セイクレスト

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株式会社セイクレスト(英文社名「SEI CREST CO., LTD.」)は、不動産会社。社長は青木勝稔

平成3年(1991)設立。本社は大阪市中央区備後町。マンションの企画・販売代理を行う。近畿圏地盤に首都圏にも展開。中古ビルの再生販売など不動産流動化事業も手がける。JASDAQ旧上場。

平成23年(2011)破産手続開始にともない上場廃止。

事業概要

当グループは、株式会社セイクレスト並びに連結子会社である株式会社サプリメントサービスによって構成されており、セイクレスト社は主に企画・販売代理事業、不動産流動化事業、企画不動産販売事業を、また、株式会社サプリメントサービスは主に人材派遣事業を行っていた。    これらの事業の主な内容、各事業におけるセイクレスト社及び連結子会社の位置付けは次のとおりであった。

企画・販売代理事業

セイクレスト社は、近畿圏を中心にマンションの企画・販売代理事業を行う。当該事業においては、過去にマンションを販売した顧客及びモデルルーム来場者へのアンケート調査等を集積し、データベースを構築しており、当該データを基に顧客トレンド及び市場動向等を分析し、デベロッパーにユニットや設備仕様を企画提案するとともに、デベロッパーの代理として契約・諸費用の精算、登記取次事務、ローン事務、引渡、資金回収等の業務を行い、デベロッパーから企画手数料・販売手数料を得る。

不動産流動化事業

セイクレスト社は、不動産投資事業、アセットマネジメント事業及びの不動産流動化に関するコンサルティング事業を行う。

アセットマネジメント事業では、賃貸マンションやオフィスビル等の収益不動産を取得・保有する不動産賃貸業務を行う。また、不動産ファンドの企画・組成、運用及び管理等のファンド業務を予定する。

不動産投資事業では、投資不動産を発掘しデュー・デリジェンスを行って取得し、バリューアップを図った上で売却するという事業を行う。また、市場分析業務も行う。

企画不動産販売事業

セイクレスト社は、企画・販売代理事業で培った販売並びにマーケティングノウハウ等を活かした、分譲マンション等の買い取り再販事業を行う。また、不動産流動化事業において、蓄積したノウハウを有効に活用し、買い取り物件に対して、取得後バリューアップを図った上で販売するという事業の展開も予定する。

人材派遣事業

セイクレスト社の連結子会社である株式会社サプリメントサービスでは、人材の流動化、業務のアウトソーシング化傾向を受け、デベロッパー等の不動産・建設関連企業への派遣を中心とする人材派遣サービス事業を行う。

株式会社サプリメントサービスによる当該事業は、時間給方式による派遣料金形態をメインとしつつ、営業業務の派遣については成功報酬型の派遣料金も組み入れた形式とする。

その他事業

セイクレスト社の連結子会社である株式会社サプリメントサービスでは、インターネット等を利用した不動産広告事業を行う。

沿革

  • 平成3年3月 - 分譲マンションの企画・販売を主たる目的として、株式会社セイクレストを大阪市淀川区に設立
  • 平成4年11月 - エスクロウを目的とした専門部署「業務課(現:業務管理部)」を設置
  • 平成6年10月 - 販売の受託及び企画立案の充実のため「企画室」を統合し「事業部(現:受託営業部)」を設置
  • 平成7年5月 - 本社を大阪市淀川区西中島三丁目11番26号に移転
  • 平成10年2月 - 住宅都市整備公団(現:独立行政法人都市再生機構)より民間委託第1号物件となる『アミング潮江プラスト』(総戸数200戸)の販売を、人材派遣型販売提携として受託し、完売。
  • 平成10年9月 - 良質な分譲マンションの普及を目的とし、スケルトン定借普及センター・コーディネーター支援部門に登録
  • 平成12年6月 - 販売エリア拡大を目的としインターネット上にホームページを開設
  • 平成13年11月 - 本社を大阪市淀川区宮原三丁目4番30号に移転
  • 平成13年12月 - 当社株式が、日本証券業協会に店頭登録銘柄として登録
  • 平成14年10月 - 大阪市淀川区に子会社、株式会社サプリメントサービス(現:連結子会社)を設立
  • 平成16年6月 - 東京都港区に東京支店を開設いたしました。
  • 平成16年12月 - 日本証券業協会への店頭登録を取消し、ジャスダック証券取引所に株式を上場
  • 平成17年4月 - 当社における不動産流動化事業の強化・推進のため、「開発事業本部(現:営業本部)」を設置
  • 平成17年8月 - 広島市中区に広島営業所を開設
  • 平成17年9月 - 東京都文京区に東京支店を移転
  • 平成17年9月 - 信託業法に基づく信託受益権販売業の登録
  • 平成17年10月 - 不動産投資顧問業登録規程に基づく一般不動産投資顧問業の登録
  • 平成18年7月 - 福岡市中央区に福岡支店を開設
  • 平成23年5月 - 4月末手形を決済できず破産申請。大阪府警捜査2課と証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反(偽計)容疑で関係先を一斉に家宅捜索。

