成人向けゲーム
成人向けゲームとは、18歳未満の者の購入が禁止されているかもしくは推奨されないコンピューターゲームのことを指す。
性的描写を含む成人向けゲームについては、アダルトゲームにて詳述している。また、過度の暴力表現等を含む成人向けゲームについては、残酷ゲームを参照。
目次
日本の成人向けゲーム
18禁という通称でも言われ、日本では現在のところ、成人向けゲームのほとんどがパーソナルコンピュータで、Windows(Microsoft社製)のOSをプラットフォームとする男性向けゲームであり、かつ性的描写を含むゲームである。
とはいえ、最近では日本でも海外作品移植のコンシューマーゲームを中心に暴力的な表現によるものが増えてきた。現在のところ、その作品については、18歳以上推奨(コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)のレーティングコードなど)程度にとどめており、アダルトゲームとは違い販売店での規制は定められていない。また、コンピュータソフトウェア倫理機構(ソフ倫)やコンテンツ・ソフト協同組合の規制の対象外である。
性的描写の規制そのものの問題に関しては、日本における性的描写を含むゲームの規制に関する議論を参照のこと。
2種類の成人向けゲーム
腐女子やAボーイなどのオタクの間では、「18禁ゲーム」という言葉を聞けば、エロゲーが連想してくるだろうが、今ではそうはいえなくなっている。
今現在、18禁タイトルは事実上2種類ある。
1つは、日本のパソコンゲームに多いアダルトゲーム。 もう1つは、最近家庭用ゲームで登場し始めた残酷ゲーム(CERO、Z指定)である。 性描写が禁止されている家庭用ゲーム業界で、唯一の成人向けジャンルである。
- 一部では、「Zゲー」「家庭用の18禁」とも言っている人もいる。
ゲームに対する規制
成人向けゲームの中でもアダルトゲームについては従前から青少年育成条例の規制に含めるケースが多数あったが、性的表現のないゲームは対象外であった。しかし昨今の少年の凶悪犯罪の要因のひとつとして暴力表現のあるゲームの存在があるのではないかという考えの下、過激な暴力表現を含むゲームに対し、何らかの規制が必要なのではないか、という意見が出始めた。
業界内の自主規制
ゲーム業界も決して黙認していたわけではなく、早くからSCE、SEGA、任天堂などが自社のソフトに一定の規制を設けていた。また2001年には、パッケージや広告などに「このゲームには暴力的な表現が含まれています。」という注意書きを記載して、ユーザー等へ向けて啓発を行ってきた。
しかし、より具体的な規制を求める声が高まり、2003年12月にコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)を発足させ、ゲームのレーティングを審査するようになったが、こういった規制にまだ日本の市場がなれておらず、多少迷走している現状がある。CEROも設立当初は、審査対象家庭用ゲームのみであったが、後にPCゲームにおいても対象とするようになった。ただ、性的表現についてはCEROでなく、ソフ倫やコンテンツ・ソフト協同組合の審査であることも迷走の理由になっている節もある。
自治体レベルでの規制
業界の自主規制では実行力不足として、地方自治体において暴力表現を含むゲームを有害図書として規制を行う流れが加速している。
2005年5月30日には神奈川県の児童福祉審議会が「Grand Theft Auto 3」を有害図書に指定し、18歳未満への販売を禁止する、という答申を出した。(ITmediaによる記事) しかし、神奈川県は10分間の映像を見ただけで有害図書類に指定したり、審議を円滑に進ませるための事前の根回し疑惑が発覚したこと、マスコミの情報を鵜呑みにする姿勢などが批判を集め、特に神奈川県の松沢成文知事の行為および言動はゲーム愛好者以外からも非難され、松沢知事が運営するブログに寄せられたコメントも反対意見が全体の8割を占めていた。にもかかわらず、松沢知事は「反対意見はごく一部。サイレントマジョリティーには支持されている」などと発言し、反対意見を完全無視した。
規制の問題点
判断能力が未発達であったり、よりメディアに感化され易いとされた未成年者から悪影響を与えると見られるゲームを含む各種媒体(主に娯楽に供される物)を、有害図書として遠ざけようとする動きがあるのは、上記の例からも明らかである。しかし、何がどれほど悪影響を与えるか、どの年齢ならばよいのかを客観的に測定する事は不可能であり、また児童・未成年者に精神的悪影響を与えるという科学的根拠は皆無に等しく、少年犯罪との因果関係も証明されていない。またこれらの規制に対して、ゲーム団体からは表現の自由に絡んで反対の声も挙がっている。
お茶の水女子大学の坂元章(教授)らが2001年11月~12月に神奈川県や新潟県の小学生を対象に行った調査によれば、暴力的なゲームでは抑圧された攻撃衝動の発散によって攻撃性の低下が見られる一方、勧善懲悪型のゲームでは「酷い悪人を正義の下に成敗する」欲求が高まるとし、特に主観的な児童にあっては「自分=正義」や「自分に不利益を与える=悪人」という考えに到り易い事もあって、殊更問題が起き易いと考えられる。一方同氏はまた、暴力的表現がストレス発散作用を持ち、ゲームによる友好関係の構築などでゲーム全般への理解を示している。その上で、規制によって根絶するのではなく、プレイヤーの子供と保護者の相互理解こそが、遊びを遊びの内に留まらせ、暴力行為への発展を防ぐとも説く。
海外の成人向けゲーム
日本においてはそのほとんどが性的描写を含むことによる指定である一方、外国では成人向けゲームの多くがスプラッターもの、反社会的性質を帯びたもの、過度な暴力表現を含むものなどであり、日本のように性的描写が含まれているものは少ない。
例えばアメリカでは日本の成人指定に相当するものとしてEntertainment Software Rating BoardによるAOレーティングがあるが、日本のような性的描写による作品も含まれはする(その中には日本のアダルトゲームの翻訳もある)ものの、それよりも暴力的な表現や反社会的な物、ひいては犯罪的な内容によって成人指定とされる物が多い。その他、欧米でも同様に反社会的なものとしての成人指定作品が多い傾向にある。また欧米では、喫煙関連表現の有無などといった詳細部分においても、多方面よりチェックが入る。また日本と違い、ゲームソフトだけでなくテレビ番組や映画・ビデオソフトといった、その他の著作物媒体においても統一した基準が存在する。
過去には米コロンバイン高校の銃乱射事件に見られる凶悪事件とテレビゲームの影響が示唆され、良く似た状況を扱ったポスタルが、全米店頭発売禁止になるなどの波紋を呼んでいる。
これらの規制は基本的に映画やテレビ番組の放送基準と同様の扱いである。これは、日本と違い倫理委員会が連携して、統一基準を作っているためと考えられる。 古くは格闘物のアーケードゲームであるモータルコンバットが、ダメージ表現で出血するのを残虐とされ、やむなく緑色の飛沫が飛ぶ形でマイナーチェンジを行っている。
このような欧米の傾向は、日本でもSNKプレイモアが『サムライスピリッツ零SPECIAL』(2004年)や『メタルスラッグ』シリーズにおいて、家庭用ゲーム移植時に、流血シーンや身体の損壊シーン(例:サムライスピリッツにおける胴体斬り)などの削除などといった措置を執るという形で影響を与えている。
なお欧米では、ソフト販売店に国(もしくはそれに準ずる機関)が発行する身分証による年齢確認を徹底させ、違反者に厳しい罰則を設けている方式が主流になっている。この点も日本との相違点である。
関連項目
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