在宅勤務
在宅勤務(ざいたくきんむ)とは、自宅を拠点として仕事をすること。テレワークの一種。
概要
雇用関係のある場合とない場合に大別される。前者の場合は、社員がノートパソコンを自宅に持ち帰って仕事をする、あるいは出社せずに自宅で仕事をするようなケースであり、後者は業務委託・請負的なケースである。小規模個人事業者としたSOHOが、在宅ワークと呼ばれるケースもあるが、SOHOが事業のスタイルを表すのに対して、在宅ワークは勤務のスタイルを表す。
1990年代末から2000年代初頭にかけて、「在宅ワーク」という単語がブームとなった時期もあった。当初は対面で仕事をした方が意思伝達の効率が良いことや、情報漏洩などの問題から自宅で可能なビジネスはデザインや作曲、著述などクリエイティブな領域での職種に限定されていたが、2004年頃からのインターネット利用におけるブロードバンド通信網の爆発的な普及率増加や、2011年の東北大震災による交通インフラ障害での帰宅困難者の大量発生や出勤不能による自宅業務の必要性、新たな雇用の創出とした地方都市における就職難の解決策、自宅勤務により電車等の交通手段や勤務先オフィスの消費電力削減効果でのエコロジー面メリット等、様々な利点が見直され、現在、在宅ワーク(テレワーク)の導入はパナソニック、日立、日本IBMなどの大手企業においても「在宅勤務者」の雇用枠導入や、政府全体での推進として厚生労働省においても、在宅業務実施時の労務管理上の留意点を整理した「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」等を設けて推進している。 関係するポータルサイトとして、厚生労働省事業の一環で運営されている在宅ワークに関する総合支援サイト「ホームワーカーズウェブ」[1]がある。
子育て世代の女性の活躍促進を政策の目玉に据える安倍晋三政権は、在宅勤務の推進を目指している。
悪徳商法(内職商法)との関わり
在宅ワークの実情や詳細が把握しかねる、新しい業務スタイルとして広まった1990年代末から2000年代初頭の黎明期にかけ、在宅ワーク(テレワーク)に便乗、名目とした悪徳商法が一部の販売業者で発生した。これらは別名「内職商法」とも呼ばれる。例えば、次のような勧誘を行っている場合がある。
- 「自宅でパソコンを使って、自分の好きな時間に好きなだけできますから主婦の方に最適です。」
- 「対面不要で仕事ができ、初心者でも夫の給料を超える収入を得ることができます。」
仕事には納期があるため、好きなときに好きなだけといった「仕事を依頼された側のペース」で進められる状況は絶対にない。 また、在宅、出勤を問わず、パソコン操作、事務作業の実務経験やスキルがない初心者が、「好きな時間に自由に」仕事をして夫の給料を超えるなど、最初からパートやアルバイト以上の収入を得るなどは不可能に近い。 こうした勧誘を行う販売会社や紹介は、社会経験の少ない主婦層をターゲットとした内職商法である可能性が高い。 インターネットで「在宅ワーク」と「行政処分」、または販売業者の所在地などの二つのキーワード検索すると、問題のある内職商法業者が検索結果の上位にヒットする場合もある。 特殊な作業・通信環境やデザイン製作・編集用の高機能なソフトウエア(Dreamweaverなど)が必要な場合を除き、後の仕事の実体や詳細な書面がないまま70万円~100万円を超過する高額な入会金・保証金、システム費用を請求してきたら金額に見合うものか確認が必要である。また、最近では「当社のシステムは高額ではない(毎月数万円前後)ので、当社へ毎月直接お支払い下さい。」と言う支払体系で販売する事業者も存在している。「在宅ワークにはパソコンスキルの資格が必要」「当社独自の○○検定を取れば在宅業務が可能」など、資格や検定の学習システム関連の高額商品の購入や、ドロップシッピング、ネットショップなどのオンライン販売の開業にあたる、ショッピングサイト開設運営などのシステム導入を契約条件としている場合は悪質業者の可能性がある。また、「テープ起こし」の内職も、出版社がわざわざ初心者に依頼することは考えにくいのでその危険性が高い。
- 「販売業者の事業所所在が不透明で、会社のホームページなども存在しない」
- 「資格取得や有料研修後の仕事の実体や、業務概要詳細(最低単価、1回あたりの業務供給量、業務報酬支払の条件等を明示する、特定商取引法第55条2項第2号及び45条2項の規定に基づく計算等に準拠する概要書面)がない」
- 「『確実に○○円が稼げます』などの様な、特定商取引法の違反行為である、断定的判断の提供を行い、そうした利益誘導を強調する」
以上のような点が見られる場合は特に注意を払い、夫や家族・友人など社会経験を持った身近な人物に判断の助けを求めるなど、慎重な判断をすることが重要である。
ヤフーもやめたでしょ。「ノマド」「在宅勤務」を禁止する理由
インターネット回線が普及し、会社でなくても仕事ができる環境が整ってきた。若者たちの間では、外出先のカフェなどで仕事をすることを「ノマド」と呼び、新しい仕事のスタイルになりつつある。最先端を行くITベンチャーでは当たり前の仕事の仕方かと思いきや、チームラボでは「ノマド」「在宅勤務」は禁止だ。なぜか?
