ゼネコン
ゼネコンとは元来英語のGeneral Contractorの略称であり、元請負者として各種の土木・建築工事を一式で発注者から直接請負い、工事全体のとりまとめを行う建設業者を指す。日本語では総合建設業(そうごうけんせつぎょう)に該当する。
概説
ゼネコンを"General contractor"(ゼネラル・コンストラクター)の略とする説が有力である。英語の発音は「ジェネラル」であり、ゼネコンという言葉自体が日本のゼネコンの業態を表現するために考えられた和製英語と見るべきであるといえよう。
そもそも英語のContractor(コントラクター)が建設工事分野の「請負者」という意味を指し、General Contractor(ゼネラルコントラクター、すなわち「総合請負者」)は、特定工種の工事だけを請け負うSpecialist Contractor(専門工事業者)あるいは元請業者から工事の一部を請け負うSubcontractor(下請業者・サブコン)の対義語といえる。一般的に、欧米でGeneral Contractorと呼ばれる建設業者は比較的小規模であることが多く(特定工種に特化せず、よろず屋的にあらゆる工事を請け負う建設業者という意味合いが強い)、スーパーゼネコンに代表されるような、各種専門工事業者の複合体である日本の総合建設業(ゼネコン)の業態をGeneral Contractorという英語で表現することは、必ずしも適切でない面がある。Constructionが建設(土木・建築)部門の英訳であることに由来するものであるが、Constructor(レーシングカーのコンストラクターやプログラミング言語におけるコンストラクタなどいくつかの意味で用いられる)を建設業者の意味で用いることはまれであり、英語としては若干不自然な表現と思われる。 ゼネラル=総合=「普」、コントラクター=請負=「請」と解せば、ゼネラルコントラクター(総合請負者)は普請人となり、古い日本語の表現は意外に英語の表現に近かったといえる。
日本のゼネコン
日本では、第二次世界大戦後の高度経済成長期に建設需要が飛躍的に伸びたことにより、急成長を遂げたゼネコンが多数存在する。一方で、バブル崩壊後の建設需要の低迷、構造改革による政府の公共事業縮小などが原因で、1990年代後半から2000年代初頭には準大手以下で経営破綻に追い込まれたり、金融機関などの債権放棄によって辛うじて命脈を保つ企業が多くみられた。
多くのゼネコンでは、建設業法上の複数の建設業許可を有する一方で、得意とする分野に特化するものや、その成り立ちから鉄道事業者や鉱業会社・鉄鋼会社の系列であるものも少なくない。前者については、国や自治体の競争入札において専門工事を分割発注する傾向が見られる等の理由もあって、ゼネコンから専門工事部門を分社化、子会社化したり、事業合弁により複数社の専門工事部門からなる新たな専門工事業者が組織されるなどの動きも見られる。
下記の分類は一般財団法人建設経済研究所発行の「2013年3月期(2012年度)主要建設会社決算分析」の分類による。ただし、次の会社は文献と異なる扱いをした。
- 安藤・間:前身2社は中堅として区分されているが、同社の合併により規模が準大手となった。
- NIPPO:ゼネコンではなく専門工事業者に分類されるため一覧から除外。
- フジタ、鴻池組:決算非公開などの理由で分類されていないが、一般にゼネコンと認識されている企業。
スーパーゼネコン (大手ゼネコン)
最近3カ年の決算売上高平均が1兆円を超えるゼネコン。これらは著名な政治家と閨閥を形成している[1]。
日本における建設大手のうち完成工事高上位5社を、その歴史と規模などから俗にスーパーゼネコンと呼ぶ。スーパーゼネコンは、建設工事の施工を営業の中核としながら、社内に設計部門・エンジニアリング部門・研究開発部門を抱えており、建設に関する幅広い技術力を有している。
欧米の建設業界では、設計業と施工業は設計会社、施工会社と別会社組織で、明確な分業体制をとっているのが普通であり、日本のスーパーゼネコンは世界的に見てもかなり特異な存在であるといえる。
鹿島建設#開発地等、清水建設#宅地開発実績、大成建設#住宅地開発(※子会社の大成有楽不動産も参照)、大林組#自社の宅地開発といったように住宅販売・開発事業などの不動産業なども行っている。
準大手ゼネコン