「4億」こうして「20億」に化ける。「現物出資」なる錬金術のカラクリ

長年放置されていた山林が、いつの間にか“20億円”の株に化けていた。不動産販売会社「セイクレスト」(大阪市中央区)=ジャスダック上場廃止、破産手続き中=が、不動産の現物出資で不正な増資を行ったとされる事件は、大阪府警捜査2課と証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反(偽計)容疑で関係先を一斉に家宅捜索した。

府警は、セ社が債務超過による上場廃止を免れるため資本を増強したように装ったとみて捜査を進めているが、金(資本)を生み出すカラクリについて、実際には数億円程度の価値しかなかった和歌山県白浜町の土地を不当に高く評価し、20億円の価値があると偽ったとの見方を強めている。

マネーゲームの道具

「この土地が20億円もするわけがない」

不正増資に利用されていたとされる白浜町内の土地は現在も山林や更地のままで、ほとんど開発は進んでいない。周辺住民は「まさか、マネーゲームの道具になっていたとは」と困惑しきりだ。

問題の土地は白浜のリゾート地に近く、海が見渡せる。しかし、傾斜地であったり交通の便が悪いなど、不動産としての価値は高くはないという。地元の不動産業者は「都会の人は絶景に心を打たれるらしいが、20億円とはとんでもない。実際には数億円程度だろう」と話す。

周辺住民などによると、このあたりでは以前からホテルや商業施設などの建設計画が持ち上がっては消えていったという。セ社も、増資の際にシニア向けマンションの開発をうたっていたが、実現しなかった。

有価証券報告書や捜査関係者などによると、セ社は平成22年3月、福島県内の不動産会社から白浜町内の土地計約8万4千平方メートルの現物出資を受けて第三者割当増資を行った。

現物出資とは、会社設立や増資の際、現金のかわりに不動産や証券などをあてること。今回現物出資された土地は、大阪市中央区の不動産鑑定事務所が行った評価をもとに「20億円」の価値があるとされていた。

しかし、この土地は増資の約1カ月半前、「3億数千万円」で取引されていた。さらに、セ社の破産申請後、管財人側が別の不動産鑑定士に土地の再評価を依頼したところ、「4億数千万円」との回答だった。土地は現在買い手がつかない状態で、「1700万円」との評価額をつけた不動産業者もいるという。

なぜ増資の際の評価だけが突出して高かったのか

セ社は平成3年設立で、新築マンション販売などを手がけ、ピーク時の19年3月期には約48億円の売上高があった。しかし、幹部職員のインサイダー事件やリーマンショックなどにより業績が悪化。そして、現物出資による増資を行った結果、一時的に債務超過を解消、上場を維持していた。

こうした経緯から、上場廃止を免れるために、意図的に土地を高く評価し、増資にあてた疑惑が持ち上がっている。

さらに、増資の引受先の不動産会社は当初、土地を出資し、その代わりに入手した株式を長期保有するとしていたが、22年5月までにすべて売却しており、大きな利益を得た疑いがあるという。

旧かんぽの宿も舞台に

不動産の現物出資をめぐっては2011年、ゲーム販売会社「ネステージ」(同府吹田市)=ジャスダック上場廃止=についても同様の事件が摘発された。壁に穴が開いたままの建物など、廃虚同然の物件も含まれていた旧「かんぽの宿」などを舞台にした事件だ。

この事件では、不当に高く鑑定された旧「かんぽの宿」の宿泊施設などの現物出資で不正な増資を行ったとして、旧経営陣らが金融商品取引法違反(偽計)容疑で逮捕された。こちらも、債務超過による上場廃止を避けることが目的だったとみられている。

捜査関係者などによると、ネ社は22年2月に第三者割当増資を実施。この引受先となった東京都内のコンサルタント会社は、旧「かんぽの宿層雲峡」(北海道上川町)、旧「かんぽの宿米沢」(山形県米沢市)、年金・健康保険福祉施設整理機構が管理していた宿泊施設の旧「ホールサムインせとうち」(岡山県倉敷市)を現物出資した。

3物件は、旧日本郵政公社などが民間に売却した価格の3倍以上となる計13億円の価値があると鑑定されていた。ネ社の旧経営陣や引受先のコンサル会社、物件を評価した不動産鑑定士らは、実際には3物件の価値が低いことを知りながら増資を進めていたとされている。

ネ社は、経営が悪化した数年前から多くの第三者割当増資などを繰り返し、資本関係が頻繁に変遷。しばしば経営陣が入れ替わり、問題の現物出資が行われた当時は、商工ローン出身の役員が実権を握っていた。