チームラボでは「ノマド」や「在宅勤務」を認めていません。ネット会議も含め、一緒に仕事をするメンバーが離れた場所にいる形態は、チームで成果を上げるには不向きだからです。今もこのフロアでいろんなチームが盛んにブレストをしていますが、「メンバーが顔を合わせて仕事をする」以外のやり方は、まず不可能です。「仲間と一緒にいたい」という感情を抜きにして、合理的に考えても無理だと断言します。
なぜなら、高度な仕事というものはパートごとに切り分けることができないからです。とくに、これまで世の中になかったものを作ろうとしているときはそうです。
iPhoneのインターフェースを初めて見たとき、そのカッコよさに感動しましたよね。あのインターフェースは、デザイナーの仕事なのか、プログラマーの仕事なのか? わからないですよね。おそらく両者が一緒に話し合いながら作り上げたのだと思います。
これまでの製品設計の現場、例えば従来型の携帯電話は、インターフェースとガワとを分けて考えていたと思います。車もそうですね。エンジニアがエンジンを作って、デザイナーが外側をつくって、最後に合体させればよかった。でもデジタル領域となると話は別。一般企業では自社のホームページなど、Web制作を外注することがよくあります。しかし、外注された制作者はみんな一つの場所に集まって仕事をしているでしょう?何かを作ろうとするときにはリアルな場で顔を合わせて進めることが大事で、切り分けて一人一人に配分するのは無理なんです。
チームラボでも、「デザインは外注しないのか」と聞かれることがあります。しかしこの仕事でテクノロジーとデザインは分離できない。テクノロジーはデジタルの塊ですし、デザインと呼ばれる領域も、同じようにデジタルで形成されている。
iPhoneで OSとインターフェースが融合していて切り分けられないのと同じです。そしてテクノロジーとデザインが切り分けられないように、テクノロジーとクリエイションも切り分けられない。
だからイノベーティブなものを新たに作ろうとしたときに、メンバーがオフィスという一つの場所に集まるのは、おそろしく大事で、絶対にはずせない条件なんです。ただ、世の中はイノベーティブな仕事ばかりじゃないですよね。個々人が何をやればいいのか、はっきりしている仕事もある。
例えばコールセンターがそうです。回線が空いているところに通話が割り振られる仕組みを整えて、応答用のマニュアルを用意する。そうやって一度システムができてしまえば、あとは家で待機しているオペレーターに任せるというやり方で構わない。別の会社に外注してもいいし、ノマド、在宅勤務でやっていい仕事だと思うんです。
だけど、比較的高付加価値が生まれるようなイノベーティブな仕事を志向したときに、ノマドというのはあり得ないでしょう。世界を見渡したときに、みんながイノベーティブだと思うようなアウトプットをしている会社に、在宅勤務を肯定していたりノマドを推奨している会社がありますか?ないですよね。
アップル、グーグル、フェイスブック、ダイソン、どこもやっていない。むしろオフィスを働きやすい環境に整えることにエネルギーを注いでいる。ヤフーは一時、在宅勤務化を進めていましたが、あまりよい結果を生まなかったらしく、結局やめてしまいましたよね。イノベーティブな仕事には、ノマドも在宅勤務もあり得ないのです。