スズキ・スプラッシュ
スプラッシュ(Suzuki Splash)は、スズキが2008年に発売した小型ミニバンである。ハンガリーのマジャールスズキ社で製造され、ヨーロッパ各国で販売される。また、同年10月より日本での輸入販売も開始された。
バッジエンジニアリングによってオペル・アギーラ(大陸ヨーロッパ)、ボクスホール・アジーラ(イギリス)としても販売されている。さらに、インドでは、マルチスズキ社によって「リッツ(Ritz)」[1]の名称で生産・販売されている。
概要
プラットフォームは、スイフト(2代目、ZC#系)がベースとなっている。スイフトとの比較での車体寸法は、全高以外が一回り小さく、ホイールベースも30mm短い2,360mmである。エンジンは直列3気筒(K10B型)1000ccガソリンエンジン、直列4気筒(K12B型)1200ccガソリンエンジンと、フィアット製直列4気筒1300ccマルチジェット直噴ディーゼルエンジンが用意され、5MTもしくは4ATとの組み合わせとなる。
スズキの経営には2008年までアメリカ・ゼネラルモーターズ(GM)が資本参加しており、その関係からスプラッシュはGMの欧州子会社にもOEM供給されている。ドイツのオペル、及びイギリスのボクスホールでは、「アギーラ」の2代目モデル(初代モデルはワゴンR+の姉妹車であった)として販売される。スズキの世界戦略第2ステージ[2]初代の車型と位置付けられており、他にはインドにおいてマルチ・スズキ・インディアによる製造・販売が行われている。また、今後は中国でも製造・販売が行われる予定である[3]。
日本での販売
欧州での好調な販売を受け日本国内への投入も決定した[4]が、日本国内の各工場は生産キャパシティに余裕が無く、ハンガリーのマジャールスズキ社から輸入し、スズキ相良工場でPDI後に販売するかたちとなった。スズキとしては初めての海外生産小型乗用車の国内販売である。
燃費と排ガス規制を考慮し、スイフト(ZC71S)同様1200ccガソリンエンジン(K12B型)にアイシンAW製のCVTを組み合わせた日本市場専用設定となり、「平成17年排出ガス基準75%低減レベル(☆☆☆☆)」と「平成22年度燃費基準+15%」を同時に達成している。なお、2009年4月から施行された「環境対応車普及促進税制」(いわゆるエコカー減税)にも対応している。駆動方式はFF+CVTのグレード一本に絞られている。ボディーカラーは全6色、カラーに応じて3色のインテリアを設定。日本国内専用装備としてフロントのプッシュカップホルダーとセキュリティーアラーム、リヤパワーウインドーが装備される。バッテリーは底部クランプ式の欧州型であり、取付方法は一般的な日本車仕向けのバッテリーと異なる。
大柄でしっかりしたつくりのシート(シートリフター付き)が採用され、更にサイド・カーテンエアバッグ、定員人数分のヘッドレスト・3点式シートベルト、イモビライザー付きキーレスエントリーが標準装備されるなど、ヨーロッパ基準の装備がそのまま日本国内向けにも適用されている。同クラスの国産車では小物入れの数やルーフ内張りの厚みばかりが重要視されがちであるが、スプラッシュのそれは国産車と比較して簡素なものが採用され、あくまで実用車としての車作りに徹している。とはいえ、ラゲッジアンダーボックスにラゲッジシェルフを格納できる、シフトレバーの邪魔にならないようにインパネのカップホルダーがせり出してくるなど、細かな部分で日本車的な気配りも取り入れられている。走行性能においては、乗り味の柔らかさばかりを強調した国産車とは一線を画す、硬めだがストロークはたっぷり確保して衝撃をいなす、少し前のドイツ車風のセッティングがなされている。[5]。もちろん、これは開発段階でOEM先のオペルから、自社基準の走行性能を満たすために多くの提案があったことが影響している[6]。
歴史
- 2006年 - パリサロンでコンセプトモデル、「プロジェクトスプラッシュ」を発表
- 2007年9月 - フランクフルトモーターショーでワールドプレミア
- 2007年10月 - 東京モーターショーに展示
- 2008年3月 - 欧州で生産・販売開始
- 2008年10月21日 - 日本国内販売開始[7]。月間目標販売台数は500台と発表されている。
- 2009年5月15日 - インドで生産・販売開始[8]。現地名はリッツ (Ritz)
- 2010年1月21日 - スズキ国内累計販売台数2,000万台達成を記念し、エアロパーツ、マルチリフレクターフロントフォグランプ、専用15インチアルミホイール、タコメーター、本革巻ステアリングホイール、専用シート表皮、運転席・助手席シートヒーターを装備し、グレー内装を採用した特別仕様車「リミテッド」を発売。ボディカラーは専用色のクールホワイトパール、ギャラクティックグレーメタリックを含む4色を設定した。
- Splashinterior.jpg
車内
- SuzukiSplash 4.JPG
プロジェクトスプラッシュ
脚注
- ↑ Splashという語が、インドにおいてすでにフォードによって登録されてしまっていたため
- ↑ 第1ステージのテーマは「スポーツ」で、スイフト、エスクード / グランドビターラ、SX4 / SX4セダンが該当、第2ステージのテーマは「ファミリー」
- ↑ http://autonews.gasgoo.com/auto-news/1007726/Changhe-Suzuki-Auto-to-make-Suzuki-Splash-in-2010.html (英文)
- ↑ 中日新聞・自動車産業ニュース 2008年4月23日
- ↑ http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/i0000020361.html スズキ・スプラッシュ(FF/CVT)【ブリーフテスト】(webCG) 2009年1月8日
- ↑ http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/i0000020144.html スズキ・スプラッシュ(FF/CVT)【試乗速報】(webCG) 2009年1月8日
- ↑ スズキ、「マジャールスズキ社」製の新型コンパクトカー「スプラッシュ」を発売 スズキ株式会社 ニュースリリース 2008年10月21日
- ↑ インド仕様は最低地上高が170mmに、全高が1620mmにそれぞれ上げられている。エンジンは1200ccガソリンと1300ccディーゼルの2種類、変速機は5MTのみ
関連項目
外部リンク
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