これらの中で閨閥を構成しているのは、前田建設工業、熊谷組、五洋建設、鴻池組、フジタ、安藤・間である[1]。三井住友は、グループ元締めの銀行が閨閥に参加している。
- 戸田建設
- 長谷工コーポレーション(1999年に私的整理、金融支援を受ける。)
- 三井住友建設(2000年三井建設が私的整理、金融支援を受ける。2003年三井建設と住友建設が合併。)
- 五洋建設
- 前田建設工業(熊谷組(※後述)の分家筋、東洋建設と業務資本提携)
- 西松建設
- 熊谷組(2000年に私的整理、金融支援を受ける。)
- 東急建設(東京急行電鉄系)
- 安藤・間(2013年に安藤建設と間組が合併。存続会社は間組。)
- 鴻池組(非上場)
- フジタ(2012年大和ハウス工業の完全子会社化)
- 奥村組(在阪の老舗。良好な財務体質。2代目通天閣を施工。)
中堅ゼネコン
最近3カ年の決算売上高平均が2,000億円以下のゼネコン。閨閥を構成するのは錢高組、前田建設、飛島建設、福田組[1]。
- 東亜建設工業※安藤建設と業務提携
- 錢高組
- 淺沼組
- 鉄建建設
- 東洋建設 ※前田建設系
- ナカノフドー建設(旧中野組→ナカノコーポレーション。旧不動建設の建築部門が継承され現社名に)
- 福田組(新潟県が地盤)
- 飛島建設(金融支援を受けている)
- 大豊建設
- 青木あすなろ建設(2001年に経営破綻した青木建設とあすなろ建設が2004年に合併。)※髙松CG系、あすなろ建設は元コマツの子会社(旧社名・小松建設工業)
- ピーエス三菱(2002年にピー・エスと三菱建設が合併。三菱マテリアル系)
- 東鉄工業
- イチケン ※ダイエー系、現マルハン系
- 大本組
- 名工建設
- 松井建設
- ライト工業
- 矢作建設工業 ※名鉄系
- 大和小田急建設 ※元小田急系、現大和ハウス系
- 新日本建設
- 不動テトラ(テトラと不動建設の合併により2006年誕生) ※旧新日鉄系
- 北野建設(長野県が地盤)
- 若築建設
その他の主要ゼネコン
- 佐藤工業(2002年3月3日に会社更生法適用を申請。経営破綻するまで準大手規模、北陸資本の川田テクノロジーズ(旧川田建設)と福岡出身の若築建設が経営支援を主導)
- 日鉄住金テックスエンジ
- あおみ建設(佐伯建設工業と国土総合建設が合併し2008年誕生、2009年2月19日に民事再生法適用を申請)※国土総合建設は国土総合開発の元建設部門の一部で設立母体は旧三菱石油と三菱地所の三菱系2社が中心
- 伊田テクノス
- 日本国土開発(1999年初に会社更生法適用を申請。2001年減資実施)
- 大末建設
- 新井組(2008年10月8日に民事再生法適用を申請。経営破綻するまでNISグループ傘下)現スピードパートナーズ傘下
- 真柄建設(2008年7月5日に民事再生法適用を申請)
- 植木組
- 大日本土木(2002年7月に民事再生手続開始)※元近鉄系、現NIPPO系
- 大鉄工業※西日本旅客鉄道株式会社の持分法適用会社※JR西日本グループ
- 広成建設※西日本旅客鉄道株式会社の持分法適用会社※JR西日本グループ
- 佐田建設
- 加賀田組
- 西武建設 ※西武系
- 髙松建設 ※高松CG系の中核子会社
- 株木建設
- 松村組
- 森本建設
- 南海辰村建設(辰村組と南海建設が合併し誕生)※南海電鉄系
- 岩田地崎建設(岩田建設と地崎工業が合併し誕生)
- 伊藤組土建
- 森組 ※元阪急阪神系、現長谷工系
- 村本建設
- 第一建設工業 ※JR東日本系
- 本間組
- 堤組
- 田中産業
- 水谷建設
- 菊池建設
- 神奈川建設十社(神奈川県)2008年現在『神奈川建設四社』体制に
- 福浜大一建設
- 染谷工務店
- 松田組
- 丸山工務所
- 森下組
- 上村建設工業
- 岩永組
- 城東建設 (金沢市)
- 東海興業
- とだか建設
- 東レ建設 ※東レ系
- 日本建設工業 ※三菱傍系・三菱重工関連会社
- りんかい日産建設(りんかい建設と日産建設が合併して誕生、2008年8月29日に会社更生法適用を申請。日産建設時代にも倒産の経緯あり) ※元旧日産・日立造船→マイカル系、現在は日本アジア投資支援下
- 洋林建設(旧和泉組(旧東洋曹達により設立)→和泉建設。1973年大林組が資本介入して約4年後に社名変更)※東ソー(旧東洋曹達)と大林組の合弁
- 三浦工務店