民主党国旗切り張り問題
2009年8月8日に鹿児島県霧島市で開かれた皆吉稲生の第45回衆議院議員総選挙立候補予定者集会で、党代表代行の小沢一郎も席を並べたそのステージ上に、国旗2枚を裁断して支持者が作成したとされる党旗が掲げられた。民主党の陣営の説明によれば、「熱心な支持者」が自作して持参した党旗であり、それが2枚の日本の国旗を縫い合わせたものだとは気づかなかった、とされている[1]。
この8日の集会終了時に既にマスコミ関係者から、国旗で作った民主党党旗を問題視する声が出ていた[2]が、公示日前日となる同月17日に開催された党首公開討論会で自民党の麻生太郎総裁(内閣総理大臣)がこれを取りあげたことで、世間に広く知れ渡ることになった。麻生は、会場に掲げられた民主党の党旗は「よく見ると、国旗を切り刻んで上下につなぎ合わせていた。民主党のホームページにも載っている。とても悲しい、許し難い行為だ」と批判した。
これを受けて民主党の鳩山由紀夫代表は、その場で「そんなけしからんことをやった人間がいるとすれば、大変申し訳ない。我々の神聖なマークなので、マークをきちんと作らなければならない話だ」と謝罪した。同日、民主党の公式ホームページから、集会場の模様が撮られた画像が全て削除された[3][4]。
8月18日、皆吉稲生は予定通り衆院選に立候補し、出陣式で「国旗の使用方法としては不適切で深くおわびする」と謝罪した。同日、民主党幹事長・岡田克也が皆吉を口頭注意した。皆吉の後援会は、党本部や県連および支援団体に「国旗の尊厳をおとしめる意図は全くなく、主催者の不手際が原因」と謝罪する文書を送付した[5]。
麻生総裁は事件以降、衆院選遊説中に、「日の丸をひっちゃぶいて(引き破いて)、2つくっつけた。日の丸をふざけたような形で利用するなんてとんでもないと、もっと怒らにゃいかんのです」などと批判を繰り返し[6]、他にも自民党のホームページ[7][8]や選挙パンフレット[9]にこの批判を掲載して民主党へのネガティブ・キャンペーンに使用した。
櫻井よしこは、韓国の法律で国旗を手厚く守っている姿を例に挙げ、また源氏から続く幾世紀、幾十世代の日本人の思いが注がれきた日の丸が日本国旗となったという先人たちの思いを語り、そのような国旗を無惨に切り裂き、そのことを取り立てて問題だと思わない民主党の面々と多くの日本人に対し、おかしな日本の姿がくっきり浮かんだ「事件」だったと論じた[10]。
産経新聞では、明らかに国旗に対する侮辱であるとし、小沢一郎代表代行まで出席し、また党のホームページにその写真が載っていながら、指摘されるまで党内で問題にされなかったことを批判し、国旗国歌法の成立に反対してきた民主党の旧社会党議員や、特に国旗国歌に反対してきた日本教職員組合は民主党の支持母体の一つであり、議員としても何人も民主党に送り込んでいることを挙げて、それがこの「事件」と無関係ではないとし、民主党の大会でも国旗が掲げられていないと指摘した[11][12]。- ↑ 国旗で民主マーク、鹿児島の候補者 出陣式でおわび 読売新聞 2009年8月18日
- ↑ 【09衆院選】日の丸裂いて「党旗」に陳謝 鹿児島の民主候補陣営2009年8月18日 産経新聞
- ↑ 国旗切り民主党旗、首相「許し難い」…鳩山代表は謝罪 読売新聞 2009年8月17日
- ↑ 民主党公式ホームページから削除された画像
- ↑ 国旗で民主マーク、鹿児島の候補者 出陣式でおわび 読売新聞 2009年8月18日
- ↑ 保守意識?首相、国旗切り張り批判繰り返す 読売新聞 2009年8月20日
- ↑ 「日本の未来が危ない」 自民党ホームページ 平成21年8月
- ↑ 民主党の集会、国旗を切り張りして民主党マークを作成 自民党ホームページ 平成21年8月8日
- ↑ 民主党=日教組「日本の未来は任せられない」自民党選挙パンフレット
- ↑ 『週刊ダイヤモンド』2009年9月5日号
- ↑ 【産経抄】2009年8月19日
- ↑ 【主張】日の丸切り張り 民主党は国旗どう考える2009年8月20日 産経新聞