ジタン
ジタン(Gitanes)は、フランスで最も一般的であり、ゴロワーズと人気を二分する煙草のブランドである。
製造に関する歴史
ジタンとは「スペインのジプシー女」を意味する。パッケージには扇を持ったジプシー女性のシルエットが描かれる。 1947年にマックス・ポンティによってパッケージがデザインされ、踊り子が青い背景の中で紫煙を纏って踊る秀逸な絵柄は「ジタンブルー」として世界的に有名であり、煙草パッケージのデザインでは度々代表作として例に挙がるほどである。
かつてはフランス煙草産業界ナンバー1シェアを誇ったセイタ社が製造を行っていたが、1999年10月に同社がスペインのタバカレラ社と合併し、アルタディス社となって生産されている。 現在日本市場で売られているのはジタン・フィルトル(Gitanes Filtre)とジタン・ブロンド・ライト(Gitanes Blondes Legeres)である。ジタン・ブロンド(Gitanes Blondes)はかつて100mmのたばこ「ジタン・ブロンド100s」として日本たばこ産業がライセンス生産していたが、ブランド銘柄の見直しなどで、2003年頃生産中止となった。 また、名称が以前はジタン・カポラル(Caporal・フランス語で「並」の意味)であったが、近年Gitanes Filtreに代わり、ジタン愛好家の人々は買いだめしておいたカポラルを時折眺め、吸うことでノスタルジーに浸るという。
現在フランス国内での生産は停止されスペインの一工場で生産が続けられている。
フランス語の正式な発音は女性形への変化がなされるため「ジタンヌ」とされるべきであるが、現在日本国内においては「ジタン」の呼称が一般的であり、庄野真代の楽曲『飛んでイスタンブール』の歌詞にも「ジタン」として登場する。
ジタンの特徴
ジタンはパッケージと煙草自体の形状、そして煙草の封入配置が特異であることが知られている。 まずパッケージはスライド式の二重箱デザインを採用し、縦に短く、横に長い。更に、マールボロなどの典型的な1対1.62の黄金比形状ではなく、約1対1.4の白銀比の比率である。 次に煙草自体であるが、フィルター部分が異様に短い。従来は葉の部分が太かったが、2010年6月より、一般的な太さになっている。 最後に通常は6・7・7の3列で封入されている煙草であるが、ジタンは縦横が逆転しているが故に10本が2列になって封入されている。 このパッケージと煙草の形状、そして煙草の配置の故に、残りが少なくなるとパッケージの中で煙草が大きく動き、ポケットの中に煙草の葉が大量にこぼれる可能性が大きい。また、他のタバコと比べて灰皿の中でフィルターに引火しやすいため、吸った後の消火は念入りにする必要がある。
使われる葉は一般的な葉ではなく、発酵した黒い葉を使っているため、香りや味は葉巻に近いといわれる。 その為、本人はともかく、周りの人の評価は賛否が別れるところである。煙は色が薄く、比較的少なめ。
一方、ジタン・ブロンドは一般的なアメリカンブレンドの葉を採用している。ただし、ゴロワーズ・ブロンドと同様に、一般的に売られているアメリカンブレンドと比べると、オリエント葉の味が強調されている。
F1スポンサーとして
ジタンは、1976年~1995年まで(1991年からはジタン・ブロンド)リジェチームのメインスポンサーとしてフォーミュラ1レースの顔の一つとなっていた。
オーナーであったギ・リジェは、フランス政府の関係者とのコネクションを持っており、その関係でスポンサーとなっていたと言われている。同様にマトラやタルボ、ロト(フランス)もスポンサーとなっていた。
オーナー交替後、さらにはアラン・プロストがチームを買収した後も、ジタンならびにゴロワーズ(1996年~)ブランドとして2000年までサポートし続けた。
喫煙者たち
ジタンは、フランス人俳優のジャン・レノやセルジュ・ゲンスブール、歌手では元ビートルズのジョン・レノン、元ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュ、日本においてはMr.Childrenのギタリスト田原健一などが好んでいることでも有名である。
またフィクションの世界ではルパン三世、ブラックラグーンの張維新、NANAの一ノ瀬巧、紅の豚のポルコ・ロッソ、ダブルブリッドの帆村夏純なども喫煙している(一ノ瀬巧、ポルコは両切りの「ジタン・マイス(GITANES MAIS、日本未発売)」の説もあり。帆村夏純は日本製のジタン・ブロンドと思われる)。テレビゲーム「街 〜運命の交差点〜」では、高峰隆士が好んで吸い、その味を「犬の糞入り鰹節風味」と評している。また、「街」と共通項の多いゲーム作品「428 〜封鎖された渋谷で〜」では主人公のひとり・御法川実が好む銘柄として画面に登場している。
外部リンク
- インターコンチネンタル商事株式会社 - 輸入代理店