業界関係者は「業績の悪化した上場企業が、証券市場から金を集めるためだけの『ハコ(箱)』として利用されるケースは少なくない」と指摘している。

目立つ不透明増資

現物出資は、増資する側にとっては現金を持たない相手であっても出資してもらって資本増強ができ、増資を引き受ける側にとっては現金がなくても不動産を出資して株を入手できるというメリットがある。

一方で、不適正な増資に利用されるおそれもあり、反社会的勢力の関与が懸念されることなどから、近年の“不公正ファイナンス”に目を光らせる証券取引等監視委員会も警戒を強めていた。

現物出資では原則、裁判所が指定した検査役が不動産などの価値を調査するが、弁護士などによる評価と不動産鑑定士の鑑定でもよいことになっている。不動産は評価内容に幅があり、当事者にとって都合の良い鑑定も可能であることから、実態より高く評価された物件によって不適正な増資が行われる可能性が指摘されている。

不動産業界を所管する国土交通省は22年8月、証取委からの依頼を受け、日本不動産鑑定協会に対して適正な鑑定を徹底するよう要請。鑑定の依頼者や目的、対象の不動産を確認し、公正な鑑定を害するおそれがある場合は依頼を断ることなどを求めた。

セ社をめぐる不正増資事件で20億円の評価額を付けた鑑定事務所は取材に対し、「セ社とは別のところから依頼を受けて評価した。現物出資については聞いておらず、鑑定結果を流用された」と主張している。

ある業界関係者は「2~3年前ごろから、不動産の現物出資による不透明な増資の案件が目立つようになった」としたうえで、一連の不正増資事件について「何としてでも債務超過による上場廃止を回避したい経営陣と、実際の不動産の価値を大幅に上回る株を入手できる引受先の利害が、うまく一致したケースだろう」との見方を示している。

ブローカーK

2011年5月2日、ジャスダック上場のセイクレスト(コード8900)が破産申請をした。4月28日付けの手形が決済できなかったための申請である。

セイクレストは2010年、和歌山県の土地を現物出資して約20億円の増資をしたり、株主割当増資で約4億円を調達したが、それぞれ問題のある増資であった。確かに、増資は問題があったが、特に2010年末の株主割当増資も曲がりなりにも4億円強の資金が入っていることは確かだ。

この破産の真相は、この資金をそっくり持ち出していたブローカーがいるということである。このブローカーは増資に関して何の役割も果たしていない。つまり。確かに問題のあった増資でも、一応4億円強の資金をセイクレストに入れるのに貢献したブローカーと、資金を持ち出して破産に追い込み株主の価値をゼロにしたブローカーが全く違うということである。

資金を持ち出したブローカーは、なぜかセイクレストの手形帳、小切手帳を持ち出して、勝手に資金を引き出して使ってしまった。その金額は2億円をくだらない。大方、「資金を作ってあげる」とか「いいビジネスを紹介する」などといって持ち出した手形、小切手を勝手に資金化して、その決済が回ってきたのであろう。

そのブローカーは、丸石自転車の時も、増資で調達した数十億円の資金を勝手に持ち出したが、なぜか全くお咎めがなかった鹿児島県出身のKというブローカーである。

丸石自転車の時も、当局はその2年も前のわずか1億円の架空増資だけ立件し、当時とその前の社長を逮捕しただけであった。つまり、株式市場の増資にかかわる犯罪と無理やり決め付けてしまったわけで、本当に私腹を肥やしたKは、増資そのものにかかわっていなかったため(つまり資調達に全く貢献せず、単に勝手に使っただけ)お咎めなしであった。

セイクレストについても、問題のある増資をしているため、これも近い将来、株式市場の増資にかかわる犯罪、と位置づけられる可能性が強いが、本質は丸石自転車と一緒で、全く増資にかかわらず(セイクレストの資金調達に全く貢献せず)、資金を盗んだだけのブローカーがいたから破産してしまったのである。

そして、このブローカーは増資にかかわっていなかったという理由だけで、今回もお咎めなしになってしまう可能性が強い。当局が、あまりにも増資にかかわるところのみに注目して摘発しようとするため、本質を見逃してしまうということが、今回も起こりそうである。

社長とコンサルに強制調査(2012年11月)

証券取引等監視委員会は2012年11月29日、セイクレストの元社長とコンサルティング業者に対し、大阪府警察本部と合同で強制調査を行ったと発表した。虚偽の内容の開示をして第三者割当増資を行い、金融商品取引法違反(偽計)の疑いがあると判断した。

犯則嫌疑者は青木勝稔(49)セイクレスト元社長とコンサルティング業の松井隆(67)。

セイクレストをめぐっては、2010年3月期決算で債務超過になると上場廃止基準に抵触する恐れがあった。このため2人は、上場廃止を回避するため、評価額を水増しした土地を取得し開発販売するとの計画を開示し、自己資本を増強して上場廃止を免れていた。

セイクレストはすでに2011年に破産手続きが開始され、上場廃止になっていた。