 Dead Pursuit (1988年)
- リトル・ニキータ Little Nikita (1988年)
- 裁かれた壁~アメリカ・平等への闘い~ Separate But Equal (1991年)
- スニーカーズ Sneakers (1992年)
- いつも心に太陽を2 To Sir, With LoveII (1995年)
- ジャッカル The Jackal (1997年)
- Mandela and de Klerk(1997年)
- デビッド&リサ~心の扉~ David and Lisa (1998年)
- Free of Eden (1999年)
- 希望の大地 The Last Brickmaker in America (2001年)
監督作品[編集]
- スター・クレイジー Stir Crazy (1980年)
- ハンキー・パンキー Hanky Panky (1982年)
- ファスト・フォワード Fast Forward (1984年)
- ゴースト・パパ Ghost Dad (1990年)
製作総指揮[編集]
- Free of Eden (1999年)